2026.10.27 見えない知らない人と話す

某新聞に外国人がどのように日本語を学んだかという記事がありました。

 

スーダン出身1978年生まれの研究者。

新聞によると、12歳で視力を失い、19歳で来日。

盲学校で鍼灸を学んだあと、東京外語大に進学、研究者に。

今はS製薬に在籍。

 

特記すべきは、その人が視覚障害者だったこと。

そしてS製薬は、眼科と親しい会社。

 

読み進めていくうちにモハメド・アブディンさんに会ってみたい!話したい!という思いがふつふつと。

いつもの好奇心。

S製薬にその旨を連絡してみました。

早速WEBで対談出来ることに。

 

WEBの向こうは、新聞に載っていた通りの優しい顔。

流ちょうな日本語で『初めまして、お会い出来て光栄です』

『アブディン モハメドさん、初めまして。何とお呼びしたらよいでしょう?苗字のモハメドさんでよろしいでしょうか?』

『苗字はないんです。アブディンが名前で、モハメドはお祖父さんの名前です』

初っ端から豆知識、なるほど。

 

院長のインタビュー形式で話が始まりました。

ちなみにスーダンはエジプトの下。

日本では、内戦くらいしか聞きませんが、一応下調べを。

 

元々夜良く見えず、視野も狭かったそう。

小学校時代も、黒板は眼鏡をかけても見えなかった。

両親がお金を貯めて当時有名なバロセロナ(スペイン)の病院を受診したが、12歳には見えなくなった。

聞いて覚える学習方法、試験は口頭で大学に入学。法学を専攻。

19歳時、国際視覚援護協会により鍼灸師を目指して来日。

初めて点字を知ったそう。

(実際にはアラビア語の点字・英語点字もあり、日本語点字と大きく変わらないらしい)

その後、東京外語大で国際関係を学び博士号を取得。

今はS製薬に在籍(S製薬は創薬製薬だけでなく、ビジョンケア全般に大きく関わっていました)。

 

才能もあり努力もあり、本当に素晴らしい人です。

 

外国語とりわけ日本語学習においては、まずは必要に迫られその環境にどっぷりつかること。

分からなければ周りに聞く。周辺の言葉もついでに覚える。

点字の本やオーディオ、ラジオなどから聞いて覚える。

ここでネットよりラジオがいいのは、自分の選んだ情報だけに偏らず語彙も世界も広がる。

(これは、新聞にも当てはまることと院長も同意)

漢字の勉強も、ある音にはどんな意味があるか、音読み訓読みを覚えた。

だから長谷川先生は、『長い谷の三本川の川ですね』と言えたりする(びっくり!)

 

中国語の上達はなかなかだし…

英語もパッとしないな…何て言っている場合ではありません。

 

3年前からスーダンは激しい内戦に陥り、1200万人の難民・国内避難民が流出している状況だそうです。

アブディンさんは、スーダンの視覚障碍者の教育をライフワークにされています。

日本と比較すれば、かなり医療事情も良くありません。

日本のようにいつでもどこでも誰でも医療にアクセス出来るのは夢のようで、最低限の医療サービスの実現が望まれています。

 

パソコン音声で院長のHP/ブログの感想も送ってくださったアブディンさん。

 

非常に有意義な対談でした。

そしてスーダンは大いに関心を持つ国のひとつとなりました。

世界は広い。

知らないことをまた一つ知った。

アブディンさんとの出会いに感謝です。

 

S製薬より:ちなみにアブディンさんにアクセスした眼科医は初めてとのこと。

スーダンはエジプトの下(南)に位置します。

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*11月3日公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 健康 眼に関すること

2026.10.20 目の中に飼ってみる

『黒いものが飛ぶんです』

『蚊やゴミみたいなものが見えるんです』

『ミジンコみたいなのが見えるんです』

『墨を流したように見えるんです』

などなど。

 

『黒いものが飛ぶ』ことを総称して『飛蚊症(ひぶんしょう)』と言います。

蚊が飛んで見えると言う意味ですが、他のもの(上記)が見えることも多々あります。

数も1個から数個、かなり多数まで色々。

目を動かすと一緒についてくることも多いです。

 

飛蚊症は硝子体(しょうしたい)の濁りで起こります。

硝子体は目の中身を占めている透明でゼリーのようなものです。

多くは加齢により、一部が濁り、その影が目の奥(網膜)に写ることで飛蚊症を感じます。

加齢だけの場合は、目の中の濁りを取り除く必要もないのでそのまま経過を見ます。

 

注意しなければいけないのは、

網膜剥離・裂孔

ブドウ膜炎

硝子体出血など。

 

