2020.4.21  鮟鱇とアンコウ

冬の鍋の中でも、特に美味しいのは鮟鱇鍋です。

グロテスクで地味な深海魚でありながら、ほとんど捨てるところのない身は『あんこうの七つ道具』と呼ばれ、鍋に味と深みを持たせます。

食べてみなければわからない魅力があります。

 

私のニックネームは鮟鱇ならぬ『アンコウ』でした。

旧姓名を『あんどうこう』といいます。

これが縮まって『アンコウ』となっただけなのですが、小学生の頃からなので結構長いのです。

医師になってからも、安藤姓が重なったのもあって『アンコウ先生』で通ってきました。

それ故、鮟鱇には愛着があり、我がクリニックのロゴマークも『アンコウ』にしました。

20年以上フリーハンドで描いているのでお手の物です。

 

ところで『公(こう)』という名前は、当時は個性的かつ男性的。

女の子は『○○子』『○○み』が主流だったので、ひどく同級生の名前がうらやましかったものです。

名前だけでは男性と判断されるので、今でも、診察時に顔を合わせて初めて『女性院長』だと知る患者さんもあり、受け取りのサインの時など本人かどうか聞かれることもあります。

しかし、一度覚えてもらえれば忘れられにくい、という利点はあります。

今は、この名前が大好きだし、姓が変わっても『アンコウ』のニックネームは捨て難いのです。

 

今冬は、ぜひ夫と美味しい鮟鱇鍋を食べに行き、『鮟鱇』と『アンコウ』の魅力を再認識させたいものです。

とは言っても、4歳を頭に3人の子持ちの身としては、ゆっくりと鍋もつつけないのが現状ですが。

2001.1保険医協会新聞に寄稿

 

:参考:鮟鱇の七つ道具とは…
鮟鱇の可食部分
肉・肝・水袋(胃)・ぬの(卵巣)・えら・ひれ・皮
鮟鱇は骨以外、捨てるところがない無駄のない魚と言われている

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整理整頓の時間が出来、引き出しの奥から当時の切り抜きが出てきました。

20年前にタイムスリップです。

20年後にもう一度読むとは想定外でした…

 

30年以上前、家人が研修医の時に、指導医に連れて行ってもらった鮟鱇鍋のお店は『絶品だった』と今でも言います。

1年先の予約をする常連さんのお店だったそうですが、『納屋橋』あたり?場所も店名も不明。

2人で探したのですが、結局見つけることが出来ませんでした。

 

我が家では、冬になると、自宅で鮟鱇鍋が定番です。

『美味しいけど、食べにくいわ~』と息子たち。

『食べにくいから美味しいのよ~』

鮟鱇&アンコウの深い魅力です。

その魅力は、この20年で‛より’味わい深くなっていると信じたい『アンコウ』先生(院長)です。

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2020.4.7 ラーメンとノスタルジー(郷愁)

テレビで袋インスタントラーメンの特集をやっていました。

『どうしても食べたい』その気にさせる番組、恐るべし。

独身時代以来の購入。

選んだのは5種類。

 

まずは、一人のお昼ご飯に。

インスタントラーメンだけでは、何か栄養バランスが悪い気がして、ゆで卵と野菜を添えます。

『出前一丁』

最後にごまラー油を回しかけると、しょうゆとごまラー油の混ざった香りが、小学生の私(院長)を呼び起こします。

当時、土曜日は午前授業でした。

土曜のお昼は、仕事で不在の母に代わって祖母が用意してくれたのですが、『出前一丁(具は思い出せない)&ご飯』が定番。

『小学生・祖母・土曜日昼ご飯』と脳内を検索すれば『出前一丁』の懐かしい味と思い出です。

 

次に用意したのは、『チキンラーメン』

丼ぶりに熱湯を注いで3分。

まだ固まっている麺をほぐすと、麺にしみこんでいるスープがお湯と混ざっていきます。

『出前一丁』に比べ、やや塩辛くって、ジャンクフード的な味が、今度は別の私を呼び起こします。

まだ保育園か小学低学年の頃、剪定に来る庭師さんは、お昼になると、よく丼ぶりとお湯を祖母から借りていました。

丼の中には、ラーメン(持参と思われる)が入っており、祖母がお湯を入れて蓋をして渡します。

数分待ってから食べている様子が、とても美味しそうでしたが、家では絶対出ませんでした。

味を知らないまま、祖母が亡くなってずいぶん経ってから、ふと、チキンラーメンを思い出し、買ってみました。

期待ほどでなかった(個人的感想)…

今回も、やはり同様な感想。

やっぱり、鍋で調理する手間がいるインスタントラーメンの方が美味しく感じました。

 

