2022.2.1 値引きを当てに

産業医の仕事で使う郊外のローカルな駅。

駅の近くには、自転車預かり所が何件か。

木造の家屋の中に自転車がきれいに整列しているのを見ると懐かしさを感じます。

『とらや』などと書かれた屋号を横目に仕事場に向かいます。

 

毎回、労災事故の確認をします。

担当スーパーでの発生が、一件もないのは何より。

全店舗の件数・事例も報告され、ほとんどは、転倒・切創。

整理整頓・作業手順の徹底が求められます。

 

毎回の巡視。

午後のバックヤードは、忙しさから解放された時間です。

総菜売り場では、排水溝?の掃除をしていました。

『今日は、グリストラップの掃除をしているんです』と店長さん。

ブリストラップ?

指しているのは、排水溝のような場所。

初ワードです。

メモ、メモ。

『ブリストラップとは何ですか?』

『ブでなくてグ。

グリストラップです(調べるとGrease(油)  Trap(罠)という英語表記)。

調理油が直接下水に流れないようにする装置のことです』

見せてもらうと、結構な油が付着しています。

 

グリストラップとは、業務用の厨房に設置が義務付けられている『油脂分離阻集器』のことです。

厨房から出る排水に含まれる油やゴミ(野菜くずや残飯)を直接排水に流してしまうと、自然環境への悪影響が考えられ、それを防止するための装置です。

飲食店やスーパーなどで発生した汚泥は、一般ごみではなく業者に委託しないといけません。

 

1槽目:厨房排水に混ざっている残飯や生ゴミを除く

2槽目:水面に浮上する油脂と、さらに細かい汚泥を分離

3槽目:汚泥と油脂をある程度分離した排水を下水道へ

 

1のバスケットの洗浄は毎日、2の浮上油脂の清掃は週1、沈殿物の清掃は2週間から月に1度清掃をするそうです。

 

『今日は、もう総菜作りはおしまいですか?』

『売れ行き見て追加します』

『売り切ったらおしまいじゃないんですか?』

『そうですね。

残っても廃棄になれば処理費用が掛かります。

余っても売り切らないといけませんからね。

でも、半額にすると利益出なくなっちゃいますしね。

残量と値引き率は毎日変わります』

『ほ~』

『それに、8時過ぎると値引きを当てに買いにくるお客さんも多いんです。

特に単身のお客さんは、ついでに飲み物やお菓子も買ってくれますし。

値引き品が全くないと何にも買ってくれないんで(他へ行ってしまう)』

『そうなんですか!?』

 

残量に対する値引きの設定もなかなか難しそう。

修業がいります。

 

毎回、新しいことを知る産業医(院長)です。

値引き品を買ったら、値引かれた分で、何か余分に買いましょう!

スーパーもお客さんもWin Winになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2022.1.11  仕事は生きがい

本年もよろしくお願いいたします。

 

どんな一年になるのやら?

 

師事していたA先生は、退官後、新天地で緑内障診療。

昨年末、話をする機会がありました。

手術数もどんどん増え、『今が一番手術上手いかも。70歳までは手術できそうだね』

社会的に、既に頂点と認められている立場でも、前向きな姿勢。

『何歳になられましたか?』

『67歳』

『え~先生、そんなお歳になられたんですか?』

『はせこう先生だって、もう○○歳(内緒)でしょ。入局してから30年なんだから』

確かに。

 

 

医師会のあいさつで最年長の元医師会長B先生が登壇。

ずいぶん前に診療所の仕事は譲られたものの、未だ公の場に出られてお元気。

かなり減らしてはいるものの、医師として仕事をされている88歳。

開業時の挨拶に伺った時は、すごく怖かったけれど、今は好好爺です。

 

休日診療所の当番表を見て、『私、半日のはずなのに』と訂正を求めたC先生。

75歳以上は、午前午後1日でなく半日勤務になります。

『先生、一体おいくつですか?』

『もう、とっくに75超えているわよ』

全然変わらない、はつらつとしたC先生は、まだまだ自身のクリニックで診療をされています。

 

素晴らしい先輩たちに、敬意を払い、勇気をもらいます。

 

