2018.10.2 目薬が減らない

処方した点眼薬は、回数や性状によって、無くなるおおよその目安があります。

おおよその目安よりも、ずいぶん早く無くなってしまう患者さんは、結構います。

多くは、1回1滴でいいのに、2~3滴点眼してしまう場合。

また、点眼液の容器や性状により、1滴量が多くなってしまう場合もあります。

 

一方、とっくに処方した点眼薬は無くなっているはずなのに『目薬がまだあった』と、言われる患者さんも結構います。

『ちゃんと点していましたか?』と尋ねると『ちゃんと点していました』と、返答。

『そうですか…』と、うなずくものの…

こういう場合、圧倒的に多いのは、点し忘れです。

『ちゃんと』は、一体どの程度なのか?

 

例えば、アレルギー性結膜炎で1日4回点眼の場合。

4回は出来なかったけど1~2回は点した。

やめたけど、また痒くなったから(ちゃんと)4回点している。

 

例えば、緑内障で1日1回点眼の場合。

夜点すのだけれど、仕事で遅くなったり、飲み会があるときは、点せないこともある。

でも、点せるときは、点して、ギリギリまで使っていたら、こんなに期間が開いた。

一応1日1回は(ちゃんと)させている方だと思う。

 

などが、実情。

処方通り、点せていないことは、推測できるのですが、否定はせず…

 

さて、もうひとつ、眼薬が減らない理由があります。

点眼薬は、ボトルを押して、薬液を目に入れます。

この時、眼に触れると、スポイトと同様な仕組みで、涙液がボトルの中に逆流してしまいます。

そうなると、見かけ上、量が減らないことになります。

外界に触れている涙の中には、目やにや、ホコリなども含まれており、それらを含んだ涙液が、ボトルに逆流すると、点眼薬は汚染されてしまいます。

時には、濁ってしまうこともあります。

実際、濁った点眼薬の中から、目やにや、まつ毛、衣類の繊維や化粧品の粉が検出されています。

 

混入を防ぐためには、点眼薬の先を、眼から離して点眼しましょう。

やや上を向いて、下まぶたを下げて、点眼液を下まぶたの中に狙って点すと、わりと上手く点せます。

点眼補助グッズもあります。

 

最近は、ペットボトルも飲み切らないなら、口を付けたまま飲まないように言われています。

数日置いておくと、残った飲料水の中に、唾液や口中由来の細菌が増殖するからです。

 

点眼薬は、ペットボトル飲料以上に、使い切るには時間がかかるものです。

処方用法、点眼方法をしっかり守りましょう。

 

 

 

 

 

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2018.8.21 早く無くなるのは?

眼科での治療は、主に点眼薬を使います。

結膜炎のように短期間のみ点眼薬を使う病気もあれば、白内障・緑内障のように長期にわたり続ける慢性の病気も。

 

新薬の開発が著しく、より効果的な点眼薬が開発されていますが、粘性があったり、濁っていたりと、見た目や点し心地に特色のある製品もあります。

 

ある点眼薬を処方している患者さんから

『他の薬に比べて、無くなり方が早いのだけれど…』という声。

『濁っているし、粘度も高いからかもしれませんね~』と答えたものの、その後何人かから同様の声を聞きました。

 

調べてみると

A社の粘性のない透明な点眼薬①(アレルギーの薬)では、1滴量が30㎕、1本分で160滴下可能です。

同じA社の粘性があり濁っている(懸濁)点眼薬②(緑内障の薬)では、1滴量が33㎕、1本分で140滴下可能です。

 

B社の粘性のない透明な点眼薬③(アレルギーの薬)では、1滴量が45㎕、1本分で111滴下可能です。

A社①とB社③は、容器の違い(硬さやデザイン)が大きいかと思われます。

どちらも、良いアレルギー点眼薬ですので、患者さんに応じて、処方しています。

 

ちなみに、目の中に入れられる容量は、20~30㎕なので、1回1滴点せば、十分目に行きわたります。

これを2~3滴、点眼時に点すと、早く無くなってしまいます。

 

さらに、A社②のような、懸濁液は、使用前に容器を振る必要があります。

この時、激しく振ったり、逆さまにすると、キャップを開けた時に、中身があふれることがあります。

そうすると、早く無くなってしまいます。

優しく、左右に振ってみてください。

また、しっかりキャップを閉めないと、液体が固体化して、キャップねじ部分に隙間を作り、液漏れをする可能性もあります。

実際に、液漏れをする患者さんの点眼薬の不良品の有無を、メーカーに確認したところ、キャップ閉めが甘かったことがあります。

患者さん、院長ともに納得しました。

 

そういえば、ドレッシングなど調味料の類も似ているような…

ゴマドレッシングのような粘度があるものは、ついボトルに力が入り、多めにかけてしまいがち。

ノンオイルドレッシングは、逆に出すぎないよう、静かに振り入れます。

穴の大きさ、ボトルの硬さなどもメーカーによって違うはず。

冷蔵庫から出して、並べて、比較検討するのも楽しそう。

実際、『早く無くなるんですけど…』という声が、お客様相談センターにあるかもしれませんね。

 

 

 

 

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