カップラーメンを始めて食べた時の衝撃も思い出しました。

小学3年生の時、5,6人で担任のY先生(おそらく50代)のお宅に遊びに行った時のこと。

お昼になり、子供たちの前に並べられたのは、『カップヌードル』

先生は、紙のフタをめくると、やかんから熱湯を注ぎます。

『何だろう、何だろう?』鍋で作るインスタントラーメンしか知らない田舎の子供たちです。

カップ麺の前に鎮座。

タイマーが鳴ると『食べて良いですよ』

カップの中には出来立てのラーメンが。

しかも、初めて見る具が。

『すごい、すごい!』大興奮して食べた初カップラーメンの感激は、今も覚えています。

Y先生、お元気でしょうか。

 

別の日に、食卓に出したのは『サッポロ一番』シリーズ。

『珍しいね!どうしたの?』

スーパーの生麺のラーメン・ご当地ラーメンは作りますが、インスタントラーメンを食卓に出すのは初めて。

家人・子供たちは、一人の時や友達とインスタントラーメンは結構食べているはずですが。

ゆで卵・ニラ・ネギ・ニンジン・キノコ・豚肉などをトッピングして、一応手を加えます。

『味噌』『しょうゆ』『塩』

 

『小さい頃、どれ食べてた?』

『しょうゆ』

『うちも、しょうゆ味だけだった』

東海地方では、当時(しょうゆ1966年、味噌1968年、塩1971年発売)はまだ、しょうゆがスタンダードだったのかもしれません。

親世代がたまたま味に保守的だっただけかもしれませんが。

 

しょうゆは、ごく一般的な味。

味噌は、芳醇な香りとコク。

大学生の時、北海道で初めて現地の味噌ラーメンを食べて感激したことから、味噌も自分にとって馴染みが出たのでと思います。

塩は、白く洋風も思わせるコク。

別添のゴマをかけると更に風味が増します。

思い切ってバターを固まりで投入。

カロリーを気にせず更なるコクを楽しみます。

もちろんスープは全部飲み干さずに(オバサンは健康に気を付けます)。

 

何でもない、インスタントラーメンが、遥か彼方にあった記憶を呼び起こしてくれました。

ノスタルジーに浸るオバサン(院長)。

一袋98円のラーメンで、これだけ回想出来る幸せなオバサンです。

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2020.2.18 ずっこけ体験

『吉本新喜劇』が大好きな院長。

テレビ放送は欠かさず。

俳優さんがクローズアップされて見られるところは、テレビの良い点ですが、年に何回は生の舞台を見たくなるもの。

『なんばグランド花月』(大阪)は、とても有名なので人もすごい。

そのため、以前スタッフとの旅行で、偶然にも最前列を取れた時を除き、良い席はなかなか入手困難です。

穴場が『祇園花月』(京都)。

『なんばグランド花月』に比べると、知名度は低いのですが、新喜劇も芸人さんも、同様に出演します。

いい席が取りたい!と思ったら、自分の都合の良い日、演目・出演芸人さんを考慮して作戦を立てます。

今回は、最前列ゲット!

 

いつものテーマ音楽が流れ、新喜劇が始まりました。

生の迫力と、アドリブの多発で笑える!笑える!

少なくとも、最前列組は、隣も、隣も大笑いです。

いつも決まったストーリーだからか、『安心して笑える笑い』。

 

舞台は盛況のうちに終わり、舞台あいさつの後は…

『恒例のずっこけ体験、挑戦者を発表します!』

『ずっこけ』とは、ある役者の決め台詞に、他の役者たちが『おっとっとっと!』と、コケる真似をすること。

祇園花月では、新喜劇の後、応募者の中から5人選ばれ、舞台で体験をすることが出来ます。

『〇県からお越しの〇の〇番席の○○さん!』という風に呼ばれ、該当者は、舞台に上がります。

名前は、実名でも、ニックネームでも可です。

 

オジサン・お兄さん・オジサンと続き…

『愛知県からお越しの〇の〇番席のあんこうさん!』(『あんこう』は当院のマスコットキャラクターです)

えー!?当たったの!?

