2024.6.11  運転止める?続ける?

眼科の学会も規模の大きなものから小さいものまで。

森(眼科全体)に対してか、木(病気から・症状から・検査から・治療から…など)に対しての学会か。

今回は視野画像学会。

以前は視野学会だったのですが、眼科の画像機器の進化は著しく、視野画像学会と名称が変わりました。

 

開催地は新潟。

2回目の新潟です。

初めての新潟は、研修医一年目、初めて学会参加でした。

初学会参加に緊張と興奮。

でも、講演内容はほとんど理解出ず。

同期と『よくわからなかったね~』(研修医あるある)

上司I先生(女性)が登壇されたのを『かっこいい~すごい~』と眺めていただけ。

あっと言う間に学会が終わり即帰路に。

何が何だか?学会って異次元?

 

さて2回目の新潟は…

 

今回聞きたかったセッション、座長はI先生。

あの頃30代で登壇されたのですが、今もずっとパワフルでお元気、緑内障や視野の世界では重鎮です。

テーマは『視野と運転』

 

日本視野学会には「交通と視野委員会」があり、運転免許と視野についても調査研究が行われています。

現在、免許更新には規定の「視力」は必要ですが、視力が適すれば視野異常については触れていません。

しかし診察していると、視力が出ていても視野欠損・視野狭窄の患者さんは多くいます。

 

高齢者の運転が問題になっています。

運転は、認知・判断・操作からなります。

認知の中には視野障害も含まれています。

信号が見にくい・夜間見にくい・雨天に見にくいなどは、加齢に伴い自覚が増えますが、それでも高齢者で自覚しているのは4割と報告されています。

視野異常がある場合も同様で、自覚のない人が多いです。

高齢&視野障害ありは要注意です。

 

視線(眼球運動)のばらつきは、視野の広がりと連動しています。

視線のばらつきが小さいと事故を起こしやすく、大きいと事故を起こしにくいとされています。

視線のばらつきが小さいということは、注意力が低下しているということです。

高齢者では小さくなり、若い人では大きい傾向があります。

DS(ドライビングシュミレーター(模造運転装置))では、年齢が上がるにつれ、視線の水平方向のばらつきが小さくなったと報告されています。

速度によっても、視野の動きは小さくなります(より速度が上がると視野が狭くなる)。

またDS上で緑内障患者さんを対象に検証したところ、交通事故(仮想)の直前の視線の動きは小さくなり、さらに垂直方向の低下が著しいことがわかりました。

上方で信号を見、前方水平上に車や人を見、下方で計器を見ることを絶えず繰り返して運転しているのですが、どこかで少し視線が停留した時に事故が起こっています。

 

注意が向く箇所が多いということは、視線が大きいということ。

 

DSの目的は、自分の運転を模擬体験し、どこにリスクがあるかを自覚してもらうことです。

自身の視野異常を理解し、眼科医の助言の元に、注意して運転することで事故を起こさないようにする。

もしくは、視野異常を理解した上で、運転を止める自己決断をする。

 

DSおよび運転外来は、全国で2施設しかありませんが、私たち眼科医も運転が気になる患者さんには助言をしています。

 

2シーターのマニュアル車を運転していた(若かりし頃)院長も、運転技術の低下・視線のばらつき低下を感じるこの頃。

運転は最低限に。

公共交通機関&ママチャリ大いに活用しています。

 

運転が気になると思う方は、ご相談ください。

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2024.6.4 生きてるで~

産業医の日。

事務所に入る時は『こんにちわ~!』

いつもは『センセ、こんにちわ~』(関西弁で)の店長さんの声が小さい。

『センセ、僕、今日元気ないんですわ~』(以後関西弁です)

『どうされました?』

『いや~脚立から落ちまして…』

は~!?

『大丈夫でしたか?』

『生きてるで~』

(関西人はこういうリアクションなんですね!?吉本新喜劇だけかと思っていたら…)

『だけど、痛い。かなり痛いですわ~』

 

先月は、会社自体で労災がいつもより多く発生。

切創、打撲・捻挫、骨折が内訳です。

 

店長の労災発生状況をまとめると…

天井からぶら下がっている看板を外そうとした。

直下でなく、少し離れたところに脚立を設置。

上って手を伸ばしたところ、バランスを崩し落下。

頭部背部腰部打撲。

救急車にて病院に搬送。

頭部MRI異常なし。たんこぶ有。

腰部圧迫骨折。全治3か月。

 

どうしたら防げた?