『放って置いていいですか?』

眼科医が単なる飛蚊症と診断したならば、経過観察で良いです。

自己判断は禁物。

 

その後

黒い点の数や範囲が急に増えた

暗い場所で突然稲妻のような光が見えた

急に視力が低下した

視野の一部が欠けた

などの症状が出たら、速やかに眼科へ。

単なる飛蚊症か治療しなければいけない病気かを見てもらってください。

 

『治らないですか?』

『治らないです。ただし、目の前に濁りがなければ気にならないこともあります』

『え~そんな~』

『上手く付き合って下さいね』

 

先日、心配のない飛蚊症を診断したAさんが来院。

『その後飛蚊症いかがですか?』

『私、濁りにスペクター君って名前付けたんです。ペットみたいに。あらら、またスペクター君出てきたよ、なんて…』

目からウロコ。

そんな楽しみ方があったのか!

 

以来、精密検査をして問題のない飛蚊症の患者さんには、ペットを飼うように勧めています。

 

そしたら…

先日の新聞の益田ミリさんのエッセイに飛蚊症のエッセイが。

新しいペット・突然の出会い・眼科に行って飛蚊症と言われサマーと名付けたという話。

’サマーは飽きることなくわたしに甘えてくる。

鳴きもせず静かだが、仕事中もまとわりつかれ、少しうっとおしく感じることもある。

わたしのサマーは今日も元気いっぱいで飛んでいる。

いつも一緒だ。

目を閉じても動いている(院長注:これは脳で感じているだけだと思いますが)。

サマーよ、これから一緒に美しいものを見て生きていこうな。’(抜粋)

 

院長も近視が強く飛蚊症を自覚しています。

眼科医ゆえ目の構造を知り過ぎているので、さすがに自分の硝子体の濁りに名前は付けませんが、捉え方次第で煩わしいモノから愛しいモノに変わります。

 

現実は変えられないけれど、捉え方は変えられる。

患者さんの性格も性質も色々ですが、少しでも前向きな気持ちで帰っていただけたらと、日々診療しています。

飛蚊症を自覚しやすい青空

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カテゴリー:クリニックに関すること 健康 眼に関すること

2026.9.15 健康診断のその後

クリニックは、自分に何か自覚症状があって来院される患者さんがほとんど。

当然と言えば当然ですが。

しかし、なかには自覚症状がないのに来院される患者さんも。

健康診断の結果を持って。

 

健康診断の項目にもよりますが、最近は眼底検査も含まれている健康診断(又は人間ドック)が多くなっています。

瞳孔(黒目)の奥にある網膜(眼底)をカメラで撮影し、眼底の血管・網膜・視神経などを調べる検査です。

まずチェックされる項目としては

1.高血圧や動脈硬化の程度

目の血管のみが唯一そのまま見ることが出来る血管です(他のは皮膚の下や臓器の下にあるので)。

だから血管を直に見て判定できます。

2.視神経

乳頭陥凹拡大はよく指摘される表記の仕方です。

検診結果としては、緑内障疑いとほぼ同義です。

乳頭陥凹拡大も緑内障疑いも精密検査をしなければ、緑内障と診断されたわけではありません。(だから精密検査が重要)

眼底写真で指摘されなくても、眼圧が高いと緑内障疑いで要精査と出ます。

3.網膜

出血・白斑は高血圧や糖尿病によって起こった可能性があります。

他に動脈や静脈の閉塞の可能性もあります。

ドルーゼンは、加齢変化が多いですが、黄斑(物を見る中心)の変化を伴っていると黄斑変性の可能性があります。

黄斑変性は加齢による加齢黄斑変性が多く、ゆがみや視力低下・稀に失明の恐れもあり、指摘されれば早めの受診を勧めます。

黄斑異常の中に、網膜前膜(もうまくぜんまく)もあります。

これもゆがみや軽度視力低下を起こすことがあります。

 

自覚症状がないから放置、はとてもリスキーです。

治らない病気(緑内障や黄斑の病気)と診断されたとしても、正しい治療を継続すれば、悪いようにはなりません。

 

網膜の病気で最近増えているのは、網膜前膜です。

目の奥の中心の黄斑(おうはん)の上に、セロハンのような薄い膜が出来る病気です。

原因は不明ですが、50歳以上が主です。

物が歪んで見えたり(エクセルの罫線が片目で見ると歪む)、視力がやや落ちたりします。

自覚症状がない人の方が多いので、健康診断で見つかる(指摘)こともよくあります。

精密検査の結果、視力低下や歪み、膜の引っ張り具合がひどくなければ経過観察です。

ひどい場合は、手術で膜を取る手術をします。

 

