2019.12.10  ディーセント・ワーク

日曜日の半日、産業医のための講習会に参加しました。

医師は、診療科によって認定医制度や専門医制度があります。

取らなくても医業は出来ますが、研修を積んで勉強をしていく中で、目標が見えてきます。

 

院長は、眼科専門医のほか、健康スポーツ医、さらには産業医であるので、最新の知識を得るために勉強しなければいけません。

 

この夏取得したばかりのフレッシュ産業医の院長。

資格を取ってから初めての講習会。

今回は、2講義と実習。

労働衛生専門官や大企業の専属産業医の先生たちが講師です。

 

今回は、まず『労働衛生行政の重点施策について』

難しいタイトルです。

過重労働対策・治療と仕事の両立支援・メンタルヘルス対策などなど働き方改革実行計画の概要を聞きます。

 

2講義目は『働き方改革における産業医としての役割』というお話。

1題目よりは、もう少し平易な内容かと思ったら…

ILO(国際労働機関)が掲げる21世紀の目標は、ディーセント・ワーク(Decent Work):働きがいのある人間らしい仕事。

『労働は負のストレスではなく、充実した人生へ向けた自己実現の手段である』

『ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が保たれてこそ、ワーク・エンゲイジメント(快活・健康かつ活動的に仕事に取り組む)の状態になれる』

過重労働を防ぎ、事業者と雇用者(個人)に、産業医はどう働きかけるか。

またまた難しい。

 

最後は、事例検討会です。

ストレスチェックを機に発見されたメンタルヘルス(心の健康)の相談事例がいくつか。

こういう人がこういう風に相談に来たら、どう対応すればいいか?

それぞれ意見を出し合い、まとめ、発表。

講師から参考対応例を教えてもらい、知識の補充をします。

産業医は、専門的なことも大事ですが、人生経験も大いに生かされるように思いました。

 

某社人事部に履歴書を送り、その返事待ちの院長

嘱託産業医として採用されたら、眼科医・開業医とは違う試練もあるでしょうが、『それも人生勉強』の心つもり。

 

帰りの地下鉄でふと浮かんだ

『好きな仕事をするんじゃない、自分の仕事を好きになるんだ』

ドラマ『おっさんずラブ』で、OB訪問をした学生の牧(林遣都)に武川(眞島秀和)がいうセリフです。

仕事を職場に置き換えることもできます。

 

眼科を選んだのは、好きだから?ではありません。

複数の医局からの勧誘の中、強い誘いに『いいかな~』くらいの動機です(昔は大勢の医師はこのパターン)。

眼科学の繊細さに、器械の扱いに、診療に、手術に、研究に…涙したことは何百回(まではいかないか…?)。

それでも、眼科医としてめどが立つと、眼科医の仕事は好きになっていました。

そして、もっともっと眼科医として成長したい…とポジティブになってきます。

 

スタッフにもそんな働き方をしてもらえるよう、もっと職場環境を整えていきたいと思っています。

 

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カテゴリー:公センセの想い 公センセの日常の出来事

2019.12.3 まぶたがぴくぴく

『まぶたがぴくぴくする』と、心配になって来院される患者さん。

話を聞くと…

『突然起こるんです』

『1日に何回も起こります』

『数秒くらいの繰り返し』

『いつのまにか収まっているんです』

『収まっていたと思ったら、また急にぴくぴくするんです』

などなど。

 

自分の意思に関係なく、筋肉が勝手に動くことを『不随意(ふずいい)運動』と言います。

 

日頃の診療で多いのは、上記のような症状を訴えられる患者さんです。

片眼のまぶたに、限局的であることも特徴です。

目の周りにある眼輪筋(がんりんきん)の不随意運動で、正式には『眼瞼ミオキミア』と言います。

原因は、眼精疲労やストレス・寝不足…など。

ゆっくりと休息を取ると、知らないうちに症状が消えていることがほとんどです。

 

ただし、自己判断せず、眼科的な病気が隠れていないか、診察を受けてください。

 