目標物の直下に脚立を設置すべきだった。

 

店長自ら労災申請書を書く羽目になり、とほほ顔。

 

『巡視大丈夫ですか?』

『何とか歩けます』

痛みをこらえてゆっくりゆっくり。

今日は口数も少なめです。

事故現場も写真に撮っておきます。

 

バックヤード随所随所、売り場でも先々で

『店長大丈夫でしたか?』の声。

確かに日中、救急車がスーパーに横付けされ、しかも店長が搬送となれば大騒動。

全員が知るところとなります。

その度に『生きとるで~』と返す店長。

これは、関西人全般のリアクション?

名古屋人だったら…

『ん~まあ…』とお茶を濁すか…

『大丈夫じゃないに決まってるでしょ(見たらわかるやろ)』って言い放つか…

『生きとるで~』の返しを何回も聞いていると、店長さんがみんなに慕われているのが伝わってきます。

 

会社からの労災ニュースには、転倒予防体操も紹介されていました。

物の配置や環境には気を付けなければいけませんが、自身の身体の強化も。

転倒しない・転倒しにくいための身体作りです。

労働災害だけでなく、加齢により転倒事故は増えるので、特に下半身を鍛えることは大切です。

転びかけて、とっさに手を着けないと、顔面打撲をしてしまいます。

外来でも往診でも、転んで顔を打ってひどい皮下出血になった患者さんがおられます。

さらに骨折すると治癒するまで相当の時間がかかります。

そのままフレイルになってしまうことも。

 

院長も、もう転べない年齢(50代)になっています。

下半身強化は一生の課題です。

 

さて、今日はゆっくり巡視。

店への投書欄にも目を通します。

『この店は、パンの宣伝の放送が大きすぎるし、回数も多すぎる!そこまで店長がパンにこだわるのは何かあるのですか?』の声。

『他競合店との差別化を図るために、店長はパンに注力、執着しております。ご理解お願いいたします』と返事。

紙カードのやり取りに、くすり(笑)。

 

他にも、店員の態度とか、割引の時間とか、商品希望とか…一つ一つに回答を付けて貼りだしてあります。

時代錯誤かもしれませんが、匿名と言えども、ネットより紙に自筆と言うのが、親密さ(怒りや要望にしても。もちろんお褒めの言葉もある)を感じます。

 

店長さんもまさか自分が労災に遇うとは、思ってもなかったことでしょう。

天災どころか労災も忘れた頃にやってくる。

今日の教訓。

産業医としても気を引き締めねばなりません。

 

早く良くなってくださいね。

 

 

カテゴリー:産業医

2024.5.28   3 分だけど…

眼科医にとって近視はとても身近です。

近視と一口に言っても、乳幼児から高齢者まで。

緑内障や白内障、網膜の病気や斜視など。

年齢も病気も多岐にわたり近視と深く関係しています。

近視を軸として、眼科の病気を考えるのが近視学会。

 

土曜日の午後の講演に間に合いたい。

診療延長とその後の事務掃除などの時間を予想。

東京駅から会場までの距離と時間。

それらを勘案して指定券を購入。

 

当日、スタッフ全員巻いて巻いて何とか予定の新幹線に乗れました。

新専門医制度になってから、単位の取得は、毎回講演10分後に締め切られます。

当初の計算で行くと、ぎりぎり開始10分後に単位申請出来る見立てでした。

 

さて、今回は小さな会場。

学会参加の受付をして同じフロアの講演会場に行く予定。

受付でQRコード提示するも『パスワードは?』

『え~!?覚えてない。うちのPCにあるはずだけど…』

焦るも進みません。

会場スタッフが『名前からお調べします』と言ってくれ難を乗り切った院長。

大急ぎで会場に行くも、単位申請読み取り機がありません。

『3分前に締め切っちゃたんですよ』

ガーン…仕事巻き巻きで来たのに…

単位は取らなくても聴くことは出来ます。

恐らく今回取らなくても、更新に支障ない単位数を取得できているはず。

それにしても…3分の見込み違いにショック!を隠し切れない院長でした。

 

さて、今回の学会も、本当に勉強になりました。

 

