2020.3.17 全盲デュオの演奏会

全盲二人組による小さなコンサートを聴いてきました。

主催は愛知県保険医協会女性医師・歯科医師の会。

 

バイオリンは29歳の稲葉さん。

バイオリンは5歳から。

 

ピアノは37歳の国枝さん。

ピアノは7歳から。

 

二人とも『未熟児網膜症』により失明したそうです。

 

『未熟児網膜症』とは…

網膜血管(目の奥の血管)は胎齢30週で完成するのですが、未熟児で生まれて、母体から外界へと環境が急変すると、まだ若い(弱い)血管が異常に増えて、悪さをします。

治療をしても、場合により網膜剥離を起こします。

周産期医療の進歩で、超低体重児も生存率が向上していますが、重症の網膜症も増えています。

現在、小児の失明原因の1位です。

 

そして、二人は『就労継続支援B型』施設からの派遣です。

 

『就労継続支援B型』は…

年齢、体力などの面で、雇用契約を結んで働くことが困難な人が、軽作業などの就労訓練を行うことが出来る福祉サービスです。

受給者証が発行されると、作業により生産された製品やサービスの出来高に応じて工賃が支払われます(事業所による)。

得意なことを就労に生かせないか…と考えていたところ、二人の得意分野の音楽に目を付け『DUO ABBEY』というデュオを結成したそう。

 

『メヌエット』『ユーモレスク』からアラジンの主題歌『ホールニューワールド』など、全12曲。

 

稲葉さんのこだわりのせいか、バイオリンの絃の調整で、開始が遅れたり、中断することもありましたが、それは想定内のようで、ピアノの前で、稲葉さんの声がかかるまでじっと待っていた国枝さん。

バイオリン側のステップ2回が曲の開始の合図です。

 

最前席の院長は、二人の表情、指の動きをじっと見ていました。

ピアノを弾く指は、何回も鍵盤から離れるのに、一度も間違えずに指は動き、曲が続きます。

弓を弾く位置、弦を押さえる位置も、ぶれたりしません。

 

点字用の楽譜はほとんどないそうです。

音楽を聴いて、それを自分で音階にして、楽器で再現。

曲は自分の耳だけで暗記して演奏します。

盲人は、他の感覚、特に聴覚は大変発達・鋭敏になると言われていますが、さらに、優れた音楽的才能があるからこそ、成せる技です。

また、一人で弾くだけでなく、相手と合わせるのは、より難しいことだと思います。

 

目を閉じて聞いていれば、目の見えない人達が奏でているとは想像もできない、心に響く素晴らしい演奏でした。

 

障害を持っていても、持っていなくても、人の価値は変わりません。

 

それぞれの出来ること・得意なことを発揮できる社会に。

 

『DUO ABBEY』の活躍を期待します。

 

良い音楽を聴き、心落ち着かせた院長でした。

ふだん『動』が多めの院長ですが『静』の時間も大切にしたいです。

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2020.3.10 スワンがネズミ

東京の勉強会が終了、会場を後にする時にふと浮かんだのは『シュークリーム』

その時、浮かんだA店のシュークリームは、はるか昔の憧憬から呼び起こされたもの。

 

スマホを検索して、場所を確認。

会場から東京駅のほぼ直線上にありました。

電話をすると…出ない。

もう一度電話しても出ない…。

不定休とあるから、休業日?

でも、日曜だし?(普通、ケーキ屋さんって日曜日営業だよね?)

3度目の正直でかけ直すと、長い呼び出し音の後に受信。

『あの~スワンのシュークリームありますか?』

『あと、一つだけあります』

『予約したいのですが。スワンのシュークリームひとつだけ。今○○(地名)なので、すぐ向かいます』

 

スワンのシュークリームは、名の通り、スワン(白鳥)の形をしたシュークリームです。

お菓子作りに夢中になった院長10代の頃に、雑誌で紹介されていたシュークリーム。

『東京』のA店の気品あふれる『スワンのシュークリーム』の写真は、その当時、田舎の小娘にとっては非常に憧れのお菓子として目に焼き付いたのでした。

自分で何回か作ったシュークリームは、素人ゆえの技量のせいか、野暮ったいものでした。

 

会場から地下鉄を乗り換え、探していたのでは、時間が読めません。

この際、タクシーに乗って、住所を伝えます。

お店の前で停車してもらい、はやる心でお店に入ります。

先客が一人、会計中。

『先ほど、お電話した、スワンのシュークリームの長谷川です』

あれ?ショーケースにスワンが一羽。

これは、他のお客さんの予約用?

