2024.7.9  何歳でもめでたい

『90歳。何がめでたい』

作家・佐藤愛子さんのエッセイ。

本書が出たのは2016年。

自分用だけでなく、参考になるかも…とおこがましくも、80代目前の母と、母の友人Nさん(母と同年齢)に贈りました。

母がどう思ったかは不明ですが、Nさんは感想を知らせてくれました。

Nさんは鬼籍に入りましたが、時代の先端を行く生き方や私との交流(私の年上の友人でもあった)を今でも思い出します。

 

そして、その本が映画化されました。

主役の草笛光子さんは憧れの人。

年齢を重ねて益々素敵になられる姿をメディアや雑誌で見ては、将来目指したいと思う女性のひとり。

90歳の草笛さんが、90歳等身大の役を演じられます。

日々の生活にアンテナを張り、感じたことを文章に。

そのエッセイを基に映像化されています。

自身の老化による体の変化を嘆きつつも、時代の進歩や日々の変化に大きく反応。

若い人に対し、怒りも含めてはっきりした物言いも、実は期待と鼓舞が含まれているのを感じます。

 

良い人でいるのはつまらない。

日々の小さな事に怒ったり笑ったり。

世の中に反応することが生きる力。

 

大いに笑い、スカッとし、頷くこと多しの映画でした。

 

Aさんが久しぶりに来院されました。

白内障の定期検査。

御年90歳。

 

『お変わりないですか?』

『息子(と言っても院長より年上)と北海道に行ってきたんですが、その時…』

いつもは『変わりございません』のAさんですが。

『どうされました?』

『北海道で車に乗っているとき、息子が指さすものを見ようとしたのですが、その時にはもう見えなかったんです…何回もそんなことがあって…』

視力も良好、白内障も年齢の割に軽く、他に病気はありません。

『動体視力といって、物を追う力が弱くなっただけです。車のスピードに目が追い付いて行かなかったのでしょう。加齢とともに、若い人(と言っても息子も高齢者?)より動体視力は劣ってきますから。病気ではないので心配いらないですよ』

『あら、そうでしたの。安心しました。』

Aさんは、袋から北海道のお土産を取り出し、

『お陰様で90歳のお祝いに北海道に行けました。お福分けです』

『おめでとうございます!』

『ありがとうございます』

有り難く頂戴。

Aさんも院長にとって目指すべき人生モデルの一人。

『私もAさんのような年齢の重ね方をお手本にしていますから、お元気でいてください』

『励みになるお言葉、ありがとうございます』

その後、スタッフと福を分け合いました。

 

院長にとって、人生のモデルは多々。

実在で年上の知人たち。

鬼籍に入ってしまった年上の知人たち。

実在で同業の女医さんたち。

医学界の高名な先輩たち。

演劇、美容、芸術など、会ったことも話したこともないけれど勝手に自分のモデル(前述の草笛光子さんなど)と認定している人たち。

そしてAさんのみならず、多くの患者さんたち。

みんなそれぞれ人生のエピソード・モットーがあります。

先達たちのそれぞれ100分の1でも真似できたらいいな、近づけたらいいなと、来る老後の目標にしています。

 

人にいいことが起これば『おめでとう』

自分にいいことが起これば『ありがとう』

祝福と感謝の言の葉から生まれるエネルギーは絶対なるパワーを持つ。

某新聞にあったエッセーから。

 

院長も何歳になってもめでたいし、ありがとう!と言いたいです。

 

*7月16日の公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの家族・恩師・友人など 公センセの想い

2024.6.18  目薬の温泉

『え~!?』

思わず声を上げたのは、目の温泉・眼病に直接効く温泉を見つけたから。

目の神様を拝むべく、全国を行脚中?の院長ですが、温泉があるとは!

 

鎌倉時代より700年の歴史。

目の温泉として伝わる神秘の源泉。

 

上杉謙信好公の隠れ湯として。

江戸時代からは『目の温泉』として遠路より数多き人々が訪れる地。

 

白内障・眼底出血・ドライアイ・眼精疲労などなどに効能があるそう。

 

上信越高原国立公園に位置する貝掛温泉です。

 

見つけたからには、眼科医としては(?)行くしかない!?

