2023.10.24 見える!

秋の学校視力検査、就学時健診が始まりました。

学校での視力検査は、ABCDと4段階で判定しています。

A 1.0以上

B 1.0指標が見えない

C 0.7指標が見えない

D 0.3指標が見えない

眼科での視力検査のような詳細な値は示されません。

 

それでも、学校生活を送る上での目安になります。

A 教室の一番後ろからでも、黒板の字がよく見えている。

B 後ろの方でも黒板の字はほとんど読めるが、近視の始まりの可能性が高い。

C 後ろの方では、黒板の字が見づらく、近視になっていたり他の病気があるかも。

D 前の方でも黒板の字ははっきり見えていない可能性があるので、眼科で診察対処を。

 

就学時健診時は、初めての場所(小学校)のせいか、泣いたり緊張している新一年生も見受けられます。

院長は必ず就学時健診の際に、目の病気の有無と視力検査の結果を伝えます。

B以下があった場合、程度に応じて、もう一度(速やかに~就学までに)視力検査を受けるよう勧めます。

 

結果を聞いて、子供に『○○ちゃん、目悪かったの!?』と聞くお母さん。

子供からしたら『知らんがな~』

小さな子供に視力低下の自覚はありません。

『たまたま緊張していただけです』

『視力検査が理解できてないんだと思います』と、受診する必要はないと言い張るお母さん。

悪い結果は信じたくないけれど、再度眼科で検査して問題なければよいし、何か見つかれば就学に備えて対処することが出来ます。

 

学校からの受診のお勧め用紙を持参される患者さんたち。

Dでも『見えている』『困っていません』と言う人もあります。

見えるは、その人の感じ方もあるので、はっきり見えてなくても『見える』と言うのは事実です。

ただし、学校生活に支障ないように必要な(はっきり見える)視力が必要とされています。

免許を取るにも、自分の『見えている』では通らないのと同様に。

 

視力検査で受診された時、子どもは、ピント合わせの力が強いため、通常の屈折検査では正しい状態(近視?遠視?乱視?また程度)が分かりません。

そのため検査用点眼薬で毛様体筋の緊張を取り、正確な屈折程度を確かめます。

 

点眼薬で近視に出れば、間違いなく近視で、回復は見込めません。

 

当院でも行っているオルソケラトロジーは、初めて近視と診断された時にスタートするのが好機です。

もちろん近視と既に診断された方にも適応です。

コンタクトレンズを付けて就寝、起床したら外す。

昼間は裸眼(1.0~1.2)で生活できます。

特に水泳や接触スポーツ・バレエなどの習い事にも安心です。

 

当院のオルソケラトロジーの患者さんたちも、良好な視力で学校生活を楽しんでいます。

もちろん定期検査をしっかりし、院長が責任を持ってフォローしています。

 

親(大抵母親)が、コンタクトの管理をすることになります。

母と子のスキンシップが朝晩出来る(せざるを得ない)ので、母子のスキンシップは遥か昔になってしまった(息子たちは成人)院長としては羨ましい限り。

朝起きてコンタクトレンズを外したら、子供が『見える!』って言ったんです。

お母さんからの嬉しい報告。

 

次男はアトピーがひどく、一時期、毎晩処方された軟膏を指に塗って、布で巻き、その上にネットをかぶせていました。

『最後に帽子(ネットをそう呼んでいた)被せようね、帽子並んだね(5本指)~良くなるといいね~』で終了。

面倒な時もあった指の治療も今となっては懐かしい思い出です。

 

オルソケラトロジーも、きっと母子(主に母)の良い思い出になるはずです。

 

こちらもご覧ください

2018.3.6 子供の近視

2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

2021.8.24 寝押しのイメージ

2023.4.11 2023日本眼科学会総会

2023.6.13 近視進まないで~

2023.6.20 何しに台湾?その1

2023.6.27 何しに台湾?その2

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの家族・恩師・友人など 眼に関すること

2023.10.17  目の神様 in平泉

『平泉に眼の神様のお守りをいただきに行ってきた』

知人からの情報。

 

平泉…院長にとっては、初一人旅の思い出の地です。

再訪をいつか…と片隅にありましたが、知人の一言で決行することに。

 

岐阜の片田舎からの一人旅に、東北を選んだのは、ペンフレンド(死語?)に会いに行くため。

高3時、受験雑誌の文通相手募集欄にRちゃんの名が。

当時は住所も名前もオープンだった時代。

めでたく文通成立。

合格目指して頑張りました(というより息抜き)。

仙台の大学に進学した彼女に会う+αの一人旅です。

 