最近当院でも力を入れているオルソケラトロジーについて…

軽度近視群では、オルソケラトロジーと低濃度アトロピンの併用は、単独群より大きく近視抑制効果があることが実証されました。

ただ中等度以降は併用効果がないので、きちんと見極めることは必要です。

また、アトロピンの濃度は0.01%が主流でしたが、0.025%で更に近視抑制効果があることが実証されています。

研究では、0.05%が最も抑制効果がありましたが、止めてからのリバウンドも大きい(進行が速くなる)と報告されています。

現在日本で使用できる点眼濃度は0.01%と0.025%。

当院でも、早速0.025%アトロピンを導入する予定です。

 

強度近視は、一般的にはオルソケラトロジーの対象ではありませんが、強度近視にオルソケラトロジーをして弱めの近視にし眼鏡を装用しても、眼軸長(目の奥行)の伸びが抑制されたという報告も。

これは、乱視の場合の報告もあったので、今後オルソケラトロジーの適応が広がるかもしれません。

また、片方だけ近視が強い場合も、近視の強い方にオルソケラトロジーをすることで眼軸長の伸びが抑制されたという報告も。

 

年齢が若いほど、近視進行は早いです。

6~8歳が急激に進行(眼軸長が伸びる)するので、この時期にオルソケラトロジーを始めるのがベストです。

もちろん、どの年齢で始めても眼軸長の伸びの抑制効果はありますが(中学生くらいまで)。

 

双子研究も興味深かったです。

ひとりに眼鏡、もうひとりにオルソケラトロジーをすると、両者の眼軸長の伸びに2倍の差(眼>>オルソ)が生じたとのこと。

 

その他にも、サギングアイ症候群・後天性内斜視・緑内障・白内障との関連講演をたくさん聞いてきました。

これも折を見て発信していきたいと思います。

 

今回はタイトなスケジュールのため、徒歩圏内の日本橋デパート(初)のみ。

ざーっと歴史的な建物を楽しんだだけですが。

デパ地下のお惣菜を新幹線のテーブルに並べて日本橋?を味わいました。

ひとり、乾杯!

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2024.5.14 初めてのお店

行きつけの美容室とは、20年のお付き合い。

当初はカットと顔そり(理美容師資格有り)だけだったのですが、初カラー(白髪染め)もこのお店でデビュー。

院長よりちょっと年上。

 

『今日はどうしましょう?』

本日の要望を言って、後はお任せ。

 

あまり雑談をしないところも気に入っていました。

 

カラーも定番色。

一度、メッシュのヘアモデルを見せたら『やめた方がいい』

 

シャンプーの時『痒いところないですか?』と毎回聞かれるのは、床屋さんみたいな感じもするけれど、いつも『特にないです』

シャンプーの間、顔そりの間ついウトウト。

『お疲れですもんね~』(院長の仕事は知っている)と放っておいてくれます。

 

安定安心の至福の時間は、髪の伸びに合わせて定期的に。

 

ある日、予約数日前に電話が。

お店から電話があったのは初めて。

どうも体調がすぐれず、2週間ほど休業するとのこと。

既に髪は伸び、切り頃で、しかも今回はショートにしたいと思っていた時でした。

前髪は鬱陶しいと感じているし、2週間は待てないな…

 

美容室はとても多いのですが、いざ行こうとなると迷います。

ネットで検索するも、なかなか行きたいと思うお店に出会えず…

でも、どこかには行かないといけないし…

 

そう言えば、息子が美容室を始めたと言っていたような…

電話をして尋ねます。

『息子も理美容師だから大丈夫。息子に伝えておくわ~』

 

当日、ちょっとドキドキしながら来室。

『母がいつもお世話になっています』

『こちらこそ、いつもお母さんにお世話になっています』

とても穏やかな優しそうなお兄さんです。

 

『今日はどうしましょう?』

『短くしたいです。切った!って感じに』

あまりショートにすると、えら顔の院長はえらが強調されてしまうとの旨。

結果、あごラインのボブにすることに。

『カラーの色は、母から聞いた色でいいですか?』

初対面なので、思い切って

『知人が、髪の一部を赤く染めたのですが、ちょっといいな~と思って…』

『やれますよ、やりましょう!やりましょう!髪をかき上げたときにちらっと見えるくらいなら、そんなに目立ちませんよ』

『お願いします!』

お母さんの時は、この提案は却下されました(保守的です)。

 

髪を切って、内側の一部をブルーで染めてもらいました(まずは目立ちにくい色から)。

シャンプー時は、痒いところは聞かれません。

男性による顔そりは初めてで、最初は緊張していましたが、息子さんということもありすぐにリラックス。

 

