2026.10.20 目の中に飼ってみる

『黒いものが飛ぶんです』

『蚊やゴミみたいなものが見えるんです』

『ミジンコみたいなのが見えるんです』

『墨を流したように見えるんです』

などなど。

 

『黒いものが飛ぶ』ことを総称して『飛蚊症(ひぶんしょう)』と言います。

蚊が飛んで見えると言う意味ですが、他のもの(上記)が見えることも多々あります。

数も1個から数個、かなり多数まで色々。

目を動かすと一緒についてくることも多いです。

 

飛蚊症は硝子体(しょうしたい)の濁りで起こります。

硝子体は目の中身を占めている透明でゼリーのようなものです。

多くは加齢により、一部が濁り、その影が目の奥(網膜)に写ることで飛蚊症を感じます。

加齢だけの場合は、目の中の濁りを取り除く必要もないのでそのまま経過を見ます。

 

注意しなければいけないのは、

網膜剥離・裂孔

ブドウ膜炎

硝子体出血など。

 

『放って置いていいですか?』

眼科医が単なる飛蚊症と診断したならば、経過観察で良いです。

自己判断は禁物。

 

その後

黒い点の数や範囲が急に増えた

暗い場所で突然稲妻のような光が見えた

急に視力が低下した

視野の一部が欠けた

などの症状が出たら、速やかに眼科へ。

単なる飛蚊症か治療しなければいけない病気かを見てもらってください。

 

『治らないですか?』

『治らないです。ただし、目の前に濁りがなければ気にならないこともあります』

『え~そんな~』

『上手く付き合って下さいね』

 

先日、心配のない飛蚊症を診断したAさんが来院。

『その後飛蚊症いかがですか?』

『私、濁りにスペクター君って名前付けたんです。ペットみたいに。あらら、またスペクター君出てきたよ、なんて…』

目からウロコ。

そんな楽しみ方があったのか!

 

以来、精密検査をして問題のない飛蚊症の患者さんには、ペットを飼うように勧めています。

 

そしたら…

先日の新聞の益田ミリさんのエッセイに飛蚊症のエッセイが。

新しいペット・突然の出会い・眼科に行って飛蚊症と言われサマーと名付けたという話。

’サマーは飽きることなくわたしに甘えてくる。

鳴きもせず静かだが、仕事中もまとわりつかれ、少しうっとおしく感じることもある。

わたしのサマーは今日も元気いっぱいで飛んでいる。

いつも一緒だ。

目を閉じても動いている(院長注:これは脳で感じているだけだと思いますが)。

サマーよ、これから一緒に美しいものを見て生きていこうな。’(抜粋)

 

院長も近視が強く飛蚊症を自覚しています。

眼科医ゆえ目の構造を知り過ぎているので、さすがに自分の硝子体の濁りに名前は付けませんが、捉え方次第で煩わしいモノから愛しいモノに変わります。

 

現実は変えられないけれど、捉え方は変えられる。

患者さんの性格も性質も色々ですが、少しでも前向きな気持ちで帰っていただけたらと、日々診療しています。

飛蚊症を自覚しやすい青空

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カテゴリー:クリニックに関すること 健康 眼に関すること

2026.10.6  推しに会いに行く

旅で知り合ったイタリア人演奏家。

どこかで聴いたことのある曲の数々は、名前は思い出せないもの、なぜか懐かしく感傷的に心動かされた院長。

ミニコンサートの後にお礼を言い握手をしてもらおうと手を差し出すと、イタリア式の挨拶(両頬にキスをしてハグ)。

恥ずかしくて赤面した院長。

 

もらった名刺を元に初のフェイスブックとインスタ開設。

息子たちの世代は、フェイスブック知らないと言うので、インスタだけ導入を教えてもらいます。

フォロワーはひとりのみ。

やばい人みたい…と若者たちの弁。

他にもとりあえずフォローしておいた方がいいよ。

フェイスブックは40代知人に手ほどきを受け開始。

フェイスブックがメインのようで、アップする度、高評価をつける院長。

初フォロワーについつい友人知人にお知らせ。

 

『それが推し活!』と。

国民的アイドルグループ・歌舞伎役者・クラシック演奏家などなど、聞けば聞くほどみんなの推し活は広い。

 

弾いた曲名と曲を一致させることをすると、あのドラマで流れていた曲はこれだったのか…などと新しい発見。

映画のタイトル曲は映像も見て、またまた感動。

 

そうこうしているうちに、彼(Aさん)の出身地のイタリアB州にも関心が。

どんな所だろう…

イタリアに行きたいと思ったことはなかったのに、B州を調べればより興味が高まります。

いつもピンポイントで興味のある場所に行きたい院長。

B州だけ行きたい、B州だけ行ければいい。

ソロ旅が一番ですが、イタリア語ゼロの身としては冒険的。

ついにB州だけを巡るツアーを見つけました。

 

そして2か月前、迷った挙句思い切ってAさんに連絡。

B州に旅行に行くが再会は可能かと。

儚い望みであることは重々。

『OK!たぶん大丈夫』という思いがけない返事!