『人生(仕事)の上り坂は、歳と共にきつくなりますよね』

これは、大手企業の役員だった旧友からの新年の言葉。

同じ机を並べた彼女は、進路は違いますが、大きな世界で戦ってきた尊敬できる人。

今も新しい仕事に挑戦しています。

 

先輩たちを見れば、いくつになっても仕事が好き。

趣味を超えるやりがい・張り合い・生きがいなのだと思います。

 

若いころは、エンジン全開!加速しっ放しでした。

やることだらけで、ゆっくりする暇もなければその気にもならない。

つらい時もたくさんあったけれど、若さゆえに乗り切れました。

休まず続けてきたことで、少し減速してもゆっくりでも上っていける予測は立ってきました。

それでも、仕事を続ける限り、上っていく(知識・技術など)責任があります。

 

『健康第一だね~』

その通り。

この言葉も、合言葉になりつつあるオバサン院長世代です。

 

早速、今年は元旦からパーソナルトレーナーと筋トレ。

身体も鍛え、その後のメンテナンスも忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021.12.21 目薬コロコロ

『キャー!何やってるの!?』

オバサンの大きな声。

院長は、とある地方都市のホームに停車中の本駅発列車の横シート座席に座って本を広げたところ。

昼下がりの午後の車内は乗客もまばらです。

 

『何やってるの!』

みんなが一斉に向けた視線の先には…

オジサンのが太ももがホームと列車の隙間にスッポリ。

目が点…あっけにとられている間もなく、すぐに、男性数人がオジサンを引っ張り上げ始めました。

発車まで数分。

事なきを得、救助した男性たちも、取り囲む人たちもサーっとそれぞれの方向へ。

 

70代前後のオバサンは、大声で『この人(同年代オジサン)、バスで疲れちゃったんですよ~。どこか、席座らせてもらわないと』と、アピール。

乗降口付近の乗客は、さっと別の席へ。

オバサンが先に座り、オジサンが後に続きます。

二人は、それぞれ4泊5日分くらいのキャリーケースを持っていました。

どこかの旅行の帰り?

飛行機+バス旅行?

だとしたら、あの空港から?

オジサンは、左太ももをさすっています。

『何やってるの?』(と言われても…)大声で繰り返すオバサン。

()は院長のつぶやき

『痛いの?』(そりゃ、痛いでしょ)

『骨折したの?』(まさか、それはない。おそらく挫創)

無言で太ももをさするオジサン。

対面の席で、大きな声で詰問するオバサンに、院長も怒られている気分に。

 

恐らく、加齢により、足を上げる力、踏み込む力が弱くなり、歩幅が狭くなってはまってしまったのでは。

大事に至らなくて本当に良かったです。

 

オジサン普段から、つまづき易かったり、転びやすかったりするのかな…

 

点眼薬も転がります。

先日、ある患者さんから『出してもらった目薬が、すぐ転がってしまう』との声。

後発品(ジェネリック)の場合は、医師がメーカーを選択することは出来ないので、薬局に在庫がある薬を受け取ります。

見せてもらったのは、ジェネリック品。

確かに、円柱形なので、キャップもボトルも、転がりやすそうです。

 

先発品新製品が出るたび、院長はあらかじめ点眼してみます。

 

・透明か濁りか

・しみるか否か

・さらりかどろり(粘度)か

・点した後の充血ありか

・点した後のかすみありか

など、特徴ある点眼薬を処方する場合は、予め、伝えるようにしています。

自分の体験談も。

 

先発品が優れていると一概には言えませんが、各社、点眼薬のボトルにも患者さん目線で考えています。

 

キャップの形で採用されているのは、10角形のねじれ。

12角形だと円柱型と同じように転がってしまうそうです。

8角形以下のねじれだとバランスが悪くなるそうです。

 

また、点眼瓶の先に穴が開いているだけのように見えますが、メーカーによっては、開栓しやすい様に、らせんのねじれになっています。

 

ボトルの形も様々です。

市販の点眼薬は、おしゃれなデザインで、医師が処方する点眼薬に比べて固いものが多いです。

処方点眼薬は、患者さんが使用するという前提で設計されています。

3本の指で、持ちやすいよう、指との接着面が広く安定するようになっています。

扁平型だったり、胴体がくぼんだ型だったり。

そして、少ない力で正確に1滴点眼できるよう設計されています。

 