まだスマホなどない時代。

父は、紙の時刻表から旅程を作ってくれました。

○○に着いたら家へ電話する(もちろん公衆電話)こと、と注釈も書かれています。

 

初めて会ったRちゃんは、とてもきれいな子でした(当時のアルバムに感想が)。

仙台を案内してもらい、一人旅にわくわく。

不思議な縁で、今も二人の文通(手書きです)はほぼ毎月続いています。

 

別れてから平泉を目指します。

 

当時は、東北本線オンリー鈍行の旅。

今回は何十年の時を経て、飛行機・新幹線で東北本線は一駅のみ。

時間はあるけどお金がない時代から、お金を時間で買って行動する時代に。

 

中尊寺に向かいます。

特に藤原氏の富の象徴ともいえる豪華絢爛な金色堂は有名です。

ここは、初代清衡公・基衡公・秀衡公の御遺体と泰衡公の首級が納められています。

ミイラが祀られているんだ~と単純な感想しかなかった無知な大学生だった自分を内省します。

 

ひとつひとつ建物、仏様、装飾など,解説を読みながら見ていると、あっという間に時間が立っています。

 

今回の旅の目的は峯薬師堂に参拝して、『目のお守り』をいただくこと。

以前中尊寺に行ったときに参拝した記憶はありません(目に関心無かったし)。

境内に入ると、ひらがなで『め』と書かれた絵馬や、『め』がいくつも描かれた旗など。

絵馬の数を見るに、目の病気の平癒祈願をしている人がいかに多いか…

院長も薬師如来様にお祈りします。

患者さんの眼がよくなりますように。

院長がより良い眼科医療を提供できますように。(いつもながら他力本願)

お守りには『め』と縫ってありインパクト大です。

 

同町内の毛越寺も訪ねるべき場所。

中尊寺とともに世界遺産です。

この境内の片隅にあるYH(ユースホステル)に泊ったのでした。

建物は当時のままでしたが、今は使われていないとのこと。

何年か前にYHも閉館したそうです。

池を囲む庭園(浄土庭園)が素晴らしく、しばし鑑賞。

あの頃と同じ場所で池をバックに写真を。

 

前回、初めての一人旅で緊張していたのですが、同室の25歳の女性の話しを聞くうちに打ち解けました。

社会人で仙台から車でひとり旅。

かっこいい~憧れる~

その彼女に撮ってもらいました。

毛越寺の素晴らしさもわからず、毛越寺で出会ったひとり旅の若干(今の自分から見たら)25歳のお姉さんと過ごした一晩のほうが記憶に残っています。

YH懐かしい~

当時YHは、若者が泊まるには一番安心安全安価だったので、父の意向で毛越寺YHに泊ることになったのだと思います。

 

今、臆することもなく、自由に一人旅もし、物事をもっと深く見たり聞いたりしたいオバサンになっています。

池の傍で立っている少女の私へ…こんな未来、想像できた?

 

再訪・再読など時を経て感じることの変化も楽しもうと思います。

目の神様シリーズはこちらからご覧ください

目の神様 in 仙台

やりなおしたい?

初めての御朱印

身代わりどじょう

目の霊山

余呉へGO,GO

鎌倉好き

医者も祈願する!?

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.10.3  阿房バス

特別な意義があるわけでもないけれど、気になるだけの動機で出かける院長。

だから、お誘いに乗ってくれる物好きな人も周囲にはおらず…

今回も、ひとりで決行です。

阿房列車ならぬ、阿房バスの旅。

 

『日本一距離の長い路線バス』(奈良交通)。

紀伊半島を縦断するように、奈良県の大和八木駅から和歌山県の新宮間を走ります。

6時間32分!!の行程です。

バス停は168 !!

観光バスではなく路線バス。

地域の足です。

『日本一距離の長い路線バス』に乗るためにだけ出かけます。

 

いつもながら小忙しい旅になってしまう院長。

今回も日帰り完結です。

 

新宮駅から乗車となると、どうしても前泊が必要になります。

大和八木出発だと自宅から日帰り可能。

 

近鉄特急『ひのとり』で名古屋から大和八木まで。

こんな珍しいバスだから満席かも?は杞憂。

一番乗りで一番前(運転席後ろ)に座ったものの、見渡すと数人の乗客でした。

9時15分、バスは6時間半の行程を発車します。

 

約1時間後、五條バスセンターで10分のトイレ休憩。

ここまででも乗降客は入れ替わります(地元の人達)。

段々ローカル色が強くなり、いよいよ十津川村に入ります。

 