店員さんは、もう閉じられた箱を持ってきて『会計お願いします』

電話で値段は聞かなかったけれど、ひとつ450円(税別)。

お高い!?が、これって東京価格?

 

さて、ウキウキで新幹線に乗り込みます。

列車が動き出してから、ホットコーヒーとともに、ティータイム。

忘れていたのに、急に思い出して何十年前に憧れたお菓子とご対面!

箱を開けると…

ネズミの形をしたシュークリームが!

『えっ?何?』

呆気にとられるって、こういうこと!?

 

頂点に達した期待が、奈落の底へ。

 

店員が、スワンとネズミを間違えて?箱に入れてしまい、間違いのまま客(院長)の手に渡ってしまいました。

一般的に、ケーキ屋さんでは、客に購入予定のケーキを見せて『○○ケーキ〇個、○○ケーキ〇個…以上でよろしいでしょうか?』と確認させるのに、このお店ではありませんでした。

もう新幹線の車中。

今更、返品交換にも行けないし。

スワン・スワン・スワン…と思って食べよう!

でも、ネズミがスワンになりません。

 

外見も中身も違います。

美味しいには違いないけれど…

 

東京出張最後のお楽しみだったのに…

しばらく根に持ちそうな、残念なティータイムでした。

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2020.2.18 ずっこけ体験

『吉本新喜劇』が大好きな院長。

テレビ放送は欠かさず。

俳優さんがクローズアップされて見られるところは、テレビの良い点ですが、年に何回は生の舞台を見たくなるもの。

『なんばグランド花月』(大阪)は、とても有名なので人もすごい。

そのため、以前スタッフとの旅行で、偶然にも最前列を取れた時を除き、良い席はなかなか入手困難です。

穴場が『祇園花月』(京都)。

『なんばグランド花月』に比べると、知名度は低いのですが、新喜劇も芸人さんも、同様に出演します。

いい席が取りたい!と思ったら、自分の都合の良い日、演目・出演芸人さんを考慮して作戦を立てます。

今回は、最前列ゲット!

 

いつものテーマ音楽が流れ、新喜劇が始まりました。

生の迫力と、アドリブの多発で笑える!笑える!

少なくとも、最前列組は、隣も、隣も大笑いです。

いつも決まったストーリーだからか、『安心して笑える笑い』。

 

舞台は盛況のうちに終わり、舞台あいさつの後は…

『恒例のずっこけ体験、挑戦者を発表します!』

『ずっこけ』とは、ある役者の決め台詞に、他の役者たちが『おっとっとっと!』と、コケる真似をすること。

祇園花月では、新喜劇の後、応募者の中から5人選ばれ、舞台で体験をすることが出来ます。

『〇県からお越しの〇の〇番席の○○さん!』という風に呼ばれ、該当者は、舞台に上がります。

名前は、実名でも、ニックネームでも可です。

 

オジサン・お兄さん・オジサンと続き…

『愛知県からお越しの〇の〇番席のあんこうさん!』(『あんこう』は当院のマスコットキャラクターです)

えー!?当たったの!?

今まで、『いいな~』と思いつつも、応募する勇気のなかった院長ですが、今回は思い切って応募用紙を投函していたのでした。

きっと当たらないだろうし…なんて。

最後の一人は、5歳くらいの男の子。

 

役者さんに囲まれて、5人で舞台に立ちます。

ずっこけるのも、もちろんコツがあって、上手くやらないと怪我をするそう。

まずは、お手本。

トコトコと『みどりさん』が登場して『おじゃま・ぱじゃま』

すると、『太一郎さん』と『直子ちゃん』がずっこけ。

男性は、前のめりで、おっととっとっと。

でも本当に転んではいけません。

女性は、横すわりになるようにお尻から床に滑り込みます。

スカートの中が見えないように。

お手本は見ているだけでよかったのに、舞い上がってしまった院長は一緒にやってしまい、『お姉さん、気ぃ早いで~』と言われてしまいました。

5人そろって本番。

『おじゃま・ぱじゃま』のセリフでずっこけ。

舞台の上で大きな拍手をもらい、気分は上々。

 

さらに、3名、リーダーの直筆サインをもらえる、半券の抽選会に当たりました。

リーダーのサインに加え『ありがとうございました。』『ドリルすな!』(誰か分かりますか?)

