2025.4.22 科学は美しい(日本眼科学会総会)

毎年大きな学会にはテーマがあります。

今年の日本眼科学会総会のテーマは『科学は美しい』

会期は毎年4日間。

今年は東京国際フォーラムにて。

開業してからは、4日通しでの参加は縁遠い院長。

オンデマンドで後から聴講できるとはいえ、やはり臨場感を味わってこその学会。

 

今回念願の全日参加を果たしました。

学会のスタイルも時代の流れ。

たまたま初日の聴きたいセッションはENGの表示。

講演が始まると、日本人座長・演者なのにオールEnglish!

英語のスライドは見慣れているものの、講演まで英語となると、日本語への変換をしつつ内容を理解する脳内処理の連続。

1時間20分!

質疑応答も英語。

そのせいか外国人の参加者も多い。

講演が終わるとぐったり。

いかに第1言語(母国語)は、音楽のように脳に入ってきて理解されているのかを再確認。

会場で英語千本ノックを受けるとは(母国語と同様に英語が堪能なDrは日常でしょうが)。

 

外国の先生の招待講演は、以前は同時通訳でしたが今回はAI(と思われます)。

演者の話に応じて、スクリーンに和訳がどんどん出てきます。

そのまま訳してくるからでしょうか、文脈を読んで理解するのに精いっぱい(内容が高度だったせいもあるかもしれませんが)。

単語や言葉も状況に応じて使い分けします。

AI翻訳だと、言葉が生きていない気がしました(内容を理解していないままそのまま訳すみたいな)。

 

さて今回は、『レジェンドと語る○○』というシンポジウムも目玉。

○○は、目の各部位なのですが、緑内障セッションでは、院長の師匠であるY先生が登壇されました。

Y先生はK教授の招きで岐阜大学眼科学教室に来られ、研修医院長と入局は同年。

緑内障の手術が大きく変わって行く時代でした。

診療・手術や研究を大きく担っていたのが当時中堅どころのY先生でした。

緑内障の患者さんの眼圧日内変動を調べるため、研修医は2時間ごと24時間測定しました。

深夜から早朝は12時2時担当と4時6時担当に分かれるものの、2人ともそのまま仕事。

働き方改革などない時代、診療もやり研究(の末端)もやり、それでも一人前の眼科医になるためには必要なことと信じていました。

(お陰で博士論文が書けました)

Y先生は以前日本緑内障学会会長も。

今までの診療・研究の軌跡を発表されました。

 

『患者さんを診ていると見えないものが見えてくる、病気だけでなく患者さんの人生を診(見)ている』

Y先生の言葉を肝に精進していきたい!と改めて決意した院長でした。

 

さて、信心深い?院長。

今回は市ヶ谷の茶ノ木稲荷へ。

稲荷神社の御神使の白狐が茶の木で目を突き、それ以来崇敬者は茶を忌み、正月3が日は茶を吞まない習俗があったとのこと。

特に眼病の人は、17日あるいは37日21日の間茶を断って願えば霊験あらたかであったと言われています。

たくさんの眼病治癒祈願の絵馬が。

いつものように患者さんたちが良くなりますように。

 

科学(医学)は、事実の積み重ねをデータ化し解析し結果を考察し結論に至る。

その結果、新たな発見・真実に至ります。

だからこそ美しい!

 

目の神様は科学から離れて気(と脳)を緩ませてくれる場所です。

市ヶ谷の駅の傍には都会(新宿区)なのに釣り堀が!

桜の季節にお花見と参拝と釣り堀の3本立ても楽しそうです。

 

*4月29日、5月6日は公センセの部屋はお休みです。

■目の神様シリーズはこちらからご覧ください

目の神様in奈良&愛知

目の神様in 鎌倉

目の神様 in平泉

目の神様 in 仙台

やりなおしたい?

初めての御朱印

身代わりどじょう

目の霊山

余呉へGO,GO

鎌倉好き

医者も祈願する!?

 

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2025.4.8  ずっと0歳

今年のお正月、一本の電話。

N保育士から。

毎年年賀状のやりとりをしていたのですが、今年は時勢に乗り?年賀状じまいの院長。

『あけましておめでとうございます!年賀状じまいにしたから思い切って電話してみたの!』

懐かしい声。

お互いの健康状態を確認してからおしゃべり。

『会いたいな~って、ずっと思っていたの』

『私も~。絶対会いましょう。思い立ったら吉日。いつにする?』

『こちらは時間あるから、長谷川さんに合わせるよ~』

ってことで、いくつか院長が候補を挙げ、その中で日時お店を決定。

 

第1子産休明けで大学病院復帰の新米ママ(院長・当時は最下位の医局員)。

N保育士は、院内無認可保育園の長男の担任でした。

まだコートの中にスッポリ隠れてしまうくらいの小さな赤ちゃんを預けて働く。

たとえ当直免除でも周囲に気を遣う(今みたいに堂々と権利を主張できない)し、子供のことも気になるし…

元気でやっているのかな?