 

そうなるとただの観光旅行ではなくなります。

 

まず英会話の強化。

2か月間集中レッスンに臨みます。

自分の言いたい事を伝えるだけでなく、会話として繋ぐことが大事。

会話をストップさせたり無言は良くないと英語母語の先生に教わります。

 

日本のお土産セレクト。

 

イタリア式挨拶にどぎまぎしないこと。

 

イタリア語で『こんにちは』『会えてうれしい』『ありがとう』くらいは言えるように。

 

初めてのイタリアは驚くことばかり。

痛感したのは、世界史の知識が乏しいこと。

世界遺産もたくさんあり、世界史を知っていたらもっと楽しいはず。

新しい課題です。

 

昼時は、みんな仕事から家に昼食を食べに帰るので大渋滞。

ゆっくり2~3時間休んで戻るそう(院長は昼休みに往診に行っています)。

 

外のトイレは有料だし、お店でも便座がないトイレが多々あります。

腰を浮かせて用を足す方式らしい。

女性トイレでも便座が上がったままになっていたことも何回かあったので、エアートイレに慣れているのかも。

日本トイレは最高!

 

さて、いよいよAさんとの再会です。

前回は偶然出会ったので、今回はお洒落をして再会を喜びました。

イタリア式挨拶もスムーズに。

英語はどちらも母語でないため、時々日→英語 伊→英語で相互理解する場面も。

恐らく唯一の日本人ファン、しかもはるばるイタリアまで。

何て奇特な人だと思われたこと間違いなし。

でもきっと嬉しいよね~(と自己満足)

楽しい夕食。

 

推しをきっかけに、世界が広がりました。

そしてこれからの課題も。

憧れや好奇心を失わないように。

トライ&エラーを怖がらない、むしろ楽しめるように。

10月の誕生日を前に改めて決意する院長です。

目の守護聖人、聖ルチア(Santa Lucia)

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→2026.7.7 北欧ちょっとだけ

 

*10月13日の公センセの部屋はお休みです。

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2026.9.15 健康診断のその後

クリニックは、自分に何か自覚症状があって来院される患者さんがほとんど。

当然と言えば当然ですが。

しかし、なかには自覚症状がないのに来院される患者さんも。

健康診断の結果を持って。

 

健康診断の項目にもよりますが、最近は眼底検査も含まれている健康診断(又は人間ドック)が多くなっています。

瞳孔(黒目)の奥にある網膜(眼底)をカメラで撮影し、眼底の血管・網膜・視神経などを調べる検査です。

まずチェックされる項目としては

1.高血圧や動脈硬化の程度

目の血管のみが唯一そのまま見ることが出来る血管です(他のは皮膚の下や臓器の下にあるので)。

だから血管を直に見て判定できます。

2.視神経

乳頭陥凹拡大はよく指摘される表記の仕方です。

検診結果としては、緑内障疑いとほぼ同義です。

乳頭陥凹拡大も緑内障疑いも精密検査をしなければ、緑内障と診断されたわけではありません。(だから精密検査が重要)

眼底写真で指摘されなくても、眼圧が高いと緑内障疑いで要精査と出ます。

3.網膜

出血・白斑は高血圧や糖尿病によって起こった可能性があります。

他に動脈や静脈の閉塞の可能性もあります。

ドルーゼンは、加齢変化が多いですが、黄斑(物を見る中心)の変化を伴っていると黄斑変性の可能性があります。

黄斑変性は加齢による加齢黄斑変性が多く、ゆがみや視力低下・稀に失明の恐れもあり、指摘されれば早めの受診を勧めます。

黄斑異常の中に、網膜前膜(もうまくぜんまく)もあります。

これもゆがみや軽度視力低下を起こすことがあります。

 

自覚症状がないから放置、はとてもリスキーです。

治らない病気(緑内障や黄斑の病気)と診断されたとしても、正しい治療を継続すれば、悪いようにはなりません。

 

網膜の病気で最近増えているのは、網膜前膜です。

目の奥の中心の黄斑(おうはん)の上に、セロハンのような薄い膜が出来る病気です。

原因は不明ですが、50歳以上が主です。

物が歪んで見えたり(エクセルの罫線が片目で見ると歪む)、視力がやや落ちたりします。

自覚症状がない人の方が多いので、健康診断で見つかる(指摘)こともよくあります。

精密検査の結果、視力低下や歪み、膜の引っ張り具合がひどくなければ経過観察です。

ひどい場合は、手術で膜を取る手術をします。

 

