2023.4.25  八重山にとって…

先月陸上自衛隊が石垣島に駐屯地を開設、その後安全保障についての報道が目に留まるこの頃。

 

石垣島は、昨年島医療・へき地医療への好奇心で訪れた島のひとつ(もう一つは与那国島)です。

石垣島にある八重山病院は、八重山諸島の中核を担う病院。

 

これから就職活動をする医師(老若男女問わず)ではないので、何で?と思われるも、院長(私)熱意により見学許可。

事務方のYさん(THE沖縄姓)に丁寧に案内していただけました。

 

宿泊したホテルの創業記念誌があり、それを暇に任せて読んだのですが、八重山の医療・八重山病院についても書かれており、病院見学前に予備知識が付きました。

 

抜粋すると

2011年に内科医9名中8人退職を受けて地域で『八重山の医療を守る郡民の会』が発足。

八重山病院から移動退職医師たちに感謝状を贈り、新赴任医師たちに歓迎行事を行った。

県や議会に老朽化した八重山病院の新築やドクターヘリの導入などを要請。

島の3高校対象に、医療・介護人材啓発事業(医療職を自前(自島)で育成)。

 

八重山病院は2018年に新築移転。

旧石垣空港跡地に建設。

とてもきれいな病院です。

各専門科がありますが(眼科は休診中)、総合診療医(いわゆる島医者)の育成に力を入れています。

地域医療の研修病院として、全国から研修医が来ていました。

分娩は、島内でここだけなので、大忙し。

未熟児のためのNICUもあります。

小児科も大忙し。

外科・脳外科も大忙し。

特に一人科長では24時間オンコールです。

時間外窓口に救急?患者も多く待っていて驚きました。

 

移住者が多い島ゆえ、都会と同様のニーズが求められるようになっているとのこと。

限りある医療資源(島という特性)を患者側からも考えないと、医療が疲弊してしまいます。

 

海が好きな医師が多いそうですが、島で働くモチベーションとしてはありだと思います。

ON/OFFは大事。

 

潜水病のための高気圧酸素治療室は、島ならでは。

精神科は、こころ科と称され、病棟の入院患者さんも少ないそう。

地域で見守ることが根ざしているのか…?

 

最後にヘリポートへ案内されます。

石垣島も離島ですが、周囲のもっと小さな島々からの急患を受けたり、薬品など物資の空輸にもヘリコプターは必須です。

海上保安庁と自衛隊のお陰で島の医療が成り立っている。

島人にとって、(医療においては)身近な自衛隊のようです。

与那国島も石垣島も周囲の離島も行き来は、空路か海路しかないのですから。

 

色々な人がいて色々な仕事があって…まだまだ知らないことばかり。

かりゆし姿でビールを飲みながら、もの思う院長でした。

生ビールの泡にラテアートみたいに『ハイビスカス』の絵が。

他の2種も描いてもらいたくて追加2杯。

『沖縄来たらORIONでしょ』(の文字)

『シーサー』(の絵)

明らかに飲みすぎた夜でした。

 

『自衛隊』は与那国や石垣の医療をめぐる小さな旅を思い出させます。

与那国島ではレンガ色の駐屯地を横目に海沿いを自転車で走りました。

 

LOVE&PIECEを願います。

 

*5月2日公センセの部屋はお休みです。

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2022.12.20 リアルDr.コトー  その3

翌朝、前日の雨風は止み(と言っても時々降ってくるのが島の気候らしく、何回か降ります)、島内を電動自転車で周ることにしました。  →前回の記事はこちら

与那国島は一周27キロとはいえ起伏が激しいとのこと。

島に沿って道があるので、走っていきます。

サトウキビ畑を横に、ひびの入ったアスファルトを進んでいきます。

晴れると一気に日差しが強い!

日焼け止め塗っておいてよかった。

石垣島の子供には瞼裂斑(瞼裂班)が多いという論文がありましたが、納得。 → 「目が黄色い」

加えて、白内障も進行しやすいだろうな~

展望台に行っても、与那国馬の放牧場を通っても人はいません。

念のため、グーグルマップに次の目的地を入れることにしました。

 

Dr.コトーの診療所を目指します。

ひどい急斜面を降りることになり、途中自転車は置いて進みます。

テレビで見たDr.コトーの志木那島診療所。

一昔前の診療所(昭和~)って感じです。

既にリアル診療所に行き、リアルDr.コトーに会った後もあり、感動はそれほどでも。

でも、自身が離島医療を勉強するきっかけとなったので、見ておかねば。

 

自転車を置いた場所までの上りの急勾配、更に自転車を押しての急勾配に泣きそうになります。

徒歩用にマップを設定していたようで、狭い獣道みたいな経路にはまり込んでしまったのです。

人影は全くない。

役場か診療所にヘルプ!?は避けなければ(いい迷惑)。

過酷な筋トレを課された…のだと言い聞かせ、歯を食いしばり脱出。

 

日本国最西端之碑。

ついに日本の最西端に。

2019年に丸木舟で男女5人が台湾から45時間かけて与那国島にたどり着いた記録が。

それだけ近いということ。

事実、以前は台湾との行き来が盛んな島だったそうです。

 

クルマエビの養殖場・製糖工場を通れば、ここの産業医は?