容器も機能と見た目を兼ね備えているデザインになっています。

 

人は老化し、機能も見た目も低下してきます。

自身で努力できることはし、デザインの低下を少しでも抑えていきたいと思うある日の出来事でした。

オジサンの挟まった太ももを案じつつ…

 

 

来週12/28は『公センセの部屋』はお休みします。

今年もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.12.7  押したり引いたり

担当の職場(スーパー)に近づくと、頭の中でテーマソングが流れるようになった産業医(院長)です。

 

1年に一度は健康診断結果の判定をします。

該当職場で労働は可能か、否か。

制限付き(時間・配置転換など)で労働は可能か、否か。

あとは、健診結果から、『要受診』対象者をピックアップします。

昨年、『要受診』と指摘した人が、今は『治療中』になっていると、ほっとします。

高血圧・糖尿病は特に自覚ないまま見過ごされやすいので、早期発見早期治療が大事です。

眼科健診項目は、視力・眼圧までがほとんどで、眼底検査まで健診で受けている人は少ないです。

眼科医としては、40歳過ぎたら、自覚症状がなくても眼科受診を!と言いたいところ(実際啓発しています)。

 

 

労災事故は、発生防止に努めていますが、担当する店舗でも一件発生しました。

50代女性スタッフが、飲料を積んだ台車を引いている際、誤って台車の車輪に足の小指を巻き込み骨折。

普段、台車(スーパーやホームセンターのカートではない)を使用したことのない院長は、早速、職場巡視で確認。

バックヤードに台車は多数。

荷物が載っているのも、空のも。

『これで小指骨折するんですか?』

カートを前後に動かしながら店長さんに尋ねます。

別のカートの場所に連れて行ってくれます。

2リットルペットボトル6本1箱が12箱。

上下2段に乗っています。

合計144キロ。

該当女性に近い院長(体系は不明)。

かなり重いながらも、車輪がついているので、押す方向にも引く方向にも動きます。

 

『引いていた時の事故でしたよね?』

普段、台車やカートは押すイメージの院長。

スーパーでは、品物の量(かさ)も重量も多くなります。

押して動かすと、前方不注意や、重量で走行の制御が効かず、お客様に被害を及ぼす恐れもあるそうです。

だから、自分のほうへ引きながら商品を運ぶのだそう。

しかし、重量のある台車だと、引いた時の重さで、すぐに静止しない場合があり、今回もこれに該当(かつ、バックヤード通路がやや暗かった)したとのこと。

自分も144キロ荷重の台車をやや勢いをつけて引いてみます。

結構なパワーの台車を受け止めないといけません。

小指が下敷きになったら折れるかも!?

その後、念のため、安全シューズの支給もすることになりました。

 

台車を引きながら浮かんだのは、視覚障害者を誘導する体勢。

クリニックでは、眼の悪い患者さんが多く来院されます(眼科なので当たり前)。

中でも、視力や視野がひどく悪く、院内を歩くにも、介助が必要な方がいます。

もちろん付き添いの方がおられますが、誘導の仕方は色々。

目が見えないから…と、患者さんの手を引っ張って進行方向に後ずさりしていく介助者が多々。

これは、介助者も進行方向が見えないので危険ですが、患者さんにとっても引っ張られる行為は不安です。

見えていないのに、どんどん前に行く不安。

視覚障害の方を介助するには、原則、横に立つことです。

肩もしくは腰に手を添えて、声をかけてゆっくり進む。

白杖で介助者付きの場合は、介助者の肩に手をかけて後ろを歩くことが多いです。

その際も、介助者は、歩行のペースや障害物などを知らせる必要があります。

 

明日から、スーパーで台車を見かけたら、運搬方法と荷重を見てみようと思います。

今回も、新しいことを知った産業医業務でした。

 

 

 

 

 

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2021.11.9  もはやお母さんではない

就学時健診の時期です。

近隣の小学校3校を受け持っているので、自転車で出かけます。

 

毎度のことながら、校門には、習い事のチラシ配りの人が。

数年前までは『お母さんですか?』と聞かれたものの、今は声もかけられません(当たり前ですが)。

 