 

新潟県の越後湯沢が最寄り駅です。

といっても、ここからが遠い。

バスは1~2時間に1本しかありません(しかも国道沿いにバス停)。

タクシーでぐんぐん山道を上り、国道を外れると、車一台やっとの道に入り温泉に着きます。

 

いかにも秘湯というたたずまい(日本秘湯を守る会)。

建物も古めかしく、しかし清掃が行き届いています。

 

 

お風呂場に行く長い廊下を歩いて行くと…

著名人の色紙。

ゲゲゲの鬼太郎がお風呂に浸かっているフィギュア。

お薬師様の祭壇。

そして、某老舗眼科病院の3代前院長寄贈の眼球断面図も。

シュレム氏管とかチン氏体とかの表記も。

眼球の構造や機能の詳細は、この30年くらいで大きく進歩し解明されてきました。

が、既に遥か昔(院長生まれていない時代)に、専門用語があったことを知ると、先達たちへの畏敬の念に打たれます。

 

気分が高まったところで?入湯です。

 

『正しい目の洗い方

1.手で湯をすくい、目を大きく開き、湯に浸します

2.少し慣れたところで、まぶたを閉じて開いて繰り返し、約1~2分がおススメ』

 

湯口から温泉が出ています。

そのお湯をすくって目を洗うと効能があるらしいのですが…

 

眼科医の院長、目は洗わず、静かに温泉を楽しみました。

他にも、神経痛・腰痛・冷え性・五十肩・病後回復に効能があるそうなので(院長該当しないが)、精神の安寧には効果がありました。

木々に囲まれた静寂な温泉に浸かって『幸せ~』

 

昔(院長生まれる前)は、抗生物質の点眼がなかったため、眼科医でさえ結膜炎の場合、ホウ酸水で目を洗うしか治療がありませんでした。

無色透明で無臭の貝掛の湯はメタホウ酸を多く含み、目薬の湯そのもの。

50年以上前でさえ、目を洗うことが治療とされていたなら、江戸時代はなお、目の温泉の効能は絶大だったと思われます。

 

湯上りに、売店を覗くと

『目薬はないの?』と別のお客さん。

『以前は売ってたんですけどね~今は取り扱ってないです』

院長も気になっていました。

明治時代には、販売許可を得て目薬を販売していたそうです。

ホウ酸で洗う(もしくは点す)ことが、唯一眼病治療だったことが偲ばれます。

 

現在では、多種の抗生物質点眼を処方することが出来ます。

点眼回数だけ守れば、洗眼しなくても治ります。

 

また、目を水(湯)で洗うことは、涙液層のバランスが崩れるので、良くないということもわかりました。

眼科医も、『プールの後は水道水でよく目を洗いましょう』から『人口涙液を数滴さす方がよい』『洗眼をまめにすることは良くない』などと言うようになりました。

涙の成分もわかってきたので、水ではなく、涙と同成分の人口涙液を勧めています。

 

目の温泉に入りながら、変わらないもの(温質)と変わるもの(眼病治癒)を考えます。

眼科医になってからのわずか30年余でも、眼科学は大いに進歩変化。

でもご利益を求め入湯する気持ちは変わりません。

感謝。

 

こちらもご覧ください

2022.10.25 目の日に目洗い

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2024.5.14  校医のトリセツ

今年も眼科学校医担当4校の学校検診が始まりました。

 

名古屋市では8年前から任意で色覚検査が復活しました。

院長が小学生の頃は全員が受けたはず。

色覚検査が任意になってから数年は、各学年で希望者がありましたが、最近はほとんど1年生です。

50代院長~40代スタッフ小学生時代は4年生で実施されたのですが。

 

早期発見早期治療の波…?

(ちなみに色覚異常においては、治療はありません。後天性を除き結果は一生変わりません)

 

学校検診では、石原表を使って検査をします。

本に書かれた数字を読んだり、輪の切れ目を探す検査です。

あるかないかを調べます。

 

ただし…

1年生のせいか、こちらの言うことが理解できないことがある(2桁の数字の場合1桁のみ言うなど)

数字をまだしっかり読めない子がいる。

などでエラーが出てしまう可能性もあります。

もちろん、はきはきと答える子も多くいます。

誤答であれば、眼科受診のお勧め用紙を渡すことになります。

 

眼科での再検査にて、色覚異常と診断された場合、

 

一般的に多いのは『先天赤緑色覚異常』です。

日本人男性の20人に1人、女性は500人に1人の割合です。

女性は、発症していなくても色覚異常の遺伝子を持っている保因者もいます。

割合で言うと、緑内障も40歳以上で約20人に1人なので、ありふれていると言えなくもないです。

 

このタイプの見え方の特徴としては…

例えば、赤と緑がどちらも茶色っぽい同系色に見えます。

 