小・中学校を通れば、学校医も診療所医師が兼務だけど、眼科医は?歯科医は?と、思うこと色々。

 

約半日で1周出来ました。

起伏の多さと急斜面獣道迷い込みにより、体力消耗激しい院長。

ほぼ誰にも会わない道路。

ただの観光というより、ダイビング・釣りの客が多いようです。

 

もし眼科の診療のお手伝いができる日が来たら…

不安もありますが、自身の経験があれば役に立つのでは…とも。

目下、自身のフィールドは『眼科はせ川こうクリニック』。

20年以上にわたる患者さんの眼の健康を最後まで守ることが、一番の使命だと思っています。

離島よりは恵まれた立場ですが、地域医療の信念は変わらない。

総合内科ではないですが、総合眼科(造語)として何でも受け入れる姿勢は貫きたいと思います。

 

与那国空港はとても小さな空港です。

Dr.コトーのポスターが貼ってあります。

島には映画館がないのですが、町の体育館で上映会が開催されたとのこと。

映画館もなくてもいいけれど、あると嬉しい施設のひとつ。

商店も島に数件あるのみで、商品は非常に限られています。

厳しい現実はこんな所にも。

 

なぜか空港の待合室は賑やかというか騒々しい。

中学生たちがおしゃべりしたり、ふざけあったり。

行き先は石垣島。

『何かあるんですか?』気になるオバサン(院長)質問。

『バスケの試合に行くんです』

飛行機に乗って、バスケの試合に!?

離島の飛行機は、こちらの地下鉄と言う感じでしょうか?

島で生まれず(産科施設がない)、生後少し経ってから島に戻ってきた子たち。

高校がないので、15歳になれば島を出ることになる子たち。

 

今回、いつもと違う学びや、考えることが大容量。

離島医療の重みを感じた与那国島の医療体験でした。

 

**********************************************

 

県立八重山病院(石垣島)は別の機会に。

今年も一年ありがとうございました。

 

こちらもご覧ください

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの想い

2022.12.13 リアルDr.コトー   その2

与那国島へは、プロペラ機で入島します。  →前回の記事はこちら

蒸しっとした暑さと、ひどい強風と雨(突然降って突然止む)。

南の島~のイメージは到着後、すぐ打消し。

 

島は周囲約27キロ。

人口は1700人弱(ちなみに当院がある名古屋市緑区は約25万人)。

与那国診療所は、島に3つある集落の最も中心の集落にあります。

町立ですが、地域医療振興協会(JADECOM)の管理となっています。

所長(といっても医師一人)こそ、リアルDr.コトーのS先生です。

S先生は、JADECOMの理事ですが、先月で医師不在になり、急遽那覇から与那国に移住し、診療されています。

無医島にするわけにはいきません。

沖縄県には離島が多くあり、JADECOM、県立病院からの派遣、その他経路で医師が診療に従事しています。

みんなリアルDr.コトーです。

 

この日は、割と一般的な病気ばかりだったので、救急搬送をしないといけないケースはありませんでした。

電子カルテが導入されており、CTも設置。

地元の患者さんはそれほど多くないのですが、観光客の増加に伴い多忙になる時も。

一応何でも見ないといけないので、総合診療の現場でもあります。

そのため、初期研修医の地域医療実習機関にもなっており、1年目の医師が1か月研修に来ていました。

いい年をしたオバサン医師(院長)が突然何しに?と、当初、不審そうな目。

そうですよね~(ちゃんと、自分の経歴を説明)。

 

島の医療体制で限界と思ったら、すぐ石垣島や本島(沖縄)に紹介するのが、離島医療の約束。

一人で抱え込まないのは、何処の医療でも同じ。

ヘリや飛行機・船で島外の医療機関に受診して、軽症なら何より。

手遅れにならないように見極めることは、島医療で大事なことです。

Dr.コトーは一人で大手術もしてしまいますが、それはドラマならでは。

 

眼科・皮膚科・耳鼻科・整形外科・産婦人科は月に一回2~3時間外部からの医師による診療があります。

数時間の診療なのは、医師が日帰りのため。

 

カバーが掛かった眼科の機械は、割と新しい。

外来開設に合わせて導入したとのこと。

しかし、最低限のものしかなく、特に眼科は精密光学機器の発展が著しいので、初期の診療にとどまらざるを得ない歯がゆさを感じました。

緑内障のフォローは難しい…

 