また、眼底出血から糖尿病が見つかる場合もあります。

糖尿病の合併症のひとつに網膜症があります。

高血糖が長く続くことで、網膜の細い血管が傷み、詰まり、出血したり白斑が出来ます。

自覚症状はない事がほとんどです。

さらに進行すると、脆弱な新生血管が出来て、大きな出血や網膜剥離を起こします。

黄斑にむくみを生じ、視力が低下することもあります。

続発性の緑内障を合併することもあります。

糖尿病は白内障の進行も早めるので、若くても白内障になる人もあります。

 

眼科での精密検査を通して、現状・今後の展望を説明します。

院長の願いは、患者さんと一緒により良い見え方を維持したい、ということ。

目の奥の病気は、程度の多少はあれ、一生お付き合いの病気が多いです。

不謹慎かもしれませんが、ずっとお付き合いしたい眼科医になれるよう、知識・技術共に日々ブラッシュアップを目指す院長です。

 

健康診断の結果を放置しないでください。

精密検査で異常なしならラッキー!確実に安心できます(安心させます)。

もし異常があっても早く見つかったならラッキー!対策を立てられます(立てます)。

 

解体新書から

 

こちらもご確認ください

→2022.2.15 ドーナツと緑内障

 

9月22日、29日公センセの部屋はお休みです。

 

カテゴリー:目の神様 健康 眼に関すること

2026.9.8 目元ケアしてる?

若い時(今はオバサンなので)は、ナチュラル(自然体)がいいと思っていた院長。

数年前、今は亡き内館牧子さんの小説(愛読)の中で、76歳の主人公がつぶやきます。

『ナチュラル(あるがまま)は、偽装することを面倒くさがるだけの無精者だ』

『真の姿がバアサンであっても、若くきれいに装い続ければ、その人はきれいで若い人ということ』

以来、まだバアサンではないもののオバサンである院長も身だしなみを整えるよう努力しています。

ナチュラル(あるがまま)は、家の中のみ。

それ以外は偽装(ではなく、それなりにきちんと整える)。

 

お化粧の仕方も、きちんと習いに行ったり、コスメのスタッフに選んでもらったり。

年を重ねた分、仕事や家事子育てに余裕が出来たのもあるかもしれません。

若い頃、全然イケてなかったのは少々悔やまれますが、きれいになりたい欲求も余裕もなかったのが事実。

 

さて、目元は専用のクレンジングで落としていますが、お化粧をしない人でも目元のクレンジング・お手入れは重要です。

眼科医からの目元のお手入れの提案です。

目元やまつ毛は、ほこりや花粉が付いたり、メイクや皮脂汚れがたまりやすい場所です。

今、眼科的に、まつ毛の根元の汚れをしっかり落とす『リッドハイパージーン』が推奨されています。

アイシャンプーとしてお勧めしています。

 

1.ドライアイ・マイボーム腺機能不全対策

まつ毛の根元の内側に、白もしくは黄色いつぶつぶが出来ている人がいます。

つぶつぶはマイボーム腺(脂腺)の出口を塞いでいます。

涙は涙腺(るいせん)から出た水成分とマイボーム腺から出た油成分が混ざって角膜を覆っています。

マイボーム腺が詰まっていると、脂が出ないので涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを悪化させます。

目元をきれいに洗い、温めることで改善します。

2.ものもらい、めんぼ対策

いわゆるめんぼ(眼科的には霰粒腫さんりゅうしゅ)は、マイボーム腺の出口が詰まってしこりが出来ます。また、ものもらい(麦粒腫ばくりゅうしゅ)は、マイボーム腺や汗腺に細菌感染、炎症が起こります。

日頃からまつ毛の根元をしっかり洗うことで、マイボーム腺の出口の汚れを取り除く効果があります。

3.まつ毛ダニ(デモデックス)対策

まつ毛ダニは、まつ毛の毛根に寄生して毛根の脂を餌にしています。

眼がごろごろする・目やにが出る・瞼が腫れる・まつ毛が抜けるなどの症状が出ます。

寄生・増殖を防ぐためにも目元の洗浄は効果があります。

4.花粉症対策

花粉は目の中の結膜(白目)角膜(茶目)に直接飛入しますが、まつ毛や目の周りの皮膚にも大量に付着します。

アレルギー性結膜炎の点眼薬は処方しますが、目の周りのケアも重要です。

特に、見落としがちなまつ毛や目元をしっかり洗うことで、より良い効果があります。

 