十津川村は奈良県の最南端に位置する、日本で最も大きな村です。

紀伊半島のほぼ真ん中に位置し面積は約672km²あり、奈良県の約1/5を占めています。

それゆえ、この路線のバス停のほとんどが十津川村内です。

十津川村だけで約3時間走ります。

運転手さんは、退避場所があるような狭い山道を運転しながら、観光案内もしてくれます。

川の歴史やダムの成り立ち・水害のことなども。

ぐんぐんと高くなる山の道路の横は、激しく大きな熊野川が流れます。

あちこちに水力発電ダムもあります。

 

約3時間後2度目の休憩は20分です。

このバス停すぐに日本有数のつり橋『谷瀬つり橋』があり、運転手さんから『良かったら渡ってみてください』と。

長さ297メートル高さ54メートル。

同時に渡るのは20名まで、という注意書きが。

ここに来て空中散歩をするとは…恐る恐る…下を見ると血の気が引きます。

 

定刻通り発車。

十津川温泉に、1時間後到着。

10分の停車の間に『良かったら足湯に浸かってみてください』と。

足湯に浸かったのは、3人。

オバサン(院長)と、若めのオジサン(40代半ばか?)2人。

恐らく、最終地まで通しで行くのはこの3人。

 

この大きな村に眼科はありません。

人口は3000人弱。

陸地続きでも医療資源の乏しい地域です。

仕事柄、やはり考えるのは地域医療のこと。

 

広い十津川村をどんどん下っていくと、和歌山県田辺市へ。

終点の新宮まで、残り約1時間です。

路線バスの旅も終盤に。

もう2駅で終点に…という時点で

『オクサン、押します?』

振り返ると、先ほどのオジサン達。

『は?オクサン(=奥さん)?』

押します?って何~?

『何を押すんですか?』

『終点で降車ボタン押すの、譲りますよ~』

終点は押さなくても必ず止まるから、普通押さないでしょ~!?

『押してくださって結構ですよ~』と譲ります。

『遠慮しなくていいです。せっかくだからどうぞ~』(全然遠慮していないけれど)

『では…』と『次は終点新宮駅です~』のアナウンスが流れるや否やピンポーン!

15時47分新宮駅着。

とうとう日本一長い路線バス完全乗車です。

記念乗車券をもらいます。(嬉しい)

 

帰りは、JR特急『南紀』で一路名古屋へ。

 

阿房バスの旅、最高でした!

こちらもぜひ、ご覧ください。

2021.10.19 阿房列車

2022.3.1 間違いなく阿房列車

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2023.9.26 ビフォーアフター

今年の夏はとても暑かったので、長期休みや休日も花壇の水やりに気を遣いました。

早朝と夕方と。

花壇はお花屋さんが四季折々に入れ替えてくれるお花が主流です。

加えて、長男出生時に役場でもらった誕生記念樹のもみの木。

香りのよい金木犀などの木々もあります。

当初30センチもなかった小さな苗木は、息子よりもずっと素直にすくすく育って、今では人の背丈をずっと追い越しています。

 

早朝は誰にも会わないだろうと、すっぴんで適当な格好で水やりをしていると…

意外にもウオーキング中の多くの患者さんに話しかけられました。

『誰かと思ったら…先生』

挨拶をし会話をするものの、じっと見ないで~(と、うつむき気味の院長)。

 

水やりをしながら、クリニック周りも見ていきます。

ハイビスカスの花が咲いた、散った。

ゴミが落ちている、拾おう。などなど。

 

そして、ふとやり過ごしていた看板のくすみが急に気になりました。

西側(docomo側)は西陽によって変色も。

看板は、クリニック開設以来一度新しくしたのですが、もう15年以上となり、経年劣化も甚だしいことを改めて痛感。

 

気になると何でも動かないと気が済まない院長。

早速看板屋さんと打ち合わせ。

 

院内も壁紙や椅子・ロールスクリーンなど随時改修しているのですが、イメージを変えずに同系色でまとめるので、意外と患者さんは気づいていません。

 

『現行の原色の看板からイメージを変えてみましょう』

と提案されたデザインは、院長の思いもしっかり入っています。

 

院長は眼科専門医(この道一筋)なので、目に関することは何でも診ます。

地域のかかりつけ医のスタンスですので、『こんな些細なこと、いいの?』と思っても気軽に受診してください。

地元4校を各15年以上学校医も拝命していますので、親子2代に渡り学校保健活動でも担当していることも。

小さなお子さんにとっては、女性医師であることは強みかもしれません(怖いお母さんだけど、怖い先生ではない。つもり)。

お子さんの成長は著しく、何年かぶりの来院の姿に目を見張り、近況を聞くのも楽しみです。

大学院では緑内障を専攻したので、緑内障患者さんとのお付き合いは途切れることなく長く長く。

 

誰でも、いつでも、何かあったら来院してくださいね!という眼科です。

 

出来上がった看板は、手前味噌ですがとても良い出来!

