2023.11.21  卵1パック

院長の産業医としての職場はスーパー。

 

店内の巡視もずいぶん見るべき点を抑えられるようになってきました(自己評価)。

冷蔵・冷凍商品がロードライン(商品陳列の上限ライン)を越えて積まれていないか?

店長さんが気付いて並べ直す前に、気付けるようになりました。

バックヤードでシマウマラインからはみ出ている台車を見つけて元に戻せるようにもなりました。

スーパーのパートさんとして採用されたら、意外と間に合う人だと評価されるかも!?(勝手な妄想です)

 

さて、今回は年に一回の健康診断の評価もあります。

健康診断結果を基に、受診勧告をしたり、就労制限をかけたりします。

職種・職場によって就労制限は違います。

毎回気になるのは、太った人が多いこと。

ちょっとぽっちゃりならまあ…ですが、肥満の域に達している人の多いこと。

もう少し体重を減らせば、血圧も血糖値も改善するのにな~と思いながら、治療中でない人には受診勧告を。

スーパーには手軽で美味しいものがたくさんあるので、どうしても手に入れ口に入れる機会が多くなります。

 

新店長が赴任して3か月。

店長さんと健診結果を見ながらあれこれ。

店長:『センセイ、僕、単身赴任でこっちに来てから7キロ瘦せたんですよ!』

店長さんは、かなり大きい人です(どっちにも)。

公センセ:『え~!?そうなんですか!(気づかなかった)すご~い!』

店長:『家にいるときは、出された夕飯全部食べていたから。それに、子供の残りも』

公センセ:『それは、奥様思いかもしれないですけど(どれだけの量?)、全部平らげてたら体重減らないですね~』

店長:『一人だからあまり食欲がなくなったのもありますけど…』

公センセ:『例えば、昨日のお食事は?』

店長:『朝は、ご飯と鮭と漬物。昼は総菜の弁当とラーメン』

公センセ:『お昼、そんなに!?』

店長:『1日で昼しかちゃんと食べられないから。その代わり、夜は米抜きです』

公センセ:『なら、まあね~で、夜は?』

店長:『鍋ですわ。白菜4分の1もやし一袋にうどん一玉入れて』

うどんは、十分米の代わりですが…

栄養指導と運動指導もしたほうがいいかも。

 

最後は、投書箱『お客さまの声』の話題に。

院長も毎回読んでは、くすりと笑ったり、こんなストレート(名指し)な辛辣な投書があるのだと反面教師にしたり。

毎回、店長からの返事を付けて掲載されています。

店長が嬉しそうに見せてくれたのは、ルーズリーフ1枚にびっしり書いてある感想。

先日、ハロウィーンに合わせて、かぼちゃの重さ当てクイズを催したそう。

応募者は延べ2400人。

楽しい気分でイベントに参加したこと、何枚も出したのに当たらなかったけれど多くの人が当てたこと、ちゃんと当選者に商品が行き渡ったこと…など、感謝の手紙でした(筆跡・内容から中年女性のよう)。

店長:『こういう手紙をもらうと、また頑張ろう!って気になります』

院長も同じ。

患者さんからの激励は、院長はじめスタッフのモチベーションアップの源です。

 

公センセ:『当てた人は何人くらいでした?』

店長:『それが…なんと140人でした!予想以上に当ててましたわ』

公センセ:『当たりの賞品は何だったんですか?』

店長:『当てた人には卵1パックプレゼント』

公センセ『では、全員に?』

店長『そう、約束通り140人分配りました!』

 

院長、産業医をしているこの職場がますます好きになりました。

 

 

カテゴリー:産業医

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

猛暑の中、産業医の出勤日です。

さすがの暑さに、本日はシャツとパンツ・スニーカー。

 

スーパーの店内に入ると、すっーと汗が引きます。

そのまま店内を進み、スライドドアの前で店内に向かってお辞儀、バックヤードに入ります。

スーパーやデパートの店員さんが、バックヤードの入退の際にお辞儀をしているのを見たことはあるけれど、当然したことはなかった院長。

産業医になって、スーパーに出入りするようになり、入退時のお辞儀にも慣れてきました。

 

事務所に入ると、院長より若いと思われるスタッフAさんが『センセイ、細い~』

Aさんよりは細いのは事実ですが、か細くはありません。

華奢だったのは遠い昔で、今は筋肉質になっています。

『センセイに言われて、お昼菓子パン買うのやめたけど、なかなか体重減らないわ~』

 