さて、出来上がったヘアスタイルは、ブローの効果もあってか、何となく今までよりお洒落な気が。

白髪染めがしっかり入っているため、ブルーの発色はほとんど出ませんでしたが、新しくトライしたことに満足。

『だんだん、髪の中に色が入って来るようになりますからね~』

 

『またお母さんに戻ると思いますが、機会があったら来ます』

周囲からの評判は上々。

 

さて、そろそろ次回の予約を…っと思っていたら、お母さんのお店から電話。

『この前、すみませんでした。息子の店に行ってもらってありがとう。申し訳ないけれど、これから息子の店でお願いできます?』

年齢と体調でそろそろフェードアウトのよう。

 

以来、2回目の来店。

今度は、さらにショートに。

内側の差し色カラーも再チャレンジ。

二人でわくわく。

 

ネットの口コミより確実な方法で、初めてのお店に当たりました。

家族や知り合い、近所の口コミは最強です。

 

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2024.1.16 時間制限

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2024.5.14  校医のトリセツ

今年も眼科学校医担当4校の学校検診が始まりました。

 

名古屋市では8年前から任意で色覚検査が復活しました。

院長が小学生の頃は全員が受けたはず。

色覚検査が任意になってから数年は、各学年で希望者がありましたが、最近はほとんど1年生です。

50代院長~40代スタッフ小学生時代は4年生で実施されたのですが。

 

早期発見早期治療の波…?

(ちなみに色覚異常においては、治療はありません。後天性を除き結果は一生変わりません)

 

学校検診では、石原表を使って検査をします。

本に書かれた数字を読んだり、輪の切れ目を探す検査です。

あるかないかを調べます。

 

ただし…

1年生のせいか、こちらの言うことが理解できないことがある(2桁の数字の場合1桁のみ言うなど)

数字をまだしっかり読めない子がいる。

などでエラーが出てしまう可能性もあります。

もちろん、はきはきと答える子も多くいます。

誤答であれば、眼科受診のお勧め用紙を渡すことになります。

 

眼科での再検査にて、色覚異常と診断された場合、

 

一般的に多いのは『先天赤緑色覚異常』です。

日本人男性の20人に1人、女性は500人に1人の割合です。

女性は、発症していなくても色覚異常の遺伝子を持っている保因者もいます。

割合で言うと、緑内障も40歳以上で約20人に1人なので、ありふれていると言えなくもないです。

 

このタイプの見え方の特徴としては…

例えば、赤と緑がどちらも茶色っぽい同系色に見えます。

 

治療法はありませんが、眼科医として、生活しやすさの助言をすることは出来ます。

色の区別がしにくい組み合わせを自覚すること(眼科で苦手な組み合わせの色パターンを確認)。

視覚だけでなく、他の感覚も使って確認すること。

職業制限(警察官、消防官、自衛官、パイロットなど、交通・運輸関係の列車・飛行機・船の操縦士など)はあること。

デザイナーや染色業など色の繊細さが必要とされる職業は難しいかもしれないこと。

などなど。

 

色覚異常とは、最近では色の特性(色の見え方の個性)とも言います。

そのため、自分の見え方の特性と必要な配慮・まだある制限を知っておけば大きな問題は生じないことを、当事者や保護者にお話しします。

 

担当学校は全てマンモス校。

校医としては、スムーズに検診を行いたいものです。

 

円滑な検診のためには、養護教諭の協力が必須。

そのために学校によっては『校医・公センセのトリセツ』があるらしい…

検診の仕方で気になることや改善点、学校保健委員会での提言などを受け止めての『公センセのトリセツ』(マル秘)。

 

名前を呼ばれたら返事をする(今どき返事をしない子もいます…)→検診する側からは相手を確認することは前提条件。

起立で臨む(ふにゃふにゃ立ちや、ポケットに手を突っ込んだままの子も)→眼位はまっすぐで見るのが前提。しっかり立たないと、目を触っているときに転倒の恐れもあります。

眼鏡は外す(このアナウンスを聞いていない)→瞼を下げて目の病気を見るので、スムーズな検診をするために必要。

などなど、公センセの要望が生徒全員に周知されるよう、学校全体で取り組んでくださっています。

 

養護の先生オリジナルの『公センセのトリセツ』のお陰で、円滑に検診が出来ます。

『トリセツ』の存在を知って尚、養護の先生に感謝です。

 