眼科学には色々な分野があって、マイボーム腺疾患に特化した研究会もあります。

その研究会監修のアイシャンプーは、院長も愛用中。

 

泡タイプで少量でしっかり洗えます。

Tea Treeオイルとライムエキスも配合されており、低刺激で爽やかです。

 

目元のお化粧もそれなりに気遣っている院長(誰も気づかないが)。

朝はナチュラルから公センセになる儀式として、夜は公センセからナチュラルに戻る儀式として、アイシャンプーを使う院長です。

目元トラブルは皆無、瞼の縁はきれいな院長です。

 

気になる方は、院長が1プッシュしますので試してみてください。


エジプト:パピルスに描かれたホルスの目

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→2019.3.19 リッドハイジーン

→2023.11.7 マイボーム腺問題

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2026.9.1 AIからの紹介

久しぶりの休日救急診療所への出務。

名古屋市の場合、内科一般の休日診療所は各区にあります。

眼科は専門科なので、中区の休日診療所でのみ。

今回は夜間(18時から21時が診療時間)。

 

院長は、休日診療所への出務もいつもと違う環境なので少しわくわく(イレギュラーを楽しむ)。

今回はどんな患者さんが来るのかな~

 

洗剤が目には入ったかも?!の幼児。

聞くと、入ったかどうかは定かではないが、流水で洗ったとのこと。

正解です!

何かが目に入ったらまず流水で洗うのは基本です。

診察をしてみれば幸い異常なし。

子供の場合、機嫌がどうか?ずっと(一時的でなく)痛がっているかもポイントです。

 

普段と違って静かな診察室。

休日診療所は、救急患者さんのためにあり、通常の眼科にある視野や画像機器はありません。

 

『目が痛いんです、緑内障だと思います』

 

Aさんは、前日から片目の奥が痛くなった。

気持ち悪くなったが吐かなかった。

痛み止めを飲んで横になったら楽になったが、本日、また片目の奥が痛くなって気分も悪い。

頭痛もしてきた。

AIに尋ねたら、緑内障だから眼科受診をと。

 

Bさんは皮膚科で処方された薬を飲んだら、片目が痛くなった。

視力も落ちた気がする(検査の結果問題なし)。

片頭痛のような痛みがある(片頭痛と診断されたことはない)

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

Cさんは、昨日片眼がかすんだような気がした。

様子を見ていたが、またかすんだ気がした。

時々眼科に行っているが、こんなことは初めて。

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

おそらくAIが念頭に置いたのは、急性緑内障発作。

閉塞隅角緑内障の人に起こりやすく、房水(ぼうすい)の出口の隅角が塞がることで、水の房水の流れが悪くなり眼圧が急に上昇します。

かなり眼圧が上昇(基準値10~20mmHgに対し40mmHg以上もざら)するのに伴い、眼痛(激痛)や目のかすみ、頭痛やはきけ、嘔吐が生じます。

ひどい頭痛のため、まずは脳外科を受診されることも少なくありません。

また、ひどい充血や瞳孔が中等度に開いた所見も見られます(特徴的)。

 

治療は、まず点眼や点滴で眼圧を少し下げた後に、レーザー治療や白内障手術(隅角を開きやすくする)を行います。

 

隅角が狭い人で中高年女性がハイリスクです。

 

さて、Aさん、視力も眼圧も全く以上ありません。

視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)を認めたので、緑内障発作ではないが、緑内障の検査(緊急性なし)を勧めました。

 

Bさんには、緑内障発作ではないことをお伝え(他異常なし)。

皮膚科の薬を飲んで起こった症状については、処方した医師に尋ねるように。

片頭痛も診断基準がある(自己診断で片頭痛ありと言う人が多い)ので、心配なら脳神経内科もしくは神経内科を受診するように。

 

Cさんも、緑内障発作でないことをお伝え。

少なくとも、眼科を受診していれば、眼科医には緑内障発作誘発されやすい患者かどうかはわかります。

心配なら、隅角を診てもらうといいでしょう。

 

症状を入力すれば、AIは受診を勧めるとは思いますが、まさかAIから3例も緑内障疑いで送られてくるとは?!

 

人はそれぞれ違う、同じ症状であっても。

だから、医師は診察も治療も目の前の患者さんに応じて。

AIから見れば、みんな同じ人、同じ症状、同じ治療。

 

『普段からかかりつけの生身の医師にもっと相談して~』と思った院長でした。

公センセも責任をもって質問にお答えします、ご相談を。

空港の救急診療所

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2026.8.4  まぶた下がっていない?

