2021.2.2  2週間前

今年は2月17日。

日本気象協会による名古屋のスギ花粉飛散開始予測日です。

昨年の飛散が少なかったため、昨年比では、東海地方は非常に多い予想です。

とはいえ、例年よりはやや少ない予想です。

 

昨年からの流れで、マスクは風邪や花粉症の時だけでなく、常用する習慣になっている私たち。

この流れで行くと、何もしなくてもよいのか?と言うと、やはりスギ花粉症対策・治療は必要になってきます。

 

花粉症患者さんは鼻と眼に症状が現れることが特徴です。

アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎。

アレルギー性鼻炎の3大症状としては、『くしゃみ』『鼻汁(はなみず)』『鼻閉(はなづまり)』。

アレルギー性結膜炎の主訴は『掻痒(かゆみ)』

その他、『充血』『違和感(ゴロゴロ)』

いずれも、日常生活の質(QOL)を落とす不快な症状です。

 

今年も最新の花粉症についての勉強会。

もちろんオンラインです。

 

周知されてきましたが、花粉症の対策は、花粉飛散日前に!発症前に!が基本になっています。

『初期療法』と言います。

飛散開始日は、花粉がある一定量以上飛散する日なので、飛散開始日以前でも、ムズムズしたりかゆくなる人はあります。

当院の患者さんも、花粉症レギュラー(毎年花粉症で来院)の方は、1か月~2週間前に来院されます。

 

眼科なので、主に目の症状の訴えが多いのですが、鼻炎の併発ももちろんあります。

最近は、ステロイドの鼻噴霧薬が発症を遅らせることがわかってきました。

ただし、誤った使用方法で、眼圧が上がってしまったという報告もあるので、眼科での眼圧チェックは必要です。

 

眼科では、まずは、抗アレルギー薬の点眼を処方します。

スギ花粉飛散がどんどん多くなって、症状が出た時点で開始するよりも、飛散開始の2週間前から点眼するほうが、症状が軽く抑えられます。

自覚がないうちの『初期療法』です。

 

また、例えば、1日4回処方の点眼薬を、かゆみが出たときに4回点眼するよりも、かゆみが出ていなくても間隔をあけて4回点眼することで、かゆみのコントロールができます。

かゆみなどの症状がひどくなってからより、症状のピーク前に使用することが肝心です。

抗アレルギー点眼薬で効果がない場合は、ステロイド点眼薬を処方します。

ステロイドは、とても良く効くのですが、時にステロイドで眼圧が上がってしまう人がいるので注意です。

眼科医は、ステロイドを処方したら、必ず眼圧チェックをします。

他科でステロイドを処方されていて、いつのまにか眼圧が上がって緑内障になっていた…という悲惨な症例もあります。

もし、他科でステロイドを処方されていたら、たとえ、薬が効いていても、眼科医に眼の所見と併せて眼圧チェックをしてもらうことをお勧めします。

 

マスク常用の毎日。

花粉症予防には一役かっていますが、それでも発症してしまうもの。

くしゃみをしたら白い目で見られる昨今。

『花粉症です』のお知らせバッジも市販されているそう。

世知辛い世の中ですが、検討の余地も…

あらぬ疑いをされないように、早めの対策を。

でも、くしゃみだって赤い目(充血)だって、花粉症と診断されているなら、白い目を跳ね返したっていいんです!

 

今なら、2週間前ですよ!

カテゴリー:健康 眼に関すること

2020.1.28 花粉と初期療法

1月も下旬、あっという間に2月です。

 

『そろそろスギ花粉症の時期なので…』と、点眼や内服を希望される患者さんが増えてきました。

『また、次のシーズン前に来院してくださいね』の院長の指示に、毎年この時期に来院(再会)される律儀な患者さんも。

 

『初期療法』という言葉が浸透してきたように思います。

『初期療法』とは、花粉の本格飛散開始の約2週間前から、抗アレルギー点眼薬や内服を開始する治療法のことです。

症状の発症を遅らせ(自覚症状が出にくくなる)、花粉飛散ピーク時の症状も軽減させると言われています。

 

眼科雑誌に、ちょうどアレルギー性結膜炎の予防投与の論文がありました。

 

初期療法のメカニズムには3つ考えられていて…

 

①本格飛散の前から少しずつ花粉は飛んでいるので、自覚症状(かゆみなど)はなくても、局所では炎症が起こっている可能性がある。

無症状だけど、水面下で炎症が起こっている状態を早めに抑えることで、本格飛散時の炎症を抑えられる。

 

②アレルギー反応は一度起こると、肥満細胞の脱顆粒(医学用語。俗にいう肥満とは無関係)により激しいかゆみが引き起こされる。

続いて、炎症細胞が動員され、ドミノ倒し的にかゆみが増加。

掻くことで目の表面のバリア機能も低下し、少し(10分の1から100分の1)の抗原(花粉)でも反応を起こしやすくなってしまう。

掻かないようになることで、アレルギー反応のドミノ倒しが起こらないようにする。

 

③抗ヒスタミン点眼薬は、かゆみに即効性があるので、近年処方されている(当院も処方しています)。

インバースアゴニスト活性の高い(医学用語)抗ヒスタミン点眼薬をさすことで、ヒスタミンH1受容体の数を減らし、かゆみを感じにくくすると考えられる。

 

実際、初期療法開始グループと通常療法(飛散してから処方)グループで比較したところ、『目のかゆみ』『目の異物感』『目の充血』『涙目』『目やに』の各項目に置いて、初期投与グループで有意(統計的に)に抑制されています。

また、QOL(生活の質)も低下が認められませんでした。

つまり、花粉の時期も快適に過ごせるということ。

 

以上が論文の大雑把な要約です。

 

『初期療法』は有効なので、1月下旬(今ですね)から2月初旬頃までには、点眼・内服を開始しましょう。

かゆみスイッチを減らすことで、かゆみを感じにくくする作用(予防)のある点眼・内服を開始しましょう。

また、一日何回の用法を守らず(忘れて?)、かゆくなったらさす人が多いのですが、定期的に点眼することで、かゆい感覚を抑えます。

 

今年は、例年よりは少ないと予想されています。

でも、油断は禁物!

東海地区は、2月中旬が飛散開始予測日です。

2月下旬から3月上旬にピークとなります。

 

院長は、スギ花粉に初めて発症の年(開業してから)、散々な目に遭いました。

あの恐ろしさを二度と味わいたくないと、毎年初期療法を行っています。

ゴルフもしばらくお休みです(だから上手くなれない…と言い訳)。

 

スギ・ヒノキ花粉症の方は、ぜひ、早めにご相談ください。

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