この秋から読み始めた源氏物語(現代語訳)で、主人公・光源氏は40歳で孫を抱くシーンがあります。

65歳くらいの尼君(明石の御方の母)に至っては、十分品よくふるまっているようだが、もうろくして耳もよく聞こえない様子(と書かれています)。

はるかかなた、平安時代は、寿命も短い分、人生の営みも早かったのでしょう。

現代は、結婚出産も遅くなったとはいえ、院長の年齢なら『おばあさんですか?』と聞かれて『そうです』と答える人もいます。

健診の介助に付く若い先生は、息子たちと同世代。

早い家系なら、おばあさんです。

 

担当する小学校は全て視力検査をしてから、眼科の健診になります。

教室に自分で入ってこられる子、母親と手をつながないと医師の前に立てない子、入り口で泣いて入ってこられない子、診察の前で急に泣き叫ぶ子などなど色々です。

しかし、入学後の学校検診では、ほとんどの子は問題なく健診を受けられます。

ほんの半年ほどですが、1年生になり心にも成長が見られます。

ルールに従うことも、多くの子供ができるようになります。

1年生と2年生、2年生と3年生など、学年による心身の成長差はいつも感じることです。

 

今回視力が出なかった子(B/C/D)には、近日中に眼科での再検査を勧めます。

また、気になる眼の症状(斜視や眼の病気)がある子も、眼科の受診を勧めます。

『はい、わかりました』という保護者。

『ホントに見えなかったの!?』と子供に詰問する保護者。

『ふ~ん』と全然気にしていない様子の保護者。

保護者も色々です。

 

視力は、本人の見え方なので、再検査したときに異常はないかもしれません。

しかし、遠視や近視・乱視や何かの眼の病気がある場合もあります。

異常がなければ『良かったね』

異常があれば『早めにわかって良かったね』

 

就学時健診で視力D/Dだった患者さんが来られました。

少し遠い地域からの来院です。

強めの近視がありましたが、どんな度数を入れても矯正視力が出ません。

本当に近視なのか(子供は、見かけ上の近視ということがあります)、眼の奥に異常はないのか、精密検査をしました。

すると、見かけ上の近視で、実際には近視ではありませんでした。

また、眼の病気は何もありませんでした。

視力は出るはずなのに…

トリックを使って視力検査をすると、ちゃんと1.0まで出ました。

急を要する眼の病気はないこと、心因的な要因があること、視力は出ることをお母さんにお話しして経過を見ています。

『大丈夫!』

『安心して!』

お母さんによくかける言葉です。

 

先日81歳で校医をしておられる先生とお話しする機会がありました。

いまだに、自院の診療も。

81歳から見たら、まだまだ自分(院長)は若造ですが『お母さんですか?』と聞かれる年でもなし。

定年が来るまで、学校医頑張ります。

 

こちらの記事もぜひ、ご覧ください

お母さんですか~?

年齢分の長所

受診のお勧め用紙を貰われたら早めの受診を

就学時健診の母?

学校検診

健診のお知らせの受診率と育児の放棄

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2021.10.5 しどろもどろ

新型ワクチン接種当番は秋になっても続きます。

秋のゴルフラウンド用に買ったウエアも、近々のラウンドは未定。

こんな秋晴れの日に、ワクチン当番。

人の多いワクチン接種会場に、新しいゴルフウエアで出務です。

誰か見てくれるかな~?

座って医師用ビブスを着て予診。

誰も見ないわ、気に留めないわ(当然)。

ゴルフウエアで、ペンを握る院長です。

 

初回は、地元小学校で、高齢者優先接種。

基礎疾患がある人が多いことや、地元ゆえに当院の患者さんもいて、予診で長くなることも。

その後、年齢が徐々に下げられ、若年でも持病のある人の優先接種が始まりました。

月ごとに、接種者の層が変化していきます。

 

今回は、12歳以上の若年者が大多数に。

ほとんどの人は、基礎疾患はないので、病気に関してはほぼスルーです。

しかし、今までになく、ベッドで寝ての接種希望が。

ワクチンごときで?と思うオバサン院長ではありますが、繊細なお年頃?(若者)は、安心のためにもベッドで。

若い人ほど、不安・心配の心情が見受けられます。

 