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2020.11.24 加齢と色覚

2019. 7.30 見えるのに見えない

2017. 5.30 2017学校検診

2016. 3.22 学校検診変更

2015. 7.21 色覚検査見直し

2012.11.27 色も変化する

カテゴリー:健康 眼に関すること

2024.5.7  ホルスの目

目は永遠の興味・関心事。

生業としての医学的な勉強はもちろんですが、『目』に関する他の事・ものにも吸い寄せられます。

 

ある日知ったホルスの目。

ハヤブサの頭をしたエジプトの神ホルスの目をシンボル化したものだそう。

美濃焼のとても素敵なホルス神を知っています。

でも違う。

ホルスの目が気になります。

あ~気になる…

 

ピラミッドも一度見てみたい!

 

人生後半、思い切りでエジプト行き決行。

 

カイロ空港からの観光バスには、観光警察官が乗り込んできます。

エジプトは、過去に大きなテロ被害に遭っています。

テロを防ぎ観光客の安全を確保するために、警察官の添乗以外にも、道路・施設・ホテルなど検問続きでした。

警察官は、観光客のガード及びJapanese welcom(どのエジプト人も)で写真撮影までしてくれるサービスまで。

エジプトの観光に力を入れている様子がよくわかりました。

 

しかし観光バスの車窓から見るに、道路事情はハチャメチャという表現がぴったり。

ガイドさんが、『日本人は道路を渡ってはいけない』と注意したこともすぐ理解出来ました。

車線はあるのかないのか、3列4列無造作に走っている車は、隙があれば別車線(線は見えないが)に入り込みます。

その度にクラクション。

鳴らした者勝ちのようです。

走っている車は、みんな傷だらけ。

乗り合いバスは、扉を開けたまま走っています。

同じ道路に、バイクも馬車も自転車も走っています。

所によっては駱駝も!

その隙間を人が平気で渡っていきます。

自分から車に近づいて止まらせているようにも見えます。

信号や横断歩道は見当たりません。

交通ルールに慣れている日本人としてはヒヤヒヤ。

日本での一生分以上のクラクションをエジプト滞在中に浴びた院長でした。

 

喫煙率も約90%とのこと。

ストレス解消とはいえ、現在の日本ではその理屈は通らなくなっています(弊害を知っている)。

しかも、タバコ(ゴミも)のポイ捨ても目立ちます。

観光客のため・テロ対策のため警察官の配置はすごく多いのですが、インフラ整備も早急に…などと某異邦人の感想。

 

ピラミッドはもちろん一見の価値あり。

博物館のツタンカーメンのマスクなども素晴らしい!

人だけでなく哺乳類から爬虫類まで様々なミイラも。

想像をはるかに超える建築から科学(医学?)まで幅広い知識技術がどのように結集されたのか?

これを研究するのが考古学なのでしょうか?

考古学専攻のガイドさんの説明を一生懸命聞きながら、未だに謎も多くあることも知るのでした。

 

さて、探しに来たのはホルスの目。

エジプトでは、ホルスの目は『あなたのことを見ているよ』というお守りだそう。

古代エジプトで使用されたパピルスと同様の材料手法で作られたパピルス紙に描かれたホルスの目。

惹かれたのは、鮮やかなブルーと金で書かれた目。

しかも、結膜(白目)はほんのり充血しているように、血管に色が塗られています。

クリニックのお守りとしてはぴったり。

象形文字で『GANKA HASEGAWAKO』と入れてくれました。

(実際にはGANKAHASE GAWAKOになっていました。レイアウトを考えてのことらしい…)

 

患者さんの眼病平癒と院長の眼科医の腕が上がりますように。

エジプトまで行って神頼みです。

 

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カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2024.4.23 学会と祈願

新型コロナ以来、学会は現地参加とオンデマンド。

春の日本眼科学会総会と秋の日本臨床眼科学会では、更にライブ視聴も。

 

さて、今年の眼科学会総会。

印象的な事柄をいくつか(アウトプット)

 

以前は、近視は成人になれば進行しないと言われていました。

しかし、強度近視は生涯にわたり進行することが分かってきました。

裸眼視力回復のためにICL(眼内コンタクトレンズ)をしても進行することが報告されています。

 

近視は、眼鏡で矯正すればよいというものではなく、進行により近視性黄斑症(物を見る中心が悪くなる)、緑内障、網膜剥離そして視覚障害の要因となります。

近年、日本人は強度近視が増加しています。

 

