2020.10.27  しゃがんでます?

『今日は、違うスクワットもやってみましょう』

パーソナルトレーニング継続中の院長です。

ルーティンでやっているのは、ブルガリアンスクワット。

片足で立って、もう片方の足先を後ろのベンチにかけます。

片方の足でスクワット(上体を下げ、太ももを水平まで落とす。またもとの位置に戻す。繰り返し)。

初めて指導を受けたときは、自重でも、翌日の筋肉痛は半端ないものでした。

ですが、今では、両手にかなりの重量のダンベルを持ち、スクワット。

毎回限界まで追い込まれます。

 

さて、今回の『ゴブレットスクワット』は、胸あたりでダンベルを両手ですくうように持ち、下半身を下ろしていきます。

太ももと床が平行になるまでしゃがみます。

何回もしゃがんでは立ち…15回3セット。

『そういえば、最近しゃがむことがないですね。トイレも洋式だし…学校のトイレも洋式化しているし…』しばし、雑談。

『僕たちの頃は、まだ、和式トイレだったんですけどね』とトレーナー(30代)。

『しゃがまないと、特に下肢の運動機能が落ちてしまいますね。日本の和式トイレは、知らないうちにトレーニングになっていたんですよ~』もう一度お手本を見せるトレーナー。

 

そんな折、しゃがみ込み動作が運動指導で獲得できるという整形外科学会での報告が、スポーツ医(院長です)の目に留まりました。

しゃがみ込み(和式トイレ姿勢を想像)が困難な健常成人に1か月間運動指導をすると、しゃがみ込み可能になった報告の続報のようです。

閉脚しゃがみ込みが出来なかった小中学生に、医療機関で運動指導を行なった結果、最終継続率24%、成功率50%だったそうです。

運動は、前屈や片足立ちなどから、股関節可動域訓練、タオルギャザーやスクワットなど全然難しいことではありません。

しゃがみ込み動作は、上肢外傷歴(転倒によるもの多い)と関与が大きいので、転倒リスクにも大きく関与しています。

しゃがみ込めるということは、多彩な運動機能が良好であるということです。

 

就学児健診が始まりました。

今どきの5~6歳児は、和式トイレを見たこともない子もかなりいることでしょう。

しゃがみ込みトイレの最初で最後は『アヒルのおまる』?

しゃがみ込み動作の運動指導が必要な時代に??

昭和生まれの院長は、ため息です。

昔、店先でしゃがんでいた不良?たちも、知らず知らずのうちに筋トレになっていたのね~(最近見ませんね)

 

便利な世の中になって、無意識に筋トレになっている動作・作業も少なくなりました。

意識して、豊かな老後のためには、筋トレを。

転倒予防に『貯筋』(なかなか貯まりにくい…)に励む院長です。

 

公衆トイレに和式があったら、健常者は率先して使いましょう。

ちょっぴりですが、筋トレです。

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2020.10.20 抗がん剤と眼

『まつげを抜いてほしい』患者さんは、よく来院されます。

多くは、高齢の方で、まぶたの脂肪の減少などにより、まぶたの肉付きが変わり、まつ毛が内に向き、角膜に当たりゴロゴロしてきます。

傷が出来たり、当たる刺激で涙が出ます。

内側から外側まで全体に内に向いている場合は、手術適応もありますが、部分的な場合は抜去することになります。

 

Aさんもまつげを抜いてもらうために来院されました。

初めて診察した時のAさんの逆まつげにはびっくりしました。

1本1本が太くて、いろいろな向きにカールしているのです。

ビューラーの同方向へのカールではなく、明日・明後日・明々後日方向へ『くりくり』

眼科医人生の中で初めて見るまつ毛の形態でした。

しかも、攝子(せっし)でつまむと、根元からはらはらと抜けていきます。

『驚かれたでしょ!?』

『はい、眼科医を割と長くやっていますが、初めてです』

『これ、抗がん剤の副作用なの。しばらく、定期的に抜いてくださいね』

 

眼科では、初診時、眼以外にも、内科的な病気がないか申告してもらいます。

高血圧や糖尿病は目にも大きく影響します。

しかし、癌までは、眼科医に打ち明ける方はほとんどありません。

 