『医師と話がしたい』と付箋を付けてきた女子高校生。

付き添いの母親はすでに接種済みです。

ネットで、ワクチン接種否定の記事をたくさん見て、接種すべきか迷っていると。

ワクチンの開発の話、接種のメリット・副反応。

打たない選択をした場合起こりうること、などなど。

『○○は絶対ですか?』

『医学に絶対はないから、最後は自分で決めてね』

『もう少し考えます』

予診ブースを後退して悩むこと30分。

『来春、受験なので、その時コロナに罹って後悔したくないので、打ちます』

本日接種可能にサインして、接種ブースに進んでもらいました。

『受験頑張って!』

 

接種後のブースでは、何人かの若者が気分悪くなり(いわゆる脳貧血)、内科医師が駆け付ける場面も何回か。

人生経験が浅い分、不安も大きいし、迷走神経も過剰に働いてしまいます。

 

今回は、外国人も多い印象を受けました。

ベトナム・インドネシア・タイ・フィリピンなど東南アジア系。

バングラディッシュ・インド・パキスタンの南アジア。

中国・韓国。

ほぼ英単語を交えた日本語の日系アメリカ人もいました。

何人かに接していると、顔形・姿・名前の表記から、どこの国の人か見当がつくようになってきました。

最初は出身国を聞いていたのですが、そのうち『○○国出身ですか?』と尋ねると『そうです。よくわかりましたね』と言われる始末。

ほとんどの人が、日常会話には困らないよう。

子どもだけが日本語に堪能で、こちらの内容を両親に母語で伝える場面も。

インドネシアでは、苗字がないことを知ってびっくり(教えてもらった)、豆知識も。

 

『先生、英語大丈夫ですか?』

いきなり、係の人が尋ねてきました。

『少しくらいなら…』

『では、今から英語しか話せない外国の人お連れしますね』

え~!?

30代の浅黒い髭の生えた男性。

問診票は、もれなく問題なしです。

なのに日本語話せないの?(厚労省HPに各語の問診票あり)

まずは、お決まりの『どちらのご出身ですか?』(拙い英語で)

『パキスタン』

接種は問題ないけれど、接種に当たっての注意事項や確認をしないといけません。

相手の話の聞き取りは出来るのですが、話そうとすると焦ってしまいます。

しどろもどろながら、相手は理解してくれてやれやれ。

半年ほど前に、英会話の勉強を少々再開したもののこのお粗末さ。

トホホ。

 

若者と外国人。

院長、人生経験は半世紀あっても、まだまだドキドキは健在?です。

 

過去の記事もご覧ください「2021.6.8 こんな所で…」

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2021.9.28 契約更新

学校医は、学校保健委員会や就学時保健委員会など、年に何回かある委員会に出席します。

必ず校医として発言の場が設けられるので、意見や見解を述べます。

 

さて、産業医は安全衛生委員会の出席があります。

安全衛生委員会とは、その事業場における衛生に関する問題について関係者が話し合いをする場のこと。

労働安全衛生法に基づき、常時100名以上の労働者を使用する規模の事業場で、月1回以上開催することになっています。

 

担当するスーパーでは、委員長は店長さんです。

安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が会社側のメンバー。

労働者側からも何人か参加します。

水産部門・畜産部門・農産部門・総菜部門…など、各部門ごとに。

 

嘱託産業医の院長は、毎回出席は難しいので、その時は前回の議事録を見て、店長さんに質問します。

スーパーという職場柄、スタッフの皆さんは、エプロンや長靴・コックシューズのままで委員会に駆け付けます。

全店舗の労働災害の報告が人事部から毎月入って来るので、その報告から始まります。

 

毎月、スーパーで多いのは転倒事故です。

高齢の従業員の転倒が多くなると、ケガも重症化しやすくなり、休業も長期化しやすくなります。

転倒の主な原因は、滑り・つまづき・踏み外し。

 