今まで、『いいな~』と思いつつも、応募する勇気のなかった院長ですが、今回は思い切って応募用紙を投函していたのでした。

きっと当たらないだろうし…なんて。

最後の一人は、5歳くらいの男の子。

 

役者さんに囲まれて、5人で舞台に立ちます。

ずっこけるのも、もちろんコツがあって、上手くやらないと怪我をするそう。

まずは、お手本。

トコトコと『みどりさん』が登場して『おじゃま・ぱじゃま』

すると、『太一郎さん』と『直子ちゃん』がずっこけ。

男性は、前のめりで、おっととっとっと。

でも本当に転んではいけません。

女性は、横すわりになるようにお尻から床に滑り込みます。

スカートの中が見えないように。

お手本は見ているだけでよかったのに、舞い上がってしまった院長は一緒にやってしまい、『お姉さん、気ぃ早いで~』と言われてしまいました。

5人そろって本番。

『おじゃま・ぱじゃま』のセリフでずっこけ。

舞台の上で大きな拍手をもらい、気分は上々。

 

さらに、3名、リーダーの直筆サインをもらえる、半券の抽選会に当たりました。

リーダーのサインに加え『ありがとうございました。』『ドリルすな!』(誰か分かりますか?)

 

帰宅後、家族の前で『ずっこけ』お披露目。

何回かやっているうちに、だんだん上手くなった気に…

それを見て、息子。

『母さん、血管どっか切れとるんちゃう?』

『血管切れるのは、あんた(息子)の前だけや!』

 

※こちらもご覧ください

「みんなで大阪」

「あり得る・あり得ない」

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2020.1.7 暮れにも一人で

昨年は一人旅(高尾山)で始まり、一人旅で終了しました。

 

両家の年末年始の挨拶をやめにして、家族旅行を決行したある年。

開業医と子育て・家事に加え大学院の研究と、仕事納めの後も息つく間もないほど課題が。

そして、両家への顔出しをすると、自分の休息のないまま仕事始めです。

それが続いていました。

その時、目にした大晦日発の2泊3日ツアー。

秋田男鹿で本物の『なまはげ』が民家に来る風習を体験(息子たちには強烈な体験でした)。

日本海沿いを北上して、津軽鉄道ストーブ列車に。

その後下北半島の入口へ向かい、十和田湖を縦断して盛岡から帰途へ。

旅行は大当たり!

その時の感動が忘れられず、もう一度、行きたい!泊まりたい!思いが募っていました。

 

良い思い出には違いないけれど、今は家族旅行よりゴルフを優先する我が家の男性陣。

4人一組なら収まりよし(いつもは2&3バッグ)。

年末ゴルフは辞退して、一人旅決行。

 

今回は、青森県に向かいます。

男鹿はまたの機会に。

一旅一か所がモットー。

今回青森にしたのは、他にも訳があって、途中の駅で、知人に再会するためです。

距離があるため、なかなか会えない相手とは、自分から出向くのも自分らしさ?かな、と思う院長は、早速連絡。

往路、復路それぞれ違う駅で降車し、再会の予定も組み込みました。

 

東北新幹線の降車駅で60歳後半のAさんに再会します。

5年前に鎌倉の海岸ですれ違い、挨拶して以来のやり取り。

彼女とは、初再会。

 

それから第3セクターの鉄道に乗り換えます。

キーンとする冷たさは、北国ならでは。

ワンマンカーに揺られながら、街はどんどん淋しくなりますが、帰省時期だけにほぼ満員。

隣の若い女性の取り出した『東京都内→下北』の切符がちらりと見え、胸が熱くなりました。

駅を降りると、迎えの車でホテルへ。

 

15年前と変わらない外観です。

玄関の壁画の前で記念写真。

15年前は、ここで家族5人で撮影。

持ってきた写真には、あどけない(保育園児~小学校低学年)息子たちが。

私(院長)も若い!

 

夕食前にお風呂に入ります。

雪が積もって風情ある露天風呂は変わらず。

でも、前回は、小さい息子たちも一緒に入り、裸で雪遊びをしたり、はしゃいだりで、気が気でなかった…

しみじみと、物思いにふけりながら、ゆっくりと浸かる今。

あの頃には想像できなかったわ~

 

お風呂の後は、夕食。

部屋食なので、浴衣を着て、座っているだけで、お膳が整います。

3~4人前ある船盛にお寿司、御膳、鍋物などなど。

デザートも。

自分のペースで、ゆっくりと完食。

なかなか乙な体験です。

 

そのあとは、読書タイム。

静寂な中(ホテルでもテレビは付けない院長です)、ちょっと良い本を読むには最適です。

 

再び、露天風呂から帰ってくると、布団が敷かれていました。

12畳の和室に、布団一組。

家族ラインで写真を送ったら『寂しいもんやな笑』長男のコメント。

前回は、布団が5組だったので、部屋全面に敷き詰められていました。

家族5人同室で寝た旅行は、最後はいつだった?