診療後、調べてみると、Aさんの抗がん剤は『分子標的型』

がん細胞に存在する特殊な物質をピンポイントで攻撃する抗がん剤です。

目に関する副作用として、まつ毛が長くなる長生化やバラバラの向きに生える睫毛乱生がありました。

 

何ヵ月か、まつ毛を抜きに来られていたAさんですが、ある日の診察で…

いつものくりくりのまつ毛がなくなっています。

以前より細く短く、しかし、しっかりした本来のまつ毛に戻っています。

『まつ毛、元通りになったでしょ。抗がん剤、変わったの』

抗がん剤の中止・変更でこんなに変わるとは!?またまた、大きな発見でした。

 

緑内障の点眼では、時に、角膜の傷を引き起こすことがあります。

Bさんは、右眼の緑内障のため、眼圧を下げる点眼薬を右眼だけにさしていました。

眼圧下降効果もあり、順調でしたが、ある日、角膜に傷が。

点眼している右眼だけでなく、もう片眼の目も。

点眼薬による副作用ではなさそう…

様子を見ていたところ、次の受診時は『見えなくなってきた』

角膜の表面の傷だけでなく、濁りまで出てきていました。

眼科的に検査しても説明が付きません。

またまた眼科医人生初。

もう一度Bさんに他科の病気を尋ねました。

『そうそう、今、がんの治療してるんだよね』

 

約1か月後、来院されたBさん『前みたいに、見えるようになった!』

診察すると、1か月前の、角膜の傷や濁りはほとんど治っています。

先の抗がん剤が中止になったそうです。

Bさんの抗がん剤は、殺細胞性。

細胞が分裂して増える過程に作用し、細胞増殖の盛んな細胞を傷害します。

 

この手の抗がん剤は、眼科医の中では、鼻涙管(涙が鼻へ流れていく道)が狭くなったり詰まったりして起こる流涙は周知になっています。

そのための手術なども報告されています。

 

院長が医師になってからの抗がん剤の開発・発展は著しいですが、眼科開業医との関わりはほとんどありません。

抗がん剤による眼への副作用(すべての患者さんにではない)を、今回、しっかり勉強しました。

貴重な症例を与えたくださったAさん、Bさんに感謝と引き続きの治療にエールを送ります。

医師何年経っても、学ぶこと多しです。

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2020.10.13  10.8の記憶

1994年の、プロ野球優勝争いの中日対巨人。

10月8日、同率首位で迎えた最終戦。

盛り上がる中、勝ったのは巨人。

中日ファンにとっては、忘れられない試合になっているようです。

 

今年は、中日の高木守道監督の追悼試合として、中日対巨人戦が行われました。

ドームでファンへのインタビュー『あなたの10.8の記憶は何ですか?』

試合に絡んだ当時の思い出がそれぞれの人の出来事と重ねて語られていました。

 

院長にとっても、1994年の10.8は忘れることの出来ない日です。

当日、今は無き(ミヤコ地下街だけが今も名を留めています…)都ホテルで結婚式・披露宴でした。

式の準備に、部屋から夫と二人でエレベーターに乗ると、途中で乗り込んできた大柄の男性がいました。

降りて二人になってから『今の、巨人の桑田選手だったよね!?』

『そう?』(結婚式に緊張して他が見えていない院長)

『間違いない。特徴的な顔とほくろだった。今日、先発で出るのかな?』

 

院長は、憧れすべてを実現すべく、各種結婚本を読みつくし、結婚式会場を吟味し、衣装や食事・引き出物・演出など要望を実現すべく東奔西走(ネットがない時代です)。

やっとこの日が来たという緊張感で最高潮。

生まれて初めて、メイクさんにばっちりお化粧をしてもらい、着物やドレスのお色直しをし、出席者に披露。

一生に一度のスターになったのでした。

ケーキ入刀写真は、後日、結婚雑誌にも掲載され、やり切った感!?の結婚式・披露宴となりました。

(その後、どんな結婚式にも、衣装にも興味がなくなってしまった院長です。1回限りで良かった!)