治療法はありませんが、眼科医として、生活しやすさの助言をすることは出来ます。

色の区別がしにくい組み合わせを自覚すること(眼科で苦手な組み合わせの色パターンを確認)。

視覚だけでなく、他の感覚も使って確認すること。

職業制限(警察官、消防官、自衛官、パイロットなど、交通・運輸関係の列車・飛行機・船の操縦士など)はあること。

デザイナーや染色業など色の繊細さが必要とされる職業は難しいかもしれないこと。

などなど。

 

色覚異常とは、最近では色の特性(色の見え方の個性)とも言います。

そのため、自分の見え方の特性と必要な配慮・まだある制限を知っておけば大きな問題は生じないことを、当事者や保護者にお話しします。

 

担当学校は全てマンモス校。

校医としては、スムーズに検診を行いたいものです。

 

円滑な検診のためには、養護教諭の協力が必須。

そのために学校によっては『校医・公センセのトリセツ』があるらしい…

検診の仕方で気になることや改善点、学校保健委員会での提言などを受け止めての『公センセのトリセツ』(マル秘)。

 

名前を呼ばれたら返事をする(今どき返事をしない子もいます…)→検診する側からは相手を確認することは前提条件。

起立で臨む(ふにゃふにゃ立ちや、ポケットに手を突っ込んだままの子も)→眼位はまっすぐで見るのが前提。しっかり立たないと、目を触っているときに転倒の恐れもあります。

眼鏡は外す(このアナウンスを聞いていない)→瞼を下げて目の病気を見るので、スムーズな検診をするために必要。

などなど、公センセの要望が生徒全員に周知されるよう、学校全体で取り組んでくださっています。

 

養護の先生オリジナルの『公センセのトリセツ』のお陰で、円滑に検診が出来ます。

『トリセツ』の存在を知って尚、養護の先生に感謝です。

 

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2020.11.24 加齢と色覚

2019. 7.30 見えるのに見えない

2017. 5.30 2017学校検診

2016. 3.22 学校検診変更

2015. 7.21 色覚検査見直し

2012.11.27 色も変化する

カテゴリー:健康 眼に関すること

2024.4.2 転ばぬ先の…

コスパ・タイパの時代。

最近は医師でもコスパ・タイパを重視する時代だとか…

うん十年以上前に医学部を卒業した昭和生まれのオバサン医師としては、若い時からそんなんじゃダメだよ…と独り言。

もちろん働き方改革は率先されるべきですが、最初からコスパ・タイパで仕事を選ぶべきではないと思います。

研修医を含め若い頃の、苦労したこと・大変なこと・こんなこと関係ある?・こんなことする?などと思いながらした仕事・雑用全て、後々の人生・仕事に役立ちます(自覚なくとも)。

 

さて、本日は産業医の日。

専従産業医はともかく、嘱託産業医は副業です。

院長にとっては、眼科専門医(医学博士)でありクリニック院長が主軸。

その他の資格は、眼科専門医があってこその、さらなる興味と好奇心で取得した資格です。

産業医然り。

そのため、院長にとっての産業医活動(勤務以外に講習会など)は、眼科医(をベースに)以外の医師としての体験・勉強をさせてもらえる場です。

これも、ある程度(まだ途中です)眼科医を続けてきたからこその余裕かもしれませんが。

ということで、往復の時間も含めれば(半日)コスパは良くないのですが、電車も乗れるし、勉強にもなるしで結構この職場は気に入っています。

 

巡視をしながら、売り場の主力商品の陳列から季節の変化を感じます。

行楽用品目白押し。

お花見、お祝いその他のレジャーに合わせて商品がラインナップ。

すでに母の日の案内もあります。

小売業は先取りです。

 

バックヤードの白線ラインを越えての台車には、すぐに気づくようになりました。

一時置きにせず、必ず元の設置場所に戻すことを全員が周知しないといけません。

安全衛生委員会では、上る話題も、全員で共有することが大事です。

スーパーはパートさんがほとんどなので、もっと積極的な共有方法を考えないといけません。

 

本社からのニュースレターにも目を通します。

流通・小売業界での休業4日以上の死傷病の労災件数は年々増加傾向となっているとのこと。

特に店頭は多く作業行動による災害が半数とのこと。

 

該当店舗でも、お客さんが入店の際、後退りして譲ったスタッフが尻もちをつき臀部打撲の報告が。

 

本部からの毎月のニュースに『STOP転倒災害 歩行筋力・下肢筋力チェック』がありました。

反動をつけず大股で2歩歩き、開始地点から2歩目のつま先までの距離を測定。

身長と測定距離を換算して、転倒リスクを出します。

つまり、大きな歩幅(身長に対して)があるほど、筋力・関節の柔軟性・可動域が大きいので転倒しにくいということです。

『転ばぬ先の脚』

健康スポーツ医としての知識・トレーニー(筋トレ愛好者)としての体験を、産業医活動にも活かすチャンス!