片側のまぶたや口の動きがおかしいのは、『顔面けいれん』です。

まぶたがぴくぴくするだけでなく、顔半分の筋肉が過度に動く場合は、顔面神経の支障が起きている可能性があります。

原因の精査・治療のため脳外科へ紹介することが多いです。

 

本当の意味での『眼瞼けいれん』は、両まぶたに発症です。

『目が開けにくい』

『目を開けているとつらい』

『目を閉じていた方が楽』

挙句に、『運転が危ない』『歩いていてもぶつかってしまう』などなど。

 

中枢神経系の伝達異常と言われていますが、原因の詳細は不明です。

40歳未満では、向精神薬や睡眠導入剤内服が要因の一つとも言われています。

『眼瞼けいれん』の患者さんは、目が開けにくいだけでなく、まぶしさや不安症状も伴います。

ボツリヌス毒素のまぶたへの注射が第一治療法です。

ただし、数か月で効果が切れてしまうので、再度行う必要があります。

当院ではボツリヌス毒素の注射はしていませんが、『他院で注射したが再発した』患者さんは、効果持続期間が終了したためと考えられます。

また、ボツリヌス毒素が効かない場合もあります。

眼瞼けいれんの専門医は少ないため、かなり深刻な患者さんには、遠方へご紹介することもあります。

 

さて、先日(2019.11.19)『メーテレ』テレビの朝番組『ドデスカ!』で『まつ毛ダニ』のお話をしました。

『まつ毛のきわまで清潔に』とお話ししましたが、まつ毛内側にあるマイボーム腺(脂が出る)を詰まらせるのも良くありません。

目を温めるホットアイマスク(おしぼりでも可ですが冷めやすい)はお勧めです。

涙成分を安定させるので、ドライアイにも有効です。

さらに、リラックス効果が大きいです。

安眠できるので、院長は就寝時にも愛用中。

ストレスによる、『まぶたのぴくぴく(眼瞼ミオキミア)』にもお勧めです。

 

カテゴリー:眼に関すること

2019.11.19 宿題と肥満者率

医師会の講演会は、主に医学の話題ですが、今回は経済学のお話。

演者は、Eテレ『オイコノミア』という経済番組に又吉直樹さんと出演されていた、大阪大学の大竹先生。

又吉絡みで見始めた院長ですが、平易な言葉で、素人でも経済学をかじれる良質の番組でした。

 

今回のタイトルは『医療現場の行動経済学』

『行動経済学』とは、心理学や社会学の成果を経済学に組み入れた、経済学の一分野だそうです。

現実の人間の思考の傾向を考慮して、経済を考える、というもの。

 

例えば…

問1

1.コインを投げて表が出たら2万円もらい、裏が出たら何ももらわない。

2.確実に1万円もらう。

どちらを選びますか?

問2

1.コインを投げて表が出たら2万円支払い、裏が出たら何も支払わない。

2.確実に1万円支払う。

どちらを選びますか?

大多数は、問1では2を選び、問2では1を選ぶそうです(院長も同じ)。

得をすることは確実な方を取りたいけれど、損をすることは不確実な(危険性のある)方を取る傾向があるそうです。

 

同じ金額だと、得をした嬉しさよりも、損をした悲しさの方が大きくなる。

また、嫌なことは先延ばしし、嬉しいことは前倒しする傾向もあるそうです。

これらを含め、ヒトの心理をどのように医療現場の経済で活用するか。

 

薬や手術の効用・成功率と副作用・不成功率を患者さんに伝える場合。

副作用や不成功率がわずかだったとしても、患者さんはそれ以上に大きく捉える傾向があることは、自身の経験からも気づいていましたが、ヒトの心理的な傾向・癖だと初めて知りました。

医師は、エビデンスに基づいて、客観的に事実を話しますが、良いこと(回復・治癒)と悪いこと(悪化・一生の病気)では、患者さんの受け止め方が違うのは、もっともです。

 

健康診断の受診率を上げるには、どういう文面が一番有効か?

臓器提供のドナーカード同意率を上げるには?

予約の無断キャンセル率を防止するには?

大腸内視鏡の痛さの記憶を和らげるには?