また、眼底出血から糖尿病が見つかる場合もあります。

糖尿病の合併症のひとつに網膜症があります。

高血糖が長く続くことで、網膜の細い血管が傷み、詰まり、出血したり白斑が出来ます。

自覚症状はない事がほとんどです。

さらに進行すると、脆弱な新生血管が出来て、大きな出血や網膜剥離を起こします。

黄斑にむくみを生じ、視力が低下することもあります。

続発性の緑内障を合併することもあります。

糖尿病は白内障の進行も早めるので、若くても白内障になる人もあります。

 

眼科での精密検査を通して、現状・今後の展望を説明します。

院長の願いは、患者さんと一緒により良い見え方を維持したい、ということ。

目の奥の病気は、程度の多少はあれ、一生お付き合いの病気が多いです。

不謹慎かもしれませんが、ずっとお付き合いしたい眼科医になれるよう、知識・技術共に日々ブラッシュアップを目指す院長です。

 

健康診断の結果を放置しないでください。

精密検査で異常なしならラッキー!確実に安心できます(安心させます)。

もし異常があっても早く見つかったならラッキー!対策を立てられます(立てます)。

 

解体新書から

 

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→2022.2.15 ドーナツと緑内障

 

9月22日、29日公センセの部屋はお休みです。

 

カテゴリー:目の神様 健康 眼に関すること

2026.9.8 目元ケアしてる?

若い時(今はオバサンなので)は、ナチュラル(自然体)がいいと思っていた院長。

数年前、今は亡き内館牧子さんの小説(愛読)の中で、76歳の主人公がつぶやきます。

『ナチュラル(あるがまま)は、偽装することを面倒くさがるだけの無精者だ』

『真の姿がバアサンであっても、若くきれいに装い続ければ、その人はきれいで若い人ということ』

以来、まだバアサンではないもののオバサンである院長も身だしなみを整えるよう努力しています。

ナチュラル(あるがまま)は、家の中のみ。

それ以外は偽装(ではなく、それなりにきちんと整える)。

 

お化粧の仕方も、きちんと習いに行ったり、コスメのスタッフに選んでもらったり。

年を重ねた分、仕事や家事子育てに余裕が出来たのもあるかもしれません。

若い頃、全然イケてなかったのは少々悔やまれますが、きれいになりたい欲求も余裕もなかったのが事実。

 

さて、目元は専用のクレンジングで落としていますが、お化粧をしない人でも目元のクレンジング・お手入れは重要です。

眼科医からの目元のお手入れの提案です。

目元やまつ毛は、ほこりや花粉が付いたり、メイクや皮脂汚れがたまりやすい場所です。

今、眼科的に、まつ毛の根元の汚れをしっかり落とす『リッドハイパージーン』が推奨されています。

アイシャンプーとしてお勧めしています。

 

1.ドライアイ・マイボーム腺機能不全対策

まつ毛の根元の内側に、白もしくは黄色いつぶつぶが出来ている人がいます。

つぶつぶはマイボーム腺(脂腺)の出口を塞いでいます。

涙は涙腺(るいせん)から出た水成分とマイボーム腺から出た油成分が混ざって角膜を覆っています。

マイボーム腺が詰まっていると、脂が出ないので涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを悪化させます。

目元をきれいに洗い、温めることで改善します。

2.ものもらい、めんぼ対策

いわゆるめんぼ(眼科的には霰粒腫さんりゅうしゅ)は、マイボーム腺の出口が詰まってしこりが出来ます。また、ものもらい(麦粒腫ばくりゅうしゅ)は、マイボーム腺や汗腺に細菌感染、炎症が起こります。

日頃からまつ毛の根元をしっかり洗うことで、マイボーム腺の出口の汚れを取り除く効果があります。

3.まつ毛ダニ(デモデックス)対策

まつ毛ダニは、まつ毛の毛根に寄生して毛根の脂を餌にしています。

眼がごろごろする・目やにが出る・瞼が腫れる・まつ毛が抜けるなどの症状が出ます。

寄生・増殖を防ぐためにも目元の洗浄は効果があります。

4.花粉症対策

花粉は目の中の結膜(白目)角膜(茶目)に直接飛入しますが、まつ毛や目の周りの皮膚にも大量に付着します。

アレルギー性結膜炎の点眼薬は処方しますが、目の周りのケアも重要です。

特に、見落としがちなまつ毛や目元をしっかり洗うことで、より良い効果があります。

 

眼科学には色々な分野があって、マイボーム腺疾患に特化した研究会もあります。

その研究会監修のアイシャンプーは、院長も愛用中。

 