 

帰宅後、家族の前で『ずっこけ』お披露目。

何回かやっているうちに、だんだん上手くなった気に…

それを見て、息子。

『母さん、血管どっか切れとるんちゃう?』

『血管切れるのは、あんた(息子)の前だけや!』

 

※こちらもご覧ください

「みんなで大阪」

「あり得る・あり得ない」

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2020.2.4  本の断捨離

思い立ち、本の整理をすることにしました。

昨年のある一件を機に、書店に行けば本を買う習慣(意欲)が減退。

しかし、昔読んだ外国文学&文豪推理小説を旅のお伴としたところ…意外に頁は進み、『そうだったのね~なるほどね~』という新しい発見も出来たのでした。

数巻ある外国文学の続きは、なかなか進まないのですが、以前読んだ時よりは、難解ではなくなっているよう(2回目だから?)。

昔、息子が入院中のベッドサイドで集中して読み切った本、学会出張時の往復で読み切った本など、どれも集中力MAXだった頃の思い出の本達です。

 

『本は10冊同時に読め』の本をお手本に、併読もしてかなりの読書をした頃。

しかし、45歳を過ぎたあたりから、目の疲れ(老眼)や集中力の低下、身近なスマホに手が伸びてしまい、読書量が減っているのを実感します。

 

約10年前にリフォームしたときに、ずいぶん本は手放したのですが、それでも残した本と新たな本で増加の一途。

いつか読むかも!?はないのだと、思うこの頃。

今以上に、集中力が上がり、視力が良くなり…なんてことはないはず。

『絶対に再読する(つもり)』の決意があるかどうかで、断捨離開始。

 

30~40代前半に購入したジャンルで多いのは、自己啓発書。

理想に燃えつつも、現実に直面し、昔流行った『自分探し』をしていた時代。

取り入れる部分もたくさんあり、メモ書きしたり付箋を貼ったりしたけれど、今はもう必要なし。

『自分は自分』としての割り切りと、『自分の強み』に目を向ける自己肯定感で生活すればいいと思えるように(欠点には目をつむる勇気も)。

あの頃の自分には想像もつかなかった…

古典の名著だけ残して処分。

 

新書は気軽にどんどん買っていましたが、トレンドがある中で、残しておきたいものはほぼゼロに。

ノンフィクションもその時々の真実の追及に衝撃を受けましたが、それを思い出に、処分。

 

小説は、今も好きな作家作品、残しておきたい同じジャンル以外の作品は処分。

娯楽的な小説は、その時の話題性はあっても、さようなら~

 

古典・近代の本は、なかなか処分できません。

だからこそ、名著なのね。

 

私(院長)の一部を作った本達。

かなりかなりスリム化するには、時には苦渋の決断も。

 

処分することになった本の山々。

さて、どうしようか…

さすがに廃品回収に出すのは忍びない。

古本屋に持っていくのも…かなりの重労働。

 

 

そんな折、知ったのは…

古本買取業者から箱が送られてきて、古本を入れて送り返すと査定。

その査定額を、そのまま、ある団体に寄付できるシステム。

早速、送られてきた段ボールに本を詰め込み、返送しました。

 

すっきりとした書棚。

といっても、ゆうに800冊は残っているけれど…

また新しい本も買うだろうし…

もう一度読みたいジャンルも。

人生後半、本棚の本を完・再読できるよう、スロースピードですが、少々アクセル踏み込みます。

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2020.1.21 りんごは品切れ

先日、青森へ行った時のこと。

Aさん(60代後半)のお宅に伺う予定でしたが、数日前の大雪で、車は時間が読めずトンボ帰りになるかも、との連絡。

『ならば、電車とバスで伺います』と名古屋感覚で言ったものの、昼間2時間に1本のダイヤを知り、断念。

結局、新幹線駅で、再会することに。

 