水産部門の水・氷や総菜部門の油など、スーパーは滑る場所が多いので注意が必要です。

アイスクリーム搬入時に床が濡れてしまい、高齢のお客さんが転倒してしまったという事例も。

濡れ・汚れを見たらすぐ清掃を。

あわせて、お客さん(主に子供)が、店内でする嘔吐することも結構あるそうなので、迅速な処理を。

冬場はノロウイルスにも注意ですが、『汚物処理ツールボックス』と言う専用キット(初めて知った!)があるので、手順通りに使用すれば良さそうです。

買った商品(大物)を忘れるお客さんにも驚きましたが、店内嘔吐事故?多数発生にも驚き。

 

以前の巡視で指摘した切れの鈍くなったかぼちゃカッターは新しくなりましたが、他店での巻きずしカッターでの切創事例を聞くと、鋭利すぎも怖い。

気を付けて取り扱ってほしいものです。

労災事故は極力起こりませんように。

 

食品を扱うので、作業場の温度管理も重要です。

冷蔵庫や冷凍庫から商品や材料を取り出す際には、事前に作業場を冷却しておくことは、毎回、店長さんが繰り返し言うことです。

一般家庭なら、冷蔵庫からエアコンの効いていない室内に出して調理、と言うことはよくあります(院長も)。

しかし、職場では、たとえ少しの時間でも、まず作業場を冷やしておくことが徹底されます。

食中毒の発生は致命的なので。

 

店内はいつもひんやりしています。

売り場は24度。

しかし、揚げ物作業場では27度にもなります。

火傷しないように、長袖長ズボンキャップなので、まめな水分補給を勧めます。

一方、水産作業場は18度。

制服だけでは、体の芯まで冷えてしまうので、支給のインナーを着用しての作業です。

同じスーパー内でも、かなりの環境差があり、個々の健康を維持しながら、作業を効率に進めるために勘考しています。

 

院長も産業医として、意見を求められます。

初出務の時は、ドキドキしていましたが、だんだん概要が分かってきたこともあり、この職場が好きになっています。

 

『次回は〇月〇日でいいですか?』

『はい、大丈夫です。伺います』

 

あれ?1年契約だったのでは?

どうやら本部から契約更新してもらえたようです。

産業医の成長物語?は続きます…

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2021.8.31  パラを見る

東京2020パラリンピックが開催されています。

オリンピックはニュースで結果を知ったくらいでしたが、パラリンピックのいくつかは、中継で見ました。

『障がい者スポーツ医』としてはぜひ見なければ!

『障がい者スポーツ医』とは、障害がある人たちがスポーツを生活に取り入れ実践していくためのスポーツ指導者です。

日々の健康増進のためのスポーツから、競技としてのスポーツまで指導内容は多岐にわたります。

専門科目は多岐にわたるので、恐らく、各々自身の専門科を活かしたスポーツに関与することが多いと思います。

院長は眼科医なので、視覚障がい者スポーツに特に興味があります。

 

視覚障がい者の種目としては

ゴールボール

5人制サッカー

陸上

水泳

柔道

自転車(二人乗りで前に晴眼者、後ろに視覚障害者)

 

視覚障がい者と言っても、その程度は様々です。

視力の程度(全盲~0.1)や視野の程度によってクラス分けがなされます。

クラス分けをするのは、障がい者スポーツ医の中でもパラリンピック級の選手のレベルを判定できる上級の医師たちです。

障がいの部位(視覚や身体、知的)などにより、各種目ともクラス分けがなされています。

個々の障害が競技に及ぼす影響を出来るだけ小さくし、平等に競い合うために必要な制度です。

 

さて、一番気になっていたのは、ゴールボール。

ゴールボールは、視覚障がい者だけが対象で、交互に投球して相手のゴールを狙い、得点を競うスポーツです。

 

院長は、2回、ゴールボール実践体験があり、少し身近に。

まず、視覚障害の程度による不公平をなくすために、アイシェード(真っ黒なゴーグル)をします。

これで、まったく見えなくなります。

選手3人が横並びに位置するのですが、相手がどこにいるか見当がつきません。

鉛の鈴が入っている重さ1.25キロのボールを相手のゴールにシュートします。

ボールがガードされれば得点にならず。

ガードをくぐり、狙い通りにゴールに入ると得点が取られます。

暗闇の中で歩く、ボールを投げる(というより重いので転がす)…

音のするボールが向かってくるのはわかっても、正しい方向は?ガードするためにどの位置に向かっていけばよい?足取りも及び腰…

わずかな体験なのに、ぐったりの院長でした。

 

