2025.8.20  日本語で話して

休日診療所の出務当番。

名古屋市は名古屋市眼科医会の会員(開業医)で回しています。

今日はどんな患者さんが…?

 

休日診療といえども多いのは数日前から○○…

だったら休み前に眼科を受診しなきゃ…と思いつつ診察します。

結膜炎、アレルギー、ものもらいなど。

中には、近医にかかっているのに気になって受診と言う方も。

残念ながら初診患者さん(全員)に、大した検査機械もない状況で、詳しく診察することは難しいです。

結果、かかりつけの先生にもう一度診てもらうように言います。

お話を聞いていると、過剰に心配性の方が多いように思います。

 

眼球打撲や目が赤くなった患者さん。

視力低下はないか、目に問題がないか、最低限の機械にて診察します。

 

1週間前から帯状ヘルペスでどんどん悪化して視力も低下したという患者さん。

ヘルペスは水疱瘡のウイルスで、免疫力が低下すると、身体の奥に潜んでいたのが活発化します。

通常まぶたに水泡が出来、軟膏が奏功しますが、稀に眼球に入り込む場合も。

この患者さんは、眼球にも炎症が起き視力の急激な低下が起こっていました。

『○○病院に紹介状を持って行ってください』

 

幸い名古屋市の場合は、大学病院や眼科病院が2次救急を引き受けてくれます。

滅多に休日診療所からお願いすることはないのですが、今回は該当。

 

コンタクト関連の患者さんも多く来られます。

コンタクトが外れない。

眼の中のどこかに行っちゃった。

外したら激痛がしたなど。

 

コンタクトを外して終了の場合もあれば、目の中にコンタクトが見つからない(知らぬうちに外れていた)場合も。

レンズ装用に問題がある場合が少なくありません。

また同じこと繰り返さないといいんだけど…

 

装用したまま眠って、朝外したら激痛の患者さん。

綺麗なお姉さんです。

角膜は傷だらけで充血もあります。

中国名と日本名があったので、『痛い?』とか『傷がついている』とか、緊張しながら片言中国語で話します。

コンタクトは半年ずつ交換(日本製にはない)のカラーレンズ。

それも良くないんじゃないか…というと、本国でちゃんと合わせているとのこと。

眼科医(院長)がゆっくり(言葉を選ぶというより語彙不足)話すので

『日本語で話してください!』

『あ~はい…(しょぼん)』

日本語でゆっくり丁寧に説明。

『わかりました』(我明白了)

眼科医としてはきちんと診療したけれど、自分の中国語の拙さにショック~

当院に来る中国人の患者さん(日本語上手)は、拙い中国語でも話すと褒めてくれるのだけど…厚意に甘えていました。

反省。

 

終了間際に来た患者さん。

2日前に両眼の視力低下に気づき、昨日はもっと低下し、本日は本当に見えなくなったから来たとのこと。

視力は右0.1左0.2。

軽い近視で、今までは眼鏡でしっかり見えていたそう。

眼圧や前眼部は問題ありません。

休日診療所には最低限の機械しかなく、通常当院にあるような眼底カメラや視野計その他のはありません。

精密検査も含め2次病院にお願いするしかない。

その旨を伝えると『ここでわからないの?また行かないといけないの?来週ではだめ?』

眼科医と患者さんの温度差。

今までの経緯から考え得る病気をいくつか挙げ、精密検査の重要性を話し…ようやく腰を上げてくれました。

 

離島の診療所を思い出します。

機械は、休日診療所と同程度のみ。

2次の病院は島外。

ならば今すぐヘリか明日の飛行機か船か…

 

車で数十分の2次病院。

名古屋市ありがたいです。

 

水餃子・春巻

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カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2020.5.19 ひょっとこ顔に!?

ある晩、右眼が『すーすー』

角膜に傷でも付いたかな?