泡タイプで少量でしっかり洗えます。

Tea Treeオイルとライムエキスも配合されており、低刺激で爽やかです。

 

目元のお化粧もそれなりに気遣っている院長(誰も気づかないが)。

朝はナチュラルから公センセになる儀式として、夜は公センセからナチュラルに戻る儀式として、アイシャンプーを使う院長です。

目元トラブルは皆無、瞼の縁はきれいな院長です。

 

気になる方は、院長が1プッシュしますので試してみてください。


エジプト:パピルスに描かれたホルスの目

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2026.9.1 AIからの紹介

久しぶりの休日救急診療所への出務。

名古屋市の場合、内科一般の休日診療所は各区にあります。

眼科は専門科なので、中区の休日診療所でのみ。

今回は夜間(18時から21時が診療時間)。

 

院長は、休日診療所への出務もいつもと違う環境なので少しわくわく(イレギュラーを楽しむ)。

今回はどんな患者さんが来るのかな~

 

洗剤が目には入ったかも?!の幼児。

聞くと、入ったかどうかは定かではないが、流水で洗ったとのこと。

正解です!

何かが目に入ったらまず流水で洗うのは基本です。

診察をしてみれば幸い異常なし。

子供の場合、機嫌がどうか?ずっと(一時的でなく)痛がっているかもポイントです。

 

普段と違って静かな診察室。

休日診療所は、救急患者さんのためにあり、通常の眼科にある視野や画像機器はありません。

 

『目が痛いんです、緑内障だと思います』

 

Aさんは、前日から片目の奥が痛くなった。

気持ち悪くなったが吐かなかった。

痛み止めを飲んで横になったら楽になったが、本日、また片目の奥が痛くなって気分も悪い。

頭痛もしてきた。

AIに尋ねたら、緑内障だから眼科受診をと。

 

Bさんは皮膚科で処方された薬を飲んだら、片目が痛くなった。

視力も落ちた気がする(検査の結果問題なし)。

片頭痛のような痛みがある(片頭痛と診断されたことはない)

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

Cさんは、昨日片眼がかすんだような気がした。

様子を見ていたが、またかすんだ気がした。

時々眼科に行っているが、こんなことは初めて。

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

おそらくAIが念頭に置いたのは、急性緑内障発作。

閉塞隅角緑内障の人に起こりやすく、房水(ぼうすい)の出口の隅角が塞がることで、水の房水の流れが悪くなり眼圧が急に上昇します。

かなり眼圧が上昇(基準値10~20mmHgに対し40mmHg以上もざら)するのに伴い、眼痛(激痛)や目のかすみ、頭痛やはきけ、嘔吐が生じます。

ひどい頭痛のため、まずは脳外科を受診されることも少なくありません。

また、ひどい充血や瞳孔が中等度に開いた所見も見られます(特徴的)。

 

治療は、まず点眼や点滴で眼圧を少し下げた後に、レーザー治療や白内障手術(隅角を開きやすくする)を行います。

 

隅角が狭い人で中高年女性がハイリスクです。

 

さて、Aさん、視力も眼圧も全く以上ありません。

視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)を認めたので、緑内障発作ではないが、緑内障の検査(緊急性なし)を勧めました。

 

Bさんには、緑内障発作ではないことをお伝え(他異常なし)。

皮膚科の薬を飲んで起こった症状については、処方した医師に尋ねるように。

片頭痛も診断基準がある(自己診断で片頭痛ありと言う人が多い)ので、心配なら脳神経内科もしくは神経内科を受診するように。

 

Cさんも、緑内障発作でないことをお伝え。

少なくとも、眼科を受診していれば、眼科医には緑内障発作誘発されやすい患者かどうかはわかります。

心配なら、隅角を診てもらうといいでしょう。

 

症状を入力すれば、AIは受診を勧めるとは思いますが、まさかAIから3例も緑内障疑いで送られてくるとは?!

 

人はそれぞれ違う、同じ症状であっても。

だから、医師は診察も治療も目の前の患者さんに応じて。

AIから見れば、みんな同じ人、同じ症状、同じ治療。

 

『普段からかかりつけの生身の医師にもっと相談して~』と思った院長でした。

公センセも責任をもって質問にお答えします、ご相談を。

空港の救急診療所

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2026.8.25 シニアの労災対策

『次回の予約〇月〇日でよろしいでしょうか?』

『ちょっと待って、予定見てみます』

スマホを取り出す人、手帳を取り出す人。

もうとっくにリタイア年代の患者さんたちも『仕事しているから~』

『え~?!』

開業医の仕事は定年がありませんが、勤務医の知人や他職種の友人知人たちは、そろそろリタイア・その後を考え始めている年代の院長。

80代でもまだ仕事をしている患者さんも。

 