昼休みにお乳飲ませに行けるかな?

朝微熱あったけれど、仕事中に呼び出されないかな?

などなど。

新米ママは心配が尽きません。

初めての子育てと仕事の両立。

当時の日誌には、毎日息子の健康状態や行動について、また母の質問が書いてあります。

母の相談にも乗ってくれた頼もしいN保育士でした。

 

大学病院のお給料(一番安かった)はそのまま保育料に消えていきます(一番保育料が高かった)。

無認可なので、バザーもあるし、保護者の掃除当番もあります。

仕事も中途半端(な気がする)。

なんのために働くのか?????

悶々とした日々。

 

自分で育てれば保育料は浮くけれど、眼科医のキャリアは中断。

継続持続勤勉が自分の強みだと思う今、中断なく眼科医を続けて来れたのは、保育園のお陰です。

新米ママかつ中途半端女医を励まし、子供の成長を一緒に喜んでくれたのは、保育園の先生たち。

 

実は院内のT保育所に預けていたのは数か月。

当時の医局人事は、大体1~2か月前に発令。

Noという選択肢はなく、医局に属するならYes。

最低在籍期間半年を切っての退園だったので、違約金も発生。

泣きそうになりながら支払いました。

 

半年に満たない在園期間でのN保育士との関りでしたが、年賀状のやり取りは続いていました。

しかし、何十年ぶりの再会にはドキドキします。

 

当日会って食事をすると不思議。

この約30年の空白がなかったようにおしゃべりが弾みます。

当時の同じクラスのAちゃんは今…Bちゃんは今…

そして長男Kも0歳の時の思い出。

N保育士にとっては、もう四捨五入30歳になる子供たちもずっとハイハイしておっぱい飲んでいる姿です。

 

長男の現在の姿は、0歳のキュートなKからは想像できないお兄さん(おじさん?)です。

が、写真を見て『うん、やっぱりここのところが似ている…』

N保育士の心の中で育っていったK。

誰かに想ってもらえているのは嬉しいことです。

 

開業して以来の患者さんはもう立派な成人なのに、初診で来院した小さい時の姿が焼き付いています。

だから何年かぶりかの来院で、成長した姿(目はもちろん!)を見ることは嬉しいものです。

N保育士の気持ちがわかります。

 

眼科医のキャリアだけでなく、人との出会いも保育園に預けたからこそのご褒美です。

働くお母さん、頑張って~

 

『必ず年に1回会いましょう!』

『絶対に会いましょう!』

また新しいお楽しみが増えました。

一緒に出勤&登園

 

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2025.3 .25  頑張っても…

『色覚検査希望』で来院した大学生のX君。

現在は、小学校中学校で任意の色覚検査のお知らせを出しています。

院長子供時代は小学4年生で全員色覚検査を受けました。

今では、任意、希望者のみです。

 

まず、診察室で色覚検査を希望する理由を聞きます。

X君は某鉄道会社の説明会にて、簡易検査で異常ありと指摘されたそうです。

 

眼には赤・緑・青を感じる視神経細胞があります。

この三色の見分け方が弱い場合、色覚異常とされます。

赤と緑が同色に見える場合は非常に少ないです。

(昔、院長の愛読少女漫画では、色覚異常はこのように描写されていました)

例えば暗めの赤と暗めの緑など、同じ色でも色自体の明度や周辺の明るさによって見分けが困難になることがあります。

つまり似たような色の仲間に見えてしまいます。

学校や眼科で行う色覚検査は、まず異常の有無です(疑い含む)。

更に色相配列検査をし、タイプを分けます。

ここまでで、色覚異常の診断と説明は出来ますが、程度を判定する(希望なら)には、特別な機器がある病院を紹介します。

 

色覚異常が分かったところで治療法はありません。

まずは、今まで日常生活に支障を感じたことがないか。

あるならどんな状況で?