雪深く外へ出るより…と駅ビルでお昼ご飯。

青森名物のせんべい汁やイカ刺し、サバのメニューが並びます。

食後は、別腹?のデザート。

Aさんは『お腹いっぱいだから、コーヒーだけでいいわ』

院長はデザートメニュー(写真なし)に目を通します。

りんごパフェ・いちごパフェ・チョコレートパフェ。

りんごパフェがあるなんて、さすがご当地青森。

『青森に来たらりんごパフェですよね!?』

『そんなメニューあるんだね~』とAさん。

お店の若い店員さんに注文すると…

『りんご、品切れなので、りんごパフェ出来ないんですよ~』

『えっ?青森なのに!?』私(院長)。

私以上にびっくりしたのはAさん。

『りんごなんて、その辺のどこのお店にも売ってるのにね。何なら、うちから持って来ればよかった』

では…と、メニューを見て選んだのはアップルパイ。

『アップルパイは、青森産のりんごですよね?』と念押しすると

『県外産のです、県外の工場で作っていますので』

あれあれ…

『いちごパフェは出来ます?』

『はい、出来ます』

『では、それでお願いします』

 

間もなく、50代の女性店員が、コップに入れたジュースを持ってやって来ました。

『すみません。りんごが切れてまして。りんごジュースをサービスさせていただきます。これは100%青森県産ですので』

『名古屋からのお客さんだから、青森らしさ売り出さなくちゃね~。リンゴ農家はたくさんあるし、アップルパイ作る工場も青森にありますよ~青森、元気にしなくちゃ!』

Aさんが、熱くなるのは、ある地方自治体のフレッシュ議員さんだからです。

鎌倉の海岸で知り合ったときは、退職後嘱託で仕事をしている状況だったのですが…

 

政治とは無縁だったAさんの議員活動や地域にかける思いを熱く聞きました。

りんごや野菜を主産業とする過疎の町をどうするか…

少子化が進み、高齢者だけが残される…

対して、当クリニックの小学校学区だけで、人口は1万を優に超え、高齢化率は緑区で最低レベルの15%ほど。

地下鉄もバスもあり、医療機関も充実しています。

Aさんの地域とのインフラは歴然です。

 

またお店のりんごの話に戻り…

『でも、このお店、ちゃんとほうれんそう(報告・連絡・相談)が出来てましたよね』

『そうね、あの若い店員さんも上司にすぐ報告したし、上司の女の人もお客対応しっかりしたしね』

『あとは、観光客に、より青森らしさをアピールしてほしいですね!』

 

『いちごパフェ、お待たせしました』

出てきたのは…

ホイップクリームにいちごジャム、アイスクリームとコーンフレーク。

生のいちごじゃないの?これが青森流?

ならば、りんごパフェも、生のりんごが品切れじゃなくてりんごジャムが品切れ?

 

青森らしさ満載の究極のりんごパフェ、いつか食べたいです!

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2019.12.10  ディーセント・ワーク

日曜日の半日、産業医のための講習会に参加しました。

医師は、診療科によって認定医制度や専門医制度があります。

取らなくても医業は出来ますが、研修を積んで勉強をしていく中で、目標が見えてきます。

 

院長は、眼科専門医のほか、健康スポーツ医、さらには産業医であるので、最新の知識を得るために勉強しなければいけません。

 

この夏取得したばかりのフレッシュ産業医の院長。

資格を取ってから初めての講習会。

今回は、2講義と実習。

労働衛生専門官や大企業の専属産業医の先生たちが講師です。

 

今回は、まず『労働衛生行政の重点施策について』

難しいタイトルです。

過重労働対策・治療と仕事の両立支援・メンタルヘルス対策などなど働き方改革実行計画の概要を聞きます。

 