足を鍛えるトレーニングのひとつに、大きく踏み出す練習→ランジ(大股でまっすぐ歩く)練習があります。

 

『センセイ、脚広げるのすごく痛いです~』

千里の道も一歩から。

院長も当初ランジから始め、今では左右各12キロダンベル持ちのブルガリアンスクワットがルーティンです。

『大丈夫、少しずつできるようになりますよ。まずはチェック!』

 

『先生に言われて、この2か月腹筋を毎日継続しました!』あるスタッフ。

『すごいです!花丸です!その調子!』

『褒めてもらえたから、また頑張ります』

 

スタッフみんなの健康を願う産業医です。

 

どんな事(仕事)も何かに繋がるはず。

意味がない事(仕事)はない。

昭和のオバサン医師から新社会人へのエールです。

 

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2021.9.28 契約更新

2022.3.22 春色の~

2023.5.23 労災発生

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

 

カテゴリー:健康 産業医

2024.3.12  ガクチカにも!?

今年もフロアーバレー大会がやってきました。

名古屋ウイメンズマラソンと同日。

会場の愛知県体育館への沿道は、応援の人で賑わっていました。

院長も、かつてその沿道を走った一人。

名古屋城から北に向かっては30キロ地点を通過するので、足が重くなりやすい。

緩やかな勾配なのにきつく感じます。

そんなランナーだった頃を思い出しつつ、体育館内へ。

 

第30回全日本選抜フロアバレーボール愛知大会 ANGEL CUP2024が正式名称。

大会目的:

・全国を代表する強豪チームと各地域を代表するチームが理想的な会場で集う

・真の王者を決定すると同時に視覚障害者の体力の向上と自立・高いQOLの実現を目指す

・各地域のレベルアップと交流

・審判員指導者の育成を図る

 

『なんかすごいですね~』

応援に来てくれた当院スタッフ。

 

フロアバレーは6人制バレーです。

前衛はアイシェード(目隠し)をして臨みます。

健常者も視覚障害者も同条件となります。

一般のバレーボールみたいに、前衛はネット際を守り攻めます。

見えないので、バラバラに動くことはなく、後衛の指示により動きます。

守りの時は、後衛からの声掛けの元、一斉に動きます。

 

後衛は、視覚障害等級の軽い人や晴眼者が担当します。

遠くからのボールのトスやアタック、前衛の動きへの指示など、的確な動きと指示が求められます。

 

当クラブではメンバー10名のうち、前衛担当5名・後衛担当5名です。

 

試合はほぼ(というのは院長も勉強不足で正確に理解していません)一般のバレーに準じていますが、ネットの下でボールのやり取りをします。。

ネットタッチとか、ボールダブルタッチとか、ボールに触っている時間とか、審判員はしっかり見ています。

院長はチームドクターの権限?で試合を間近で見ながら応援するのみです。

(応援に来てくれたスタッフたちは観客席で)

 

キャプテンAさんの力強いボールは健在。

マネージャーBさんがムードメーカーです。

健常者メンズも頑張っています。

昨年からスタメンに昇格した兄弟も、昨年よりずっと動きがよくなっています。

新メンバーのCさんが、50代とは思えないフットワークで動き、前衛の彼らに指示を出しています。

Cさんは名古屋に転居でチーム入り。

小学生の頃からフロアバレーに親しんでいたそうで、その道何十年のベテラン。

視覚障害は軽度ですが、バレーの動きに障害を感じさせません。

それでも病気や日常の不自由さについて話してくれました。

 

晴眼者以外は全員が何らかの目の病気を持っています。

病気の病態は、眼科医である院長はしっかり頭に入っているつもりです。

しかし、当事者の見え方(の変動)や感じ方(痛みなど)は、話を聞いてみて初めて知るところとなります。

病気が一種類だけでなく、複数の病気(角膜・網膜・視神経などなど)を合併している場合もあります。

当事者の話を聞くことが、眼科医として大変勉強になります。

 

試合は接戦でしたが、今回は良い結果とはなりませんでした。

それでもGOOD JOB! です。

 

来年に向かってもう練習計画が出ています。

 