自分の色の特性を理解し、気を付けるべきこと(迷ったら明るいところで見る。この色とこの色の組み合わせは注意。触ったり周囲の状況もみて色間違いを防ぐなど)を話します。

一般に日常生活に大きな支障がある人は稀です。

自動車運転免許も取得可能です。

 

職業の選択は以前よりもかなり門戸が広がりました。

これは、院長よりももっと先輩眼科医たちの働きかけの賜物です。

しかし、鉄道運転士やデザイン・色に関わる仕事はまだまだ門戸が閉ざされています。

 

X君は運転士希望でした。

『頑張ってもなれないんですね…』

色覚異常について説明しましたが、励ましも届かないくらい落胆していました。

運転士にはなれなくても、きっとX君に合う仕事があるはず。

そう願わずにいられません。

 

色覚異常は男子の約20人に1人、女子の約500人に1人です。

色覚異常の生徒の約半数は、検査を受けるまで自覚がありません(日本眼科医会調査)。

異常のタイプや程度により、一部の仕事に支障を来たすことがあります。

進路を決める前に、自身の色覚特性を知っておいた方がいいでしょう。

 

学校で受け忘れても眼科でいつでも受けることが出来ます。

先天性の場合、一生変わらないので、検査は一度診断も一度です。

 

この年になると、頑張ってもできないことがいかに多いか知っています。

頑張る前に身体特性(色覚も含む)や知的能力で不可能なこともたくさんあります。

努力で補える範囲の自分の強みで生きていくしかない、と思います。

もっと違う可能性もあるのでは?などと自分探しをした若い頃。

それでも一つのこと(眼科医)を休まず(三男出産前日まで診療、出産1週間後から再開今に至る)続けてキャリアを積み上げてきました。

地域医療のかかりつけ医として少しは貢献できていることを願います。

 

どんな仕事も社会に貢献しています。

X君ももがいて悩んで、きっと自分に合った職業が見つかることを期待しています。

 

色覚検査は随時行っています。

自分の特性を知り、その上で頑張れば掴めるもの(仕事・職業)は必ずあります!

先入観に囚われない

 

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2025.3.18 死は幸せなこと?!  in メキシコ

2024.5.14  校医のトリセツ

2020.11.24 加齢と色覚

2017.5.30 2017学校検診

2016.3.22 学校検診の変更

2015.7.21 色覚検査見直し

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの想い 眼に関すること

2025.3.18 死は幸せなこと?!  in メキシコ

ペルーを旅した院長ですが…

乗り換えの時間を利用してメキシコシティを少しだけ観光。

 

メキシコはスペインが植民地とした後、湖の上に建設された標高2240Mの都市です。

多くの世界遺産があるのですが、古い建物は傾いています。

そして少しずつですが更に傾きつつあるとのこと。

地下水のくみ上げにより、世界で最も地盤沈下が加速しているシティです。

 

国立人類学博物館にはメキシコ古代文明遺跡からの出土品の数々が展示。

無知故ガイドさんの説明を一生懸命聞いて『へ~!』の連続感嘆詞。

メキシコシティ郊外で発掘されたマンモスの骨も。

愛地球博(2005年の愛知万博)ではロシアの冷凍マンモス。

生物や人類の誕生・進化・移動も勉強になりました。

 

名古屋市とメキシコシティは友好姉妹都市です。

名古屋市民なのに初耳。

偶然にも前市長はどちらも国政に転身(名古屋市→国会議員とメキシコシティ→大統領)したとのこと。

 

歩いていると、すれ違う人々(メキシコ人)はみんな体にフィットした服装です。

日本人だとスレンダーな人でも積極的に体のラインを出す服装の人は多くありません。

一般的には、いくらか隠す服装緩めの服装です。

恥ずかしくないのかな?

視線が気にならないのかな?

ガイドさんに尋ねると

メキシコでは、胸とお尻が大きいことは魅力である。

それらを引き立たせるために、身体の線を出す装いをする。

自身のアピールでもある。

日本人の適度にふっくらではなく、肥満と断定できるほどの人たちもフィットした服です。

あれだけしっかりお尻を強調するなら、当然Tバックが主流なのも納得。

 

ふくよかさが良い価値観とはいえ、肥満の人が多いのには驚きです。

油分・糖分多い食べ物に合わせてコーラ。

量・カロリーとも相当オーバーです。

美味しそうに完食。

食習慣により肥満大国となり、糖尿病患者も激しく増加しているそう。

糖尿病は進行すると失明することもある怖い病気です。

定期的な眼科受診は必須です。

また、腎障害や末梢神経障害も合併します。

 