などなど、数々の論文を引用し、解説されました。

医学と同様、リサーチ・集計・解析・結果・考察という流れは、経済分野の研究においても同じだと思いました。

数学も駆使し、文系というより理系なのでは?と思います。

 

中学生の時、夏休みの宿題はいつ頃やることが多かったですか?(大阪大学調査)

1.夏休みが始まる最初の頃

2.どちらかというと最初の頃

3.毎日ほぼ均等

4.どちらかというと終わりの頃

5.夏休みの終わりごろ

 

院長は1です。

『宿題後回し傾向』が強いと、喫煙率やギャンブル習慣、飲酒習慣が優位に高くなることが分かっています。

消費者金融の利用も。

それ以外に、肥満者率ともかなりの相関があることがわかっています。

 

中学時代の宿題癖で、将来の傾向までわかるとは…

 

ちなみに長男に上記の宿題の問いをしたところ…

『当てはまるの、無いわ』

『えっ?』

『だって、宿題やったことなかったもん…やろうとすら思わなかった』

選択肢に該当しない人がいるとは…

理由の詳細まで忘れましたが、何度も学校から親(院長)の呼び出しがあったからね~

相関の結果を知ると、先が思いやられます…

 

『行動経済学の知識で患者さんの意思の傾向を理解できる』

『何気ない表現で患者さんの意思決定が変わる』

 

勉強したことを日々の医療現場で試してみようと思います。

愚息が今からでも『宿題先終え傾向』になるよう、家庭でも行動経済学試してみます。

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2019.11.12 ずっとAだったのに…

中学3年生のB君が来院しました。

『最近、プリントとかを離して読むようになったんです。離したほうが見やすいって言うんです。若いのに』と付き添いのお母さん。

裸眼視力は右1.2左1.2でしっかり見えています。

近くの見え方も、右1.0左1.0で全く問題なしです。

『学校の視力検査ではずっとA(1.0の指標が読める)だったんです』

眼科の病気になったこともないので、生まれて初めての眼科受診でした。

眼位(目の向き)は正常。

診察でも異常はありません。

 

眼科では、視力検査と同時に、屈折検査(機器)も行います。

データによって、近視・正視・遠視・乱視があるのか、どの程度なのかが分かります。

B君は軽度遠視が出ていました。

 

乳幼児の多くは軽度の遠視ですが、就学時の頃には正視(近視も遠視もない状態)になります。

軽度の遠視では問題はありませんが、強度の遠視では近くも遠くもぼやけて見えるようになり弱視になることが多々あります。

また、無理にピントを合わせようと調節すると両目が内向きになる内斜視を起こします。

小学校低学年までの子供は、調節力(ピント合わせ)が強いので、視力が良くても、遠視が隠れていることもあります。

また、視力が出にくく近視の値が出ても、実は近視ではない場合もあります。

子供では、調節を完全に取ることが出来ないため、調節を麻痺させる検査用目薬を使い、正しい値を把握します。

 

中学3年生だと、通常の屈折検査で十分です。

しかし、B君は『視力良好』『でも、近く見づらい』『軽度遠視』から、調節麻痺点眼を使い検査をしました。

すると…中等度の遠視が隠れていました。

これじゃあ、近くが見にくいわ~

 

B君は生来中等度から強度の遠視があったと推測されます。

3歳時健診以降、視力や眼位で異常が見つかることが多いのですが、B君はたまたま眼位異常もなく視力低下もなくスルーしてきてしまったのでした。

老眼と違って、調節力が十分あり、近くも見えるので、本人も周りも気にしていなかったようです。

中学3年生になり、勉強量も増えてきたあたりから、近くにずっとピントを合わせるのが辛くなってきたようです。

早速、遠視のメガネを処方することにしました。

 

後日、出来たメガネの確認にB君来院。

『すごく良く見えます。目も楽だし』

B君、良かったね。

お母さんも、『あれ?』と思い連れてきてくださって良かったです。

ぐっと、勉強しやすくなったはず。

受験、頑張って!

