2025.6.10 ナビではない
学会では、講演がもちろんメインですが、そのほかに機械展示などもあります。
今回の視野画像学会。
日本盲導犬協会が初の参加。
会場の片隅にちょこんとこげ茶のラブラドールレトリバーが。
『盲導犬との歩行体験できます』
『やってみたいです!』
ではまず持ち方を…
普通飼い主は紐を持ちますが、盲導犬の場合は、まず革紐を手首にはめるようにして付属のスティックを持ちます。
『こんな風ですか?』と手間取っている間も、お利口にじっとしている盲導犬。
『自分が主体でスティックを持ってください。引っ張らず、引っ張られないように』
では早速進みましょう。
と、その前に。
『盲導犬はナビではありません。犬が連れて行ってくれるわけではありません。自分の行ったことがある場所を飼い主は記憶していて、そこへ連れていく補助をするのが盲導犬なのです』
びっくり!無知な眼科医。
盲導犬は犬ナビではなかった!
右足を少し前に出して、右手を軽く前へ振り、『Go Straight!』と言います。
指示を聞くと、ラム(犬の名前)は早速歩き出します。
決して引っ張るようなことはせず、飼い主(この場合は院長)に合わせて歩きます。(もちろん協会の人も傍で指導)
角に来てラムは立ち止まります。
角に何のお店(音や匂いで)があるかも知っているようです。
右へ曲がるときには、右手を少し前に振り『Go Right!』
角では必ず止まる(信号や横断歩道も)ので、そのたびに指示を与えます。
会場内の椅子などの障害物もうまくよけてくれます。
会場の休憩コーナー(コーヒーとお菓子がある)を横切った時には、『ラム、お菓子の誘惑に負けないんだね~子供より偉い!』と感心。
(目の前に食べ物を出されると食べてしまうこともあるとか)←盲導犬の気を引く行為は慎むべき!
無事一周してきました。
盲導犬になれるような犬は相当のエリート、頭も性格も秀逸。
ラム、初体験に付き合ってくれてありがとう!
さて、視覚障害者が移動する手段としては
白杖
盲導犬
視覚ガイドヘルパー
があります。
各人の希望に応じて何を使うかを決めるそう。
白杖は、杖だけ(自分だけ)で状況把握し歩いて行かねばならず、時に危険もあります。
小さい頃からロービジョンで白杖を使い慣れている人は、操作にも長けており、身一つで即行動できるため、白杖愛用者が多いように思います。
チームドクターとして関わっているフロアーバレーの面々たちも、白杖で地下鉄バスを乗り継いで練習に来ます。
(しかもコートの中では白杖なしで動いています)
盲導犬は、物にぶつかった経験があったり(もしくはそれらを恐れて)、一人では怖くて外出できない人の補助となります。
ナビにはなりませんが、飼い主を安全に目的地に誘導してくれます。
白杖と違い、盲導犬が障害物や危険を察知してくれます。
ただし、きちんと犬の世話が出来ることが条件です。
健常者の視覚ガイドヘルパーは、依頼人が知らない場所へも的確に安全に連れて行ってくれます。
ただし、予約制で時間にも場所にも制限があります。
どれを選択するかは当事者が決めます。
ちなみに盲導犬は無償でロービジョン者に貸与されます。
盲導犬協会は、ほとんど寄付で成り立っています。
当院もわずかながら寄付をしています。
マスクを忘れた患者さんから20円を徴収することにして以来、20円は盲導犬協会の寄付箱へ。
マスクを忘れていなくても寄付は歓迎です。
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