 

その晩は、やたらホテルが賑わしく、お祝いムード。

ホテルは巨人の宿舎で、中日戦での勝利・優勝の興奮が渦巻いていました。

片や優勝の興奮で寝られず、片や結婚式の興奮で寝られず(院長です)…

 

追悼戦は、残念ながら1対7で中日は白星を取れなかったようです。

息子も友達と試合を見に行きました。

しかし、10.8を知らない息子たちにとっては、いつもの試合と変わらなかったことでしょう。

 

伝説の10.8と結婚記念日は同じ。

毎年、10.8の報道がされる度、あの日のエピソードが思い出されます。

同業夫婦はうまくいかない例も多々あります。

お互いの譲歩・妥協・尊敬の元、26年を迎えられたことに感謝です。

 

同年10.8は、当時画期的な緑内障点眼薬の発売記念講演会。

主賓の教授初め医局の眼科医は、白ネクタイを外して結婚式終了後、講演会に出席。

忘れられない緑内障点眼薬です。

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2020.9.15  経年劣化

自分では、カレーをもう10年ほど作っていない院長です。

フルで働く母であっても、子供達には栄養のあるものを手作りしたい!のモットーで、あれこれ毎日料理をしていたのですが…

ある日『よく、こんなに美味しくないカレー作れるね』と長男。

材料は、一通りのものですが、野菜不足にならないようにたっぷりの野菜(時には変わり種も)、早く煮えるように薄切り肉。

すごく美味しいわけではないが、まずくもない…程度。

三男には、最後まで持て余すカレーではありましたが…

 

『超忙しい中、母さん頑張っているんだからね!そんなこと言うなら〇〇(長男)が自分で作ったらどう?』

 

『僕が作ろうか』と夫。

材料を自分で調達して、圧力鍋で作ってくれました。

『美味しい~何、これ!?』

『お店のみたい』

『どうやって作ったの?』

牛ブロック肉、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム。

圧力鍋で30分。

調味料・隠し味は秘密!?

『父さんが作ったほうがいいわ~』子供たち絶賛。

 

以後、カレー担当の家人は、カレー作りに情熱を注いでいます。

家庭料理を超えた材料と時間のかけ方。

調理中は『話しかけないで~』と集中!

家族と話しながら、わいわい料理するのも好きな女性(院長)とは対照的。

 

ある時『圧力鍋欲しいな~』

『2個もあるよ』

『でも、取っ手が…。共用だし…』

長年愛用の圧力鍋は、院長のうっかりが重なり、度々コンロの真ん中に置くので、取っ手がガス火で溶けて変形しています(機能に問題なし)。

『自分用のがあるといいよね~買おう』(カレーのためだけに!?と思いつつ)

圧力鍋を色々探したようですが、結局、今ある鍋と同じメーカーのものを注文。

同じ圧力鍋が3個になりました。

 

ピカピカの鍋で、早速カレー作り。

『新品の鍋だから、スペシャルにする!』

お任せします。

お皿に盛りつけられたカレーを、一口食べると、いつも以上に美味しい!

 

『鼻紋付の牛なんだよ!名前も付いていた』

『…』(びっくり)

『隠し味に、ちょっといい赤ワイン入れてみた。深みが出てるでしょ』

『…』(再びびっくり)

食前、とっておきのワインがなくなっていたので、もしや息子が飲んだ?と疑っていたら、答えはここに。

原価どんだけ~?

『最高!』

でない、はずがない。

家人のカレー作りは、趣味。

試食はお披露目会。

そう認識した妻(院長)でした。

 

それでも、家人にお任せの仕事(専任)を作ってしまうと、働く妻は楽になります。

趣味の料理(カレー)以外にも、家にある材料での料理も任せると、一週間に何回かは食事作りから解放されます(一任がポイント)。

 

『新しい鍋で作ったら、水分が今までより減らなかったんだ』

『へー。なんで?』

『前の2つの鍋は、パッキンが緩んでいて、水蒸気が漏れているんだと思う』

院長は、毎日古い圧力鍋を使っていますが、加圧が数分なので、気になったことがありませんでした。

『鍋も人も、古くなると漏れるんだね』

加齢により、男性は前立腺肥大、女性は骨盤底筋の緩みで尿漏れが起こりやすくなります。

『男性も女性も尿漏れの認知度が高まってきたから、患者さんが相談しやすくなったね』

『いろいろケア用品が出てるしね』

そこからは、食事中ながら、夫婦でパッキンと尿漏れの話。

絶品カレーを食べながら、同業者だから許される『あるある』。

 