工事終了後、出来上がった看板を確認すると…

まさにビフォーアフター!

ピンクを主体に優しいイメージの中にもアピールはしっかり。

立看板の当院マスコットキャラクター?の『あんこうちゃん』の提灯部分は結構苦労したとのこと。

LEDになり明るくなりました。

 

駐車場の白線も塗りなおしをしました。

 

経年劣化は仕方がない…ですが、古くても手入れが行き届いている建物やモノは、美しいし気持ちが良いです。

当院も経年劣化は否めないものの、患者さんに気持ちよく来院していただくために、メンテナンスはしっかりしていこうと思っています。

何年・何十年ぶりに来院される患者さんに『センセイは全然変わらないね~』と言われることもありますが、自身の経年劣化(自覚もちろんあり)も日々のメンテナンスで最小限に食い止めるよう努力をしています。

古いけれど、古いだけに見えない(歴史の重み)。

年だけど、年に見えない(人生の重み)。

オバサンだけどオバサンじゃない!(院長スローガン)

 

看板を新しくしたので、新規開業の気持ちで頑張ります。

   

 

カテゴリー:クリニックに関すること

2023.9.12 目と性感染症

梅毒罹患者が増加というニュースをよく耳にします。

眼科と関係ある?

目にも性感染症は起こります。

 

性感染症により眼症状が起こる主なものは

淋菌

クラミジア

梅毒

HIV

 

患者さんの受診のきっかけとしては

1.既に性感染症を診断されており、それに伴う(疑う)眼症状が出た。

2.たまたま目に自覚症状が出たため、眼科受診をして性感染症が発見された。

 

1は、他科からの紹介で院内眼科に受診と言うパターンが多いです。

梅毒やHIVの場合、全身の症状も強く、視力低下や目の奥(網膜や視神経)の症状も強いことが多いので、一般に入院治療となります。

大学病院では、高齢の梅毒の患者さんを何人か診ました。

長い年月をかけて、身体中を蝕んでいく様子に、新米眼科医は身を震わせたものです。

 

また先天梅毒では特有の三兆候(歯・難聴・目)が見られます。

 

地域のクリニックにも性感染症の患者さんは稀に来院されます。

クラミジアによる結膜炎は、以前の日本ではトラコーマとして猛威を振るっていました。

トラコーマは、角結膜(白目茶目)にかなりひどい瘢痕が起こり失明に至る病気です。

衛生状態の悪い国(発展途上国)では発生しています。

日本では現在ほとんど見られません。

 

同じクラミジアが原因でも、違う型で起こる性感染症由来のクラミジアの患者さんは来院されます。

ほとんどは、充血・めやに。

めやには、やや粘っているけれどすごくべたべたでもない。

まぶたの裏には濾胞(ぶつぶつ)があります。

明らかに自分で性感染のことを口にされない限りは、アレルギーとも細菌感染とも考えられるので様子を見ます。

治療に反応しなかった場合は、クラミジア結膜炎を疑い検査・治療をします。

本人に自覚がある場合はいいのですが、そうでない場合にお伝えするのは、少々ためらいます。

しかし、ちゃんと治るので最後まで治療に専念してほしいものです。

 

また、母親からの産道感染によって新生児に起こるクラミジア結膜炎もあります。

充血・目やにが主症状です。

 

淋菌性結膜炎は、膿様の目やにがすごい!

教科書で見た写真が忘れられません。

20年くらい前、生後数日の赤ちゃんが目やにで受診されました。

教科書通りの特徴的な目やに・結膜炎!