晴眼者のメンバーには大学生もいます。

ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)になること請け合いです。

興味ある方歓迎です。

チームドクターより広報の院長です。

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2023.1.31 白い杖の来客

2023.2.14 とっさの一言

2023.3.7 残りを活かす

2023.5.16  チームドクターは広報でもある

2024.2.6  スポーツでいい感じ~

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2024.2.6  スポーツでいい感じ~

日本医師会認定健康スポーツ医の研修会。

『健康スポーツ医』は、日常診療や学校・産業医として運動指導・運動療法を行ったり、地域の健康増進活動に関わる医師のことです。

一方『スポーツドクター』は、アスリートを主に対象として、運動による外傷や障害の予防・治療を行います。

プロのチームドクターにもなります。

 

ちなみに院長は、『公認パラスポーツ医』の資格もあり、アマチュアのフロアーバレーのチームドクターになっています。

 

さて、院長が健康スポーツ医の資格を取るきっかけは、40歳半ばを過ぎフルマラソンを目指したこと。

まともなランニングの経験もないのに、電車の吊り広告が目に留まり決意。

自己流で走り始めたものの、何回も捻挫。

まずは、スポーツと身体についてもっと知らないといけない!

 

東京での一流の講師陣による講義は非常に刺激的・有意義でした。

テキストは今も見返すたびに復習になります。

 

さて、今回の講師は、新体操の指導者である某大学の先生。

女子高校生アスリートから一般女子に向けての栄養指導を中心に講義されました。

 

スポーツ活動において、達成感とは…

安全・健康・勝利・存在価値・所属意識・技術的向上が揃ってこそ!

 

この部分を聞いた時、最後のフルマラソンを思い出しました。

自己ベストの4時間10分台だったのですが、嬉しい反面、身体は限界に来ていました。

素人なのに、毎週徳重から名古屋駅まで走り、往診先からもランニング。

体重が減少していくのにハイになって、走ることばかり考えていました。

結果、タイムは出たものの、強度の貧血・血尿出現に『あなたは健康スポーツ医なの?』と問う始末。

素直に達成感が湧き上がって来なかったのは、安全・健康のピースが欠けていたせい。

サブ4を目指す余力もありませんでした。

 

思春期女子のアスリートは、とても過酷な世界にいます。

勝つことが目標であり、勝つまでの努力も相当ゆえ勝つ喜びも相当です。

 

そのため競技によっては、体重コントロールはある程度必要です。

競技をしていなくても、一般女性もいつも体重のことを考えています。

特に、思春期は痩せ志向が強い。

体重が少ない→痩せている→きれい!の図式が出来ています。

 

体重が少なくても、身体の中身(組成)はわかりません。

痩せていても体脂肪率が高い隠れ肥満や、筋骨量が少なく代謝が悪い身体のことも。

栄養不足による貧血や骨粗しょう症。

生理不順・月経障害や低体重児出産のリスクも。

 

『体重が増えることを恐れてはいけません(良い意味で)。

5大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)をしっかりとり、運動する。

おやつを食事代わりにしない。欠食もNGです』

 

院長は高校生の頃、菓子パンを毎日食べていたら大増量した過去を思い出しました。

重量の軽いものなら太らないだろう…なんて。

ホント、無知でした…

 

マラソンをやめて筋トレにシフトしたのも、すごく運動(ランニング)していたのに、体脂肪率は低いものの、筋肉量も少なかったから。

その頃より増量していますが、筋肉も増え『近ごろ私達はいい感じ~♪(PUFFY これが私の生きる道)と思わず口ずさんでしまうオバサン(院長)です。

続けないと減ってしまう貯筋に励んでいます。

 

眼科でも、思春期や生活習慣病の患者さんに、運動や食事などの話をする機会があります。

自身の恥ずかしい経験も踏まえて、『健康スポーツ医』としてアドバイスしていけたらと思います。

 

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2012.3.12 初フルマラソンン

2015.8.11 筋トレ

2016.4.5 腹筋女子

2018.7.17 ちょきん、ちょきん

2018.8.28 趣味に巻き込む

2018.9.4 秋を感じに

2018.9.18 膝を閉じてみる

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2020.10.27 しゃがんでいます

2022.8.23 跡がついてます

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2023.9.5 何しにカンボジア?  その3

*前々回・前回からの続きです*

 

おそらく、カンボジアではゼロ(正視)から遠視の人の割合が高いのだと思います。

近視は、近くにピントを合わせられるので、老眼になっても距離を合わせれば、自分の目で見ることは可能です。

遠視の場合、老眼が始まると自分の目で近くを見るのは困難になります。

日本人と比べて、あまり細かな書物を読んだり書いたりする文化はそれほど根付いてない(ように思える)ため、老眼に対しても積極的に眼鏡を使おうという意識(必要性)がないかもしれません。

