2020.1.28 花粉と初期療法

1月も下旬、あっという間に2月です。

 

『そろそろスギ花粉症の時期なので…』と、点眼や内服を希望される患者さんが増えてきました。

『また、次のシーズン前に来院してくださいね』の院長の指示に、毎年この時期に来院(再会)される律儀な患者さんも。

 

『初期療法』という言葉が浸透してきたように思います。

『初期療法』とは、花粉の本格飛散開始の約2週間前から、抗アレルギー点眼薬や内服を開始する治療法のことです。

症状の発症を遅らせ(自覚症状が出にくくなる)、花粉飛散ピーク時の症状も軽減させると言われています。

 

眼科雑誌に、ちょうどアレルギー性結膜炎の予防投与の論文がありました。

 

初期療法のメカニズムには3つ考えられていて…

 

①本格飛散の前から少しずつ花粉は飛んでいるので、自覚症状(かゆみなど)はなくても、局所では炎症が起こっている可能性がある。

無症状だけど、水面下で炎症が起こっている状態を早めに抑えることで、本格飛散時の炎症を抑えられる。

 

②アレルギー反応は一度起こると、肥満細胞の脱顆粒(医学用語。俗にいう肥満とは無関係)により激しいかゆみが引き起こされる。

続いて、炎症細胞が動員され、ドミノ倒し的にかゆみが増加。

掻くことで目の表面のバリア機能も低下し、少し(10分の1から100分の1)の抗原(花粉)でも反応を起こしやすくなってしまう。

掻かないようになることで、アレルギー反応のドミノ倒しが起こらないようにする。

 

③抗ヒスタミン点眼薬は、かゆみに即効性があるので、近年処方されている(当院も処方しています)。

インバースアゴニスト活性の高い(医学用語)抗ヒスタミン点眼薬をさすことで、ヒスタミンH1受容体の数を減らし、かゆみを感じにくくすると考えられる。

 

実際、初期療法開始グループと通常療法(飛散してから処方)グループで比較したところ、『目のかゆみ』『目の異物感』『目の充血』『涙目』『目やに』の各項目に置いて、初期投与グループで有意(統計的に)に抑制されています。

また、QOL(生活の質)も低下が認められませんでした。

つまり、花粉の時期も快適に過ごせるということ。

 

以上が論文の大雑把な要約です。

 

『初期療法』は有効なので、1月下旬(今ですね)から2月初旬頃までには、点眼・内服を開始しましょう。

かゆみスイッチを減らすことで、かゆみを感じにくくする作用(予防)のある点眼・内服を開始しましょう。

また、一日何回の用法を守らず(忘れて?)、かゆくなったらさす人が多いのですが、定期的に点眼することで、かゆい感覚を抑えます。

 

今年は、例年よりは少ないと予想されています。

でも、油断は禁物!

東海地区は、2月中旬が飛散開始予測日です。

2月下旬から3月上旬にピークとなります。

 

院長は、スギ花粉に初めて発症の年(開業してから)、散々な目に遭いました。

あの恐ろしさを二度と味わいたくないと、毎年初期療法を行っています。

ゴルフもしばらくお休みです(だから上手くなれない…と言い訳)。

 

スギ・ヒノキ花粉症の方は、ぜひ、早めにご相談ください。

カテゴリー:眼に関すること

2020.1.21 りんごは品切れ

先日、青森へ行った時のこと。

Aさん(60代後半)のお宅に伺う予定でしたが、数日前の大雪で、車は時間が読めずトンボ帰りになるかも、との連絡。

『ならば、電車とバスで伺います』と名古屋感覚で言ったものの、昼間2時間に1本のダイヤを知り、断念。

結局、新幹線駅で、再会することに。

 

雪深く外へ出るより…と駅ビルでお昼ご飯。

青森名物のせんべい汁やイカ刺し、サバのメニューが並びます。

食後は、別腹?のデザート。

Aさんは『お腹いっぱいだから、コーヒーだけでいいわ』

院長はデザートメニュー(写真なし)に目を通します。

りんごパフェ・いちごパフェ・チョコレートパフェ。

りんごパフェがあるなんて、さすがご当地青森。

『青森に来たらりんごパフェですよね!?』

『そんなメニューあるんだね~』とAさん。

お店の若い店員さんに注文すると…

『りんご、品切れなので、りんごパフェ出来ないんですよ~』

『えっ?青森なのに!?』私(院長)。

私以上にびっくりしたのはAさん。

『りんごなんて、その辺のどこのお店にも売ってるのにね。何なら、うちから持って来ればよかった』

では…と、メニューを見て選んだのはアップルパイ。

『アップルパイは、青森産のりんごですよね?』と念押しすると

『県外産のです、県外の工場で作っていますので』

あれあれ…

『いちごパフェは出来ます?』

『はい、出来ます』

『では、それでお願いします』

 