産道感染による新生児の淋菌性結膜炎です。

新生児の場合、治療が遅れると角膜穿孔(茶目に穴が開く)し失明することもあります。

母体も安定しないため毎日往診。

穿孔しないで~と祈りながら治療。

幸い完治となりました。

淋菌性結膜炎(培養でも確認)ということをお話ししないといけません。

母親に覚えがなく…ということは…

赤ちゃんが生まれておめでたいはずの家庭に嵐が起こりました。

性感染症はひとりでは起こらない。

誰かを知らないうちに感染させています。

 

性感染症のニュースを見るたびにあの赤ちゃん(唯一の淋菌性結膜炎患者さんです)を思い出します。

勉強させてもらった貴重な一症例を忘れることはありません。

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2023.9.5 何しにカンボジア?  その3

*前々回・前回からの続きです*

 

おそらく、カンボジアではゼロ(正視)から遠視の人の割合が高いのだと思います。

近視は、近くにピントを合わせられるので、老眼になっても距離を合わせれば、自分の目で見ることは可能です。

遠視の場合、老眼が始まると自分の目で近くを見るのは困難になります。

日本人と比べて、あまり細かな書物を読んだり書いたりする文化はそれほど根付いてない(ように思える)ため、老眼に対しても積極的に眼鏡を使おうという意識(必要性)がないかもしれません。

 

10年ほど前の緑内障に関する沖縄久米島のスタディでは、遠視の割合は34%(近視は29.5%)と報告されています。

また、日本の都市部に比べ近視の割合がかなり低かったとも。

視力が良い人が多いと言うことです。

しかし、狭隅角の人が多く、閉塞隅角緑内障に多く罹患していることもわかりました(今、日本人に多いのは正常眼圧緑内障)。

それゆえ、急性緑内障発作も多くなります。

現在では、沖縄でも近視の人が多くなり、本州とあまり変わらなくなっています。

 

カンボジアに来て、そのスタディを思い出しました。

恐らく、カンボジアの人は狭隅角が多い。

強い紫外線を年中浴びて、若くして白内障になる人は多いはず。

急性緑内障発作もかなり発症していると思われます。

かなり激しい頭痛と眼痛が特徴ですが、医療制度の体制が不備な地では、なんとかでやり過ごして失明してしまう人もいるかも。

日本では、予防法・治療法は確立していますが。

ただし、カンボジアの平均寿命が69歳(健康寿命は58.1歳)と聞くと、不具合が生じる前に寿命が尽きてしまう可能性も。

それゆえ、日本で多い緑内障や加齢性黄斑変性症など加齢に伴う病気も多くないと思います。

 

翌日、今度はコンタクトレンズの購入について、別の眼鏡屋さんに行きます。

今すぐ用意できるメーカーは米国製の有名なブランド。

単焦点です。

ジッパーの袋に度数ごとに入っています。

トライアルレンズか?と聞くと、売り物とのこと。

ここでは1ペア〇ドルで購入できるとのこと。

ただし、すぐ入手できるレンズは中等度度数以下。

それ以上強い近視は、箱買い(日本では通常)のオーダーで2週間後受け取りとのこと。

ちなみに院長装用の遠近コンタクトレンズは、オーダー後2か月かかるとのこと。

発注はすべて外国に。

当然自国ブランドは無し。

時間もお金もかかります。

近視大国の日本、コンタクトレンズの需要が高いこともありますが、自国ブランドであれ海外ブランドであれ入手できる環境にあることは、恵まれています。

カンボジアでは、コンタクトの需要も低いのでしょう。

それにしても、眼鏡やコンタクトにも、こんなに国の差があることは驚きでした。

 

まだまだ発展途上のカンボジア。

若年人口が多いこの国はどう変化していくのでしょう?

 

カンボジアの歴史と医療・文化に少しだけ触れた旅。

短い旅でしたが、衝撃は大きかったです。

もしカンボジア人なら…『老後の始末を考えないといけない年齢』

そう思うと、身が引き締まります。

 

こちらもご覧ください

何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.8.29   何しにカンボジア?  その2

農村部は、高床式住居です。

蒸し暑く雨期と乾季がある国。

高床式なのは、

1.暑さをしのぐため。

2.夜は放し飼いの番犬(鎖もなしでその辺を歩いている)、家畜、鶏などの寝場所に。

3.雨期の浸水を避けるため。

道路は舗装されてはいるものの、敷地内は土です。

道端では、自家製の農作物や串に刺した肉(カエルも蛇もある)や生肉・飲料などを売っています。

売り子はスマホを見たり、おしゃべりしたり、ハンモックで寝ていたり。

その周囲で、子供たちが遊んでいます。

自家製の店(というかパラソルやトタン屋根)の裏に高床式住居があり、その裏に畑があるのが一般的な農村です。

庭には、多くの種類の木々が茂っています。

『便秘の時は、青パパイヤを食べます』

『下痢の時は、グアバ茶を飲みます』

『体を温めるときはレモングラス茶を飲みます』

『手が臭い時は、レモングラスの葉を揉みます』等々。

農村部では、まずは伝統的な漢方薬や生薬が試されているようです(薬局に行く前に)。

おばあちゃんの知恵と言えば聞こえがいいですが、健康保険制度の未導入が大きいと思います。

 