年に一回、スタッフの健康診断結果を見て、就労可能かどうかを判定します。

産業医着任初年度は、張り切って、肥満が要因でいくらか健診結果に異常が出ている人たちにお話をしました。

『体重あと○○キロ落としたら、血糖値下がるはず』

『毎日30分歩いたら、体重も血圧も下がりますよ』

『お昼ご飯を総菜コーナーで買う時は、炭水化物中心ではなく、たんぱく質意識して』などなど。

Aさんも指導対象だったのです。

お昼ごはんに菓子パンをやめただけエライ!

 

『運動もしたほうがいいですよ~』

『はい、週に何回かは歩くようにしてます』

『その調子!あとは筋トレとか…家の中でもスクワットとか…』

早速ブルガリアンスクワットを事務所の椅子に片足載せて披露します(本日パンツなので)。

『え~そんなの無理!足が開かない!』

『その場合は、足を前後に開け(自分の出来る範囲で)体を上下させることから始めてみて~』

オバサン院長ですが、いつもは左右12キロずつのダンベル持ってのスクワットです。

『センセイ、若~い!』(お世辞でも嬉しい~)

 

 

さて、いつものように安全衛生委員会。

他店の労災。

50代女性:お客さんに呼ばれてレジに戻る際に、床につまづき転倒、膝の骨折。

作業場・店内・構内では走らない、慌てないと再通達。

お客さんに何か言われたら焦って…と行動した結果の骨折ではやりきれません。

他に推測の域を出ないのですが…とコメント。

もしかしたら、つま先を挙げる筋肉・前脛骨筋(ぜんけいこうつきん)や足裏の筋肉・足底筋群(そくていきんぐん)の筋力低下もあるかも。

つまずかない・つまずきそうになっても耐えられる足の筋力は重要です。

足の筋トレもしましょう。

 

いつものように巡視を。

霜取りとかアブソーブドソックスとか、冷凍ケースからの漏水が度々問題になっていたのですが、遂に冷凍ケースが刷新されました。

縦型でそれぞれスライドドアがついています。

旧冷凍庫よりも商品の種類も多く陳列可とのこと。

野菜・パスタ・冷凍麵・夕食・簡単調理・アジアン・スナックなど、扉の前に表示されており、探しやすく新商品を見つけるのも楽しそう。

売り上げは、同年比較で最大1.7倍、ほぼ1.2倍とアップしたそうです。

冷凍庫が縦長タイプになっただけで!?

見やすさ、新しさ、実際の商品の多さで、院長も全部チェックしてみたい…と思うほどです。

水漏れによる転倒のリスクもなくなり、これに関しては労災発生ゼロになるはず。

 

巡視終了、本日の業務も終了。

お楽しみの?新冷凍庫の新商品を探して帰ります。

 

*8月15日の公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 産業医

2023.5.23   労災発生

水田地帯を電車は走っていきます。

田植えの時期。

子どもの頃は身近だった風景なのですが。

名古屋に暮らし、地下鉄ではわからない景色・変化。

 

今日もローカル電車に乗って職場(産業医)のスーパーへ。

 

事務所に入って早々、先月からの報告をもらいます。

『とうとう労災が起こりまして…』

ついに…

他店の労災ニュース報告書を見るたびに、店長の『当店では今月もゼロでした』に安心していたのに…

 

70代女性。

場所は、魚売り場(のバックヤード)

清掃時、ホースで水を流し、その後魚油などのグリストラップ(排出溝)の掃除をしようとしたところ、滑って転倒。

瞼を切って縫合することに。

けが自体は大したことにならず幸いでした。

グリストラップ清掃中のため、長靴の底に若干ぬめりがあり、通常より滑りやすくなっていたのでは、と推測されます。

今後、水を撒く前に、グリストラップの清掃作業をするよう、順序を変えました。

 

労災報告には、原因・発生状況と原因分析(管理上の要因・物的要因・人的要因)・再発防止対策を記すようになっています。

書式を見て、ヒヤリハット報告書にも使えると思いました(真似しよ~)。

 