最近は、飛沫感染予防にコンタクトでなく眼鏡にしているけど…

角膜保護剤の点眼をしておこう(眼科医ならでは自己診断治療)。

翌日も『すーすー』が続きます。

まぁ、若い人より回復力は遅いから…

 

と、その日の夕食時、唇の内側右寄りを2回噛んでしまいました。

『加齢で口の中の肉がたるんできた?』

 

翌朝、相変わらず右目は『すーすー』

洗面所でうがいをしようと、水を含んだら唇の右側から漏れます。

食後のコーヒーも気を付けて飲まないと漏れてしまいます。

唇の裏を確認し、腫れが原因?

 

診療後、長年連れ添うスタッフから『先生、右目、腫れてません?』

マスク姿なのに、よく気が付くわね~。

ものもらいや結膜炎はありません。

細隙灯顕微鏡で写真を撮ってもらうと、角膜に横方向の細かい傷が。

 

仕事終了後、鏡の前で自分の顔をしっかり観察。

このところ、マスク姿を良いことに、目元だけの簡単メイクだったので、顔をじっくり観察することも少なくなっていました。

もしや…と思い『あ・い・う・え・お』と大きく鏡の前で声に出して言ってみます。

やはり…

顔の動きが明らかに左右違います。

右の口角が上がらないので、『う・お』は顕著に左右差が。

右目は腫れているのではなく。右眉毛が上がらない(下がっている)ので相対的に右瞼も下がり腫れぼったく見えます。

両眼をつむってみると、右眼はしっかり閉じず隙間が出来ます。

この隙間に一致しての角膜の傷でした。

いずれの症状も、顔面神経支配の顔面の筋肉が上手く動かないからです。

 

『大変!顔面神経麻痺になっちゃた!』

『どれ、どれ~』と家人。

顔面神経麻痺の患者さんを診断するときのルーティンを妻(私)にもして、『確かに、顔面神経麻痺だね~』

『耳痛くない?』発疹はなし。

『ヘルペスは出ていないみたいだね。もう一度、あいうえお、やってみて』

『あ・い・う・え・お』

『ホントに、ひょっとこ顔だね~』

同業者ならではの言葉に、納得。

『ひょっとこ』は火吹き竹で火を吹く顔が、顔面神経麻痺のようだと言われています。

 

声を聞きつけて、息子が。

『すごい!実物、初めて見たわ!もう一回やって。すげぇ、すげぇ。もう一回!』

『あ・い・う・え・お』

赤ちゃんを喜ばすように、何回もやってみせる愚母(私)。

『一生忘れんわ』と、息子。

 

顔面神経は脳から発し、側頭骨の中の顔面神経管を通り、顔面に分布しています。

多いのは顔面神経管の炎症(ヘルペス感染のほか、疲労・ストレスなど)による、『ベル麻痺』と言われるものです。

他に、骨折などの外傷・脳腫瘍や耳下腺腫瘍が原因となることもあります。

 

幸い頭蓋内は異常なし。

ヘルペスの所見もなく、ステロイドと神経賦活剤の内服となりました。

『日本酒飲みますか?』と受診先の先生。

繊細な味を舌先で味わう日本酒を嗜む場合、舌先も顔面神経支配なので、違いに気づくそうです。

『3か月で8割は治癒しますから』

常識的なことを言われても、『ということは、2割は治らない?このままだったら、どうしよう?』と、急に患者サイドでまだ起こりえないことを考えてしまします。

顔面神経麻痺でしっかり閉瞼できず、角膜障害のひどい患者さんを多く見てきました。

『どうしよう?』

 

しっかり服薬。

激しい運動を休んで、ゆっくりとした生活を。

鏡の前で『あ・い・う・え・お』リピート。

1週間単位で徐々に改善。

 

マスクのお陰で人には気付かれず、約1か月で完治。

完治したからこそですが、良い体験でした。

今も毎日『あ・い・う・え・お』確認の院長です。

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