そのために、こどもの健やかな目の成長をサポートする目的で、日本眼科医会では6月10日を『子供の目の日』と制定。

6歳までに視力1.0(矯正でもOK)を目指します。

弱視の早期発見・治療や低年齢化する近視発症の予防・啓発は、眼科医・眼科学校医(院長も地元4校担当)のミッションです。

 

若年のスマホ斜視も話題ですが、高齢者の斜視も増えています。

主なものは、サギングアイ症候群です。

コラーゲン組織で出来ている眼球を支える靱帯が、加齢により弱くなり、眼球をしっかり支えられないために眼球の位置がずれ斜視が起こります。

成人斜視の原因の1位で、年齢とともに増加します。

手術を選択したほうがよい場合もあります。

 

などなど。

後日オンデマンドでも視聴する予定です。

 

今回会場は東京。

目と鼻の先(ほどではないが)、今まで何で知らなかった?という目の神様へ。

後楽園駅で降り、少し住宅街のようなところを歩くと…

源覚寺、通称こんにゃく閻魔です。

門の石柱には、赤字で『こんにゃくゑんま』

こじんまりした境内です。

参拝客一人のみ。

 

お参りする先には、怖そうな閻魔様が。

右眼は開いておらず(盲目)、左眼をかっと見開いてこちらを見ておられます。

 

目の神様(閻魔様)の由来は…

宝暦(1751~1764)頃、眼病を患う老婆が、好物のこんにゃくを絶って一心に祈願した。

夢の中に大王が現れ『満願成就の暁には、両目のひとつを差し上げよう』と。

願掛け満願成就、老婆の目は治り、以来大王の右眼は盲目になった。

老婆は感謝のしるしとして、好物のこんにゃくを絶ち供え続けたとのこと。

 

お供えのこんにゃくが山積みされています。

こんにゃくを持ってこればよかった…(名古屋から?)

いつものように祈願。

 

敷地には普通のお墓に加えて樹木葬も。

都会らしいというか…

 

こんにゃく閻魔様は、夏目漱石の『こころ』にも登場します。

何十年ぶりかに再読。

こんにゃく閻魔は、ほんの一文の登場でしたが、再読して思うところ多し。

先生(登場人物)は、随分若かったのね~

人生序章の自分が読んだ『こころ』と人生折り返した自分が読んだ『こころ』

ストーリーにも登場人物への思いにもずいぶん変化が。

自身の人生の分、考えながら読むことが出来ました。

名作が時を経て愛読されていく理由を再確認。

再読の機会を与えてくれたこんにゃく閻魔様のお陰です。

 

いつもお守りをいただくのですが、今回はインパクト抜群の絵馬を。

『最近は、その場で書かずに持って帰る人も多いですよ』

その言葉に安心して?持ち帰ります。

 

最新の学会に参加し、古の老婆(自身もその時代なら老婆です)のように祈願する院長です。

 

*4月30日公センセの部屋はお休みです。

 

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2024.4.16 見つけてくれて

お花見日和。

自家産生乳を使用したアイスは農業センター名物ですが、リニューアルと行楽日が重なり長蛇の列。

せっかく久しぶりに来たのだからと並びます。

親子連れ、三代ファミリー、カップルなどなど。

 

子供たちが小さい時はよく来たものです。

お弁当やおやつをもってピクニック気分で。

歩いて遠足気分で。

 

大きなガラス瓶の大好きな蜂蜜を手に持って帰ると言った次男。

園外に出た途端落下。

当然、瓶は割れ、蜂蜜は地面に溢出。

あの時、かなり叱った母(院長)の胸は痛い…(本人は忘れていた)

 

ツバメの雛が落下し、センターの獣医さんのところに連れて行ってと懇願。

雛は助からず大泣きした長男は、昨年(とっくに成人になっている)も落下雛を介抱し成鳥にさせました。

 

大きくなっても『アイス食べに行かない?』と言うと付き合ってくれた三男。

お気に入りの三男&アイスの写真が何枚か(親バカ)。

色々農業センターとの関わりが思い出されます。

 

回想だけでは、アイス売り場まで時間が持ちません。

約40分待ってやっとゲット。

ミルク味は毎度、苺をプラス。

 

牛を見ながら食べようか…鶏舎に行こうか…

どこかから『こうちゃん!こうちゃん!』

ん?現在『こうちゃん』と呼ぶ人はそんなに居ません。

誰?きょろきょろ。

『は~い!こうちゃん!』

『Cさん!?』

『さっきからずっと呼んでたんだけど…』

『わ~!すごくお久しぶり!お元気でした?』

Cさんは大学の先輩。

『ゆっくり話したいね~』

『そうですね~(早速スマホを確認)、〇月〇日いかがですか?』

『待って(確認)。OK。いいよ~』

『では〇日〇時に○○で。詳細はまた連絡します』

お互い連れがあったので、再会を約束してお別れ。

こんな偶然、ある?