気温も上がり、温度管理の徹底も喚起。

冷蔵ケースは、上からエアカーテン(冷気)が下に向かって流れ、手前の吸入口に吸い込まれていきます。

この繰り返しで、商品の冷却が保たれます。

また、平置きの冷凍ケースでは、ロードラインのメモリがあり、これを越えて商品を積み上げてはいけません。

ロードラインオーバーは、ずっと品温が高い危険な状態ということです。

ケースと品物の高さによって、何段までなら積み上げOKか決まります。

吸入口を塞ぐような商品の陳列もいけません。

 

商品の温度管理が不完全になるほか、電気代の上昇や冷ケースの故障にも直結します。

 

安全衛生委員会が終わると、巡視です。

今日の議題を念頭に入れて、冷ケースを見ます。

ロードラインOKか?吸入口OKか?

『こういうのは、いけません』と店長。

袋うどんが、前面の吸入口を塞いでいます。

お客さんが、商品をかき回した形跡。

きれいに並べ直します。

 

乳製品の袋詰めも、前面の吸入口を塞ぐように置いてありました。

 

冷凍ケースでは、おそらく下の商品を取ったため、隣の冷凍商品が高く積まれていてロードライン超え。

 

巡回中だけでも、そこそこ見つかります。

商品を整列するも、お客さんが手に取れば乱れ、再び直す。

この繰り返し。

商品をきれいに陳列された状態に保つことは、スタッフのまめなチェックが必要です。

院長も、地元のスーパーに行ったら、吸入口も商品が置かれていないか、ロードラインが守られているかの視点で見てみます。

手に取った商品を戻すときには、きちんと元の場所へ。

お客心得です。

お客さんが気を付けてくれれば、スタッフの手間も少なくなります。

スタッフの手間や品質管理のため、縦型の冷凍ケースも搬入予定です。

 

冷蔵・冷凍ケースに重点を置いた今回の巡視。

職場のチェックをしながら、目に入って来る商品の数々もチェック(心の中で)。

鉄板焼きハンバーグ(パッケージからして美味しそう…)

今川焼カスタード(チョコもいいな~)

現場用語も、新商品も目新しいことだらけで、毎回、社会見学の小学生みたいな院長(一応産業医)です。

新しい知識と、気になった商品をお持ち帰りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:産業医

2023.4.4  しまとらライン

スーパーの産業医の仕事も慣れてきた院長です。

 

事務所に入ると、『あれ?いつもの席にいつもの人がいない』

いつも早めに到着する院長ですが、中の雰囲気も少し違います。

間もなく入ってきた見知らぬオジサン(向こうも見知らぬオバサンて思ったはず)。

『産業医さんですか?今月から赴任してきた店長の○○です』

店長交代です。

産業医をして知ったのは、スーパー業界の店長は転勤が多いこと。

結構短いスパン(この業界では普通)で転勤があり、単身赴任のことも多くあります。

関西からの赴任。

聞くのは赤みそと醤油の濃さ。

 

さて、いつもの安全衛生委員会が始まります。

先月の全店舗での労働災害の報告と、自店舗ではゼロだったことが強調されます(何より)。

議事録一通りとヒヤリハットの報告。

その中で、冷凍ケースからの水漏れの話が。

ミートペーパー?初めてのワード。

後から巡視で確認、確認と。

 

毎回の店内巡視です。

出入り口付近には、テープで囲みがあり、囲み内にかかるように物品が置いてありました。

『これはいけませんね~』

と、段ボールをどかす店長。

『しまとらライン内には物を置いてはいけないです。出入りや緊急時に危ないので』

しまとらライン?

黒白線模様テープで囲ってある箇所と、黒黄線模様テープで囲ってある箇所があります。

バックヤード通常の出入り口は黒白、外部への搬出入口は黒黄。

黒白テープ=しま馬

黒黄テープ=とら

合わせてしまとらラインと言うよう(たぶん)。

黒白はともかく黒黄は特に注意を引きます。

 

うちのクリニックでも見た…

駐車場に電灯が設置されています。

陽が落ちると自動点灯する割と大きな電灯です。

ある日の夕方、車が電灯にぶつかったと患者さんから連絡がありました。

駐車場の隅に設置されているのですが、よく見えなかったとのこと。

電灯の柱はこげ茶色。

夕暮れ時は見にくいこともあるのかも?(その一件だけでしたが)と、柱に黒黄のテープを巻いてもらいました。

以後は、一度もトラブルがないので、役に立っている(目印になっている)のだと思います。

 

冷凍ケースが一台故障中。

霜取りの熱線が弱くなっていたり、排水が詰まっていたりと原因は色々。

老朽化に伴い定期的に買い替えです。

ケースを移動するわけにいかず、冷凍ケースの下にはアブソーブドソックスが。

水漏れを吸収する靴下型の給水グッズです。

このワードも馴染みになりましたが、担当したばかりの頃は?