私達のランチのメインはトルティーヤ(トウモロコシ粉や小麦粉で作る薄焼きパン)で煮込みポークを巻いて、カカオソースとチーズが掛けてある一皿。

手の込んだ料理だそう。

出てきたのは、クレープのチョコレートソース掛けをイメージする一皿。

美味しいのですが、甘味のないカカオソースに視覚・味覚の脳内処理が追いつきません。

カカオ=甘い、の先入観がぬぐい切れず、美味しいのかどうか不明。

カルチャーショックの一例。

 

さて、メキシコでは、たくさんの骸骨の人形や置物が売られています。

骸骨は、現地ではカラベラというそうです。

メキシコ文化からの流れで、亡くなった人は悲しい思い出として記憶に残るのを嫌がり、死は幸せなことであるべきと考えられています。

死は生の延長であり、その一部である。

死を受け入れ生を楽しむ。

カラベラは、悲しみでなく喜びの象徴であり、来世で幸せな生活を示すために、踊ったり楽器を弾いたりと楽しい姿に描かれています。

毎年11月1日と2日の『死者の日』は、亡くなった家族への愛と敬意を示すお祭りです。

 

日本の死生観とは違う…

 

キュートなカラベラをたくさん目にして、死にポジティブな印象を抱くラテンの思想もいいなぁと思った院長です。

 

院長には、あんなことがあったなぁとふと思い出し自分が温かくなる故人(患者さんも含む)がいます。

ふと思い出されて懐かしい思い出にちょっと浸ってもらえる…

たまに出てくるカラベラになりたいです。

 

こちらもご覧ください。

2025.2.18 幸せの黄色 in ペルー その 1

2024.3.4 幸せの黄色 in ペルー その2

 

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2024.8.6   YaYa(あの夏の日を忘れない)

『子供が生まれてから毎日大変なんです』某メーカー営業さん(男性)。

『何か月?』

『4か月です』

『そうね~…』と言ったものの、院長は次男生後4ヵ月半の時点で開業です。

 

やれるか?というよりやるしかない!の選択肢のみ。

次男だけでなく長男も2歳になる前。

以来、自身の医師として、母としてのどちらも中途半端に悩まされながらも、目の前のことだけをこつこつやってきたつもりです。

 

お陰様で8月1日に開院27周年を迎えました。

当日、レモンイエローのワンピースを着て(今なら赤を選択しますが)、二人の子供と近くの神社にお参りしたことが思い出されます。

 

終活?で当時の日記(今は付けていない)を見つけました。

当日の日記には、開院状況の他、最後に『A(長男)ちゃん、B(次男)ちゃんごめん』の文字が。

実際、開業以来、仕事がメインになり、子供の行事も診療日と重なれば行くことはありませんでした。

 

まだ医学部女子が少ない頃に医師になったからには、『だから女医は…』と言われたくない一心。

小さなプライドです。

まだ実力不十分若輩眼科医の診療を慕って下さる患者さんへの思いもありました。

三男出産前日まで通常に診療し、出産後1週間で通常診療に戻ったのもそのためです。

勤務医時代は、産休は法律で付与されていましたが、開業(自営)となると別。

気力体力で乗り越えられた心身の丈夫さに感謝です。

 

息子たちにステレオタイプの母親(院長が憧れていた)らしくしてやれなかったことは、ずっと心に引っ掛かっていました。

もう成人になった酒席で、そのことを問い申し訳なく思う心情を吐露。

しかし、息子たちは

『全然。行事には来なくても、学校健診に(学校医として)来てくれたことの方が嬉しかった』

『仕事している母親が普通だと思っていたから』

母(院長)拍子抜け。

それらの言葉に、酔いが回ったのは言うまでもありません。

 

社会人になった息子たちと、世の中や仕事などの話題でお酒が飲めるのは有り難いことです(必ず飲み過ぎます)。

 

あの夏の日を忘れることは出来ません。

子どもたちの誕生日の次に、大切な日です。

初心を忘れずに。

まだまだ攻め(前進)て行くつもりです。

直近では、新しい視野計を導入することにしました。

両眼開放下で、実は片眼ずつ検査が出来ると言う画期的な視野計です。

 

8月1日はスタッフでお祝いの会を催しました。

ホテルの個室で非日常を味わって、モチベーションアップに繋がりますように。

オンオフは大切。

みんな、それぞれのプライべートもお悩みも…ここだけの話。

それがこうクリニックの流儀、準家族のようなひと昔前の繋がりです。

スタッフからは、素敵な似顔絵をもらいました。

『かなりきれいに描いてあるね~』息子評。

 

息子たち全員が社会人になり、母親業も卒業となりました。

今までだって好きなことをやってきた方ですが、時間だけはどうにもならず断念することも。

そういうわけで、今年はお盆休みをいつもより長~くすることにしました。

子供の出産のときにも休まなかったのに、今更?