2講義目は『働き方改革における産業医としての役割』というお話。

1題目よりは、もう少し平易な内容かと思ったら…

ILO(国際労働機関)が掲げる21世紀の目標は、ディーセント・ワーク(Decent Work):働きがいのある人間らしい仕事。

『労働は負のストレスではなく、充実した人生へ向けた自己実現の手段である』

『ワークライフバランス(仕事と生活の調和)が保たれてこそ、ワーク・エンゲイジメント(快活・健康かつ活動的に仕事に取り組む)の状態になれる』

過重労働を防ぎ、事業者と雇用者(個人)に、産業医はどう働きかけるか。

またまた難しい。

 

最後は、事例検討会です。

ストレスチェックを機に発見されたメンタルヘルス(心の健康)の相談事例がいくつか。

こういう人がこういう風に相談に来たら、どう対応すればいいか?

それぞれ意見を出し合い、まとめ、発表。

講師から参考対応例を教えてもらい、知識の補充をします。

産業医は、専門的なことも大事ですが、人生経験も大いに生かされるように思いました。

 

某社人事部に履歴書を送り、その返事待ちの院長

嘱託産業医として採用されたら、眼科医・開業医とは違う試練もあるでしょうが、『それも人生勉強』の心つもり。

 

帰りの地下鉄でふと浮かんだ

『好きな仕事をするんじゃない、自分の仕事を好きになるんだ』

ドラマ『おっさんずラブ』で、OB訪問をした学生の牧(林遣都)に武川(眞島秀和)がいうセリフです。

仕事を職場に置き換えることもできます。

 

眼科を選んだのは、好きだから?ではありません。

複数の医局からの勧誘の中、強い誘いに『いいかな~』くらいの動機です(昔は大勢の医師はこのパターン)。

眼科学の繊細さに、器械の扱いに、診療に、手術に、研究に…涙したことは何百回(まではいかないか…?)。

それでも、眼科医としてめどが立つと、眼科医の仕事は好きになっていました。

そして、もっともっと眼科医として成長したい…とポジティブになってきます。

 

スタッフにもそんな働き方をしてもらえるよう、もっと職場環境を整えていきたいと思っています。

 

こちらの記事もご覧ください

カテゴリー:公センセの想い 公センセの日常の出来事 産業医

2019.11.26 二人でお上りさん

学会が一番多く開催される東京国際フォーラム。

丸の内南口を出て国際フォーラムへは徒歩5分ほど。

途中、目に入るのは『はとバス』と乗客の人々。

 

『はとバス乗りたいな』

そう思いながら、学会(仕事)に向かうこと度々。

 

パンフレットを見ると、都内観光名所(観劇・食事処も)を効率よく巡る、お勧めのコースが盛りだくさん。

ただし、この年齢になると、東京の名所は行き尽くしているし、かえって迷うところです。

家人に『お上りさん気分で、東京で行きたいところない?』

『ない』

学会場とホテル以外寄り道をしない家人。

『国際フォーラムへ行く途中のはとバス、気にならない?』

『そんな場所あった?』

 

『はとバス』に、どうにも巻き込みたくなる妻(院長)です。

コースを吟味し、『浅草演芸場どう?』好きな落語から攻めてみます。

『そこなら一度行ってみたい!』そう来るよね。

『築地場外市場→浅草散策、どぜう&演芸場→隅田川下り』決定。

 

朝9時に東京駅に着くよう新幹線に乗ります。

はとバス乗り場には、時系列で乗るバスと乗り場が書いてあり、すっかりお上りさんの気分。

 

ガイドさんの案内で、まずは築地場外市場へ。

場内市場は豊洲に移転しましたが、場外市場は残り、観光客で騒然としています。

卵焼き屋さんはどこも、長蛇の列。

その場で焼きたても食べられます。

卵焼き大好きの院長は、『おかずにしよう』と多めに購入。

魚屋さんやお寿司屋さんも盛況で、人に揉まれながら、自分も完全に観光客。

 

浅草に移動すると、老舗のドジョウ料理屋さんへ。

予約席があるのは、ツアーの良いところ。

柳川鍋は初めてでしたが、見た目とは大違いで、あっさり美味しいドジョウに感激。

濃いめの味付けは、ご飯がすすみます。

 