ミートペーパーは、肉売り場にある肉の汁気を吸い取る大きな巻き取り紙です。

ロールを適当に切れば、雑巾代わりにもなりそう。

またまた、うちに欲しい…

 

このスーパーは、通路がとても広いです。

以前は、通路にお値打ち品コーナーがたくさんあったそう。

お客さんは、お値打ち品ばかりに目が行って、通路両側の利幅が大きい商品を見ずに素通りしてしまうことが多かったそうです。

お値打ち品ではなく、通路に整然と並んでいる商品こそ、スーパー側からは買ってほしい品々。

 

子どもが小さいうちは、宅配を利用し、スーパーではお値打ちコーナーへ。

今は、大人だけ(子供も成人ですが)で人数もスリム化し、スーパーやデパ地下でうろうろして何か買うのが楽しみになっています。

ちょっといいモノを買ってもいいよね~と思いつつつも、お値打ち品コーナーのチェックは怠らず。

スーパー愛好者の院長にとって、この職場は、毎回新発見です。

 

 

 

カテゴリー:産業医

2023.1.24  ロボ発熱

始業前に、スーパーの入り口の掲示板に貼ってある『お客様の声』を読む院長。

今日も産業医(帰りはお客)としてやってきた職場のスーパー。

 

例えば…

ゴミ箱の設置についての苦情・提案(家庭から持ち込む人がいる)

レジの横入りについての苦情

セルフレジ台に水がたまっていたので商品が濡れてしまった

パックが甘くて、中身が飛び出してバラバラだった

店内が寒すぎる

などなど。

怒りのあまり、『ふざけんな!』とか『本部にも報告する!』と書いている人も。

匿名なので誰かかは不明ですが、お客様に違い無し。

店長は、それぞれの声に真摯に回答しています。

 

中には

とてもいい感じ、頑張ってください!

とか

○○パン大好きです。パンは○○(当スーパーのベーカリー)と決めています!

と嬉しい声も。

 

当院は小さなクリニックなので、患者様の声カードは設けてありません。

そのためか院長が、苦情や提案を受けることが多いように思います。

もちろん、お褒めやエールも。

スタッフが受けた場合も院長にすぐ報告が来ます。

事実を確認し、お詫びするべき事項はする。

改善すべき点あれば善処する。

ただし、現時点でクリニックとして無理・不可能で受け入れ難いことについては、説明し了承をしていただく。

苦情を聞く事は嬉しいわけはないですが、話しやすい院長であることは、有難いとも考えています。

気になる事を何も言わずに帰られるより、何でも言っていただけることで、患者さんとの距離は縮まると思っています。

今の時代、かなりアナログですが。

 

 

さて、先月他店舗で、台車に引っ掛かり転倒骨折と言う労災事故が発生。

視界に入らず引っ掛けたよう。

あの大きな台車(ペットボトルなどの飲料ケース用)が目に付かなかった!?

視野は大丈夫か?

などと考えながら巡視。

 

『どうやって引っ掛けたのでしょう?』

『台車も色々な種類がありますよ』

菓子パンのケースを乗せる台車。

軽い野菜を載せる台車。

魚を載せる台車、など。

手押しがなくても台車と言うそうです。

用途に応じて大きさ、重さも変わっていきます。

特に、ほぼステンレスの枠組みだけの台車は、ケースが載っていない場合、骨組みのみです。

『これはうっかりしていると引っ掛かり転倒するわ~』

対策としては、使用後は速やかに定位置に戻す。

ケースの段が低い、もしくはケースがない状況を作らないことです。

 

実は、買い物かごがたくさん積んであるのも同じ理由なのだそうです。

買い物かごが少ないと、お客さんの視界に入らずつまづいたりする恐れがあるそう。

院長も、スーパーに行くたびに、買い物客数に比してカゴが高く(多く)積んであることに気づいていましたが、その理由を知って納得。

 

 

惣菜部門では、寿司ロボの調子が悪いとの事。

少し熱を持っているようです(ロボットも発熱?)。

寿司ロボは、上から酢飯を投入すると、下に10個の握りとして出てくるというもの。

それぞれにネタを載せて握り寿司の完成です。

そういう仕組みだったのね~

総菜部門には、家庭にない珍しい調理器があり、『ちょっと欲しい…』と思うことも。

(そんなに握り寿司食べる?やっぱりいらんわ~)

 

もうすぐ節分。

恵方巻と合わせて、握り寿司は売れ筋商品となります。

ロボットも治療(修理)してもらい回復なるか?