間もなく、50代の女性店員が、コップに入れたジュースを持ってやって来ました。

『すみません。りんごが切れてまして。りんごジュースをサービスさせていただきます。これは100%青森県産ですので』

『名古屋からのお客さんだから、青森らしさ売り出さなくちゃね~。リンゴ農家はたくさんあるし、アップルパイ作る工場も青森にありますよ~青森、元気にしなくちゃ!』

Aさんが、熱くなるのは、ある地方自治体のフレッシュ議員さんだからです。

鎌倉の海岸で知り合ったときは、退職後嘱託で仕事をしている状況だったのですが…

 

政治とは無縁だったAさんの議員活動や地域にかける思いを熱く聞きました。

りんごや野菜を主産業とする過疎の町をどうするか…

少子化が進み、高齢者だけが残される…

対して、当クリニックの小学校学区だけで、人口は1万を優に超え、高齢化率は緑区で最低レベルの15%ほど。

地下鉄もバスもあり、医療機関も充実しています。

Aさんの地域とのインフラは歴然です。

 

またお店のりんごの話に戻り…

『でも、このお店、ちゃんとほうれんそう(報告・連絡・相談)が出来てましたよね』

『そうね、あの若い店員さんも上司にすぐ報告したし、上司の女の人もお客対応しっかりしたしね』

『あとは、観光客に、より青森らしさをアピールしてほしいですね!』

 

『いちごパフェ、お待たせしました』

出てきたのは…

ホイップクリームにいちごジャム、アイスクリームとコーンフレーク。

生のいちごじゃないの?これが青森流?

ならば、りんごパフェも、生のりんごが品切れじゃなくてりんごジャムが品切れ?

 

青森らしさ満載の究極のりんごパフェ、いつか食べたいです!

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2020.1.14 地域医療実習

今年度より、藤田医科大学医学生の地域医療実習の受け入れ機関となりました。

5年生への進級が決まった4年生、もしくは5年生がstudent doctor(学生医師?)として、地域医療機関(病院や開業医)に実習に来ます。

初の受け入れ第1号は、好青年のMくん4年生。

 

院長が医学生だったころとは違い、今は、カリキュラム全てが前倒しになっています。

4年生までに、基礎科目(解剖・生化学・薬理などなど)だけでなく、臨床科目(内科・外科・産婦人科などなど)も終了。

国家試験も前倒しで2月(院長の時代は4月)です。

 

藤田医科大学では4年生から臨床実習です(院長の時代・岐阜大は6年生のみ)。

国家試験のシステムも内容も激変しているようです。

30年なんて一昔どころではない期間、親子ほどの差がある学生を見てそう思います。

 

『〇内科のT教授に教わった?』

『はい、すごく勉強されていますよね』(そりゃそうです)

『大学の同級生なの』

『え~!?そうなんですか!?』

同級生の何人かは、大学教授に就任しています。

T君(教授)もその一人。

学生の立場からは『は、は~』と恐れ多い教授T君と、『は、は~(母)』みたいな実習先の院長(私)。

『月とすっぽん』ではありますが、双方、もうそんな年齢、立場なんだわ~

 

院長の傍で、診療の様子を見てもらいます。

当院は緑内障患者さんが多いので、院長自ら眼圧を測ります。

『教科書のその機械で測るの、初めて見ました!』

『こんな風に見える眼底カメラ(オプトス)、初めて見ました!』

初めてがいっぱい。

M君が持参した眼科の教科書は、今風のイラスト多しの廉価な本と、由緒ある『現代の眼科学』の第13版。

『お~!まだ、あるのね!』

院長室の本棚にある学生時代の『現代の眼科学』は第3版。

ここでも時代を感じます。

 

昼休みの往診も同行してもらいます。

眼科の往診は意外だったようですが、患者さんに会い、状態や病名を知ると納得。

 

開業医は、毎日毎日同じことの繰り返しのようですが、患者さんは一人一人違うので、全く同じということはありません。

尋ね方、診療の仕方、説明方法、薬の処方内容、世間話など、個々に対応できるコミュニケーション能力は大事です。

知識も、技術も、検査機械も、医師を続ける以上留まることなく更新していかなければいけません。

特に、個人の開業医は、自分で課さないと、進化していきません。

医療現場以外の体験も、プラスになることは多いので、好奇心もあった方がいい。

などなど、熱い?思いも、先輩医師として、語った次第です。

『患者さんとの距離が近いことに驚きました』

病院よりは、そうだと思います。

距離が近いことが、開業医の強みであり、地域医療を担う上で重要なことだと意識して、診療をしています。

 

M君との距離も縮まり、息子のように愛着がわいた1週間。

最後は、鏡開きのぜんざい(毎年の院長お手製)を食べて、『実習お疲れさまでした!』

 

どの科を選ぶにしても、モノになるまでは、辛くても諦めないで!