自問自答して悩むことしばし。

『よくがんばりました』

『その時頑張った貯金と思って、お休みいいんじゃない?』

息子たちだけでなく、スタッフからの、患者さんからの言葉でもあります。

みんなに支えられています。

感謝。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

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2024.7.23  プラスのメッセージ

とにかく暑い毎日。

いつもはワンピースの院長も、今回の産業医訪問はパンツとかりゆし(アロハではない)。

最近のお気に入りです。

ポロシャツは、腕周りが太くなった(筋肉ですよ!)せいか、跡が付くようになったので敬遠気味。

沖縄で見つけたのがかりゆし。

沖縄の正装とも言われていますが、数年前沖縄の学会に行ったとき、役所の人たちも着ていました。

かりゆし(嘉例吉)は沖縄の方言で『めでたい』という意味です。

着心地はもちろん、何もなくてもおめでたい気持ちになって夏の定番に。

 

事務所に入って、いつもと違うファッションなのに誰も気づいてくれません。

髪型も前回訪問時と随分違うんだけどな~

まあ、オバサン産業医に誰も関心はないだろうし、むしろ店長さんのケガを労わります。

特注の高価なコルセットを付けてエプロン姿。

圧迫骨折の痛みと、コルセットの締め付けの苦しさのせめぎ合いだそうです。

しかし、普通に巡視出来るほどの回復で何よりでした。

 

安全衛生委員会では、ブロッコリー漏水事件?の報告が。

店頭に並べたブロッコリーから水が漏れて床がびちゃびちゃに。

慌てて拭いて転倒事故は免れたというヒヤリハット。

他のスタッフは上記だけで理解できたようですが、産業医(院長)のみが???

氷水で冷やしたブロッコリーからの水滴が、劣化したプラスチックの箱から漏れ床を濡らしたそうです。

原因は、箱でした。

箱の劣化の有無を常に確認しましょう!とコメント。

 

その他、長時間労働にならないために、惣菜売り場にタイミーさんの導入例も。

どんなことがやれるんだろう?唐揚げ揚げるとか?と興味本位で尋ねると…

調理はなし、パック詰めなど単純作業とのこと。

色々教える必要がないことを任せるそうです。

また、労災事故につながりにくい仕事を。

確かに…

被雇用者も、より重要な仕事を任せてもらえない事より、任せてもらわない事の方がいいのかしら?

タイパはいいかもしれないけれど…

オバサン産業医大いに疑問です。

特に若い頃は、タイパ・コスパは度外視。

無駄と思っても遠回りと思っても、目の前のしなければいけない事をすることで、将来の自分が形成されます。

熟成するには仕込みが重要。

 

毎回『お客様の声』を読むのも楽しみな院長。

多くは苦情・要望のメッセージの中で、励ましのメッセージが数枚あります。

『店内に入る時きれいに棚に瓶が並んできれいだなと思いました(原文はひらがな)!』

『先日の高原野菜とても美味しかったです』

『毎日のように○○(スーパー)に来ます。店員さんの対応が最高。仕事のストレス解消に○○に来ます』

『毎日のように来ます。店長さんの挨拶が最高です。良き○○を』

院長も苦情・要望だけでなく、良いと思ったこと・嬉しいと思ったことを素直に伝えられる人になろうと改めて決意。

プラスのメッセージは、相手にメッセージ通りの何乗もの幸福をもたらします。

 

今回も半日遠出した甲斐はありました(遠出と思っていませんが)。

タイパじゃないよ。

 

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2022.6.7 ちむどんどん

産業医シリーズ(一覧)

 

カテゴリー:公センセの想い 産業医 未分類

2024.7.9  何歳でもめでたい

『90歳。何がめでたい』

作家・佐藤愛子さんのエッセイ。

本書が出たのは2016年。

自分用だけでなく、参考になるかも…とおこがましくも、80代目前の母と、母の友人Nさん(母と同年齢)に贈りました。

母がどう思ったかは不明ですが、Nさんは感想を知らせてくれました。

Nさんは鬼籍に入りましたが、時代の先端を行く生き方や私との交流(私の年上の友人でもあった)を今でも思い出します。

 