 

10年ほど前の緑内障に関する沖縄久米島のスタディでは、遠視の割合は34%(近視は29.5%)と報告されています。

また、日本の都市部に比べ近視の割合がかなり低かったとも。

視力が良い人が多いと言うことです。

しかし、狭隅角の人が多く、閉塞隅角緑内障に多く罹患していることもわかりました(今、日本人に多いのは正常眼圧緑内障)。

それゆえ、急性緑内障発作も多くなります。

現在では、沖縄でも近視の人が多くなり、本州とあまり変わらなくなっています。

 

カンボジアに来て、そのスタディを思い出しました。

恐らく、カンボジアの人は狭隅角が多い。

強い紫外線を年中浴びて、若くして白内障になる人は多いはず。

急性緑内障発作もかなり発症していると思われます。

かなり激しい頭痛と眼痛が特徴ですが、医療制度の体制が不備な地では、なんとかでやり過ごして失明してしまう人もいるかも。

日本では、予防法・治療法は確立していますが。

ただし、カンボジアの平均寿命が69歳(健康寿命は58.1歳)と聞くと、不具合が生じる前に寿命が尽きてしまう可能性も。

それゆえ、日本で多い緑内障や加齢性黄斑変性症など加齢に伴う病気も多くないと思います。

 

翌日、今度はコンタクトレンズの購入について、別の眼鏡屋さんに行きます。

今すぐ用意できるメーカーは米国製の有名なブランド。

単焦点です。

ジッパーの袋に度数ごとに入っています。

トライアルレンズか?と聞くと、売り物とのこと。

ここでは1ペア〇ドルで購入できるとのこと。

ただし、すぐ入手できるレンズは中等度度数以下。

それ以上強い近視は、箱買い(日本では通常)のオーダーで2週間後受け取りとのこと。

ちなみに院長装用の遠近コンタクトレンズは、オーダー後2か月かかるとのこと。

発注はすべて外国に。

当然自国ブランドは無し。

時間もお金もかかります。

近視大国の日本、コンタクトレンズの需要が高いこともありますが、自国ブランドであれ海外ブランドであれ入手できる環境にあることは、恵まれています。

カンボジアでは、コンタクトの需要も低いのでしょう。

それにしても、眼鏡やコンタクトにも、こんなに国の差があることは驚きでした。

 

まだまだ発展途上のカンボジア。

若年人口が多いこの国はどう変化していくのでしょう?

 

カンボジアの歴史と医療・文化に少しだけ触れた旅。

短い旅でしたが、衝撃は大きかったです。

もしカンボジア人なら…『老後の始末を考えないといけない年齢』

そう思うと、身が引き締まります。

 

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何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.8.29   何しにカンボジア?  その2

農村部は、高床式住居です。

蒸し暑く雨期と乾季がある国。

高床式なのは、

1.暑さをしのぐため。

2.夜は放し飼いの番犬(鎖もなしでその辺を歩いている)、家畜、鶏などの寝場所に。

3.雨期の浸水を避けるため。

道路は舗装されてはいるものの、敷地内は土です。

道端では、自家製の農作物や串に刺した肉(カエルも蛇もある)や生肉・飲料などを売っています。

売り子はスマホを見たり、おしゃべりしたり、ハンモックで寝ていたり。

その周囲で、子供たちが遊んでいます。

自家製の店(というかパラソルやトタン屋根)の裏に高床式住居があり、その裏に畑があるのが一般的な農村です。

庭には、多くの種類の木々が茂っています。

『便秘の時は、青パパイヤを食べます』

『下痢の時は、グアバ茶を飲みます』

『体を温めるときはレモングラス茶を飲みます』

『手が臭い時は、レモングラスの葉を揉みます』等々。

農村部では、まずは伝統的な漢方薬や生薬が試されているようです(薬局に行く前に)。

おばあちゃんの知恵と言えば聞こえがいいですが、健康保険制度の未導入が大きいと思います。

 

アンコールワット遺跡群周囲を観光して思うのは、子供がとても多いということ。

バイク(125ccc以下は免許不要)の運転性の前に小さな子供、運転手のお父さんは片手で子供を抱きかかえています。

後ろには、お母さんと別の子供。

中学生くらいの3人乗りも普通に見かけました。

バイクの後ろに荷台を付けて、トゥクトゥク(タクシーみたいな乗り物)や貨車が走っています。

20~40代の若年層の人口が一番多い若い国。

『子供は病気になりやすいけど、どうするのですか?』

子どもは12歳まで医療費無料とのこと。

そのため一応安心して(医療レベルは日本より低い)、12歳までは子育てが出来ます。

一方日本でも、年々子供の医療費負担ゼロの年齢は上がり、18歳まで無料の自治体もあります。

カンボジアでは、12歳過ぎたら、健康は自己責任になります。

Tさんの『大変羨ましいです』が、身に沁みます。

 

