2025.10.28  楊貴妃むかつく(向津具)

『日本で一度行ってみたいところがあります』

中国語レッスンにてラオシー(=先生)との旅行の話題。

『どこですか?』

『楊貴妃のお墓です』

『???』

『確か山口県…』

ありました!山口県日本海側、こんな所に!知らなかった!

『行きたいですが、遠いですよね~』

先生の夢を叶えたい!

その晩、時刻表とアプリと地図を広げ行程作成。

1泊2日なら可能。

『行けます!夢を叶えましょう!一緒に行きます!』

早速『謝謝』とともに『空海』の映画が送られてきました。

 

オール中国版に加え、サスペンス的な始まりでたじろぐ院長。

でも見ないわけにいかず、字幕付きを探して見ました。

なるほど、楊貴妃の時代背景、楊貴妃の謎がおおよそ掴めました。

不勉強な院長は、楊貴妃=世界三大美人=レイシ(果物)が好きというくらいの浅知識。

 

当日、駅で待ち合わせた二人。

『赤い服を着てきましょうね』の約束通り、2人とも赤のワンピース。

リュック以外に小さいスースケースを持っているラオシー。

『この中にはチーパオ(=チャイナドレス)が入っています。楊貴妃の前で撮りましょう!』

おやおや。

 

今回の行程はかなりハードです。

名古屋から新幹線・山陽線・山陰線・バスを5回乗り継ぎ6時間半かけて向かいます。

電車の本数も車両もどんどん少なくなっていきます。

 

山陰線乗り継ぎ時は、我々がのんびり乗車するや否や出発。

日本海を線路沿いに走る山陰線には感激。

代行バス(災害にて山陰線不通区間のため)への乗り換え誘導や約90分のJR代行バスも楽しみ、更に地元路線バスに乗り換え目的地の二尊院へ。

二尊院は長門市の向津具(むかつく)半島にあります。

 

唐の幻玄宗皇帝の妃であった楊貴妃は、反乱によって殺されることになった。

しかし陳玄礼兵長が、楊貴妃を殺したことに見せかけて小舟に乗せて逃がした。

小舟は向津具半島の唐渡口に流れ着き、間もなく楊貴妃は死んでしまった。

この天請寺二尊院に楊貴妃のお墓ができた。

(以下略)という楊貴妃伝説。

 

楊貴妃の墓についても諸説ありますが、大理石の楊貴妃像に圧倒されます。

西安で作成されたもので、西洋風(漢民族ではなく西方の民族だった)のはっきりした顔立ちで下半身はふっくらな像です。

 

ラオシーは大興奮!

宿坊でも住職から説明を受けると、かなり鋭い質問も(知識があると質問できる。院長、質問すら出来ず)するラオシー。

楊貴妃愛が伝わってきます。

 

『写真もたくさん撮りましょう!』

建物や景色だけでなく人物も。

中国人は写真を撮られるのが好きらしい。

赤いワンピースの後は持参のチーパオ、ポーズも色々。

『はい!1(イー)2(アー)茄子(ジエズ)』とカメラマン役の院長。

『チャングーチュアン(長谷川)はこれ(私用のチーパオ)を着て!こちらを見て、手を挙げて。』

ラオシーは注文が多いのですが、そのうち自身もモデル気分、楊貴妃気分?に…

何と『美人お守り』がありました(楊貴妃にちなんで)。

 

『2日間出来るだけ中国語で話しましょう』の提案で中国語:日本語8:2で何とか乗り切った院長。

根気よく拙い中国語を聞き理解し修正し、会話を繋げてくださったラオシーのお陰。

片道6時間半は軽い形式的な会話だけでは間が持ちません。

言葉も関係も深くなったような。

 

『次回レッスンまでに、2日間を思い出して作文を書いてきてください』

最後に宿題をもらう院長でした。

ラオシー、厳しー。

 

*11月4日の公センセの部屋はお休みです。

大理石の楊貴妃像。

 

 

 

 

カテゴリー: 公センセの家族・恩師・友人など

2025.10.21 ストレスと緑内障

緑内障の患者さんにとって眼圧は気になります。

眼科医はもっと気になります。

当院では緑内障患者さんには毎回院長が測定した数値を伝えています。

 

眼科雑誌にあった外国の論文の紹介。

『心理ストレスが緑内障患者の眼圧に与える影響』

 

ストレス負荷をかけた群とストレス負荷をかけないコントロール群を設定し、眼圧変化を比較検討した研究。

緑内障(原発開放隅角緑内障)患者39例。

21例にトリア社会的ストレステスト(TTST)という強いストレス反応を誘発するテストを仕掛けます。

例えば、病院での採用面接用スピーチの準備を10分以内でするよう指示。

白衣を着た面接官の前で採用面接用スピーチを5分間行うよう指示。

1022引く13の数を順に口頭で回答し5分以内に終了するよう指示。

計算を間違えたら最初からやり直し。

これらのテスト終了40分後にこの試練は研究のためと明かされます(ドッキリみたい)。

 

テスト前後で不安スコア、眼圧、血圧、心拍数、唾液検査。

コントロール群はストレス負荷群が与えられた指示に取り組んでいる間休憩。

 

この結果、ストレステスト実施直後の眼圧は、ストレス負荷群では右4mmHg左4.2mmHg上昇した。

コントロール群は右0.9mmHg左0.8mmHgk上昇した。

ストレスを掛けられた群は有意に眼圧上昇があった。

ストレス負荷群の6割が眼圧4mmhg以上上昇というのがこの研究の注目すべき点。

(4mmHg上昇というのは緑内障診療においては大きな意義あり)