寝相の悪さに布団直してばかりだったわ~などと思い出しつつ、眠ってしまいました。

寂しいと感じることもなく…

 

翌朝、もうひと風呂浴びて、朝食を。

前回子供たちが興奮した太くて大きなつららは、今回は残念ながらありませんでした。

外を歩くつもりが、『転倒』が頭をよぎり、玄関先で止めておきました。

15年の月日は、自分を慎重にさせています。

 

帰路は、再び第3セクターで新幹線駅へ。

途中、仙台で降車し、Bちゃんに。

彼女とは、高3以来の文通友達。

約7年ぶり。

 

1年の最後に、『いつか』のうちの一つ『もう一度旅』を達成し、久しぶりの親交を楽しんだ院長。

決行して良かった!

人生100年時代。

折り返しは自明。

今年も、自分のやりたいことを一つでも実現すべく、謙虚に精進したいと思います。

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2019.12.24 わすれられないおくりもの

今年もあと残り1週間です。

個人的には、日帰り一人旅(時々学会絡みで2日)を何回か実現させた一年でした。

行けないと思っている場所でも、おおよそ交通の便が良くて、一か所に絞れば可能ということが分かりました。

『いいな~』と思うだけでなく、やってみること。

院長にとっては、限られた日(休診日)の中で、やりくりしただけなのですが、なかなかの充実感。

そして、何より、自分にとって『一人の時間』は大切なのだと感じました。

結婚していても、家族があっても、『一人』は大事だし、最期は『一人』だし…

誰かと行動しないから淋しいとは違う、『自分のしたいことを一人でする』単独行動が出来ることは、自信を持っていいのだ!という再確認。

若い頃は、誰かと一緒に行動しないと恥ずかしい…なんて思っていましたが。

 

さて、晩秋に大切な友人の訃報が届きました。

友人と言っても、元々母の友人で、院長が小学校低学年時からの(友人の子としての)知り合いです。

医学生になってからは、個々の、より親密な付き合いになったので、準友人くらい。

東京の在職中も定年で北海道に戻ってからも、その都度、訪ねて行きました。

息子たちも、各々北海道の自宅に遊びに行ったので、彼らにとっても準々友人です。

腫瘍が見つかり、札幌の病院へ日帰りでお見舞いに行ったのが、2年前です。

その後は、だんだん、葉書のやり取りも間が開き、やがて途絶え…亡くなった知らせを受けました。

『日本一優しい看護婦さん』として新聞に掲載、表彰された東京のS病院の助産師さんでした。

一生独身で、キャリアウーマンなのに、チャーミングで、要所要所で、知恵やアドバイスをもらえたことは、『忘れられない贈りもの』です。

残された、葉書の文面と筆跡に、Nさんを偲びます。

 

Nさんの10歳くらい年下のKさんも心に浮かびます。

院長が大学時代、北海道をさすらいの旅(往復の航空券のみ)に出た時、NさんがKさんにお世話になるように言ってくれました。

初対面での小樽駅での待ち合わせ。

銀行員のキャリアを捨て、スナックを開いて間もないKさん。

昼間は、余市のニッカウヰスキーや銭函の海岸などの観光から始まり、小樽の街中を住人のように。

夜は、スナックの片隅で、接客もせずに、人間観察を(お店の手伝いはしなくてもいいと、きつく言われた)。

お店が終了すると、人生観を語り合ったり。

当時40歳過ぎの独身女子が、友人の頼みとはいえ、初対面の20歳そこそこの女子大生を約2週間居候させたなんて、今思えばびっくり。

Kさんとの共同生活から、そしてその後のお付き合いから学んだことも『忘れられない贈りもの』です。

NさんもKさんも、はるばる結婚式にも出席してくれましたが、Kさんはその数年後、癌で亡くなりました。

 

二人とも、独身で、家族は持ちませんでしたが、私の心の中に『忘れられない贈りもの』を残してくれました。

 

自分が、人生の折り返し地点に立った今、そういうことが出来るのか…と問えば、とてもハードルが高い気がします。

でも、自分より若い人たちに『ちょっとした何か』の足しにはなりたい…と思うようになりました。

 

雪が解けたら、Nさん、Kさんの故郷の小樽に参ろうと思います。

 