産業医をしているスーパーでも高齢の従業員が多くなっています。

健康診断のチェックをしていても、高齢者が多いと高血圧や糖尿病を疑う数値だったり、既に何か病気を持っている人が多いです。

弊社人事部からの労働災害ニュースにも必ず目を通す院長。

例えば7月号

前月の労災発生件数。休業4日以上件数。転倒災害件数の表記。

転倒災害に注意!の特集。

労働災害の中で、転倒による怪我が一番多い。

仕事中に転倒したことで、4日以上を仕事を休む人は年間3万近くいる(全国の労災人数)。

4日以上仕事を休んだ人の6割が1か月以上の休業となり、休業期間が長期化しやすい。

院長担当の職場では、労働災害0継続で何よりなのですが、全社挙げると必ず労働災害は発生しています。

 

巡視しながら、通路に物が置かれていないか?

床の水や油汚れ(総菜部門)がないか?

床に敷くすべり止めは劣化していないか?などを確認。

 

転倒災害の主な原因は3つ。

滑り(床面が滑りやすい、水油ゴミなどの飛散散乱)

つまずき(床の凹凸段差、商品の放置)

踏み外し(大きな荷物を抱え、足元が見えない)

 

会社としても

作業場所の整理整頓

転倒しにくい作業方法(時間に余裕を持って行動も)

移動や作業に適した靴の着用

転倒危険場所などのマップ表示

毎日の運動

を提示しています。

 

産業医の立場だけでなく、スポーツ医の立場からも毎日の運動を推奨するのには納得。

高齢になると筋肉減少により転倒しやすくなります。

転倒予防には特に下半身や体感の筋力強化の運動が重要です。

下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)→歩行時の推進力・バランス維持

大腿四頭筋(太もも前の筋肉)→立ち上がりや歩行時の安定性

大殿筋(お尻の筋肉)→体を前に進める力をサポ^と、姿勢保持

中殿筋(お尻横の筋肉)→片足立ちのバランス維持

前脛骨筋(すねの筋肉)→つま先を持ち上げる、つまづき防止

ハムストリングス(太もも後ろの筋肉)→膝の曲げ伸ばし、歩行時の安定性

 

院長も『一生自分で歩く』を目標に上記下半身強化の筋トレを12年継続しています。

自分のメニューはかなり本格的(筋トレマニア)ですが、体力のない方や高齢者のためのプログラムもあります。

きちんと継続すれば確実に効果が出ます。

 

 

今年4月には、改正労働安全衛生法施行で、シニアの労災を防ぐ取り組みが事業者の努力義務になりました。

少子高齢化もあり、働くシニアは年々増加していますが、その分転倒などによる60歳以上の労災件数は年々増加しています。

シニアの安全や体力に配慮した職場作りとい新しい課題が生まれています。

 

産業医として職場の安全を考えることはもちろん。

従業員に、働き続けるためには健康・体力維持が必須で、そのためには自ら行動を起こす(運動する)習慣をつけましょうと理解してもらうのも仕事のひとつかと思っています。

職場(スーパー)内にジムがあったら、院長、フィットネスウエアで指導出来るのに…(そんな産業医いません)

 

『増やせ!貯筋』と筋トレに励む院長。

転ばぬ先の筋トレ。

段差に注意!

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カテゴリー:健康 産業医

2026.8.4  まぶた下がっていない?

『先生、なんか昔より目が小さくなってきた気がするんだけど~』

診察室でよく聞くこのセリフ。

年齢とともに増えてくる相談です。

 

『そうですね~眼瞼下垂(がんけんかすい)ですね~』

眼瞼下垂:上まぶたが下がってきて、目が開きにくくなる状態のことです。

多くは加齢によるもので、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜がゆるんでくるのが原因。

まぶたも加齢とともに、重力に抵抗しきれなくなります。

症状としては

『まぶたが重い』

『まぶたを指で持ち上げると視界がスッキリする』

『目が小さくなった気がする』 などなど。

 

眼瞼下垂の程度が大きく、手術適応(保険適応)がある場合は手術をお勧めします。

ただ、そこまでの程度でない方には、『誰でも年を取ります。若い頃より多少ともまぶたが下がっているのは仕方ないことです。単に加齢なんだから(良く医師が使うフレーズ)大丈夫です…」と。

『加齢なんだから仕方がない』というはセリフは、『ショック!』とか『がっかり!』と反応される方も多いですが、『加齢以外の原因は無い(重大ではない)=安心して~?!』という意味でもあります。