そして、その本が映画化されました。

主役の草笛光子さんは憧れの人。

年齢を重ねて益々素敵になられる姿をメディアや雑誌で見ては、将来目指したいと思う女性のひとり。

90歳の草笛さんが、90歳等身大の役を演じられます。

日々の生活にアンテナを張り、感じたことを文章に。

そのエッセイを基に映像化されています。

自身の老化による体の変化を嘆きつつも、時代の進歩や日々の変化に大きく反応。

若い人に対し、怒りも含めてはっきりした物言いも、実は期待と鼓舞が含まれているのを感じます。

 

良い人でいるのはつまらない。

日々の小さな事に怒ったり笑ったり。

世の中に反応することが生きる力。

 

大いに笑い、スカッとし、頷くこと多しの映画でした。

 

Aさんが久しぶりに来院されました。

白内障の定期検査。

御年90歳。

 

『お変わりないですか?』

『息子(と言っても院長より年上)と北海道に行ってきたんですが、その時…』

いつもは『変わりございません』のAさんですが。

『どうされました?』

『北海道で車に乗っているとき、息子が指さすものを見ようとしたのですが、その時にはもう見えなかったんです…何回もそんなことがあって…』

視力も良好、白内障も年齢の割に軽く、他に病気はありません。

『動体視力といって、物を追う力が弱くなっただけです。車のスピードに目が追い付いて行かなかったのでしょう。加齢とともに、若い人(と言っても息子も高齢者?)より動体視力は劣ってきますから。病気ではないので心配いらないですよ』

『あら、そうでしたの。安心しました。』

Aさんは、袋から北海道のお土産を取り出し、

『お陰様で90歳のお祝いに北海道に行けました。お福分けです』

『おめでとうございます!』

『ありがとうございます』

有り難く頂戴。

Aさんも院長にとって目指すべき人生モデルの一人。

『私もAさんのような年齢の重ね方をお手本にしていますから、お元気でいてください』

『励みになるお言葉、ありがとうございます』

その後、スタッフと福を分け合いました。

 

院長にとって、人生のモデルは多々。

実在で年上の知人たち。

鬼籍に入ってしまった年上の知人たち。

実在で同業の女医さんたち。

医学界の高名な先輩たち。

演劇、美容、芸術など、会ったことも話したこともないけれど勝手に自分のモデル(前述の草笛光子さんなど)と認定している人たち。

そしてAさんのみならず、多くの患者さんたち。

みんなそれぞれ人生のエピソード・モットーがあります。

先達たちのそれぞれ100分の1でも真似できたらいいな、近づけたらいいなと、来る老後の目標にしています。

 

人にいいことが起これば『おめでとう』

自分にいいことが起これば『ありがとう』

祝福と感謝の言の葉から生まれるエネルギーは絶対なるパワーを持つ。

某新聞にあったエッセーから。

 

院長も何歳になってもめでたいし、ありがとう!と言いたいです。

 

*7月16日の公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

 

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2023.8.1    おかげさまで26周年

今年は、ツバメの巣が2回もカラスの攻撃に遭い、卵や孵ったばかりの雛も餌食にされてしまいました。

壊れかけの空になった巣の周りを、2羽のツバメが飛び回るのを見るのがやるせない院長でした。

もう今年は来ないかも…とあきらめていた頃、ツバメの雌雄が巣を修復して卵を産みました。

今度こそは…と、毎朝晩、巣を見上げ、落下物(糞・虫それ以外)を確認する日々。

ようやく、小さな雛が5羽顔を出すように。

よしよし…と思ったのも束の間、修復した巣は手狭だったせいか、一羽落下していました。

まだ産毛が生えそろっておらず、息も絶え絶え。

可哀そうですが、見届けるしかありませんでした。

 

その3日後。

またもや、雛が1羽落下。

3日前の雛よりは、産毛はあるものの、羽も短くも揃い始めています。

当然飛べません。

何とかせねば。

 

息子に連絡。

ふだん母のお願いにはほぼ耳を貸しませんが、今回は迅速対応。

ツバメの生態・人の手での育て方などを調べ、ミルワームを買ってきました。

小さな鉢にティッシュを敷き、ピンセットでミルワームを1匹づつ。

お腹がすくときは、大きな口をパクパク開けて吞み込みます。

お腹一杯になると餌に見向きもしません。

これを30分ごと。

息子は2日間どこに行くにも連れて行き世話をしました。

『赤ちゃんの世話って大変やな~Pちゃん(雛の名前)可愛いから出来るけど』

ちょっと~

そっくりそのまま、子育て中、母(院長)があなた(息子)に向けてた言葉ですよ!