本棚を整理していて、子供たちによく読んだ『わすれられないおくりもの』絵本を見つけ、再読しました。

しみじみ良い絵本だと思いました。

大人にこそ、お勧めです。

こちらもご覧ください「スカーレットの旅」

こちらもご覧ください「寄り道、まわり道」

こちらもご覧ください「新春プチトリップ」

こちらもご覧ください「やれない?やらない?」

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2019.11.26 二人でお上りさん

学会が一番多く開催される東京国際フォーラム。

丸の内南口を出て国際フォーラムへは徒歩5分ほど。

途中、目に入るのは『はとバス』と乗客の人々。

 

『はとバス乗りたいな』

そう思いながら、学会(仕事)に向かうこと度々。

 

パンフレットを見ると、都内観光名所(観劇・食事処も)を効率よく巡る、お勧めのコースが盛りだくさん。

ただし、この年齢になると、東京の名所は行き尽くしているし、かえって迷うところです。

家人に『お上りさん気分で、東京で行きたいところない?』

『ない』

学会場とホテル以外寄り道をしない家人。

『国際フォーラムへ行く途中のはとバス、気にならない?』

『そんな場所あった?』

 

『はとバス』に、どうにも巻き込みたくなる妻(院長)です。

コースを吟味し、『浅草演芸場どう?』好きな落語から攻めてみます。

『そこなら一度行ってみたい!』そう来るよね。

『築地場外市場→浅草散策、どぜう&演芸場→隅田川下り』決定。

 

朝9時に東京駅に着くよう新幹線に乗ります。

はとバス乗り場には、時系列で乗るバスと乗り場が書いてあり、すっかりお上りさんの気分。

 

ガイドさんの案内で、まずは築地場外市場へ。

場内市場は豊洲に移転しましたが、場外市場は残り、観光客で騒然としています。

卵焼き屋さんはどこも、長蛇の列。

その場で焼きたても食べられます。

卵焼き大好きの院長は、『おかずにしよう』と多めに購入。

魚屋さんやお寿司屋さんも盛況で、人に揉まれながら、自分も完全に観光客。

 

浅草に移動すると、老舗のドジョウ料理屋さんへ。

予約席があるのは、ツアーの良いところ。

柳川鍋は初めてでしたが、見た目とは大違いで、あっさり美味しいドジョウに感激。

濃いめの味付けは、ご飯がすすみます。

 

その後、浅草演芸場へ。

名古屋の大須演芸場よりも大きく、2階席へ案内されました。

すでに昼の部は始まっていましたが、暗いので、遠近両用コンタクトレンズでは演目のしおりが読めません。

『今、誰がやっている?』

『えっ!読めないの?僕は読めるよ』メガネで来た家人は、裸眼でピントが合う近視度です。

暗所でのコンタクトレンズは、中年にはお勧めしません…(実体験)

満腹で、知らない噺家さんの噺は子守唄のように…

『そろそろ出ようか…』と促されて出たものの、家人の行きたかった場所なのに…何故?

 

『面白くなかった?』

『噺は面白かったけど、ウトウトしていたら(院長のこと)噺家さんに失礼だから』

申し訳ない…ひどく反省。

本当に落語が好きな人は、昼・夜十分楽しめるのです。

 

浅草散策の後は、隅田川下り。

何本もかかる橋をくぐるたび、、両岸の情景が変わり、今昔の情緒を感じる初体験でした。

 

『はとバス』メインでサブは『浅草演芸場』の院長(ウトウト…)

『浅草演芸場』なら、と『はとバス』に付き合ってくれた家人。

 

妥協・譲歩・共有・共感…

相手をリスペクトしつつ、自分の要望も実現する術をお互い?確立して、共働き医師夫婦、結婚生活25年。

 

『はとバス』もそんな夫婦の一コマでした。

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2019.11.19 宿題と肥満者率

医師会の講演会は、主に医学の話題ですが、今回は経済学のお話。

演者は、Eテレ『オイコノミア』という経済番組に又吉直樹さんと出演されていた、大阪大学の大竹先生。

又吉絡みで見始めた院長ですが、平易な言葉で、素人でも経済学をかじれる良質の番組でした。

 

今回のタイトルは『医療現場の行動経済学』

『行動経済学』とは、心理学や社会学の成果を経済学に組み入れた、経済学の一分野だそうです。

現実の人間の思考の傾向を考慮して、経済を考える、というもの。

 

例えば…

問1

1.コインを投げて表が出たら2万円もらい、裏が出たら何ももらわない。

2.確実に1万円もらう。

どちらを選びますか?