アンコールワット遺跡群周囲を観光して思うのは、子供がとても多いということ。

バイク(125ccc以下は免許不要)の運転性の前に小さな子供、運転手のお父さんは片手で子供を抱きかかえています。

後ろには、お母さんと別の子供。

中学生くらいの3人乗りも普通に見かけました。

バイクの後ろに荷台を付けて、トゥクトゥク(タクシーみたいな乗り物)や貨車が走っています。

20~40代の若年層の人口が一番多い若い国。

『子供は病気になりやすいけど、どうするのですか?』

子どもは12歳まで医療費無料とのこと。

そのため一応安心して(医療レベルは日本より低い)、12歳までは子育てが出来ます。

一方日本でも、年々子供の医療費負担ゼロの年齢は上がり、18歳まで無料の自治体もあります。

カンボジアでは、12歳過ぎたら、健康は自己責任になります。

Tさんの『大変羨ましいです』が、身に沁みます。

 

アンコールワットの日の出を見た帰りの6時過ぎ、ある通りで多くの男性が立っていたり座っていたり。

『何かあるのですか?』

『あの建物は、公立のこども病院です。診てもらうために、みんな遠くから連れてきます。付き添いは、一人しか病院内に入れないので、他の家族は外で待っています』

よくある光景だそう。

お金持ちは、私立病院や海外の病院を受診するそうです(たとえこども病院が無料であっても)。

 

さて職業柄、眼鏡店は気になります。

カンボジアはクメール語と英語の表記です。

ドアを開けようとすると、表に座ってスマホをいじっていた20歳くらいの女の子が立ち上がって『Hello』

店員さんでした(地元のお店ははほぼ同様の接客)。

お客はひとりだけなので、もう一人の店員(同じくらいの子)、もう少し年上の店員、店長と思しき男性と4人が院長を取り巻きます。

フレームとレンズは別々の価格設定。

他国のフレームは安いのですが、日本製は高い。

レンズも然り。

どんなフレームが好みか?

ラウンド型は?スクエア型は?などなど、色々勧めてきます。

店長は、当店で屈折の検査をすることもできるし、眼鏡のパワーを測定することもできると。

はめてきた遠近両用眼鏡を測定してもらうことに。

渡されたデータは近視度のみ。

近視が強すぎてびっくりしているようでした。

老眼もあるので、近用度も入っていると言ったのですが…(会話は英語)

この眼鏡で近くも見えているならOKみたいな流れになってしまいました。

 

次回に続きます。

 

こちらもご覧ください

何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2023.8.22 何しにカンボジア? その1

比較的短期間で行ける東南アジア。

世界遺産・アンコールワット遺跡群を見尽くす!+α(個人的興味&好奇心)の旅。

 

アンコールワットは遺跡群の中でも、抜群に知名度が高くその美しさも有名です。

しかし、それ以外にもアンコールトムやまだ修復中の遺跡(寺院)がたくさんあります。

 

ガイドは現地のTさん。

日本語がペラペラです。

聞けば、20年前に仕事先の日本人から日本語を習い、その後私塾で勉強を続けているそう。

日本渡航歴はなし、憧れの日本にいつか…と貯金に励んでいるとのこと。

 

アンコール遺跡の歴史。

仏教寺院、ヒンドゥー寺院、両方が融合した寺院。

建物・壁画・像の説明。

メモ魔の院長に、復習の意味でTさんが質問(説明の確認)。

書くけどすぐ忘れている院長(記憶力低下甚だしい)。

しかし、3日間いくつもの遺跡群を訪ねて話を聞くと、古代9-12世紀のクメール王朝時代の偉大さが偲ばれてきます。

寺院の壁画は、天国から地獄の様子まで、中には恐竜の絵(この時代に何故?は謎)もあり、書物のない時代、壁画が図書館の書物の役割を果たしたのだとか。

カンボジアが、宗教戦争、民族戦争、内戦など戦争ばかりの歴史の国であることも、石像や宝物の損傷・紛失が物語っています(Tさん説明あってこそ)。

1日当たり約2万歩、アップダウンも激しく、院長より年上と思われる人は見かけません。

遺跡群を堪能するなら、体力は絶対!