『先生、なんか昔より目が小さくなってきた気がするんだけど~』

診察室でよく聞くこのセリフ。

年齢とともに増えてくる相談です。

 

『そうですね~眼瞼下垂(がんけんかすい)ですね~』

眼瞼下垂:上まぶたが下がってきて、目が開きにくくなる状態のことです。

多くは加齢によるもので、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の腱膜がゆるんでくるのが原因。

まぶたも加齢とともに、重力に抵抗しきれなくなります。

症状としては

『まぶたが重い』

『まぶたを指で持ち上げると視界がスッキリする』

『目が小さくなった気がする』 などなど。

 

眼瞼下垂の程度が大きく、手術適応(保険適応)がある場合は手術をお勧めします。

ただ、そこまでの程度でない方には、『誰でも年を取ります。若い頃より多少ともまぶたが下がっているのは仕方ないことです。単に加齢なんだから(良く医師が使うフレーズ)大丈夫です…」と。

『加齢なんだから仕方がない』というはセリフは、『ショック!』とか『がっかり!』と反応される方も多いですが、『加齢以外の原因は無い(重大ではない)=安心して~?!』という意味でもあります。

『若い頃は、パッチリしていたんだよ!美人だったのよ!』

『そうでしょうとも!』と合いの手。

 

加齢以外にも原因があります。

特に ハードコンタクトレンズ(HCL)長期装用者。

レンズを外すときに、上まぶたを横にピッと引っ張る癖があると、まぶたの筋肉(腱)に負担がかかり、眼瞼下垂を招くことがあります。

HCL長期ユーザーの患者さんは、自分で又は人に言われて眼瞼下垂を気にされている人が少なくありません。

当院ではレンズを外す時に、上下のまぶたを介し眼球を少し押さえて、HCLを浮かせ外す方法を指導します。

またスポイト使用もお勧めです。

しかし、従来の方法から、推奨の方法に変更できる人は、実は少ないです。

まぶたを横に引っ張り素早く外すことに慣れていると、新しい方法は面倒だから。

最近は、強度近視でも対応するソフトコンタクトレンズ(SCL)があれば、HCLからSCLに変更することもあります。

ただし、眼瞼下垂はそのままです。

 

 

そんな中、新しい選択肢が登場しました。

後天性眼瞼下垂の点眼治療薬(商品名:アプニーク)です。

まぶたを持ち上げる筋肉には「メインの眼瞼挙筋」と「サブのミューラー筋」があり、この新薬はサブのミューラー筋を働かせて、メインの衰えをサポートする仕組みです。

(ちなみに緑内障の眼圧を下げるための排出路も主と副があり、緑内障点眼薬もどの経路に働くかで違いがあります)

この点眼薬は自費診療となります。

 

先天性(生まれつき)の眼瞼下垂には効きません。

また後天性眼瞼下垂と言っても、脳卒中・重症筋無力症・ホルネル症候群など、他の要因で起こる眼瞼下垂には効きません。

点眼薬に効果がある眼瞼下垂かどうかを見極められるのは眼科医ならでは。

『なんか目が小さくなった気がするんだけど~』 という相談には、共感しつつ、しっかり診察して診断をしています。

 

当院の、加齢による眼瞼下垂の患者さん、点眼後。

『すごく明るくなった、はっきり見える!』と大満足。(写真参照)

手で瞼を挙げると良く見えると言っていた男性患者さんも

『こりゃ、何もしなくても(瞼を挙げなくても)良く見える!』と大満足。

また、HCL長年使用の患者さんは

『明るいし、目元ぱっちりしたわ~私って、目大きかったのね』と。

 

眼瞼下垂はない(眼科学的に)院長も、モニターとしてトライ。

『漫画の女の子の目みたいにキラキラですよ!』

『えっ⁉そんなに⁉』

眼科医(院長)が鏡を見るとほぼ変わらず。(スタッフお世辞ありがとう~)

 

眼瞼下垂の方に朗報です。

気になる方はご相談を。

 

 

眼瞼挙上の点眼効果の画像

 

*8月11日、18日公センセの部屋はお休みです。

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2026.7.28 夏と目と紫外線    

酷暑の毎日。

屋外は、風でさえ生暖かいどころか熱風に感じるほど。

強い日射しが気になります。

往診で外に出ても、人を見かけません。

日焼けとは、一般的には肌の日焼けが知られており、紫外線を浴びることによって皮膚が赤く炎症を起こしたり、メラニンが皮膚表面に色素沈着を起こしたりします。

帽子・日よけの服・日傘は当たり前になってきました。

時には男性でも、小学生でも日傘をさしているのを見かけます。

登下校の日傘の使用や高校野球大会でのサングラス使用を認めている高校もあります。

 