問2

1.コインを投げて表が出たら2万円支払い、裏が出たら何も支払わない。

2.確実に1万円支払う。

どちらを選びますか?

大多数は、問1では2を選び、問2では1を選ぶそうです(院長も同じ)。

得をすることは確実な方を取りたいけれど、損をすることは不確実な(危険性のある)方を取る傾向があるそうです。

 

同じ金額だと、得をした嬉しさよりも、損をした悲しさの方が大きくなる。

また、嫌なことは先延ばしし、嬉しいことは前倒しする傾向もあるそうです。

これらを含め、ヒトの心理をどのように医療現場の経済で活用するか。

 

薬や手術の効用・成功率と副作用・不成功率を患者さんに伝える場合。

副作用や不成功率がわずかだったとしても、患者さんはそれ以上に大きく捉える傾向があることは、自身の経験からも気づいていましたが、ヒトの心理的な傾向・癖だと初めて知りました。

医師は、エビデンスに基づいて、客観的に事実を話しますが、良いこと(回復・治癒)と悪いこと(悪化・一生の病気)では、患者さんの受け止め方が違うのは、もっともです。

 

健康診断の受診率を上げるには、どういう文面が一番有効か?

臓器提供のドナーカード同意率を上げるには?

予約の無断キャンセル率を防止するには?

大腸内視鏡の痛さの記憶を和らげるには?

などなど、数々の論文を引用し、解説されました。

医学と同様、リサーチ・集計・解析・結果・考察という流れは、経済分野の研究においても同じだと思いました。

数学も駆使し、文系というより理系なのでは?と思います。

 

中学生の時、夏休みの宿題はいつ頃やることが多かったですか?(大阪大学調査)

1.夏休みが始まる最初の頃

2.どちらかというと最初の頃

3.毎日ほぼ均等

4.どちらかというと終わりの頃

5.夏休みの終わりごろ

 

院長は1です。

『宿題後回し傾向』が強いと、喫煙率やギャンブル習慣、飲酒習慣が優位に高くなることが分かっています。

消費者金融の利用も。

それ以外に、肥満者率ともかなりの相関があることがわかっています。

 

中学時代の宿題癖で、将来の傾向までわかるとは…

 

ちなみに長男に上記の宿題の問いをしたところ…

『当てはまるの、無いわ』

『えっ?』

『だって、宿題やったことなかったもん…やろうとすら思わなかった』

選択肢に該当しない人がいるとは…

理由の詳細まで忘れましたが、何度も学校から親(院長)の呼び出しがあったからね~

相関の結果を知ると、先が思いやられます…

 

『行動経済学の知識で患者さんの意思の傾向を理解できる』

『何気ない表現で患者さんの意思決定が変わる』

 

勉強したことを日々の医療現場で試してみようと思います。

愚息が今からでも『宿題先終え傾向』になるよう、家庭でも行動経済学試してみます。

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2019.11.5 お茶はあちら…

秋は学校医にとって、就学時健診の季節です。

いつもの健診は、保健室で行いますが、就学時健診では、それぞれ教室が割り当てられます。

 

教室に入り椅子に座ると、担当の先生(男性)があいさつ。

『本日の記録係です。よろしくお願いします。あ、それからお茶はあちらです』

『あちら?』の方向を見ると、教室の隅の机の上に湯のみが乗ったお盆が。

用務員さんが、早めに持ってきて置いていったようです。

『今日はビュッフェなんですね~』と茶化す院長(オバサンならでは)。

傍にいたベテラン先生(女性)が気が付き、『すみませ~ん』と慌ててお盆を取りに行って、お茶を出してくれました。

 

『一応来客だから、お茶は直接お出ししないとね。客に取りに行かせるのではなくて』諭すように院長。

『た、大変失礼しました』(汗)

A先生は、どう見ても、息子たちと同世代。

聞くと、1年目だそう。

お茶出しなんかしたことないんだろうな~

男女雇用均等法の下でも、新米研修女医(院長)は、医局でお茶やコーヒーを出すこともあったし、流しに湯飲みやカップが積んであれば、洗っていたな~

教えられてやったわけでもなく…

やらなくても良かったのかもしれないけれど…

気が付かないのよね~きっと。

うちの息子も思いやられるわ~

 

 

就学時健診は、緊張する子供たちも多く、スムーズとは言い難いのですが、無事終了。

視力がB(0.9以下)の子は眼科で再検査を。

緊張で上手く検査できなかったのか、屈折異常などの原因があるのか、確認してくださいね~

その他、気になる所見があった場合は保護者に伝えます。

 