その後、浅草演芸場へ。

名古屋の大須演芸場よりも大きく、2階席へ案内されました。

すでに昼の部は始まっていましたが、暗いので、遠近両用コンタクトレンズでは演目のしおりが読めません。

『今、誰がやっている?』

『えっ!読めないの?僕は読めるよ』メガネで来た家人は、裸眼でピントが合う近視度です。

暗所でのコンタクトレンズは、中年にはお勧めしません…(実体験)

満腹で、知らない噺家さんの噺は子守唄のように…

『そろそろ出ようか…』と促されて出たものの、家人の行きたかった場所なのに…何故?

 

『面白くなかった?』

『噺は面白かったけど、ウトウトしていたら(院長のこと)噺家さんに失礼だから』

申し訳ない…ひどく反省。

本当に落語が好きな人は、昼・夜十分楽しめるのです。

 

浅草散策の後は、隅田川下り。

何本もかかる橋をくぐるたび、、両岸の情景が変わり、今昔の情緒を感じる初体験でした。

 

『はとバス』メインでサブは『浅草演芸場』の院長(ウトウト…)

『浅草演芸場』なら、と『はとバス』に付き合ってくれた家人。

 

妥協・譲歩・共有・共感…

相手をリスペクトしつつ、自分の要望も実現する術をお互い?確立して、共働き医師夫婦、結婚生活25年。

 

『はとバス』もそんな夫婦の一コマでした。

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2019.11.19 宿題と肥満者率

医師会の講演会は、主に医学の話題ですが、今回は経済学のお話。

演者は、Eテレ『オイコノミア』という経済番組に又吉直樹さんと出演されていた、大阪大学の大竹先生。

又吉絡みで見始めた院長ですが、平易な言葉で、素人でも経済学をかじれる良質の番組でした。

 

今回のタイトルは『医療現場の行動経済学』

『行動経済学』とは、心理学や社会学の成果を経済学に組み入れた、経済学の一分野だそうです。

現実の人間の思考の傾向を考慮して、経済を考える、というもの。

 

例えば…

問1

1.コインを投げて表が出たら2万円もらい、裏が出たら何ももらわない。

2.確実に1万円もらう。

どちらを選びますか?

問2

1.コインを投げて表が出たら2万円支払い、裏が出たら何も支払わない。

2.確実に1万円支払う。

どちらを選びますか?

大多数は、問1では2を選び、問2では1を選ぶそうです(院長も同じ)。

得をすることは確実な方を取りたいけれど、損をすることは不確実な(危険性のある)方を取る傾向があるそうです。

 

同じ金額だと、得をした嬉しさよりも、損をした悲しさの方が大きくなる。

また、嫌なことは先延ばしし、嬉しいことは前倒しする傾向もあるそうです。

これらを含め、ヒトの心理をどのように医療現場の経済で活用するか。

 

薬や手術の効用・成功率と副作用・不成功率を患者さんに伝える場合。

副作用や不成功率がわずかだったとしても、患者さんはそれ以上に大きく捉える傾向があることは、自身の経験からも気づいていましたが、ヒトの心理的な傾向・癖だと初めて知りました。

医師は、エビデンスに基づいて、客観的に事実を話しますが、良いこと(回復・治癒)と悪いこと(悪化・一生の病気)では、患者さんの受け止め方が違うのは、もっともです。

 

健康診断の受診率を上げるには、どういう文面が一番有効か?

臓器提供のドナーカード同意率を上げるには?

予約の無断キャンセル率を防止するには?

大腸内視鏡の痛さの記憶を和らげるには?