 

視力検査は、意義があります。

ただし、視力検査だけでは、分からないこともたくさんあります。

視力が良くても、例えば『本を読んだり細かい作業をすると集中できない・すぐ飽きる』場合、強い遠視が隠れていることもあります。

子供(未成年)は、自分からはあまり訴えないので、周囲が『あれ?』と思ったら受診をお勧めします。

一番楽な(目の)状態で、最大視力を出すアドバイスをするのが眼科医です。

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2019.10.8 スカーレットの旅

『おっさんずラブ』&『阪急電車』つながりで、NHKの朝ドラ『スカーレット』を見始めました。

戦後、女性陶芸家として奮闘するヒロイン・川原貴美子の波乱万丈の人生物語(らしい)。

 

10月&11月の休診日は、学校医の仕事が多くなり、ほとんど予定が入っているのですが、一日だけフリーの日が。

それなら、一人でどっか行きたい!

ならば…と、ドラマの舞台の『信楽』へ。

 

『信楽』(甲賀市)は滋賀県の南端。

数年前、一度訪れたことがあります。

緑区医師会同好会の『お泊り遠征コンペ』が信楽の『タラオカントリー』

日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯が開催されたこともあって、かなり難しいコース(というか散々)でした。

この時は、町中を観光する予定も時間もなく(ゴルフ目的なのだから当たり前ですが)…。

 

さて、朝食後出発し夕食までに帰ってくる計画。

今回は、あえて新幹線を使わずに行くことに。

関西本線初乗車したい!

関西本線から草津線、信楽鉄道にて終点『信楽』へ。

東海道線と違い、乗客も少なく、どんどん田畑や山が見えてくる車窓は全然飽きません。

乗り換えでワンマン列車になり、長いトンネルを越えたり、山々に警笛が響いたり…

 

信楽鉄道は、『スカーレット』を大々的にアピールするラッピング列車。

『信楽』駅では、狸たちがお出迎えしてくれますが、小さな小さな駅でした。

平日なのか、ドラマがまだ始まって間もないからなのか、人は少ない。

駅員さんに地図をもらい、お勧めを聞くと『窯元散策路』コースとのこと。

ゆっくり歩いて買い物もして2時間くらいとのこと。

 

途中コンビニでお昼を買いがてら、お店の人に、窯元散策路以外のお勧めも聞いてみます。

『一人で来てます。1.5倍速で歩けます。走れます。時間は3時間くらいあります』と状況を説明。

『陶芸の森も行けるんちゃう?片道1.2キロで坂やけど』女性店員1(滋賀は関西弁)

『そうやな~。両方行けるんちゃう?散策は途中で帰ってもいいし』女性店員2

 

勧められるまま、陶芸の森へ。

陶芸館と産業展示館があります。

信楽焼の歴史や特徴が分かります。

残念ながら、『ほう、ほう』と言う程度の感性と知識しかありませんでしたが。

 

窯元散策路は、窯元が点在しているお散歩コースです。

古い窯の跡?や煙突?みたいなものに出会います。

ただ、平日なのか、すれ違う人もなく、ただ歩いてきた…という感じ。

 

狸はびっくりするほどそこら中に置いてあり、その迫力たるや…です

『スカーレット』は『緋色』とも言い、緋色の片口酒器には、魅かれてしまいました。

緋色の陶器は、釉薬を施さず、薪を原料とする窯で焼成する元来の信楽焼なのだそうです。

だからこそ、お値段も他よりぐっとします。

(オプトスみたいに)『絶対欲しい』とならず見送りました。

 

さて、帰路。

亀山でのホームで、スーツ姿の若い男性に声をかけられました。

『名古屋行きますか?』(生粋の日本語ではない)

『行きますよ、私も名古屋に帰るので一緒に行きましょう』

『どちらの国から?』

『ベトナムです』

大学を卒業し来日。

仕事で今日初めて亀山に来たそう。

向かい合わせに座り、名古屋まで日本語でおしゃべり。

『面接の結果、Line(ライン)します!』

こういう出会いも、一人旅ならではのこと。

 

大半を電車乗りで過ごした旅でしたが、楽しい一日でした。

 

当日分の録画を見て、明日のスカーレットに備えます。

 

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