教職員や生徒は毎年変わりますが、小学校3校20年以上学校医をやっている院長としては、学校の生き字引みたいなもの。

そして、児童を見る眼差しも変わってきます。

小学生になるって、こんなに大きくなるんだわ~と、未就学児の息子たちの成長を思い描いていた頃。

中学生になるって…(中学校の学校医もやっています)と、小学生の息子たちがたくましくなるのを思い描いていた頃。。

息子たちが、その年齢も越してしまうと、生徒たちを慈しむ眼差しの院長です。

そして、今回、フレッシュな先生が記録係でついてくれて…息子たちを重ね合わせてしまいました。

 

『仕事がちっともはかどらなくて、毎日遅くまで残っています。同僚の先生たちから色々アドバイスいただけるので助かっていますが』

『最初は、どんな仕事でもみんなそうよ。まずは、目の前のことを確実にこなしていくこと。3年たてば、少し周りが見えてきますよ』

職業人として老婆心ながらアドバイス。

 

長男が小学1年生の時のある日の連絡ノート。

担任は、卒後3年目の若いB先生(男性)。

『〇(長男)君が、帰り際泣いていました。聞くと、今日(木曜日)は、お母さんが遅くしか帰って来ないからとのこと。

二人で色々話をしました。

お母さんも頑張っているから、〇君も強くなるよう私と約束しました』

長男就学と同時に大学院生になった院長。

休診日の木曜日は今までは、保育園の早いお迎え、母親と遊べる特別の日。

なのに、木曜日は朝早くから夜遅くまで大学なので、ずいぶん寂しかったようです。

今は、『母親なんてどうでも~』の長男ですが、泣いたことと先生に言われたことは覚えているそうです。

そして、母(院長)もそのことを励みに、大学院生活を両立させました。

 

一片の思い出になれる先生に。

A先生、応援しています。

若者、頑張れ!

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2019.10.15   片道200キロ女子旅

今年もスタッフが『お誕生日ドライブ』を企画してくれました。

『諏訪湖行ったことある?』の何気ない一言からプラン作成してくれたよう。

 

秋晴れの当日、諏訪湖に向かってGO!

中央道を使い、片道200キロ。

ドライバーは3人体制で万全、SAでは女子ならではのお土産探し(まだ往路なのに)や、飲み比べタイムなど。

今回、マニアのAスタッフが用意してくれたのは、豆乳5種。

『こんなのあるんですよ~』と出てきたのは『きなこ餅』『マカデミアナッツ』『アーモンド』『ほうじ茶』『メロン』

利き酒ならぬ利き豆乳。

『こっちが好み、あっちもいいかも』これだけで盛り上がり。

 

諏訪湖に行く前に、『諏訪大社』に参拝します。

日本最古の神社の一つ。

上社を始め4社からなる神社ですが、強力なパワースポットとしても近年人気があるそうです。

大木に杉苔、静寂で厳粛な社内です。

本殿では、お祓いの最中。

『私、今年本厄なんで、お祓いしてもらいました』

『私の時、やらなかったわ~』

『本厄の年に、男の子産むと、厄払いになるって言うから、子供産んで厄落としになったわ~』

『私も~』(←院長)

などなど他愛ない話をしながら参拝した一行でした。

 

お昼は、予約の湖畔レストランへ。

信州十四豚(ジュウシーポーク)をメインに、サラダバーで野菜をたくさん。

ここは、以前クラフトジン作りをした某薬酒メーカーYがプロデュース。

お洒落な店内は満席。

結婚式も出来るそうです。

薬酒の老舗メーカーなのに、ジンの時も驚いたけど、この多角化戦略にびっくり。

またまたファンになりそう。

 

階下のショップを見ているうちに、お腹もこなされてきます。

『次は温泉です』

向かったのは、同じく湖畔沿いの老舗旅館N。

160年余の伝統ある宿の天然温泉へ。

案内されたお風呂に行くと…誰もいない…

『わ~い、貸し切りだね~』

露天風呂は、湯の温度も丁度良く、秋の風に吹かれて、話も弾みます。

久しぶりの『入浴女子会』

シャワー派お風呂派それぞれですが、温泉好きは共通。

入ってしまえば裸の付き合い。

何時の時代か?と言われそうですが、院長は、みんなで温泉に浸かるのは大好きです。

わいわいガールズトークは、一人ではできません。

給水器も用意されているので、紙コップにいれた水を傍らに置き、仕事以外のどうでもいい話で盛り上がります。

 

