2025.5.27  紫外線は目にも…

学校検診・視力検査も始まり、受診のお勧め用紙を手に来院される患者さんも多くなっています。

視力の他に保護者からの質問が色々。

年の功?性格?質問には即答の院長です。

直球で答えることが多いのですが、人によっては変化球で返すことも。

 

薫風の季節、爽やかどころか急に暑くなり、紫外線に関連する質問もいくつか。

 

紫外線被ばくによる眼障害は急性と慢性があります。

急性とは急に起こるもので、屋外活動後の結膜充血や角膜炎です。

有名なのは雪山での『雪目』、ゴーグルなしでスキーをしていると紫外線による角膜炎が起こります。

その夜から翌日、角膜炎による激痛が起こり眼科受診することになります。

南方のビーチなどでもサングラスなしだと数時間で角膜炎が起こることがあります。

 

少年野球やサッカーなどで一日屋外活動をすると充血するのは、目の日焼けです。

翌日には治癒軽減していることが多いので、目が日焼けをしている自覚はないかもしれません。

しかし、この繰り返しで慢性障害である瞼裂斑(けんれつはん)を発症しやすくなります。

瞼裂斑は、角膜(茶目)の水平方向の結膜(白目)が盛り上がり充血したものです。

同年齢の児童を対象に、沖縄県と石川県で瞼裂班の発症率を調べたところ、沖縄県での発症率が高かったという報告もあります。

 

さらに、紫外線は白内障のリスクを高めます。

加齢により紫外線を浴びる量は当然多くなりますが、紫外線被ばくにより特徴的な白内障のタイプもあります。

高温環境もリスク有とされており、高温下での屋外作業やスポーツ下でのサングラス着用はぜひ。

 

眼の紫外線対策として

*紫外線カット機能付きコンタクトレンズ

まぶしさを自覚しなくても、太陽が高い時間帯では

*帽子(UVカット率約50%)

*眼鏡(同70~90%)

*眼鏡と帽子との併用(95%程度)

*サングラス(90~95%)

の併用もお勧めです。

 

紫外線はお肌に悪い…なんてことも知らずに、沖縄のビーチで日焼けオイル(ココナッツの香り)を塗りたくって小麦色に焼いていた大学生の頃。

化粧品のキャンペーンガールも憧れの小麦色の肌(昭和)。

 

眼科医になり、暗室での診療のため日中紫外線を浴びることが激減。

紫外線による眼障害の患者さんには多く遭遇。

お肌のみならず目の紫外線障害について、患者さんにお話ししています。

 

今年のA小学校での検診。

新任の養護教諭と挨拶。

あれ?どこかで見たことがあるような…

『先生、お久しぶりです。B小学校に居た…○○(旧姓)です』

『え~○○先生!?お久しぶり~!何年振り?』

『B小学校に赴任した時から17年になります』

『え~!』(の連続)

目の前のC先生が一気に17年前の○○先生に。

新卒のC先生は、当時マンモス校のB小学校養護教諭No2(2人体制)として赴任。

一生懸命仕事を覚えている姿、それに伴う成長を検診や学校保健委員会の時に嬉しく眺めていたものです。

まだお姉さんのようだった可愛いC先生もベテランの域。

今では3児の母だそう。

B小学校でお世話になっていた我が息子たちのことも覚えてくださっていました。

息子たちがもう社会人。

C先生も3児の母。

月日の速さを感じます。

『育休明けの赴任先の学校医が公センセで安心しました』

『私も嬉し~』

長く学校医をしていると、先生たちとの出会い・別れそして再会も。

 

『先生、変わらないですね~』

お気遣いに感謝。

また誰かに言ってもらえるよう紫外線対策に励みます。

 

敦煌特産の水晶石眼鏡

 

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カテゴリー:クリニックに関すること 健康 公センセの家族・恩師・友人など 眼に関すること

2022.12.20 リアルDr.コトー  その3

翌朝、前日の雨風は止み(と言っても時々降ってくるのが島の気候らしく、何回か降ります)、島内を電動自転車で周ることにしました。  →前回の記事はこちら

与那国島は一周27キロとはいえ起伏が激しいとのこと。

島に沿って道があるので、走っていきます。

サトウキビ畑を横に、ひびの入ったアスファルトを進んでいきます。

晴れると一気に日差しが強い!

日焼け止め塗っておいてよかった。

石垣島の子供には瞼裂斑(瞼裂班)が多いという論文がありましたが、納得。 → 「目が黄色い」

加えて、白内障も進行しやすいだろうな~

展望台に行っても、与那国馬の放牧場を通っても人はいません。

念のため、グーグルマップに次の目的地を入れることにしました。

 

Dr.コトーの診療所を目指します。

ひどい急斜面を降りることになり、途中自転車は置いて進みます。

テレビで見たDr.コトーの志木那島診療所。

一昔前の診療所(昭和~)って感じです。

既にリアル診療所に行き、リアルDr.コトーに会った後もあり、感動はそれほどでも。

でも、自身が離島医療を勉強するきっかけとなったので、見ておかねば。

 

自転車を置いた場所までの上りの急勾配、更に自転車を押しての急勾配に泣きそうになります。

徒歩用にマップを設定していたようで、狭い獣道みたいな経路にはまり込んでしまったのです。

人影は全くない。

役場か診療所にヘルプ!?は避けなければ(いい迷惑)。

過酷な筋トレを課された…のだと言い聞かせ、歯を食いしばり脱出。

 

日本国最西端之碑。

ついに日本の最西端に。

2019年に丸木舟で男女5人が台湾から45時間かけて与那国島にたどり着いた記録が。

それだけ近いということ。

事実、以前は台湾との行き来が盛んな島だったそうです。

 

クルマエビの養殖場・製糖工場を通れば、ここの産業医は?