ツバメの子育てより大変だったんだから!!!(親ツバメエサ探し・運びも大変だけど)

2日後、巣に戻して無事に生育。

兄弟ツバメの中では一番小さいせいか、最後まで巣に。

兄弟に数日遅れて、やっと初立ち。

『飛んだよ~』

孫(いないけれど)を見守る祖母と父親みたいな、母と息子のしばし穏やかな時間を雛が提供してくれました。

 

ところで、先日某メーカーの担当者が代わりました。

担当のTさんは、以前にも当院担当。

懐かしさで話が弾みます。

『あの頃は、息子さんたちを保育園にお迎えに行ったこともありましたね~』

開院当初は、子供がまだまだ小さくて、保育園のお世話になっていました。

診療状況で、どうしてもお迎えに間に合わない時には、面会に来ているメーカーさんたちにも助けてもらいました(良き時代でした)。

Tさんにもお世話になっていたのね~改めて感謝です。

一人で何もできない雛のような息子たちは、お陰様で、今度は親ツバメになれるほど成長しました。

 

お陰様で、当院も26周年を迎えました。

患者さんとの出会い、そこから得た眼科学の知識と経験の引き出しはかなり多くなっていると思います。

①医師が診療し指針を示す(事実に基づき診断・治療方針を決める・経験値も有用)

②患者さんが治療方針を遵守する(点眼回数・期間を守るなど)

恐らく①②が守られていれば、病気は快復または小康状態を保てます。

上手く結果が出なければ①に戻ります。

20年以上定期的に通院されている緑内障の患者さんの多くは、進行が抑えられています。

 

何年かぶりに来院される患者さんには『思い出して来院してくれてありがとう』

定期的に来院される患者さんには『いつも頼ってくれてありがとう』

『こんにちは!○○さん』から始まり『お大事になさってください』の〆の後の、声に出さない言葉です。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

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2023.6.6 やりなおしたい?

眼科医なのに?眼科医だから?目の神様にお参りするのが好きな院長。

偶然『やりなおし神社』を知りました(神様繋がり)。

名前からして気になります。

 

新大阪からJRで淀川を渡り、梅田から阪神でもう一度淀川を渡ります。

名古屋からの道中、やり直すなら…?いつ?何を?と、仮定法の妄想を膨らまそうとする院長。

そもそも、やり直したいか?

50年以上生きていると、仮定法の世界では生きていけません。

『たら、れば』然り。

結果として今の自分がある、良くても悪くても向き合うしかありません。

人間生きていると、強くなる(鈍感化?)と感じます。

 

さて、神社のある最寄り駅に到着。

やや下町の住宅街といった印象。

 

グーグルマップで神社を目的地に。

少し歩いて行くと、順路からずれています。

立ち位置から向きが分かりづらいのは院長だけ?

建物や交差点名などが記載されている地図があったらいいのに…と痛感するアナログ派。

 

少し先のスーパーの店先で、大阪のおばちゃん(といっても院長世代)が二人立ち話。

名古屋のおばちゃん(院長)、早速駆け寄り、目的地を尋ねます。

『ここ真っ直ぐ行ってな、信号渡らんと手前の道を右に行って~そしたら神社が見えてくるで~』

お礼を言って言われたように歩いて行くと目的地。

尋ねて正解!

グーグルより親切確実!

 

『やりなおし神社』は、正式には『姫嶋神社』と言います。

阿迦留姫命が新羅の王子の妻となるが、夫に耐えかね祖国に逃避行。

摂津の姫島で再出発し、女性たちに機織りや裁縫を教えたそうです。

そのため『決断と行動の神様』と信仰されてきました。

また、大阪大空襲により社殿などが焼失。

戦後の再起を図る人々と信仰も重なり『やりなおし神社』とも言われるようになったそう。

 

『たら、れば』ではなく、『一からやり直し』の現実派の神様でした。

 

かなりこじんまりした神社です。

参拝者は、3組(自分含む)。

 

授与所で、ホタテの貝殻、ペン、直径15センチ位の赤い布玉をもらい、説明を受けます。

 

1.ご本尊参拝

2.帆立絵馬(縁起の良い帆立の貝殻が絵馬)に目標や夢を書く。

(必ず期限も一緒に書くこと)

3.目標や夢を叶えるために断ち切らなければいけない事を赤玉(断ち玉)に念じる。

4.はじまりの碑の穴を通り抜けるまで、赤玉を投げる。

(碑に穴が抜けてあります。ボール投げの苦手な院長は5回目でやっと通過)

5.帆立絵馬を碑にかける。

(ホタテのツリーみたいになっています)

 

目標や夢に対して、期限を設定、目標達成のための断つべき事柄・邪心を挙げること。

自己実現のための手引き書のような手法。

斬新な願掛けです。

 

戦後の再起復興と比べれば、とても小さな自分の目標を書いて、教えられたように祈願。

他の絵馬にも、具体的な目標が多く書かれていました。

 

一組の中年カップルは、何をやり直し?