宿の向かいは、諏訪湖。

火照った体を鎮めるために湖畔を歩きます。

一周15.9キロのうち、ちょっとだけ散策。

静かで穏やかな湖面。

『諏訪湖、初めて!』

『うん、うん』

『このまま、泊まりたくなりますね~』

 

最後は、湖岸を車で一周して帰路へ。

 

電子カルテ導入以来、眼精疲労と肩凝りに悩まされている院長。

綺麗な景色で目の保養、温泉で凝りほぐし。

今年もありがたい『お誕生日ドライブ』をいただきました。

スタッフに感謝です。

 

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薬酒に目覚める

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2019.9.24 ついでに息子?

新年早々高尾山に一人旅した私(院長)。

その話を聞いて『行ってみたいな~』と夫。

 

それでは…と、連休を利用して行くことに。

前回は、『初めて』『一人』『冬』ということで、ケーブルカーで途中まで上がり、そこから山頂を目指しました。

『今度は自分の足で麓から登ろう!良い季節だし』

高尾山に行くなら、そっち方面(関東圏)に住んでいる息子についでに会いに行こう。

勝手に引っ越しした部屋も見てないし。

 

予定を聞くと、運よく?その日はフリーとのこと。

『え~来るの!?』

『高尾山のついでだから~』(ついでという地理ではないが)

そうこうするうち、『一生に一回くらい高尾山行った方がいいよ』という母(院長)の押しで、同行することに。

 

さて、当日、夫婦それぞれ荷物を詰めます。

『何か、荷物多くない?』

自分のボストンバッグには、身の回り品、お菓子。

果物なんか買わないだろうからと、桃と梨をプチプチで包装してイン。

これだけなら、二人で一つのバッグでいいのですが…

数日前の息子からの『米送ってください』ライン。

いつもは送っているのですが、どうせなら持っていけばいいのではないか…と、全くのバカ親ぶり。

『5キロ超ダンベルを持って歩く筋トレ』と考えれば、それほど重くも感じません(夫に知られてはいけない)。

 

さて、息子の新居へ。

ワンルームですが、こざっぱりと片づけられており、『ちゃんと生活しているのね~』と一安心です。

バッグから出したお米に、『お~すげ~!持ってきたの!?ありがとう!』

あきれた表情の夫。

 

3人で高尾山に上ります。

メジャーな表参道コースは3.8キロ、上り100分が目安です。

舗装されてはいるものの、かなりの勾配で、物を落としたら確実に下まで転がっていきます。

筋トレ仲間の息子と私は、黙々と人を抜かして(道幅は広い)進みます。

ある地点まで行くと、下方から見失った夫が登ってくるまで、トークタイム。

色々突っ込まれるのは苦手な寡黙な息子なので、自分から話すのを静かに聞きます。

途中、焼き立ての『天狗焼き』も頬張り、エネルギーチャージ。

お正月は、すごい行列だった天狗焼きも、並ばず手に入るほどの残暑日でした。

 

頂上まではもう少し。

3人で無事山頂にたどり着き『グータッチ』

あいにく今回富士山は見えませんでしたが、山並みをバックに3人でパシャ!

帰りは、雲行きも怪しくなってきたので、私お勧めのケーブルカーで下ります。

『二人乗りだけど、どういう組み合わせにする?』

『父さんと母さんと二人で乗ればいいじゃん』

『いやいや、父さんとは新幹線で並びだから…』

息子と並んでリフトに乗ります。

澄んだ空気の中、息子との会話は弾み、嬉しくてもう少しで1000円のツーショット写真を購入するところでした(ある箇所でカメラマンが乗客を撮影しています)。

 

夕食を3人で囲み、楽しい時間もお別れの時間が。

夫婦はホテルへ、息子は下宿へ帰ります。

デパ地下のスーパーで『いるものあったら買ってたら?』

『じゃあ…』

パスタソース数種、パスタ、中華調味料数種、卵、納豆。

ニンジン、玉ねぎ、ピーマン、キノコ、キャベツなど…

『高いな~』と言いつつも、母財布なのでポイポイ(普段は買いません)。

買い物袋を持って駅の改札に入る息子をずっと見送っていた母(院長)でした。

一度も振り向かなかったけれど。

 

『高尾山のついで…なんて言って、ほんとは息子に会いに来たんでしょ。何か付き合ってあげた気分』と、夫。

その通りかも。

そうは言っても、夫もまんざらでない様子でしたが。

 

息子への愛は続きます…

 

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新春プチトリップ

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