『若い頃は、パッチリしていたんだよ!美人だったのよ!』

『そうでしょうとも!』と合いの手。

 

加齢以外にも原因があります。

特に ハードコンタクトレンズ(HCL)長期装用者。

レンズを外すときに、上まぶたを横にピッと引っ張る癖があると、まぶたの筋肉(腱)に負担がかかり、眼瞼下垂を招くことがあります。

HCL長期ユーザーの患者さんは、自分で又は人に言われて眼瞼下垂を気にされている人が少なくありません。

当院ではレンズを外す時に、上下のまぶたを介し眼球を少し押さえて、HCLを浮かせ外す方法を指導します。

またスポイト使用もお勧めです。

しかし、従来の方法から、推奨の方法に変更できる人は、実は少ないです。

まぶたを横に引っ張り素早く外すことに慣れていると、新しい方法は面倒だから。

最近は、強度近視でも対応するソフトコンタクトレンズ(SCL)があれば、HCLからSCLに変更することもあります。

ただし、眼瞼下垂はそのままです。

 

 

そんな中、新しい選択肢が登場しました。

後天性眼瞼下垂の点眼治療薬(商品名:アプニーク)です。

まぶたを持ち上げる筋肉には「メインの眼瞼挙筋」と「サブのミューラー筋」があり、この新薬はサブのミューラー筋を働かせて、メインの衰えをサポートする仕組みです。

(ちなみに緑内障の眼圧を下げるための排出路も主と副があり、緑内障点眼薬もどの経路に働くかで違いがあります)

この点眼薬は自費診療となります。

 

先天性(生まれつき)の眼瞼下垂には効きません。

また後天性眼瞼下垂と言っても、脳卒中・重症筋無力症・ホルネル症候群など、他の要因で起こる眼瞼下垂には効きません。

点眼薬に効果がある眼瞼下垂かどうかを見極められるのは眼科医ならでは。

『なんか目が小さくなった気がするんだけど~』 という相談には、共感しつつ、しっかり診察して診断をしています。

 

当院の、加齢による眼瞼下垂の患者さん、点眼後。

『すごく明るくなった、はっきり見える!』と大満足。(写真参照)

手で瞼を挙げると良く見えると言っていた男性患者さんも

『こりゃ、何もしなくても(瞼を挙げなくても)良く見える!』と大満足。

また、HCL長年使用の患者さんは

『明るいし、目元ぱっちりしたわ~私って、目大きかったのね』と。

 

眼瞼下垂はない(眼科学的に)院長も、モニターとしてトライ。

『漫画の女の子の目みたいにキラキラですよ!』

『えっ⁉そんなに⁉』

眼科医(院長)が鏡を見るとほぼ変わらず。(スタッフお世辞ありがとう~)

 

眼瞼下垂の方に朗報です。

気になる方はご相談を。

 

 

眼瞼挙上の点眼効果の画像

 

*8月11日、18日公センセの部屋はお休みです。

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2026.7.28 夏と目と紫外線    

酷暑の毎日。

屋外は、風でさえ生暖かいどころか熱風に感じるほど。

強い日射しが気になります。

往診で外に出ても、人を見かけません。

日焼けとは、一般的には肌の日焼けが知られており、紫外線を浴びることによって皮膚が赤く炎症を起こしたり、メラニンが皮膚表面に色素沈着を起こしたりします。

帽子・日よけの服・日傘は当たり前になってきました。

時には男性でも、小学生でも日傘をさしているのを見かけます。

登下校の日傘の使用や高校野球大会でのサングラス使用を認めている高校もあります。

 

紫外線は、目にも大きな影響を与えます。

例えば、目の充血・目のゴロゴロする感じ・涙が出る。

ひどくなると目に強い痛みを感じる場合があります。

特に紫外線の反射が強いスキー場や海水浴場などで、長時間、紫外線に直接さらされると角膜が傷つきます。

このような目の症状を「雪目(ゆきめ)」と言います(冬の雪山のイメージ)。

 

患者さんから相談されることが多いのは瞼裂斑(けんれつはん)。

茶目(角膜)の3時9時方向の白目(結膜)部分が黄色くなったり、黄色味を帯びて盛り上がったりする状態を言います。

通常治療する必要はありませんが、「目のシミ」とも言えるので、女性だと『ショック~』と言われる方も。

炎症を起こしている場合は、治療をします。

紫外線曝露量が大きく関係しています。

 

白内障も紫外線の影響を受けます。

最近では、高温も関係しており、サウナ・熱中症経験患者で白内障進行が起こり易いことも報告されています。

 