 

 

〇月〇日Cさんと再会。

大学生の頃は密度の高い付き合いでも、就職や結婚・子育てに入りだんだん疎遠に。

最後に会って話したのは、英語論文の誤字脱字を確認してもらった日、お昼のテレビで大惨事が流れたので日付まで鮮明です。

思い出話から始まり近況までをダイジェストに。

 

下宿でハーシーのkissチョコ(田舎者には珍しかった)にびっくりした話。

『そうだったかな~』Cさん。

『アパートにケーキ持ってきてその場で生クリーム泡立てて飾ってくれたの、覚えてる。嬉しかった』

『そうでした~?』私。

確かに、若い頃はお菓子作りにはまっていました。

自身の結婚式も手製のウエディングケーキを持ち込んだし(今なら絶対しないけど)。

そんなお互いの記憶違い、もしくはどちらかが忘れているエピソードがいくつか。

自分は記憶力が良い方だと思っていましたが、結構、記憶とは曖昧なもの。

でも相手の良い記憶としてのエピソードを聞くことは、とても幸福感に満たされ、さらに自分の記憶に上書きされます。

 

成人した子供たち・老親の現況にくると、随分月日が経ったことに気づかされます。

少し落ち着いた今だからこそ、見つけて声を掛けてくれたのかな~

そしてすぐランチ成立したのかな~

 

随分な大人(院長)になって、若い時のように、何でも誰かに話す・話したいということはなくなりました。

話す内容。誰に話すか。何のために話すか。そして話すタイミングや間隔。

 

あの頃は、何も考えずに、相談したり聞き役になったり。

Cさんとの縁が切れずに繋がってはいたものの、再会するきっかけは、Cさんが『見つけて声かけてくれてありがとう』です。

Cさん元々視力良いしね~

 

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2023.8.1 おかげさまで26周年

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2024.4.9   目を見て頭が分かる?

患者Aさんが夕方来院。

めまいのお話から始まりました。

めまいから眼科?

よくよく聞くと、数か月前からめまいがあり耳鼻科に受診。

めまいのお薬をもらっているとのこと。

めまいは相変わらずだけれど、本日PC使用中一瞬見えなくなった。

これは眼科も関係しているかも?と受診。

よくよく話を聞き、まとめると…

耳鼻科受診の前に頭痛が発症。

内科受診。

鎮痛剤を処方してもらい、少し良くなったり、再発したり。

そのうち、めまいや吐き気も起こるようになり耳鼻科に。

お薬を処方してもらい、少し良くなったり再発したり…

様子を見ていたところ、本日目の症状が出現。

 

視力は両眼ともよく出ています。

眼圧も異常なし。

診察に入ります。

瞳孔異常や眼球運動異常はありません。

顕微鏡検査をします。

眼球の前方は全然問題ありません。

眼球の奥を見ます。

『あれ!?』(ここで診断はほぼ確定です)

 

視野検査と眼底写真撮影をします。

 

診断は

『うっ血乳頭(にゅうとう)』です。

脳から眼球に入る視神経の一番太いところ(乳頭)に、頭蓋内圧(脳の圧)がかかって、浮腫(腫れ)を起こしている状態です。

視神経は通常境界がはっきりしていて、ややオレンジ色をしています。

緑内障などで視神経が悪くなると、色も黄色~白っぽくなります。

逆に、うっ血乳頭の場合は、境界がなく赤っぽくなります。

 

うっ血乳頭の症状は、頭痛・吐き気・めまい・一過性の視力低下など。

脳圧が上がることで、症状を起こします。

 

検査結果が揃ったところで、Aさんに説明します。

原因は脳にあること。

脳の圧が高くなっている原因としては、脳腫瘍が最も多く、ほかに脳出血や水頭症が考えられること。

だから、脳外科に紹介状を書くので今すぐ行ってください。

 

夕方でしたが、緊急で脳外科受診をしてもらいました。

 

翌日返信が来ました。

悪性脳腫瘍を疑い、手術前提で緊急入院となったとのこと。

 

やはり…

たぶん…とは思っていたものの…

Aさん頑張って!