さて、実際の試合をテレビで見てみると…

投球の時点で、まったく違います。

体験の時は、選手はもう少しゆっくり投球していたと記憶していますが、勝負をかけた本番は全然違います。

ぐるっと回転させソフトボール投げ+砲丸投げも混じっているような投げ方(院長表現下手)で、すごい速さでバウンドして相手のゴールに飛んでいきます。

スピンの効いた時速60キロ程度ともいわれる重いボールをガードできるのは、圧巻です。

聴覚と触覚を研ぎ澄ますことで、ボールの軌跡や他選手の動きが分かるのでしょうか。

 

他の競技も見ましたが、障がいを克服して何かを成し遂げるのは大変なことです。

日常生活でさえハンディがあるのに、ましてやパラリンピックに出場など想像を絶するものがあります。

障がいを克服(残存機能・他機能を生かす・代替する、補装具を使う)して、健常人でさえ成し遂げられないスポーツの頂点に立ったパラアスリート。

 

パラリンピックを詳しく知り、大きな興味と知識を持って観戦できたことは、障害者スポーツ医として最初のステップ。

今後は、地域の障がい者スポーツの普及・指導に関わっていきたいです。

 

※関連記事もお読みください

→2020.3.3 障がい者スポーツ医

カテゴリー:健康 公センセの想い 眼に関すること

2021.7.20 仕事の帰りに

スーパーの産業医の仕事も、この時期になると、新型コロナ対策に加え、スタッフの熱中症予防、食中毒予防のための食品温度管理も話題に取り上げられます。

 

暑くなると、飲料やアイスクリームの売れ行きは良くなり、在庫補充管理で忙しくなります。

慌てて、大量の飲料を積み込んだ台車で自分の足の甲を轢いてしまった事故も他店では起きていました。

荷重量があったにもかかわらず勢いよく台車を動かしてしまったのが、原因。

力任せに台車を動かさない。

積載量を減らすか、複数人で動かすのが、再発防止対策。

ヒヤリハットの報告は、当院も朝礼時に共有していることなので、職種は違っても参考になります。

 

その日、ある冷凍室はがらんどう。

清掃の日でした。

冷凍庫ではなく冷凍室。

隣の冷蔵室も同様に広い。

ふだんの生活では見ることのない小部屋に、このスーパーの冷凍食品の在庫が保管してあります。

 

7月は切創事故防止月間(強化期間)です。

スーパーの裏側は、切れ物が多く、しかも業務用なので本格派。

かぼちゃカッターは、機械自体が重いので、清掃中にバランスを崩して切創が起きやすい。

畜産のスライサーは、刃に当たるだけで切れてしまうので耐切創手袋の着用を。

水産では、水気をふき取る際に包丁で手を切ることが多いので注意。

惣菜では、巻きずしカッターの機械を分解するときに刃に触れ切創となることが多いので注意。

巡視のたびに、本格派の刃物・スライサーを見てぶるっとする院長です。

 

巡回中、かぼちゃカッターの切れが悪いと現場より。

『事故防止のためにも新しいのに買い替えましょう』と産業医(院長)。

『いいんですか?』とスタッフ(店長さんを見る)

『いいですよね。事故が起こってもいけませんし』

『もちろんですよ、新しいのにしましょう。その代わり、新しいのは、刃がよく切れるから、そっちも気を付けてくださいね』と店長。

次回は、新しいかぼちゃカッターが見られそうです(すごく切れそうで怖いです)。

 

スーパーひとつとっても、色々な職種・部門があり、毎回新発見です。

 

先日の新型ワクチン接種当番日。

大型ショッピングセンターの接種会場へは従業員出入り口から。

バックヤードを通るときは、つい産業医の癖で見ている自分に気が付きました。

 