 

スーパーに並んでいる握り寿司を見るたび、寿司ロボを思い出す院長です。

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 産業医

2022.2.1 値引きを当てに

産業医の仕事で使う郊外のローカルな駅。

駅の近くには、自転車預かり所が何件か。

木造の家屋の中に自転車がきれいに整列しているのを見ると懐かしさを感じます。

『とらや』などと書かれた屋号を横目に仕事場に向かいます。

 

毎回、労災事故の確認をします。

担当スーパーでの発生が、一件もないのは何より。

全店舗の件数・事例も報告され、ほとんどは、転倒・切創。

整理整頓・作業手順の徹底が求められます。

 

毎回の巡視。

午後のバックヤードは、忙しさから解放された時間です。

総菜売り場では、排水溝?の掃除をしていました。

『今日は、グリストラップの掃除をしているんです』と店長さん。

ブリストラップ?

指しているのは、排水溝のような場所。

初ワードです。

メモ、メモ。

『ブリストラップとは何ですか?』

『ブでなくてグ。

グリストラップです(調べるとGrease(油)  Trap(罠)という英語表記)。

調理油が直接下水に流れないようにする装置のことです』

見せてもらうと、結構な油が付着しています。

 

グリストラップとは、業務用の厨房に設置が義務付けられている『油脂分離阻集器』のことです。

厨房から出る排水に含まれる油やゴミ(野菜くずや残飯)を直接排水に流してしまうと、自然環境への悪影響が考えられ、それを防止するための装置です。

飲食店やスーパーなどで発生した汚泥は、一般ごみではなく業者に委託しないといけません。

 

1槽目:厨房排水に混ざっている残飯や生ゴミを除く

2槽目:水面に浮上する油脂と、さらに細かい汚泥を分離

3槽目:汚泥と油脂をある程度分離した排水を下水道へ

 

1のバスケットの洗浄は毎日、2の浮上油脂の清掃は週1、沈殿物の清掃は2週間から月に1度清掃をするそうです。

 

『今日は、もう総菜作りはおしまいですか?』

『売れ行き見て追加します』

『売り切ったらおしまいじゃないんですか?』

『そうですね。

残っても廃棄になれば処理費用が掛かります。

余っても売り切らないといけませんからね。

でも、半額にすると利益出なくなっちゃいますしね。

残量と値引き率は毎日変わります』

『ほ~』

『それに、8時過ぎると値引きを当てに買いにくるお客さんも多いんです。

特に単身のお客さんは、ついでに飲み物やお菓子も買ってくれますし。

値引き品が全くないと何にも買ってくれないんで(他へ行ってしまう)』

『そうなんですか!?』

 

残量に対する値引きの設定もなかなか難しそう。

修業がいります。

 

毎回、新しいことを知る産業医(院長)です。

値引き品を買ったら、値引かれた分で、何か余分に買いましょう!

スーパーもお客さんもWin Winになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2021.9.28 契約更新

学校医は、学校保健委員会や就学時保健委員会など、年に何回かある委員会に出席します。

必ず校医として発言の場が設けられるので、意見や見解を述べます。

 

さて、産業医は安全衛生委員会の出席があります。

安全衛生委員会とは、その事業場における衛生に関する問題について関係者が話し合いをする場のこと。

労働安全衛生法に基づき、常時100名以上の労働者を使用する規模の事業場で、月1回以上開催することになっています。

 

担当するスーパーでは、委員長は店長さんです。

安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が会社側のメンバー。

労働者側からも何人か参加します。

水産部門・畜産部門・農産部門・総菜部門…など、各部門ごとに。

 

嘱託産業医の院長は、毎回出席は難しいので、その時は前回の議事録を見て、店長さんに質問します。

スーパーという職場柄、スタッフの皆さんは、エプロンや長靴・コックシューズのままで委員会に駆け付けます。

全店舗の労働災害の報告が人事部から毎月入って来るので、その報告から始まります。

 