それ以来、圧力鍋の『しゅんしゅん』おもりの回る音を聞くと、『漏れ』が気になる院長です。

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2020.9.7 茶目のケガ

指先を紙でスーッと切ってしまったとき。

わずかに、『痛っ!』

すぐに、血も止まり、痛みも忘れ、それでも指先の一直線の傷が治るまで何度も見てしまう小心者(院長)。

角膜に同じことが起こったら、激痛!です。

 

日々、目の痛い患者さんが来院されます。

『目』が痛い原因も、部位も様々ですが、角膜(茶目)に病変を起こし場合が『痛い』原因、第1位です。

 

その中でも、急に痛みが起こるのは、外傷(ケガ)です。

 

学校医の関係上、授業中に来院する子供に多いのは

『紙の端が目に当たった』

『友達の指が、目に入った』

『定規が当たった』

『砂が入った』

ボールや肘や足も多い(この場合、奥も検査)。

 

大人では

『子供の指が入った』

『てんぷら油がはねて入った』

『木の枝が目に入った』

『猫の爪が入った』

『漂白剤が入った』

『研磨中に鉄粉が入った』など。

 

角膜(茶目)は厚さ約0.5ミリの透明な組織です。

虹彩(こうさい)の前面にあるので、一般には茶目で通しますが、茶色いのは虹彩です。

角膜は表面から5層構造をしており、『角膜上皮』『ボーマン膜』『角膜実質』『デスメ膜』『角膜内皮』からなっています。

角膜上皮には、たくさんの知覚神経が走っており、網目状の集まり(神経叢・しんけいそう)を作っています。

角膜にある知覚神経終末(末梢神経の先っぽ)は、皮膚の約300倍密集しているので、少しの刺激でも痛みをすごく感じるのです。

元々、眼球自体が他の臓器に比べてすごく小さいのに、その傷と言ったら…顕微鏡でしか確認できない程度のことがほとんどですが。

 

 

紙の縁に相当する一直線の傷。

爪の先の形にえぐれたと思われる丸い傷。

こすったせいで起こしたひっかき傷の固まり、などなど。

 

痛みがあっても、範囲が広くても、角膜上皮だけであれば、割と早く、点眼できれいに治ります。

きちんと治癒するまで、決められた用法を守ることが重要です。

鉄粉の場合は、刺さっている鉄粉を取り除きます。

数日経っていると錆も出ているので削り取ります。

 

外傷(ケガ)以外にも、感染性(細菌・真菌(カビ)・ウイルス)、コンタクトレンズによるものもあります。

長期のコンタクトレンズユーザーは、角膜知覚が低下しています。

(初めて、コンタクトレンズを入れる患者さんは違和感・異物感を感じます(特にハードレンズ)。角膜知覚神経叢が正常なら当たり前のことです)

診察時、角膜に傷があっても、少々の場合は、痛みや違和感を感じません。

だからこそ、定期検査で眼科医のチェックを受けてほしいのです。

 

角膜だけにとどまっているケガは、当院で対応しますが、それより奥は、手術のできる施設へ紹介します。

印象的だったのは、釘が刺さったと、来院された患者さん。

速いスピードで刺さったため、眼球形状は保たれていました(視力も出ていた)。

しかし、角膜より奥(水晶体)にも刺さっていたため、紹介。

無事、手術で回復されました。

 

小学校5年生の時に読んだ『春琴抄』(谷崎潤一郎)。

盲目のお琴に仕える丁稚の佐助。

お琴が賊から熱湯を浴びせられ、その顔を佐助に見られたくないと言ったので、お琴を愛する佐助は、両目を針で突き、失明します。

『わて、針で目を突きました』

想像するだけで、ぞっとし、怖くて怖くて仕方がありませんでした。

(今だと、眼科的考察を述べられますが)

 

今では、どんな眼外傷にも動じず、眼科医一筋の院長です。

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