止めないで続けることこそ、医師の道が開け、更に続けることが出来ます。

M君、頑張って!

オバサン医師(院長)からのエールです。

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの想い 眼に関すること

2020.1.7 暮れにも一人で

昨年は一人旅(高尾山)で始まり、一人旅で終了しました。

 

両家の年末年始の挨拶をやめにして、家族旅行を決行したある年。

開業医と子育て・家事に加え大学院の研究と、仕事納めの後も息つく間もないほど課題が。

そして、両家への顔出しをすると、自分の休息のないまま仕事始めです。

それが続いていました。

その時、目にした大晦日発の2泊3日ツアー。

秋田男鹿で本物の『なまはげ』が民家に来る風習を体験(息子たちには強烈な体験でした)。

日本海沿いを北上して、津軽鉄道ストーブ列車に。

その後下北半島の入口へ向かい、十和田湖を縦断して盛岡から帰途へ。

旅行は大当たり!

その時の感動が忘れられず、もう一度、行きたい!泊まりたい!思いが募っていました。

 

良い思い出には違いないけれど、今は家族旅行よりゴルフを優先する我が家の男性陣。

4人一組なら収まりよし(いつもは2&3バッグ)。

年末ゴルフは辞退して、一人旅決行。

 

今回は、青森県に向かいます。

男鹿はまたの機会に。

一旅一か所がモットー。

今回青森にしたのは、他にも訳があって、途中の駅で、知人に再会するためです。

距離があるため、なかなか会えない相手とは、自分から出向くのも自分らしさ?かな、と思う院長は、早速連絡。

往路、復路それぞれ違う駅で降車し、再会の予定も組み込みました。

 

東北新幹線の降車駅で60歳後半のAさんに再会します。

5年前に鎌倉の海岸ですれ違い、挨拶して以来のやり取り。

彼女とは、初再会。

 

それから第3セクターの鉄道に乗り換えます。

キーンとする冷たさは、北国ならでは。

ワンマンカーに揺られながら、街はどんどん淋しくなりますが、帰省時期だけにほぼ満員。

隣の若い女性の取り出した『東京都内→下北』の切符がちらりと見え、胸が熱くなりました。

駅を降りると、迎えの車でホテルへ。

 

15年前と変わらない外観です。

玄関の壁画の前で記念写真。

15年前は、ここで家族5人で撮影。

持ってきた写真には、あどけない(保育園児~小学校低学年)息子たちが。

私(院長)も若い!

 

夕食前にお風呂に入ります。

雪が積もって風情ある露天風呂は変わらず。

でも、前回は、小さい息子たちも一緒に入り、裸で雪遊びをしたり、はしゃいだりで、気が気でなかった…

しみじみと、物思いにふけりながら、ゆっくりと浸かる今。

あの頃には想像できなかったわ~

 

お風呂の後は、夕食。

部屋食なので、浴衣を着て、座っているだけで、お膳が整います。

3~4人前ある船盛にお寿司、御膳、鍋物などなど。

デザートも。

自分のペースで、ゆっくりと完食。

なかなか乙な体験です。

 

そのあとは、読書タイム。

静寂な中(ホテルでもテレビは付けない院長です)、ちょっと良い本を読むには最適です。

 

再び、露天風呂から帰ってくると、布団が敷かれていました。

12畳の和室に、布団一組。

家族ラインで写真を送ったら『寂しいもんやな笑』長男のコメント。

前回は、布団が5組だったので、部屋全面に敷き詰められていました。

家族5人同室で寝た旅行は、最後はいつだった?

寝相の悪さに布団直してばかりだったわ~などと思い出しつつ、眠ってしまいました。

寂しいと感じることもなく…

 

翌朝、もうひと風呂浴びて、朝食を。

前回子供たちが興奮した太くて大きなつららは、今回は残念ながらありませんでした。

外を歩くつもりが、『転倒』が頭をよぎり、玄関先で止めておきました。

15年の月日は、自分を慎重にさせています。

 

帰路は、再び第3セクターで新幹線駅へ。

途中、仙台で降車し、Bちゃんに。

彼女とは、高3以来の文通友達。

約7年ぶり。

 

1年の最後に、『いつか』のうちの一つ『もう一度旅』を達成し、久しぶりの親交を楽しんだ院長。

決行して良かった!

人生100年時代。

折り返しは自明。

今年も、自分のやりたいことを一つでも実現すべく、謙虚に精進したいと思います。

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