毎月、スーパーで多いのは転倒事故です。

高齢の従業員の転倒が多くなると、ケガも重症化しやすくなり、休業も長期化しやすくなります。

転倒の主な原因は、滑り・つまづき・踏み外し。

 

水産部門の水・氷や総菜部門の油など、スーパーは滑る場所が多いので注意が必要です。

アイスクリーム搬入時に床が濡れてしまい、高齢のお客さんが転倒してしまったという事例も。

濡れ・汚れを見たらすぐ清掃を。

あわせて、お客さん(主に子供)が、店内でする嘔吐することも結構あるそうなので、迅速な処理を。

冬場はノロウイルスにも注意ですが、『汚物処理ツールボックス』と言う専用キット(初めて知った!)があるので、手順通りに使用すれば良さそうです。

買った商品(大物)を忘れるお客さんにも驚きましたが、店内嘔吐事故?多数発生にも驚き。

 

以前の巡視で指摘した切れの鈍くなったかぼちゃカッターは新しくなりましたが、他店での巻きずしカッターでの切創事例を聞くと、鋭利すぎも怖い。

気を付けて取り扱ってほしいものです。

労災事故は極力起こりませんように。

 

食品を扱うので、作業場の温度管理も重要です。

冷蔵庫や冷凍庫から商品や材料を取り出す際には、事前に作業場を冷却しておくことは、毎回、店長さんが繰り返し言うことです。

一般家庭なら、冷蔵庫からエアコンの効いていない室内に出して調理、と言うことはよくあります(院長も)。

しかし、職場では、たとえ少しの時間でも、まず作業場を冷やしておくことが徹底されます。

食中毒の発生は致命的なので。

 

店内はいつもひんやりしています。

売り場は24度。

しかし、揚げ物作業場では27度にもなります。

火傷しないように、長袖長ズボンキャップなので、まめな水分補給を勧めます。

一方、水産作業場は18度。

制服だけでは、体の芯まで冷えてしまうので、支給のインナーを着用しての作業です。

同じスーパー内でも、かなりの環境差があり、個々の健康を維持しながら、作業を効率に進めるために勘考しています。

 

院長も産業医として、意見を求められます。

初出務の時は、ドキドキしていましたが、だんだん概要が分かってきたこともあり、この職場が好きになっています。

 

『次回は〇月〇日でいいですか?』

『はい、大丈夫です。伺います』

 

あれ?1年契約だったのでは?

どうやら本部から契約更新してもらえたようです。

産業医の成長物語?は続きます…

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2021.7.20 仕事の帰りに

スーパーの産業医の仕事も、この時期になると、新型コロナ対策に加え、スタッフの熱中症予防、食中毒予防のための食品温度管理も話題に取り上げられます。

 

暑くなると、飲料やアイスクリームの売れ行きは良くなり、在庫補充管理で忙しくなります。

慌てて、大量の飲料を積み込んだ台車で自分の足の甲を轢いてしまった事故も他店では起きていました。

荷重量があったにもかかわらず勢いよく台車を動かしてしまったのが、原因。

力任せに台車を動かさない。

積載量を減らすか、複数人で動かすのが、再発防止対策。

ヒヤリハットの報告は、当院も朝礼時に共有していることなので、職種は違っても参考になります。

 

その日、ある冷凍室はがらんどう。

清掃の日でした。

冷凍庫ではなく冷凍室。

隣の冷蔵室も同様に広い。

ふだんの生活では見ることのない小部屋に、このスーパーの冷凍食品の在庫が保管してあります。

 

7月は切創事故防止月間(強化期間)です。

スーパーの裏側は、切れ物が多く、しかも業務用なので本格派。

かぼちゃカッターは、機械自体が重いので、清掃中にバランスを崩して切創が起きやすい。

畜産のスライサーは、刃に当たるだけで切れてしまうので耐切創手袋の着用を。

水産では、水気をふき取る際に包丁で手を切ることが多いので注意。

惣菜では、巻きずしカッターの機械を分解するときに刃に触れ切創となることが多いので注意。

巡視のたびに、本格派の刃物・スライサーを見てぶるっとする院長です。

 