紫外線は、目にも大きな影響を与えます。

例えば、目の充血・目のゴロゴロする感じ・涙が出る。

ひどくなると目に強い痛みを感じる場合があります。

特に紫外線の反射が強いスキー場や海水浴場などで、長時間、紫外線に直接さらされると角膜が傷つきます。

このような目の症状を「雪目(ゆきめ)」と言います(冬の雪山のイメージ)。

 

患者さんから相談されることが多いのは瞼裂斑(けんれつはん)。

茶目(角膜)の3時9時方向の白目(結膜)部分が黄色くなったり、黄色味を帯びて盛り上がったりする状態を言います。

通常治療する必要はありませんが、「目のシミ」とも言えるので、女性だと『ショック~』と言われる方も。

炎症を起こしている場合は、治療をします。

紫外線曝露量が大きく関係しています。

 

白内障も紫外線の影響を受けます。

最近では、高温も関係しており、サウナ・熱中症経験患者で白内障進行が起こり易いことも報告されています。

 

通常の生活で、紫外線を浴びたからと言って、すぐにひどいダメージを受けるわけではありません。

目を閉じて目を休める。

コンタクトレンズは外す、眼鏡にする。

人口涙液などの目への水分補給。

目を労わりましょう。

 一晩休んでも良くならない場合は、炎症がひどい場合が考えられます。

その場合は、眼科を受診してください。

 

濃い色のレンズだと、薄い色に比べて光を通しにくくなるため、瞳孔が広がり、そのぶん目の奥まで届く紫外線量が増えてしまいます。

サングラスを選ぶ際は、色の薄いレンズを選ぶのがポイントです。

もちろん、紫外線カット加工レンズであることが前提。

最近は一般のメガネレンズでも、紫外線カット加工がされています。

普段眼鏡をかけているだけで、紫外線予防はされています。

(眼鏡をかけている部分だけが顔の他の部分より白いのは、眼鏡がしっかり日焼け対策となっているからです)。

 

本来、茶目(角膜)は涙でおおわれています。

涙は紫外線の吸収を抑え、角膜への直接刺激を緩和しています。

目の乾き(ドライアイ)などで涙の量や質が安定していないと、角膜がダメージを負いやすい状況になるので、ドライアイの対策も大切です。

 

目に良いとされる栄養素も積極的に。

「ルテイン」は、紫外線を吸収して目を守り、抗酸化作用によって活性酸素を除去すると言われています。

緑黄色野菜に多く、ほうれん草やブロッコリーなどに含まれています。

もちろんサプリメントも有効です。

 

先日、ホテルの屋外プールで泳いだ院長。

日が高くなっても、プールサイドにいるのは白人系の人たち。

サングラスをして、チェアに寝そべって肌を焼いています。

目は守られているけれど・・肌が白いから黒くしたいのかもしれないけれどダメージ大きそう…

余計なお節介はせず、人種?文化?の違いを感じながら眺めていました。

津島の天王祭宵祭

 

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カテゴリー:健康 眼に関すること

2026.7.14  名古屋のなごやか中学

『長い間お世話になりました。4月から夜間中学に赴任します』

学校医にとって、養護教諭は学校の一番身近な存在。

校医担当校のA先生が昨年転勤の挨拶に。

夜間中学とは初耳。

『ぜひ一度見に来てください』

『必ず行くね~』と約束した院長でした。

 

院長も知人から聞くまで知らなかった夜間中学。

名古屋市立なごやか中学校といいます。

夜間中学のイメージは、戦後の混乱期義務教育を受けられなかった人(現代では高齢者)対象かと思っていましたが…

むしろ最近は

本国で義務教育を終了せずに、日本で生活を始めることになった外国籍の人

形としては中学卒業だが、不登校などで十分学校に通えなかった人

が多いとのこと。

名古屋市在住(愛知県内在住も可)で義務教育年齢(15歳)を過ぎた人が対象。

17時半からホームルームが始まり、4時間が終わると21時です。

17時前後から、私服の生徒たちが三々五々集まってきます。

先生たちも何人か門でお迎え。

生徒は10代が圧倒的に多い、といっても全学年で60人と言うこじんまりした規模です。

顔の特徴、肌色など様々。

 

国語の授業を見学。

日本語なので程度に合わせて1~3に分かれます。

国語1は、日本語が十分でない生徒向け。

ひらがなからの習得です。

生徒は少ないですが、ボランティアの指導者も巡回しています。

『昨日からこの学校に来た中国の子ですよ』

まだ幼い(でも15歳以上)顔の女の子が、日本語もよく聞き取れず四苦八苦していました。

『ニーハオ。どこから来たの?いつ日本に来たの?』などなど、ちょっと話しかけてみると、あれ?と言う反応。

『中国語勉強しているから、少しだけ話せるの』

ちょっと安心したみたいで、中国語で答えてくれました。

『加油(がんばって)!』

 