アンコールワットの日の出を見た帰りの6時過ぎ、ある通りで多くの男性が立っていたり座っていたり。

『何かあるのですか?』

『あの建物は、公立のこども病院です。診てもらうために、みんな遠くから連れてきます。付き添いは、一人しか病院内に入れないので、他の家族は外で待っています』

よくある光景だそう。

お金持ちは、私立病院や海外の病院を受診するそうです(たとえこども病院が無料であっても)。

 

さて職業柄、眼鏡店は気になります。

カンボジアはクメール語と英語の表記です。

ドアを開けようとすると、表に座ってスマホをいじっていた20歳くらいの女の子が立ち上がって『Hello』

店員さんでした(地元のお店ははほぼ同様の接客)。

お客はひとりだけなので、もう一人の店員(同じくらいの子)、もう少し年上の店員、店長と思しき男性と4人が院長を取り巻きます。

フレームとレンズは別々の価格設定。

他国のフレームは安いのですが、日本製は高い。

レンズも然り。

どんなフレームが好みか?

ラウンド型は?スクエア型は?などなど、色々勧めてきます。

店長は、当店で屈折の検査をすることもできるし、眼鏡のパワーを測定することもできると。

はめてきた遠近両用眼鏡を測定してもらうことに。

渡されたデータは近視度のみ。

近視が強すぎてびっくりしているようでした。

老眼もあるので、近用度も入っていると言ったのですが…(会話は英語)

この眼鏡で近くも見えているならOKみたいな流れになってしまいました。

 

次回に続きます。

 

こちらもご覧ください

何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2023.8.22 何しにカンボジア? その1

比較的短期間で行ける東南アジア。

世界遺産・アンコールワット遺跡群を見尽くす!+α(個人的興味&好奇心)の旅。

 

アンコールワットは遺跡群の中でも、抜群に知名度が高くその美しさも有名です。

しかし、それ以外にもアンコールトムやまだ修復中の遺跡(寺院)がたくさんあります。

 

ガイドは現地のTさん。

日本語がペラペラです。

聞けば、20年前に仕事先の日本人から日本語を習い、その後私塾で勉強を続けているそう。

日本渡航歴はなし、憧れの日本にいつか…と貯金に励んでいるとのこと。

 

アンコール遺跡の歴史。

仏教寺院、ヒンドゥー寺院、両方が融合した寺院。

建物・壁画・像の説明。

メモ魔の院長に、復習の意味でTさんが質問(説明の確認)。

書くけどすぐ忘れている院長(記憶力低下甚だしい)。

しかし、3日間いくつもの遺跡群を訪ねて話を聞くと、古代9-12世紀のクメール王朝時代の偉大さが偲ばれてきます。

寺院の壁画は、天国から地獄の様子まで、中には恐竜の絵(この時代に何故?は謎)もあり、書物のない時代、壁画が図書館の書物の役割を果たしたのだとか。

カンボジアが、宗教戦争、民族戦争、内戦など戦争ばかりの歴史の国であることも、石像や宝物の損傷・紛失が物語っています(Tさん説明あってこそ)。

1日当たり約2万歩、アップダウンも激しく、院長より年上と思われる人は見かけません。

遺跡群を堪能するなら、体力は絶対!

普段の筋トレの成果が発揮できました。

アンコールワットの朝日鑑賞(5時から開園)や、空港では、老若男女・世界中の人がいたので、見るだけの人が圧倒的に多いのかもしれません。

 

Tさんは

『農村部と農村地の違いは何ですか?』

『崩壊と破壊の違いは何ですか?』

『連日を言い換えるとどういう言い方がありますか?』

などなど、ガイドの時に疑問に思った日本語のことを尋ねられるので、私もネイティブとして回答します。

『とても勉強になります、知識増えました』

車で移動中も『何でも聞いてください。答えられることなら何でも答えます』とTさん。

日本語で質問を受けるのも好きそうなので、院長も質問攻めです。

遺跡については勉強不足で、深い質問は出来ません。

しかし医療や文化には興味があるので、あくまでも一日本人の観光客Ms.HASEGAWAとして色々尋ねてみました。

 