などなど、数々の論文を引用し、解説されました。

医学と同様、リサーチ・集計・解析・結果・考察という流れは、経済分野の研究においても同じだと思いました。

数学も駆使し、文系というより理系なのでは?と思います。

 

中学生の時、夏休みの宿題はいつ頃やることが多かったですか?(大阪大学調査)

1.夏休みが始まる最初の頃

2.どちらかというと最初の頃

3.毎日ほぼ均等

4.どちらかというと終わりの頃

5.夏休みの終わりごろ

 

院長は1です。

『宿題後回し傾向』が強いと、喫煙率やギャンブル習慣、飲酒習慣が優位に高くなることが分かっています。

消費者金融の利用も。

それ以外に、肥満者率ともかなりの相関があることがわかっています。

 

中学時代の宿題癖で、将来の傾向までわかるとは…

 

ちなみに長男に上記の宿題の問いをしたところ…

『当てはまるの、無いわ』

『えっ?』

『だって、宿題やったことなかったもん…やろうとすら思わなかった』

選択肢に該当しない人がいるとは…

理由の詳細まで忘れましたが、何度も学校から親(院長)の呼び出しがあったからね~

相関の結果を知ると、先が思いやられます…

 

『行動経済学の知識で患者さんの意思の傾向を理解できる』

『何気ない表現で患者さんの意思決定が変わる』

 

勉強したことを日々の医療現場で試してみようと思います。

愚息が今からでも『宿題先終え傾向』になるよう、家庭でも行動経済学試してみます。

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2019.11.5 お茶はあちら…

秋は学校医にとって、就学時健診の季節です。

いつもの健診は、保健室で行いますが、就学時健診では、それぞれ教室が割り当てられます。

 

教室に入り椅子に座ると、担当の先生(男性)があいさつ。

『本日の記録係です。よろしくお願いします。あ、それからお茶はあちらです』

『あちら?』の方向を見ると、教室の隅の机の上に湯のみが乗ったお盆が。

用務員さんが、早めに持ってきて置いていったようです。

『今日はビュッフェなんですね~』と茶化す院長(オバサンならでは)。

傍にいたベテラン先生(女性)が気が付き、『すみませ~ん』と慌ててお盆を取りに行って、お茶を出してくれました。

 

『一応来客だから、お茶は直接お出ししないとね。客に取りに行かせるのではなくて』諭すように院長。

『た、大変失礼しました』(汗)

A先生は、どう見ても、息子たちと同世代。

聞くと、1年目だそう。

お茶出しなんかしたことないんだろうな~

男女雇用均等法の下でも、新米研修女医(院長)は、医局でお茶やコーヒーを出すこともあったし、流しに湯飲みやカップが積んであれば、洗っていたな~

教えられてやったわけでもなく…

やらなくても良かったのかもしれないけれど…

気が付かないのよね~きっと。

うちの息子も思いやられるわ~

 

 

就学時健診は、緊張する子供たちも多く、スムーズとは言い難いのですが、無事終了。

視力がB(0.9以下)の子は眼科で再検査を。

緊張で上手く検査できなかったのか、屈折異常などの原因があるのか、確認してくださいね~

その他、気になる所見があった場合は保護者に伝えます。

 

教職員や生徒は毎年変わりますが、小学校3校20年以上学校医をやっている院長としては、学校の生き字引みたいなもの。

そして、児童を見る眼差しも変わってきます。

小学生になるって、こんなに大きくなるんだわ~と、未就学児の息子たちの成長を思い描いていた頃。

中学生になるって…(中学校の学校医もやっています)と、小学生の息子たちがたくましくなるのを思い描いていた頃。。

息子たちが、その年齢も越してしまうと、生徒たちを慈しむ眼差しの院長です。

そして、今回、フレッシュな先生が記録係でついてくれて…息子たちを重ね合わせてしまいました。

 

『仕事がちっともはかどらなくて、毎日遅くまで残っています。同僚の先生たちから色々アドバイスいただけるので助かっていますが』

『最初は、どんな仕事でもみんなそうよ。まずは、目の前のことを確実にこなしていくこと。3年たてば、少し周りが見えてきますよ』

職業人として老婆心ながらアドバイス。

 

長男が小学1年生の時のある日の連絡ノート。

担任は、卒後3年目の若いB先生(男性)。

『〇(長男)君が、帰り際泣いていました。聞くと、今日(木曜日)は、お母さんが遅くしか帰って来ないからとのこと。

二人で色々話をしました。

お母さんも頑張っているから、〇君も強くなるよう私と約束しました』

長男就学と同時に大学院生になった院長。

休診日の木曜日は今までは、保育園の早いお迎え、母親と遊べる特別の日。

なのに、木曜日は朝早くから夜遅くまで大学なので、ずいぶん寂しかったようです。

今は、『母親なんてどうでも~』の長男ですが、泣いたことと先生に言われたことは覚えているそうです。

そして、母(院長)もそのことを励みに、大学院生活を両立させました。

 

一片の思い出になれる先生に。

A先生、応援しています。

若者、頑張れ!