巡回中、かぼちゃカッターの切れが悪いと現場より。

『事故防止のためにも新しいのに買い替えましょう』と産業医(院長)。

『いいんですか?』とスタッフ(店長さんを見る)

『いいですよね。事故が起こってもいけませんし』

『もちろんですよ、新しいのにしましょう。その代わり、新しいのは、刃がよく切れるから、そっちも気を付けてくださいね』と店長。

次回は、新しいかぼちゃカッターが見られそうです(すごく切れそうで怖いです)。

 

スーパーひとつとっても、色々な職種・部門があり、毎回新発見です。

 

先日の新型ワクチン接種当番日。

大型ショッピングセンターの接種会場へは従業員出入り口から。

バックヤードを通るときは、つい産業医の癖で見ている自分に気が付きました。

 

さて、産業医の職場に行くことも、小さな旅なのですが、今回オプションを。

職場と同じ町に温泉があるのを発見しました。

バスもない2キロの道を、職場のスーパーで買ったペットボトル(自販機より断然安い!)を携え、グーグルマップを頼りにてくてく。

夏日に、時速6キロ(院長通常時速)で歩くと、汗が吹き出します。

やはりパンツとスニーカー・リュックで正解でした(いつもは仕事用鞄・パンプスです)。

広いお風呂に、地元のおばあ様2人連れ2組、祖母と孫1組。

露天風呂と大浴場に浸かって『はあ~極楽~』

神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩などの効用が。

よく浸かったと思って、出るとわずか20分弱。

それでも、日頃の筋肉痛(ほぼ年中筋肉痛)が取れたような…

着替えてさっぱりした後は、再び歩いて駅へ。

小さなオプションでも、ちょっとしたミッションを果たしたようで、一人ほくそ笑む院長でした。

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2021.5.25  深夜労働

産業医としての職場はスーパー。

先月、ドライブがてら職場にお買い物へ。

道路の混雑もあり、車でも1時間以上。

やはり電車で行くのが気楽です。

はるばる来たので、1週間分の食料をまとめ買いしてきました。

お客としても優等生な?産業医です。

 

今回は、深夜業務従事者の健診結果を確認しました。

深夜業は、午後10時から午前5時までの時間帯の業務です。

深夜業の交代制勤務で多いのは、ライフライン関係・飲食・宿泊業・製造業・運輸・医療福祉・その他諸々の順。

当スーパーも午後11時まで営業しているので、該当する従事者がいます。

 

深夜業を含む交代勤務では、不規則な生活習慣や生体リズムの乱れにより、病気発生のリスクが高まります。

睡眠障害(不眠など)・胃腸障害・生活習慣病(肥満・脂質異常・高血圧・糖尿病・心筋梗塞・脳卒中)。

前立腺がん。

女性では、月経周期の乱れや流産・早産、乳がんも。

 

安全衛生法では6か月ごとに健康診断を義務付けられています。

 

健診結果を見ながら

この血圧では…

このHbA1c(糖尿病の指標)では…

などなど、気になる人には精査を勧めます。

あまり数値が悪いと、産業医が就業措置を検討しなければいけません。

店長さんがスタッフをよく把握しているので、紙面だけでなく、その人を何となく想像できました。

 

遅くまで営業しているのは、昼間よりはお客が少ないながらも需要があるから。

ライフスタイルの多様化は小都市でも進んでいるよう。

院長の過去の深夜業務は、研修医時代の居残り(仕事覚えるため)と研究補助の2時間おきの眼圧測定(この研究で院長も博士論文を)、病院勤務時代の当直。

まだまだ若く元気いっぱいの頃だったので、体力的に苦だとは思いませんでした。

 

しかし、ほぼ規則正しい毎日を送るこの頃。

年に一回の医師会の夜間休日診療で午後10時頃に帰宅すると、その日はなかなか興奮して寝付けません。

 

安全衛生委員会では、初めて聞くワード(業界用語)が出ます。

『ロードラインを守る』

ロードラインとは集荷限界線で、その線を超えるとケース内温度が既定の温度(-18度以下)に保たれなくなる限界を示す線です。

冷凍食品が山積みされると、冷気がその品物に届かず品温が上がったりして、ショーケースの温度が守られなくなり、品質管理上好ましくありません。

職場巡視の際、ショーケースのロードラインを確認しました。

どこのショーケースもロードラインを越えずに、商品が並べてありました。

前回の霜取り棒と言い、知らないワードを知ると得した気分です。

近所のスーパーでも確認しよっと。

商品が山積みされているお店は要注意だわ~

 