小・中学校を通れば、学校医も診療所医師が兼務だけど、眼科医は?歯科医は?と、思うこと色々。

 

約半日で1周出来ました。

起伏の多さと急斜面獣道迷い込みにより、体力消耗激しい院長。

ほぼ誰にも会わない道路。

ただの観光というより、ダイビング・釣りの客が多いようです。

 

もし眼科の診療のお手伝いができる日が来たら…

不安もありますが、自身の経験があれば役に立つのでは…とも。

目下、自身のフィールドは『眼科はせ川こうクリニック』。

20年以上にわたる患者さんの眼の健康を最後まで守ることが、一番の使命だと思っています。

離島よりは恵まれた立場ですが、地域医療の信念は変わらない。

総合内科ではないですが、総合眼科(造語)として何でも受け入れる姿勢は貫きたいと思います。

 

与那国空港はとても小さな空港です。

Dr.コトーのポスターが貼ってあります。

島には映画館がないのですが、町の体育館で上映会が開催されたとのこと。

映画館もなくてもいいけれど、あると嬉しい施設のひとつ。

商店も島に数件あるのみで、商品は非常に限られています。

厳しい現実はこんな所にも。

 

なぜか空港の待合室は賑やかというか騒々しい。

中学生たちがおしゃべりしたり、ふざけあったり。

行き先は石垣島。

『何かあるんですか?』気になるオバサン(院長)質問。

『バスケの試合に行くんです』

飛行機に乗って、バスケの試合に!?

離島の飛行機は、こちらの地下鉄と言う感じでしょうか?

島で生まれず(産科施設がない)、生後少し経ってから島に戻ってきた子たち。

高校がないので、15歳になれば島を出ることになる子たち。

 

今回、いつもと違う学びや、考えることが大容量。

離島医療の重みを感じた与那国島の医療体験でした。

 

**********************************************

 

県立八重山病院(石垣島)は別の機会に。

今年も一年ありがとうございました。

 

こちらもご覧ください

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの想い

2021.11.16 目が黄色い!?

日常診療で結構多い訴えのひとつは、『眼が黄色い』

医学生の時は、眼が黄色い=黄疸=肝機能障害と覚えたものですが、医療も発達し早期発見早期治療の現在、少なくとも日常診療で黄疸を見つけることはありません。

しかし、患者さんの中には、『黄疸では?』と問診に付け加えている場合も。

 

気にして来院される患者さんの多くは女性です。

茶目(角膜)の3時、9時方向の白目(結膜)が黄色っぽくなっています。

やや隆起している場合もあります。

『瞼裂斑(けんれつはん)』と言います。

結膜に限局し、角膜には及ばないのが特徴です。

病気ではないので、治療の必要はありません。

例えて言うなら『眼のしみ』

紫外線の曝露が要因とされています。

加齢により、紫外線の曝露量が蓄積され多くなるので、30代くらいから見られることも。

 

ただし、瞼裂斑に炎症が起こり、充血や痛みが出れば、瞼裂斑炎(けんれつはんえん)となり、炎症を抑える治療をします。

また、瞼裂斑は時として、ドライアイの症状を悪化させます。

瞼裂斑が大きめのドライアイの人は、涙が瞼裂斑方向(3時、9時)に流れていきやすい(盗涙とも言われます)ので、ドライアイ症状が悪化しやすくなります。

治療の必要がない旨を伝えると、安心される一方、長年(多くは加齢)の紫外線曝露と知りショックを受ける患者さんも。

院長自身は、意外にも、瞼裂斑を認めません。

眼科医30年、専ら暗室での仕事が奏功しているのかも?

 

実際、中学生を対象に、石川県の内灘町と沖縄県の西表島で瞼裂斑の出現を比べたスタディがあるのですが、より紫外線の強い西表島では中学生でも瞼裂斑が認められた報告があります。

さらに、アフリカでは、出現率が高くなっています。

 

さて、茶目(角膜)に白っぽい出来物が…と来院されるのが『翼状片(よくじょうへん)』です。

瞼裂斑と同じ位置(多くは鼻側)に出来ますが、白目(結膜)の一部が、角膜に侵入してきます。

自覚がないことがほとんどですが、大きく侵入してくると、充血や異物感を伴います。

さらに、角膜中央に向かって進行すると、乱視が強くなってきます。

翼状片は何年、何十年もかかって進行します。

しかし、乱視が強くなってきたり、黒目(瞳孔)と茶目(角膜)外側との真ん中くらいまで侵入したら、手術を勧めます。

翼状片の原因も、紫外線の曝露と考えられています。

 

 

病院時代には、瞼裂斑が主訴の患者さんを診ることはありませんでした。

重症疾患や、希少疾患が多くを占めます。

開業して、地域のお医者さんになると、ちょっとしたことでも相談に来院されます。

治療の必要がないものについては、心配ないとお伝えしますが、共感と安心を提供することも大事だと思っています。

 

オバサン(院長)になって、眼科医経験・人生経験を積んだ分、共感できることは多くなりました。

年を重ねるのも悪くないと思うこの頃。

オバサンだけどオバサンじゃない!のモットーで。

(このニュアンスわかってもらえますか?)

 

こちらもご覧ください

サングラスどう?

 

 

 

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