先日、鉄粉が入った患者さんが来院。

取れず、石垣島の眼科へ紹介したとのこと。

『どうすれば?』と聞かれ、『眼科医なら顕微鏡下で鉄粉を削り取ります(お手の物)』と答えるも、眼科医でも顕微鏡がない場合は無力だ…と気付く院長でした。

 

産婦人科も月に1回。

妊婦は予定日1か月前になると、島から出て、石垣島や本島・里帰り出産の準備をします。

それ以前に破水でもすれば、ヘリで搬送です。

 

島に暮らす人は、島医療の限界を知っているから、島外に行くことにはそれほどハードルが高くないようです。

石垣島へは、飛行機で25分、フェリーで4時間ですが、生活用品や診療など結構日常的に出かけることが多いようです。

 

民宿の食堂で3人で夕飯を。

ひどく疲れていた院長。

お疲れさま!の一杯が欲しいところ。

S先生は飲まない(飲めない)のだとか。

常にオンコール。

携帯の119が鳴ったら出勤です。

離島では、飲めない体質の方がいいようです。

土日は休みですが、島外からは出られません。

かといって、島内で何をするかというと…?

好きな趣味やすることがあればいいのでしょうが。

院長も若い頃、岐阜の地方の病院に赴任、仕事後は手持ち無沙汰になった記憶が。

結局、地元のオジサンオバサン(と当時は思っていましたが、50~70代)の文化人サークルと称する飲み会に入れてもらいました(一応紹介承認制)。

代診の派遣でまとまった休暇がとれるような制度はあるそう。

医師も人間、解放される時間は必要。

 

島医療の熱い話を聞きながら、医師の生き方あれこれ、自分の来た道あれこれ交錯。

布団に入ってもなかなか寝付けませんでした。

 

*次回に続きます*

カテゴリー:健康 公センセの想い 公センセの日常の出来事

2022.12.6 リアルDr.コトー  その1

地図を眺めるのが大好きな院長です。

行った所は、回想を。

行ったことがない所、行ってみたい所は想像・妄想を。

 

北は稚内・利尻島・礼文島まで(学生時代)。

南は石垣島まで(家族旅行)。

石垣島は、子供たちが小さい頃だったのでマリンスポーツ三昧。

そして、西表島を筆頭に周囲の離島観光。

ドタバタの珍道中だったけれど、過ぎてしまえば懐かしい思い出(親だけ)。

 

さて、石垣島・西表島を南下すると、日本の最西端の島『与那国島』。

どんなとこだろう?

以前から気になってはいたものの、行くにはハードル高し。

名古屋から1791キロ。

石垣島から117キロ。

日本最西端の岬の先は、111キロ先の台湾。

 

与那国島は『Dr.コトー診療所』のモデルにもなっている島です。

吉岡秀隆さん演じる主人公『Dr.コトー』と島の人の医療をめぐるヒューマンドラマ。

自身の吉岡さんのイメージは、『北の国から』の純、『男はつらいよ』の光男。

どちらも、ほぼリアルタイムで見たので、院長の年代が分かるというもの。

『Dr.コトー診療所』は、現実にはない虚構(医療ドラマはほぼそうです)で職業柄興味もなく、つい最近再放送で見たくらいでした。

 

院長は、旅先・学会先で、つい病院や医院の看板や建物に目が行ってしまいます。

ここでどんな先生がどんな診療をしているのだろう?

地方に行けば尚更で、時には宿の人に質問してしまいます(変人の客かも?)

 

Dr.コトー診療所のロケ地やモデルの診療所が今もある与那国島。

リアルな診療所が実在するはず。

実際、町立の与那国診療所があります。

そこではどんな医療がされているの?

架空の島『志木那島』でなくて、与那国島のリアルDr.コトーに会いたい。

離島医療を知りたい、勉強したい!

動き出した知的好奇心は止められず…

手紙をしたため、電話をし…と、我ながら驚くほどの積極的なアプローチにて、見学出来ることに。

 

実は、院長は過去に一度だけ離島医療に従事したことがあります。

まだ、大学病院にいた頃。

当時、鹿児島のある離島に月に一度、ローテーションで外勤がありました。

土曜の朝に名古屋空港(小牧です)を発ち、鹿児島で別の飛行機に乗り換え、島へ。

土曜の午後と日曜の午前診療を終えて帰路に。

1か月に1度の外来に、多くの患者さんが来院されたこと。

急を急ぐ病気や、経過を見ないといけない患者さんは、奄美大島や鹿児島に送るしかなかったこと。

他科の医師と話して、色々な生き方・働き方があるのだと知ったこと。

大学病院しか知らない若造(院長)は、結構な刺激を受けました。

 

*続きは次回に*

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