 

40分の休憩後、ベースラインと同様の値に低下した。

 

一過性とはいえ、心理的ストレスは優位な眼圧上昇をもたらすことを初めて前向きにした貴重なスタディと評価されています。

 

血圧と同じように、眼圧も日内変動や日日変動や季節変動があります。

一喜一憂するのは良くありません。

しかし、緑内障は眼圧の変動幅が大きいほど進行しやすいと言われています。

診察での眼圧はもちろん重要ですが、眼圧が落ち着いていても進行する場合、日内変動が大きい場合もあります。

 

また眼球運動により緑内障が進行しやすいという報告もあります。

内転(眼球を内向きに動かす)すると他方向の動きより視神経の変形(画像レベル)が起こった。

また外転(眼球を外向きに動かす)すると他方向の動きより眼圧上昇が大きかった。

では眼球運動を制限すれば緑内障は進行しないのか?

実際眼球運動を制限する手術は報告されています(現実的ではないですが)。

 

緑内障を進行させないためには、日々ストレスを回避すればいい?目をあまり動かさない方がいい?などと短絡的に考える必要、実行する必要はありません。

これらはまだある研究の報告の段階にすぎません。

 

大事なことは、自分の病気・病期を知り、きちんと処方された点眼薬を遵守、定期的に診察を受けること。

心配なこと、気になることは目の前の主治医に尋ねること。

眼科医と緑内障患者さんの目標は、一生見え方に困らないQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を維持することです。

変わらないのは良いこと。

変化があれば経過次第で対応します。

何十年もお付き合いの患者さん。

頼っていただき有難いことです。

応えるためにまだまだ勉強しないといけない院長です。

熊は回避。白熊↑は歓迎。

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2025.10.7  2025日本緑内障学会 in神戸

今年の緑内障学会は神戸。

新神戸からシャトルバスで会場に向かいます。

三宮バスターミナルを経由した時ふと思い出しました。

小学生の息子たちと甲子園に行った夏休み。

三宮で何が原因か怒った長男がダーッと脱走。

下の2人に待つように言って、ずいぶん追いかけて捕まえた記憶が蘇りました。

同時に品川駅でも同様のことがあった記憶まで。

『あの時のこと覚えている?』とLINE。

息子から『覚えてない、でも逃げてばっかの人生だったな~(笑)』の返信。

 

さて今回も様々な話題が。

 

緑内障点眼はかなり出そろっていますが、新薬も近く発売されます。

一方、現在主流で使用している点眼薬の新たな副作用も報告されました。

副作用が出て、その後機序が解明されていきます。

副作用があるから使わないということではなく、効能優先にしつつも止めるべき副作用に気づくことが大事です。

『処方する薬が絶対ではないので、何か自分に合わないと思ったら必ず言ってくださいね。そこから、また策を考えるので』

院長がいつも伝えることです。

 

画像の読み方もどんどん進化してきています。

特に日本人は強度近視の緑内障が多いので、画像は定型的でないことが多くなります。

40歳以上で5%強、70歳以上では10.5%の緑内障発症率。

強度近視だと7.3倍緑内障に罹りやすくなります(だから子供を強度近視にさせない治療が注目)。

 

緑内障の罹患率が高まってきたこと、平均寿命が延びていることから、ロービジョン対策も課題となってきています。

『緑内障患者が社会で活躍するための問題と対策』がシンポジウムで、『緑内障のロービジョンケア』が学会賞企画教育セミナーで企画されました。

視覚障害者補装具認定医師であり、アマチュアロービジョンバレーのチームドクターでもある院長。

そして、日々の診療でも、見にくさを訴える患者さん、視野進行が進む患者さんに対して出来ることを考えています。

 

近年のロービジョン支援に対して劇的に変化したのは、スマホアプリの進化による充実です。

高齢者は健常者でもうまくスマホを活用できない人も多いのですが、取り合えずスマホを持つところからです。

スマホのアプリはどんどん進化しており、例えば

ヒトやモノをカメラで認識する『Seeing AI』

目的地までルート案内をしてくれる『SHIKAI』

カメラをタグに向けるだけで内容を読み取れる『ナビレンス』(万博で体験可)

点字ブロックを専用アプリで読み取ると読み取った方向に応じて音声案内を聞くことが出来る『コード化点字ブロック』)金沢市で体験可)

など、検索すると視覚障害用アプリはかなり多く開発されています。

また、足からの振動で目的地に行くことが出来る靴のセンサーも考案されています。

目の病気を治すのも眼科医ですが、ロービジョンの人たちの支援をするのも眼科医です。

目の前の患者さんの視機能低下による困りごとを知り理解し、出来ることをアドバイスするにはより多くの知識や情報が必要。

 

恩師にも再会。

70歳を超えても診療手術勉強に精力的。

永遠に追いかけていく立場の院長です。

 

特別公演は山中伸弥先生。

今回もiPS細胞をめぐる素晴らしい講演を聞くことが出来ました。

 

学会参加はモチベーションアップ、自分の課題も見つかります。

逃げないこと・続けることの重要性も。

いつか息子も分かってくれるといいな~

『これから(の人生)は逃げないように!』と返した母(院長)でした。

お勧めカクテル コウベハーバー レモネード

 

こちらもご覧ください

2024.10.1 日本緑内障学会

2015.9.15 日本緑内障学会

来週(14日)の公センセの部屋はお休みです

 

 

 

 

 

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