文章を書く、話すクラスもあれば、枕草子のひとコマを勉強しているクラスも。

『全部わからなくてもいいから。知っている単語だけでも聞けたらいいから』

先生が1小節読むと、続いて生徒も読みます。

外国ルーツの子供たちが古典を知る、触れることだって大きい。

国語の先生が来て

『私、学校検診でお世話になりました。クリニックにも通ったことあるし。覚えてますか?』

マスクを外し、ネームホルダーをかざすと

『え~!○○△ちゃん!覚えていますよ~』

院長の記憶力、さらに○○△ちゃんのお母さんは○○×さんだと上書き保存。

 

壁には、日常の単語が日本語・英語・ネパール語・中国語で書いて貼ってあります。

ネパール語は全く分からず。

 

家庭科の授業はきんちゃく袋を作成中。

ミシンをかける子、アイロンをかける子、おしゃべりしている子色々。

院長も、中国語で話しかけたり、英語で話しかけたり(ネパール人。フィリピン人)。

まだ来日1年でもかなり上手く日本語を話す子がいます。

先生たちからは、社交的・誰にでも話しかける子は上達が早いと。

院長の語学力は、上記はあるものの若さに太刀打ちできずもがいています。

 

外国籍の子たちはこの国で生きていくためには、日本語の習得は必須です。

また高校卒業資格は最低必要なことも、親世代を見て感じています。

同胞の中で日本語をうまく話せなくても生活は出来ないことはない。

けれど、異国で生きていくためには、言葉そしてそれを使いこなし理解できれば、もっとより良い生活が出来ます。

 

不安のままに来日した子たちが、日本を大好きになり、未来を支える人になってくれるよう願うばかりです。

 

*7月21日公センセの部屋はお休みです。

 

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2026.7.7 北欧ちょっとだけ

『国民は、国(政府)を信じていますから』

4回も聞く機会がありました。

 

少し前、北欧に。

デンマーク・ノルウエー・スウェーデン・フィンランド4か国を廻るかなり強行な日程。

有名な見どころに、きれい!可愛い!素敵!みなさん連発。

 

院長が印象的だったのは、景色でなくモノでもなく言葉。

各国ガイドさんが案内してくれました。

4人とも日本人で70歳前後、現地に30~40年在住。

 

北欧で驚いたのは、物価が高いこと。

消費税も25%で、ペットボトルや缶にはリサイクル料金(40円程、リサイクルすれば返金)が上乗せ。

税金は約50%。

その代わり、教育・医療・福祉(老後など)は無料です。

自由行動の時間に

『そんなに税金高いと国民から不満が出ませんか?』と尋ねたら、冒頭の返事。

国(政府)は、国民のことを考えて税金を分配していますから。

院長、日本で社会人になって以来真面目に税金を納めています。

みんなそうだと思います。

しかし、少なくとも『国(政府)を信じている、税金は国がきちんと国民のために使っている』と聞いたことは皆無。

むしろ『税金の無駄使い』と言う声ばかり。

高い税率の代わりに、人生で最も大きな費用のかかる教育・医療・福祉が保証されているのは、この国では当たり前になっているようです。

政治家の汚職も北欧4国では極めて少ないとのこと。

お金をがつがつ溜めなければいけない理由もなくなります(老後の資金がありません…にはならない)。

人生・仕事に対する考え方、生産性についても日本人とは違いそうです。

 

デンマークの医療について聞いた話では

一人のジェネラルドクター(総合医)開業医は1600人の住民の主治医となる(契約)。

1600人分の年間契約料としての報酬、個々に患者として受診した分の報酬が自治体から支払われる仕組み。

主治医の紹介状がないと専門科へは受診出来ない。

(もしくは急ぐなら完全自費のクリニックを受診)

病院に行くのは、救急車の場合くらい。

開業医は、主治医となる住民が重ならないようエリア分けされている。

眼科など専門科は分化特化型が多い(緑内障・白内障・斜視など)。

 

ノルウエーで聞いた話では

ノルウエーには専業主婦はいないとのこと。

国の税収を増やすために、国が考えたことは、女性も働いて税金を納めるようにすること。

そのため、出産育児休暇や手当などを厚くしたそう。

国会議員の44%が女性とのこと。

北欧では、どこも専業主婦は(ほとんど)いないとの声を聞きました。

ちなみに院長も専業主婦経験なし、社会進出している方です。

 