さて、産業医の職場に行くことも、小さな旅なのですが、今回オプションを。

職場と同じ町に温泉があるのを発見しました。

バスもない2キロの道を、職場のスーパーで買ったペットボトル(自販機より断然安い!)を携え、グーグルマップを頼りにてくてく。

夏日に、時速6キロ(院長通常時速)で歩くと、汗が吹き出します。

やはりパンツとスニーカー・リュックで正解でした(いつもは仕事用鞄・パンプスです)。

広いお風呂に、地元のおばあ様2人連れ2組、祖母と孫1組。

露天風呂と大浴場に浸かって『はあ~極楽~』

神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩などの効用が。

よく浸かったと思って、出るとわずか20分弱。

それでも、日頃の筋肉痛(ほぼ年中筋肉痛)が取れたような…

着替えてさっぱりした後は、再び歩いて駅へ。

小さなオプションでも、ちょっとしたミッションを果たしたようで、一人ほくそ笑む院長でした。

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2021.6.8 こんな所で…

新型コロナワクチン集団接種の初当番日。

医師会から日時・会場・役割(予診か接種)が指定されています。

 

時間より少し前に到着すると、既に接種希望者と思われる人たち。

場外案内・場内案内などなど色々な色のビブスを付けた人たちが対応に当たっていました。

『医師』と記してある青いビブスを着ます。

 

既に一日当番に当たった家人が『仕切りは段ボールでできていた』と言っていたので、さすが名古屋市!?と納得。

いわゆる茶色の段ボールを想像していたのですが、見当たりません。

予診のパーテーションや、接種ブースはきれいな白い壁。

あれ?でも、触ってみると確かに段ボール。

見た目は、普通の家の壁と遜色ないくらいです。

 

さて、当日接種可能か否か、接種後の待機時間をどうするかを決めるのが予診の担当です。

問診票に記入漏れや不備がないか確認、血が固まりにくい薬の内服やアレルギー反応(発作)を過去に起こした人は要注意です。

一通り話をして、最後に医師のサインをします。

 

今回は、地元の小学校が会場なので、地元住民が多くなります。

緑区在住がほとんどですが、区外、しかも市の中心部からも。

ワクチンへの関心が高いことを感じました。

 

当院の患者さんの問診をする機会も多々。

院長が目の前にいるとは想像もしていないので、多くの人は、サインも見ずに接種場所へ導かれていきます。

しかし、たまに問診時、目が合って『あっ!?』と驚かれる方や、問診票のサインを見て話しかけてこられる方もありました。

 

『あれ~!こう先生、こんな所で!先生たちは、もう打ったんだよね。どうだった?痛かった?大丈夫だった?』Aさん(女性)。

『打ったところが少し痛む程度で大丈夫でしたよ』

『明後日、テニスできるかしら?』

『たぶん2日後なら問題ないと思います。でも無理しないでくださいね』

『それ聞いて安心したわ。こんな所で、先生に会えるなんてよかったわ~』

 

『はせこうさん、こんな所でも働いてるの?』Bさん男性。

『医師会からの仕事なのです』

『大変だね~。あ~、最近眼科さぼっているから、また行くわ~』

『お待ちしてま~す』(と言うのも変ですが…)

 

『あっ!長谷川先生。その節は、家内がお世話になりまして…』Cさん男性。

『○○さん、その後いかがですか?』

『あれから転んで骨折して入院したら、認知症がどんどん進んでしまったんです。

もう私一人では見られないので、施設に入りました』

『そうですか…大変でしたね…お大事になさってください』

と、意外な近況報告を聞いたり…

 

65歳以上になると、集団接種会場でも、何の疾患もない人は一握り。

多くの方が、生活習慣病を始め種々の病気の治療をされています。

おくすり手帳は、薬を提示するには便利だと再認識。

病気や年齢によりますが、すたすた歩く人、杖や介助、車いすなど移動の仕方は色々。

ラフな服装が多いのですが、お洒落をしてくる人も。

65歳以上で一括りとはいえ、100歳までの範囲でも35歳の幅があります。

予診の合間に、アクリル板越しに会場を見ながら人間観察をしていた院長でした。

 

接種後の皆さんは何もなく無事に帰路へ。

私たちも無事本日の任務を終えました。

会場スタッフ全員が、持ち場をきちんと遂行してくれたおかげです。

お疲れさまでした!

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