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2019.10.8 スカーレットの旅

『おっさんずラブ』&『阪急電車』つながりで、NHKの朝ドラ『スカーレット』を見始めました。

戦後、女性陶芸家として奮闘するヒロイン・川原貴美子の波乱万丈の人生物語(らしい)。

 

10月&11月の休診日は、学校医の仕事が多くなり、ほとんど予定が入っているのですが、一日だけフリーの日が。

それなら、一人でどっか行きたい!

ならば…と、ドラマの舞台の『信楽』へ。

 

『信楽』(甲賀市)は滋賀県の南端。

数年前、一度訪れたことがあります。

緑区医師会同好会の『お泊り遠征コンペ』が信楽の『タラオカントリー』

日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯が開催されたこともあって、かなり難しいコース(というか散々)でした。

この時は、町中を観光する予定も時間もなく(ゴルフ目的なのだから当たり前ですが)…。

 

さて、朝食後出発し夕食までに帰ってくる計画。

今回は、あえて新幹線を使わずに行くことに。

関西本線初乗車したい!

関西本線から草津線、信楽鉄道にて終点『信楽』へ。

東海道線と違い、乗客も少なく、どんどん田畑や山が見えてくる車窓は全然飽きません。

乗り換えでワンマン列車になり、長いトンネルを越えたり、山々に警笛が響いたり…

 

信楽鉄道は、『スカーレット』を大々的にアピールするラッピング列車。

『信楽』駅では、狸たちがお出迎えしてくれますが、小さな小さな駅でした。

平日なのか、ドラマがまだ始まって間もないからなのか、人は少ない。

駅員さんに地図をもらい、お勧めを聞くと『窯元散策路』コースとのこと。

ゆっくり歩いて買い物もして2時間くらいとのこと。

 

途中コンビニでお昼を買いがてら、お店の人に、窯元散策路以外のお勧めも聞いてみます。

『一人で来てます。1.5倍速で歩けます。走れます。時間は3時間くらいあります』と状況を説明。

『陶芸の森も行けるんちゃう?片道1.2キロで坂やけど』女性店員1(滋賀は関西弁)

『そうやな~。両方行けるんちゃう?散策は途中で帰ってもいいし』女性店員2

 

勧められるまま、陶芸の森へ。

陶芸館と産業展示館があります。

信楽焼の歴史や特徴が分かります。

残念ながら、『ほう、ほう』と言う程度の感性と知識しかありませんでしたが。

 

窯元散策路は、窯元が点在しているお散歩コースです。

古い窯の跡?や煙突?みたいなものに出会います。

ただ、平日なのか、すれ違う人もなく、ただ歩いてきた…という感じ。

 

狸はびっくりするほどそこら中に置いてあり、その迫力たるや…です

『スカーレット』は『緋色』とも言い、緋色の片口酒器には、魅かれてしまいました。

緋色の陶器は、釉薬を施さず、薪を原料とする窯で焼成する元来の信楽焼なのだそうです。

だからこそ、お値段も他よりぐっとします。

(オプトスみたいに)『絶対欲しい』とならず見送りました。

 

さて、帰路。

亀山でのホームで、スーツ姿の若い男性に声をかけられました。

『名古屋行きますか?』(生粋の日本語ではない)

『行きますよ、私も名古屋に帰るので一緒に行きましょう』

『どちらの国から?』

『ベトナムです』

大学を卒業し来日。

仕事で今日初めて亀山に来たそう。

向かい合わせに座り、名古屋まで日本語でおしゃべり。

『面接の結果、Line(ライン)します!』

こういう出会いも、一人旅ならではのこと。

 

大半を電車乗りで過ごした旅でしたが、楽しい一日でした。

 

当日分の録画を見て、明日のスカーレットに備えます。

 

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