キャリーケースの若い女性は、何やら訳あり気。

 

いただいたお守りには『順風満帆』の文字が。

 

順風満帆の人を見て羨ましいと思った若い頃。

順風満帆に見えても、見えないところで苦労はある(あったはず)し、努力もしているはず。

人生後半戦になると、よくわかります。

 

駅に戻る途中、先ほどのおばちゃんたちはまだ立ち話中。

大阪弁が心地よい。

 

阪急電車の旅も良かったのですが、阪神電車の旅も面白そうです。

新大阪に戻ると、車体にパンダの特急くろしおが。

強行軍のJR旅も良かったな~

 

■目の神様シリーズはこちらからご覧ください

初めての御朱印

身代わりどじょう

目の霊山

余呉へGO,GO

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医者も祈願する!?

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阪急電車

阪急電車 続き

 

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2023.2.7  SHE SAID(シー・セッド)  

新聞(紙)は毎朝のルーティンのひとつ。

毎日3紙をざーっと見て、目に付いた記事・興味ある記事を読みます。

文化欄も好き。

紹介されていた映画『SHE SAID』を見に行きました。

 

実話に基づいた映画。

2017年、ニューヨークタイムズ紙が報じた記事。

ハリウッド映画の大物プロデューサーのセクハラ・性的暴行事件を告発。

その後、映画業界のみならず国を超えて性犯罪の被害の声を促し、#Me Too運動の起爆となったそうです。

 

そして、この映画上映中のつい先日、性犯罪要件8例が日本でも提示されました(タイムリー!)。

 

2人の女性記者の取材によって、過去の被害者が表面上の示談で泣き寝入(というか、過去を封印)していたこと、隠蔽が暗黙の了解である業界・社会であることが掘り起こされていきます。

 

被害に遭った女性への聞き取り、面会、実名公表までのやり取り。

また、加害者側の関係者・弁護士などへの聞き取り・面会など。

調査を妨害されながらも、チーム一丸となり事実を突き詰め、報道公開します。

 

この映画では、性的暴行事件の告発記事を公表する過程において、2人の女性記者の行動がカッコイイのです。

ジャーナリストとしての使命と責任、プライドを映画の中で感じます。

夜中でも、海外でも、取材依頼があれば出かけていく。

相手が年上でも、男性でも、地位が高くても、屈せず取材に飛び込んでいく。

性被害に遭った女性たちには、寄り添い共感して取材をする。

 

バリバリのキャリアウーマンたちですが、私生活では妻であり母である様子を描き出しています。

キッチンやダイニングでも原稿を書き、ベビーカーを押しながらでも仕事の電話に応えます。

仕事となれば、夜でも子供たちを夫に預けて出先に。

夫は妻の働きを阻止したり揶揄しないし、子供も何となく母は大事な仕事をしているのだろうと感じている。

夫は妻を自分のサブ(従人)ではなく、対等の人間・パートナーとして静かに応援。

子どもの寝顔で癒され、子供の言動で母親としての自己嫌悪に陥るシーン。

仕事の停滞に落ち込んだり、ちょっとした成功にまた頑張ろうと奮い立つシーン。

 

映画キャストみたいに、美人でカッコ良くはないけれども、昔の自分に重なるものが。

そんな時代もあったよね~(♪中島みゆき♪)

いわゆる男性的働きを、妻母の役割もしながら女性が続けることは、結構大変。

しかし、仕事が、社会に関わる一個人(属性ではない)としての自分を発揮できた場所(今現在も)であったと思います。

映画の中でも、高齢出産で産後鬱と診断された記者が、復帰して元気を取り戻します。

これからの時代は、性差に関わらず、相手を尊重し認めていくことがより求められると思います。

 

脇役で、登場する女性上司。

的確な指示をし、時には子育て中の彼女たちを気遣い深夜に残業します。

彼女もカッコイイ。

むしろ、今はこちら側にシフトチェンジです。

 

自分より年上の素敵な女性たちを目標に。

自分より年下の女性たちに賢明な助言を出来るよう。

 

社会派映画としても、働く女性としての視点からも見応えのある映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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