2026.3.17 マダムになって
『そのショールって本物でしょう?!』
某地方デパートのレストラン街。
名前を書いて順番の椅子に座って間もなく、隣から声を掛けられました。
『はい』
『そうよね~、モノがいいもの。ミンクかしら?』
『さあ、いただき物なんです。知人の形見と言うか。もう30年も前のですけどね』
実際、この時着けていた毛皮のショールは頂き物。
若かりし頃赴任した病院の忘年会の催し物(新人ノルマ)の為に、元芸妓(80歳近く)さんに日本舞踊の弟子入りをした院長。
泥縄式の稽古をつけてもらい当日披露。
姐さんは既に癌が見つかり、最後の弟子?ということもあり、そのショールを院長に分けてくださったと言う訳。
ずっと桐ダンスの中でしたが、箪笥の肥やしでどうする?と、少し前からコートに合わせて使うように。
天国の姐さん、使っていますよ~
さて、毛皮談議で終わったわけではなく、今度はその人(仮にAさん)は、自身の毛皮の持ち物や昔のあれこれをお話。
院長『そうですか』『素敵ですね』などなど相槌。
『あなた、何かお仕事してるでしょ?!』
『はあ、まあ、一応』
『やっぱり。働いています!って顔してるもの。私もそうなの』
結構なお年のよう。
『すごい!そうなんですか?!』
『私、ずっと化粧品のセールスやってるの。今年、84よ!今日はお客さんとご飯食べるつもりだったけど、向こうの都合が悪くなって、一人で来ちゃった』
お~!
院長もそのくらいの御年お姉さまから見たら小娘です。
『あなた、○○歳くらい?』
誤差範囲で合っています。
さすが化粧品セールスレディ。
院長の手元には文庫本。
気付いているはずもなく。
『なかなか順番進みませんね~』
『回し方がダメなのよ。見てきてごらんなさい。空席は何席かあるでしょ。でもウエイトレス(懐かしい単語)が一人しかいないから、お客さんが帰っても片付けられないのよ。もう一人二人ウエイトレス入れないとね~』
席を立って覗いてみると、おっしゃる通り。
ホールは20代の女性スタッフのみ。
スタッフ募集の貼り紙も。
経営者(院長)としても反面教師。
Aさんよく見ています。
院長が、なぜこのお店に決めたかというと、他よりは空いていたから。
Aさんは全てのレストランを制覇しており、今日はオムライスという気分になったそう。
『確かに、おっしゃる通りですね…』
『まあ、しばらくお話しましょ』
同じ船に乗った縁ということで、見知らぬ人のお話もそれなりに。
確かに、一人で待っているよりは(でも文庫本持参したし、スマホもあった)何となく待つ時間は短く感じたような…
Aさんがやっと呼ばれて『お先にね~』
『ごゆっくり』
ほどなく院長も呼ばれました。
名古屋でも食べられるのに、違う地に来てオムライス。
出てきたのは、かなりの量。
待った甲斐があって美味しくいただきました。
ひとつ隣のテーブルのA さん、院長と同メニューを食べていました。
ぐいぐい来た84歳のお元気なご婦人。
自分が声を掛けられ易いのか?
知らない人と話すのも面白いからいいけれど。
84歳になって一人でご飯を食べに行き、若い人と話す。
院長もお手本にしたいです。
程をわきまえて。
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