スウェーデンの『ゆりかごから墓場まで』は、小学生の頃に社会で習った覚えが。

最近は、施設よりも在宅ケアへ移行しているそう。

地下鉄駅構内はかなり深く(地下鉄桜通線よりもっと深い?!)、天井には様々な絵(THE ART)が描かれていました。

実は有事に備えての防空壕でもあるとのこと。

なんと1%しか現金は流通していませんが、国は、有事に備えて1週間分の現金を手元に置いておくように指示したとのことです。

有事・戦争…北欧4か国はそれなりの緊張感があるようです(日本幸せです)。

 

観光バスはリトアニア(旧ソビエト)から。

運転手もリトアニア人。

海を渡ってスカンジナビア半島を運転してくれました。

北欧よりもリトアニアのバス会社に頼む方が、料金が抑えられるとのこと。(ここにも格差が)

 

各国、あちこちで国旗がはためいていたのも意外でした。

日本では見ない光景。

 

知らないこと、違うこと、世の中にたくさん。

地下鉄シェルター

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2026.6.30 パーツモデル

新聞の暮らし欄。

『パーツモデル』の見出し。

自分の知っている『パーツモデル』の意味は、手・足・髪・唇・目など体の一部だけを使ったモデルのこと。

基本顔は映されず。

ハンドクリームとかネイル、シャンプーやヘアケア、ストッキングや靴など。

 

しかし、今回の新聞はどうも新しい意味合いのよう。

”キャリアを積むうえで、手本となる『ロールモデル』がいないという悩みもある中、理想の生き方を複数の人からいいとこ取りする『パーツモデル』の考え方に注目が集まっている(原文ママ)”

記事を読んだ院長、『パーツモデル』と言う単語を作っただけで本質は変わっていないのでは?と。

院長は、結婚するのが普通、子供を産むのも普通と言う世代。

まだクリスマスケーキ説も残っており、6年制大学(医学部)に行っても周囲と同様の圧力を受けた世代でした。

さらに結婚は良いとしても、医師になって3年は妊娠出産は避ける(医師としてのキャリア第一歩の一番大事な時期だから)という暗黙の了解。

子供を産んでも仕事はALL OR NONE。

するならフルで、出来ないなら仕事は辞めろ。

そんな時代下、せっかく医師となったからには、微力ながらも実力をつけて患者さんに還元したい…という思いで、開業して大学院も行って子育てもして…と現在に至ります。

 

『パーツモデル』と言う言葉はなかったから『ロールモデル』

当然ながら、自分と同じ先輩はいない。

『ロールモデル』と言いながら、その人のすべてを真似することも出来ません。

職業的には、大きな学会で登壇するような女性医師、何かの会で知り合った女性医師などなど。

自分から思い切って声を掛ける、相談することで、年上の先輩方は受け入れてくれます。

振り返れば、当時から既に今でいう『パーツモデル』として、それぞれの手本にしたいところを取り入れようとしていたのだと思います。

 

さらにロールモデルは仕事だけでなく、生活にも取り入れてきました。

例えば、ある女優さんの『茶碗を洗ってシンクの横に置いた時欠けた。母に、置くところまで気を抜かないようにと言われ、それから実行している』とのインタビュー記事を読んで以来、自分も洗い物は最後まで見届ける(そっと置く)ように。

今は食洗器で手洗いは少ないのですが、守っています。

これも今風に言えば『パーツモデル』

自分の暮しを少し豊かにしてくれます。

ある料理研究家の『カトラリーは一生ものです。磨くことで一生使え馴染んできます』という言葉から影響も。

カトラリーもひとつずつ集め、黒ずんだら磨いています。

磨くのは面倒なはずなのに、他のことを考えず手先に集中出来る大切な時間にもなっています。

 

日々診療の場でも、院長より年上の患者さんの生き方を『パーツモデル』として、参考にさせてもらっています。

老後のバリエーションも見えてきて楽しい。

 

最近、若い友人知人と話すことを心掛けている院長。

院長よりは若い分、迷いのど真ん中にいる彼女たち。

老害にならないよう、自慢に聞こえないよう気を付けながら、彼女たちの年齢だった頃の自分ことを話したりします。

働く女性には、誇りを誇りをもって仕事をし、自分のやりたいことも達成して欲しい。

人生の後半に入り、自分の役割は確かなエールを送ることだと思っています。

 

一生、誰かの『パーツモデル』になれるよう、そのための課題を考える院長です。

そしてまだまだ自分も真似したい、お手本にしたい人(=パーツモデル)を見つけて行く旅の途中でもあります。

手のパーツモデルです(実際は院長の手)

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