通常の生活で、紫外線を浴びたからと言って、すぐにひどいダメージを受けるわけではありません。

目を閉じて目を休める。

コンタクトレンズは外す、眼鏡にする。

人口涙液などの目への水分補給。

目を労わりましょう。

 一晩休んでも良くならない場合は、炎症がひどい場合が考えられます。

その場合は、眼科を受診してください。

 

濃い色のレンズだと、薄い色に比べて光を通しにくくなるため、瞳孔が広がり、そのぶん目の奥まで届く紫外線量が増えてしまいます。

サングラスを選ぶ際は、色の薄いレンズを選ぶのがポイントです。

もちろん、紫外線カット加工レンズであることが前提。

最近は一般のメガネレンズでも、紫外線カット加工がされています。

普段眼鏡をかけているだけで、紫外線予防はされています。

(眼鏡をかけている部分だけが顔の他の部分より白いのは、眼鏡がしっかり日焼け対策となっているからです)。

 

本来、茶目(角膜)は涙でおおわれています。

涙は紫外線の吸収を抑え、角膜への直接刺激を緩和しています。

目の乾き(ドライアイ)などで涙の量や質が安定していないと、角膜がダメージを負いやすい状況になるので、ドライアイの対策も大切です。

 

目に良いとされる栄養素も積極的に。

「ルテイン」は、紫外線を吸収して目を守り、抗酸化作用によって活性酸素を除去すると言われています。

緑黄色野菜に多く、ほうれん草やブロッコリーなどに含まれています。

もちろんサプリメントも有効です。

 

先日、ホテルの屋外プールで泳いだ院長。

日が高くなっても、プールサイドにいるのは白人系の人たち。

サングラスをして、チェアに寝そべって肌を焼いています。

目は守られているけれど・・肌が白いから黒くしたいのかもしれないけれどダメージ大きそう…

余計なお節介はせず、人種?文化?の違いを感じながら眺めていました。

津島の天王祭宵祭

 

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カテゴリー:健康 眼に関すること

2026.7.14  名古屋のなごやか中学

『長い間お世話になりました。4月から夜間中学に赴任します』

学校医にとって、養護教諭は学校の一番身近な存在。

校医担当校のA先生が昨年転勤の挨拶に。

夜間中学とは初耳。

『ぜひ一度見に来てください』

『必ず行くね~』と約束した院長でした。

 

院長も知人から聞くまで知らなかった夜間中学。

名古屋市立なごやか中学校といいます。

夜間中学のイメージは、戦後の混乱期義務教育を受けられなかった人(現代では高齢者)対象かと思っていましたが…

むしろ最近は

本国で義務教育を終了せずに、日本で生活を始めることになった外国籍の人

形としては中学卒業だが、不登校などで十分学校に通えなかった人

が多いとのこと。

名古屋市在住(愛知県内在住も可)で義務教育年齢(15歳)を過ぎた人が対象。

17時半からホームルームが始まり、4時間が終わると21時です。

17時前後から、私服の生徒たちが三々五々集まってきます。

先生たちも何人か門でお迎え。

生徒は10代が圧倒的に多い、といっても全学年で60人と言うこじんまりした規模です。

顔の特徴、肌色など様々。

 

国語の授業を見学。

日本語なので程度に合わせて1~3に分かれます。

国語1は、日本語が十分でない生徒向け。

ひらがなからの習得です。

生徒は少ないですが、ボランティアの指導者も巡回しています。

『昨日からこの学校に来た中国の子ですよ』

まだ幼い(でも15歳以上)顔の女の子が、日本語もよく聞き取れず四苦八苦していました。

『ニーハオ。どこから来たの?いつ日本に来たの?』などなど、ちょっと話しかけてみると、あれ?と言う反応。

『中国語勉強しているから、少しだけ話せるの』

ちょっと安心したみたいで、中国語で答えてくれました。

『加油(がんばって)!』

 

文章を書く、話すクラスもあれば、枕草子のひとコマを勉強しているクラスも。

『全部わからなくてもいいから。知っている単語だけでも聞けたらいいから』

先生が1小節読むと、続いて生徒も読みます。

外国ルーツの子供たちが古典を知る、触れることだって大きい。

国語の先生が来て

『私、学校検診でお世話になりました。クリニックにも通ったことあるし。覚えてますか?』

マスクを外し、ネームホルダーをかざすと

『え~!○○△ちゃん!覚えていますよ~』

院長の記憶力、さらに○○△ちゃんのお母さんは○○×さんだと上書き保存。

 

壁には、日常の単語が日本語・英語・ネパール語・中国語で書いて貼ってあります。

ネパール語は全く分からず。

 