その他色々検討事項や相談に対応して、無事終了。

 

 

さて、田村正和さんの訃報で、追悼視聴を始めた院長です。

まずは『古畑任三郎』

刑事コロンボ風の演出が気に入って、家人が買っていたオリジナルDVD。

古畑任三郎を演じた年齢は、今の私たちより若かった!なんて驚きです。

1日1話、1日の終わりのお楽しみに。

 

犯人役のゲスト俳優を見ても、事件の詳細が思い出せず、初めてのような気になって見ているお得な院長。

ミステリー好きの家人は細かく覚えていますが、繰り返し見るのは楽しいよう。

番組ひとつとっても、見方の違う夫婦です。

 

DVDを見ながら…健診の人たちは、今頃まだまだ働いているのね…

健康に働いてほしいものです。

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2021.3.23 忘れ物ない?

ローカル線の車窓から菜の花を眺め、春のお出かけ…ではなく、産業医の仕事先に向かいます。

 

何回か訪問するうちに、新米産業医(院長)と安全衛生委員長(店長さん)との距離も近づいてきたような…

 

まずは、直近の安全衛生委員会での議事について確認します。

安全衛生委員会は、政令で定める規模の事業場ごとに設置が義務付けられていて、業種に関わらず常時50名以上の労働者を使用する事業場が該当します。

委員長をトップに、会社側から安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が選任されています。

労働者側からの参加もあります。

月別の課題や労働災害の発生状況の確認、ヒヤリハット、改善・注意点、コロナウイルス感染対策関連やメンタルヘルス不調者の確認など多岐にわたります。

初めて知る業界用語も多く、新鮮です。

 

また、店長始め、スタッフからの質問も受け付けます。

今回は、新型コロナウイルスワクチンの接種についていくつか質問を受けました。

また、事務所の保健室的な利用については、小さなささくれ程度は別として、内服薬(店内併設の薬局の市販薬)などを渡す際は、体調不良の状況などを記録するよう助言しました。

 

毎回の職場巡視は、少しづつ慣れてきましたが、産業医が気付く前に、同行の店長さんが気付き指摘することが多いです。

さすが、毎日現場に立つ現場の責任者です。

 

全社挙げて、大掛かりな2S(整理整頓)がなされ、ビフォーアフターの写真も見せてもらいました。

棚の最上段には、危険を知らせる黄色と黒のテープが貼ってあり、落下防止のために物を載せないような注意喚起のサインも視覚化されていました。

惣菜揚げ物部門では、使い捨てのアームカバーを付けて作業。

紙マットも毎日替えることで、転倒防止になっています。

店全体として、改善事項に取り組み、実行されているのを見ると、産業医として、嬉しくなります。

 

このスーパーのベーカリーコーナーは、形成生地が届き、店内で焼成だけします。

昔、パン教室で習っていたのとは大違いの業務用オーブンです。

この部門も、大きなオーブンから、奥のパンを取り出すときなど、火傷に注意です。

天板も大きく、パンの数も多いので、重さのバランスも難しい。

腕まくりをしたほうが作業はしやすいようですが、火傷の心配が…

これも改善を考えます。

 

店内の改装・修理はもちろん、バックヤードについても、店舗の売り上げ規模により、本社から予算が配分されるそう。

近くには競合店もあり、売り上げ増も大変です。

 

帰り際、事務所に厳重に管理された『落とし物』コーナーが目に付きました。

中身を見せてもらうと、トイレットペーパー、キッチンペーパー、洗剤、ポテトチップス、カレー粉、ジュース、マヨネーズなどなど。

全て、店内のレジ台で忘れられていたもの。

こんな大きなもの、忘れる?

帰宅して忘れ物に気づいたら、お店に問い合わせないの?

もしかして、買ったことも忘れていたりして?と、びっくり。

けっこうな量になるそうで、すべてを、毎回、警察に届けます。

現金やカードなどは、警察保管ですが、かさばるものは、店内に持ち帰って保管。

保管期限が過ぎると、また店長が警察に出向いて…

 

買い物をしたら、最後に、レジカゴに何も残っていないか確認しましょう。

家に帰って唖然とするのも、お店の手間も減らせます。

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