普段の筋トレの成果が発揮できました。

アンコールワットの朝日鑑賞(5時から開園)や、空港では、老若男女・世界中の人がいたので、見るだけの人が圧倒的に多いのかもしれません。

 

Tさんは

『農村部と農村地の違いは何ですか?』

『崩壊と破壊の違いは何ですか?』

『連日を言い換えるとどういう言い方がありますか?』

などなど、ガイドの時に疑問に思った日本語のことを尋ねられるので、私もネイティブとして回答します。

『とても勉強になります、知識増えました』

車で移動中も『何でも聞いてください。答えられることなら何でも答えます』とTさん。

日本語で質問を受けるのも好きそうなので、院長も質問攻めです。

遺跡については勉強不足で、深い質問は出来ません。

しかし医療や文化には興味があるので、あくまでも一日本人の観光客Ms.HASEGAWAとして色々尋ねてみました。

 

Tさんは、医療については専門外なので、あまり詳しくありません。

また前提として、滅多に病院にかからないから。

と言うより、かかれないから。

この国は、公的医療保険制度はないとのこと。

公務員は何か優遇があるらしいし、民間の医療保険に入る裕福な人もいるそうです。

ガイド(国の認定要)は自営業。

Tさんも保険未加入、受診すれは100%自費です。

そのためか、町のあちらこちらに薬局を見かけます。

何か症状が出たら、薬局で薬を購入。

数日~数週間様子を見ても改善しなければ、病院へ行く構図。

医師の数も少なく、医療レベルもあまり高くないので、富裕層は私立病院や外国に行ってしまうそうです。

日本の皆健康保険制度、フリーアクセスで負担も0~3割。

僻地医療の課題はあるものの、概ね医師全体数は多く、医療レベルも世界水準の日本。

Tさん『日本の国、大変羨ましいです』

 

次回に続きます…

こちらもご覧ください

何しに台湾?  その1

何しに台湾?  その2

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

猛暑の中、産業医の出勤日です。

さすがの暑さに、本日はシャツとパンツ・スニーカー。

 

スーパーの店内に入ると、すっーと汗が引きます。

そのまま店内を進み、スライドドアの前で店内に向かってお辞儀、バックヤードに入ります。

スーパーやデパートの店員さんが、バックヤードの入退の際にお辞儀をしているのを見たことはあるけれど、当然したことはなかった院長。

産業医になって、スーパーに出入りするようになり、入退時のお辞儀にも慣れてきました。

 

事務所に入ると、院長より若いと思われるスタッフAさんが『センセイ、細い~』

Aさんよりは細いのは事実ですが、か細くはありません。

華奢だったのは遠い昔で、今は筋肉質になっています。

『センセイに言われて、お昼菓子パン買うのやめたけど、なかなか体重減らないわ~』

 

年に一回、スタッフの健康診断結果を見て、就労可能かどうかを判定します。

産業医着任初年度は、張り切って、肥満が要因でいくらか健診結果に異常が出ている人たちにお話をしました。

『体重あと○○キロ落としたら、血糖値下がるはず』

『毎日30分歩いたら、体重も血圧も下がりますよ』

『お昼ご飯を総菜コーナーで買う時は、炭水化物中心ではなく、たんぱく質意識して』などなど。

Aさんも指導対象だったのです。

お昼ごはんに菓子パンをやめただけエライ!

 

『運動もしたほうがいいですよ~』

『はい、週に何回かは歩くようにしてます』

『その調子!あとは筋トレとか…家の中でもスクワットとか…』

早速ブルガリアンスクワットを事務所の椅子に片足載せて披露します(本日パンツなので)。

『え~そんなの無理!足が開かない!』

『その場合は、足を前後に開け(自分の出来る範囲で)体を上下させることから始めてみて~』

オバサン院長ですが、いつもは左右12キロずつのダンベル持ってのスクワットです。

『センセイ、若~い!』(お世辞でも嬉しい~)

 

 

さて、いつものように安全衛生委員会。

他店の労災。

50代女性:お客さんに呼ばれてレジに戻る際に、床につまづき転倒、膝の骨折。

作業場・店内・構内では走らない、慌てないと再通達。

お客さんに何か言われたら焦って…と行動した結果の骨折ではやりきれません。

他に推測の域を出ないのですが…とコメント。

もしかしたら、つま先を挙げる筋肉・前脛骨筋(ぜんけいこうつきん)や足裏の筋肉・足底筋群(そくていきんぐん)の筋力低下もあるかも。

つまずかない・つまずきそうになっても耐えられる足の筋力は重要です。

足の筋トレもしましょう。

 

いつものように巡視を。

霜取りとかアブソーブドソックスとか、冷凍ケースからの漏水が度々問題になっていたのですが、遂に冷凍ケースが刷新されました。

縦型でそれぞれスライドドアがついています。

旧冷凍庫よりも商品の種類も多く陳列可とのこと。

野菜・パスタ・冷凍麵・夕食・簡単調理・アジアン・スナックなど、扉の前に表示されており、探しやすく新商品を見つけるのも楽しそう。

売り上げは、同年比較で最大1.7倍、ほぼ1.2倍とアップしたそうです。

冷凍庫が縦長タイプになっただけで!?