家庭科の授業はきんちゃく袋を作成中。

ミシンをかける子、アイロンをかける子、おしゃべりしている子色々。

院長も、中国語で話しかけたり、英語で話しかけたり(ネパール人。フィリピン人)。

まだ来日1年でもかなり上手く日本語を話す子がいます。

先生たちからは、社交的・誰にでも話しかける子は上達が早いと。

院長の語学力は、上記はあるものの若さに太刀打ちできずもがいています。

 

外国籍の子たちはこの国で生きていくためには、日本語の習得は必須です。

また高校卒業資格は最低必要なことも、親世代を見て感じています。

同胞の中で日本語をうまく話せなくても生活は出来ないことはない。

けれど、異国で生きていくためには、言葉そしてそれを使いこなし理解できれば、もっとより良い生活が出来ます。

 

不安のままに来日した子たちが、日本を大好きになり、未来を支える人になってくれるよう願うばかりです。

 

*7月21日公センセの部屋はお休みです。

 

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カテゴリー:健康 公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2026.7.7 北欧ちょっとだけ

『国民は、国(政府)を信じていますから』

4回も聞く機会がありました。

 

少し前、北欧に。

デンマーク・ノルウエー・スウェーデン・フィンランド4か国を廻るかなり強行な日程。

有名な見どころに、きれい!可愛い!素敵!みなさん連発。

 

院長が印象的だったのは、景色でなくモノでもなく言葉。

各国ガイドさんが案内してくれました。

4人とも日本人で70歳前後、現地に30~40年在住。

 

北欧で驚いたのは、物価が高いこと。

消費税も25%で、ペットボトルや缶にはリサイクル料金(40円程、リサイクルすれば返金)が上乗せ。

税金は約50%。

その代わり、教育・医療・福祉(老後など)は無料です。

自由行動の時間に

『そんなに税金高いと国民から不満が出ませんか?』と尋ねたら、冒頭の返事。

国(政府)は、国民のことを考えて税金を分配していますから。

院長、日本で社会人になって以来真面目に税金を納めています。

みんなそうだと思います。

しかし、少なくとも『国(政府)を信じている、税金は国がきちんと国民のために使っている』と聞いたことは皆無。

むしろ『税金の無駄使い』と言う声ばかり。

高い税率の代わりに、人生で最も大きな費用のかかる教育・医療・福祉が保証されているのは、この国では当たり前になっているようです。

政治家の汚職も北欧4国では極めて少ないとのこと。

お金をがつがつ溜めなければいけない理由もなくなります(老後の資金がありません…にはならない)。

人生・仕事に対する考え方、生産性についても日本人とは違いそうです。

 

デンマークの医療について聞いた話では

一人のジェネラルドクター(総合医)開業医は1600人の住民の主治医となる(契約)。

1600人分の年間契約料としての報酬、個々に患者として受診した分の報酬が自治体から支払われる仕組み。

主治医の紹介状がないと専門科へは受診出来ない。

(もしくは急ぐなら完全自費のクリニックを受診)

病院に行くのは、救急車の場合くらい。

開業医は、主治医となる住民が重ならないようエリア分けされている。

眼科など専門科は分化特化型が多い(緑内障・白内障・斜視など)。

 

ノルウエーで聞いた話では

ノルウエーには専業主婦はいないとのこと。

国の税収を増やすために、国が考えたことは、女性も働いて税金を納めるようにすること。

そのため、出産育児休暇や手当などを厚くしたそう。

国会議員の44%が女性とのこと。

北欧では、どこも専業主婦は(ほとんど)いないとの声を聞きました。

ちなみに院長も専業主婦経験なし、社会進出している方です。

 

スウェーデンの『ゆりかごから墓場まで』は、小学生の頃に社会で習った覚えが。

最近は、施設よりも在宅ケアへ移行しているそう。

地下鉄駅構内はかなり深く(地下鉄桜通線よりもっと深い?!)、天井には様々な絵(THE ART)が描かれていました。

実は有事に備えての防空壕でもあるとのこと。

なんと1%しか現金は流通していませんが、国は、有事に備えて1週間分の現金を手元に置いておくように指示したとのことです。

有事・戦争…北欧4か国はそれなりの緊張感があるようです(日本幸せです)。

 

観光バスはリトアニア(旧ソビエト)から。

運転手もリトアニア人。

海を渡ってスカンジナビア半島を運転してくれました。

北欧よりもリトアニアのバス会社に頼む方が、料金が抑えられるとのこと。(ここにも格差が)

 

各国、あちこちで国旗がはためいていたのも意外でした。

日本では見ない光景。

 

知らないこと、違うこと、世の中にたくさん。

地下鉄シェルター

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