Tさんは、医療については専門外なので、あまり詳しくありません。

また前提として、滅多に病院にかからないから。

と言うより、かかれないから。

この国は、公的医療保険制度はないとのこと。

公務員は何か優遇があるらしいし、民間の医療保険に入る裕福な人もいるそうです。

ガイド(国の認定要)は自営業。

Tさんも保険未加入、受診すれは100%自費です。

そのためか、町のあちらこちらに薬局を見かけます。

何か症状が出たら、薬局で薬を購入。

数日~数週間様子を見ても改善しなければ、病院へ行く構図。

医師の数も少なく、医療レベルもあまり高くないので、富裕層は私立病院や外国に行ってしまうそうです。

日本の皆健康保険制度、フリーアクセスで負担も0~3割。

僻地医療の課題はあるものの、概ね医師全体数は多く、医療レベルも世界水準の日本。

Tさん『日本の国、大変羨ましいです』

 

次回に続きます…

こちらもご覧ください

何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

猛暑の中、産業医の出勤日です。

さすがの暑さに、本日はシャツとパンツ・スニーカー。

 

スーパーの店内に入ると、すっーと汗が引きます。

そのまま店内を進み、スライドドアの前で店内に向かってお辞儀、バックヤードに入ります。

スーパーやデパートの店員さんが、バックヤードの入退の際にお辞儀をしているのを見たことはあるけれど、当然したことはなかった院長。

産業医になって、スーパーに出入りするようになり、入退時のお辞儀にも慣れてきました。

 

事務所に入ると、院長より若いと思われるスタッフAさんが『センセイ、細い~』

Aさんよりは細いのは事実ですが、か細くはありません。

華奢だったのは遠い昔で、今は筋肉質になっています。

『センセイに言われて、お昼菓子パン買うのやめたけど、なかなか体重減らないわ~』

 

年に一回、スタッフの健康診断結果を見て、就労可能かどうかを判定します。

産業医着任初年度は、張り切って、肥満が要因でいくらか健診結果に異常が出ている人たちにお話をしました。

『体重あと○○キロ落としたら、血糖値下がるはず』

『毎日30分歩いたら、体重も血圧も下がりますよ』

『お昼ご飯を総菜コーナーで買う時は、炭水化物中心ではなく、たんぱく質意識して』などなど。

Aさんも指導対象だったのです。

お昼ごはんに菓子パンをやめただけエライ!

 

『運動もしたほうがいいですよ~』

『はい、週に何回かは歩くようにしてます』

『その調子!あとは筋トレとか…家の中でもスクワットとか…』

早速ブルガリアンスクワットを事務所の椅子に片足載せて披露します(本日パンツなので)。

『え~そんなの無理!足が開かない!』

『その場合は、足を前後に開け(自分の出来る範囲で)体を上下させることから始めてみて~』

オバサン院長ですが、いつもは左右12キロずつのダンベル持ってのスクワットです。

『センセイ、若~い!』(お世辞でも嬉しい~)

 

 

さて、いつものように安全衛生委員会。

他店の労災。

50代女性:お客さんに呼ばれてレジに戻る際に、床につまづき転倒、膝の骨折。

作業場・店内・構内では走らない、慌てないと再通達。

お客さんに何か言われたら焦って…と行動した結果の骨折ではやりきれません。

他に推測の域を出ないのですが…とコメント。

もしかしたら、つま先を挙げる筋肉・前脛骨筋(ぜんけいこうつきん)や足裏の筋肉・足底筋群(そくていきんぐん)の筋力低下もあるかも。

つまずかない・つまずきそうになっても耐えられる足の筋力は重要です。

足の筋トレもしましょう。

 

いつものように巡視を。

霜取りとかアブソーブドソックスとか、冷凍ケースからの漏水が度々問題になっていたのですが、遂に冷凍ケースが刷新されました。

縦型でそれぞれスライドドアがついています。

旧冷凍庫よりも商品の種類も多く陳列可とのこと。

野菜・パスタ・冷凍麵・夕食・簡単調理・アジアン・スナックなど、扉の前に表示されており、探しやすく新商品を見つけるのも楽しそう。

売り上げは、同年比較で最大1.7倍、ほぼ1.2倍とアップしたそうです。

冷凍庫が縦長タイプになっただけで!?

見やすさ、新しさ、実際の商品の多さで、院長も全部チェックしてみたい…と思うほどです。

水漏れによる転倒のリスクもなくなり、これに関しては労災発生ゼロになるはず。

 

巡視終了、本日の業務も終了。

お楽しみの?新冷凍庫の新商品を探して帰ります。

 

*8月15日の公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

 

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