見やすさ、新しさ、実際の商品の多さで、院長も全部チェックしてみたい…と思うほどです。

水漏れによる転倒のリスクもなくなり、これに関しては労災発生ゼロになるはず。

 

巡視終了、本日の業務も終了。

お楽しみの?新冷凍庫の新商品を探して帰ります。

 

*8月15日の公センセの部屋はお休みです。

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 産業医

2023.8.1    おかげさまで26周年

今年は、ツバメの巣が2回もカラスの攻撃に遭い、卵や孵ったばかりの雛も餌食にされてしまいました。

壊れかけの空になった巣の周りを、2羽のツバメが飛び回るのを見るのがやるせない院長でした。

もう今年は来ないかも…とあきらめていた頃、ツバメの雌雄が巣を修復して卵を産みました。

今度こそは…と、毎朝晩、巣を見上げ、落下物(糞・虫それ以外)を確認する日々。

ようやく、小さな雛が5羽顔を出すように。

よしよし…と思ったのも束の間、修復した巣は手狭だったせいか、一羽落下していました。

まだ産毛が生えそろっておらず、息も絶え絶え。

可哀そうですが、見届けるしかありませんでした。

 

その3日後。

またもや、雛が1羽落下。

3日前の雛よりは、産毛はあるものの、羽も短くも揃い始めています。

当然飛べません。

何とかせねば。

 

息子に連絡。

ふだん母のお願いにはほぼ耳を貸しませんが、今回は迅速対応。

ツバメの生態・人の手での育て方などを調べ、ミルワームを買ってきました。

小さな鉢にティッシュを敷き、ピンセットでミルワームを1匹づつ。

お腹がすくときは、大きな口をパクパク開けて吞み込みます。

お腹一杯になると餌に見向きもしません。

これを30分ごと。

息子は2日間どこに行くにも連れて行き世話をしました。

『赤ちゃんの世話って大変やな~Pちゃん(雛の名前)可愛いから出来るけど』

ちょっと~

そっくりそのまま、子育て中、母(院長)があなた(息子)に向けてた言葉ですよ!

ツバメの子育てより大変だったんだから!!!(親ツバメエサ探し・運びも大変だけど)

2日後、巣に戻して無事に生育。

兄弟ツバメの中では一番小さいせいか、最後まで巣に。

兄弟に数日遅れて、やっと初立ち。

『飛んだよ~』

孫(いないけれど)を見守る祖母と父親みたいな、母と息子のしばし穏やかな時間を雛が提供してくれました。

 

ところで、先日某メーカーの担当者が代わりました。

担当のTさんは、以前にも当院担当。

懐かしさで話が弾みます。

『あの頃は、息子さんたちを保育園にお迎えに行ったこともありましたね~』

開院当初は、子供がまだまだ小さくて、保育園のお世話になっていました。

診療状況で、どうしてもお迎えに間に合わない時には、面会に来ているメーカーさんたちにも助けてもらいました(良き時代でした)。

Tさんにもお世話になっていたのね~改めて感謝です。

一人で何もできない雛のような息子たちは、お陰様で、今度は親ツバメになれるほど成長しました。

 

お陰様で、当院も26周年を迎えました。

患者さんとの出会い、そこから得た眼科学の知識と経験の引き出しはかなり多くなっていると思います。

①医師が診療し指針を示す(事実に基づき診断・治療方針を決める・経験値も有用)

②患者さんが治療方針を遵守する(点眼回数・期間を守るなど)

恐らく①②が守られていれば、病気は快復または小康状態を保てます。

上手く結果が出なければ①に戻ります。

20年以上定期的に通院されている緑内障の患者さんの多くは、進行が抑えられています。

 

何年かぶりに来院される患者さんには『思い出して来院してくれてありがとう』

定期的に来院される患者さんには『いつも頼ってくれてありがとう』

『こんにちは!○○さん』から始まり『お大事になさってください』の〆の後の、声に出さない言葉です。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの家族・恩師・友人など 公センセの想い
  • カテゴリー

  • 最近のエントリー

  • カレンダー

    2025年6月
     1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30  
  • アーカイブ

  • タグ

先頭に戻る