あとは脳外科の先生にお任せするしかありません!

 

眼球は脳から繋がっているにも関わらず、普段は命に関係ない目の病気がほとんどです。

見える・見えないは眼科医にとっても患者さんにとっても大きなことです。

しかし、それ以上に生きる・死ぬは、医師・患者さんともに大きなことです。

眼科医だから目しか見ない(通常は目だけで完結しますが)のではなく、眼科以外の勉強が今も役に立つときがあります。

科によっては古い知識しかありませんが、機会を見つけて上書き保存です。

うっ血乳頭から脳腫瘍がわかったAさんの例も、開業してからは初です。

滅多にない病気も、自分の引き出しに知識や記憶があってこそ患者さんに還元できます。

 

開業して、脳外科につなげた患者さんは、『脳動脈瘤』『脳梗塞』そして今回の『脳腫瘍』

いずれも、脳の病気と思わずに眼科受診され、診察検査結果から脳外科に紹介、緊急入院となった例。

眼科医も命を救うことがあるのです。

 

 

数か月後、ひょっこりAさん来院。

『帽子被ったままですみません』と前置き。

結果はやはり悪性だったとのこと。

取り切れるだけの腫瘍切除をし、放射線・化学治療をし、入院生活は数か月に及んだとのこと。

 

『ありがとうございます。助かって良かったです』

 

『頑張られましたね』

 

こうして色々な症例を経験し、患者さんから勉強させてもらっている院長です。

まだまだ精進中。

目の神様も背中を押してくださいます。

 

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2018.1.23 右目が見えない

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2024.4.2 転ばぬ先の…

コスパ・タイパの時代。

最近は医師でもコスパ・タイパを重視する時代だとか…

うん十年以上前に医学部を卒業した昭和生まれのオバサン医師としては、若い時からそんなんじゃダメだよ…と独り言。

もちろん働き方改革は率先されるべきですが、最初からコスパ・タイパで仕事を選ぶべきではないと思います。

研修医を含め若い頃の、苦労したこと・大変なこと・こんなこと関係ある?・こんなことする?などと思いながらした仕事・雑用全て、後々の人生・仕事に役立ちます(自覚なくとも)。

 

さて、本日は産業医の日。

専従産業医はともかく、嘱託産業医は副業です。

院長にとっては、眼科専門医(医学博士)でありクリニック院長が主軸。

その他の資格は、眼科専門医があってこその、さらなる興味と好奇心で取得した資格です。

産業医然り。

そのため、院長にとっての産業医活動(勤務以外に講習会など)は、眼科医(をベースに)以外の医師としての体験・勉強をさせてもらえる場です。

これも、ある程度(まだ途中です)眼科医を続けてきたからこその余裕かもしれませんが。

ということで、往復の時間も含めれば(半日)コスパは良くないのですが、電車も乗れるし、勉強にもなるしで結構この職場は気に入っています。

 

巡視をしながら、売り場の主力商品の陳列から季節の変化を感じます。

行楽用品目白押し。

お花見、お祝いその他のレジャーに合わせて商品がラインナップ。

すでに母の日の案内もあります。

小売業は先取りです。

 

バックヤードの白線ラインを越えての台車には、すぐに気づくようになりました。

一時置きにせず、必ず元の設置場所に戻すことを全員が周知しないといけません。

安全衛生委員会では、上る話題も、全員で共有することが大事です。

スーパーはパートさんがほとんどなので、もっと積極的な共有方法を考えないといけません。

 

本社からのニュースレターにも目を通します。

流通・小売業界での休業4日以上の死傷病の労災件数は年々増加傾向となっているとのこと。

特に店頭は多く作業行動による災害が半数とのこと。

 

該当店舗でも、お客さんが入店の際、後退りして譲ったスタッフが尻もちをつき臀部打撲の報告が。

 

本部からの毎月のニュースに『STOP転倒災害 歩行筋力・下肢筋力チェック』がありました。

反動をつけず大股で2歩歩き、開始地点から2歩目のつま先までの距離を測定。

身長と測定距離を換算して、転倒リスクを出します。

つまり、大きな歩幅(身長に対して)があるほど、筋力・関節の柔軟性・可動域が大きいので転倒しにくいということです。

『転ばぬ先の脚』

健康スポーツ医としての知識・トレーニー(筋トレ愛好者)としての体験を、産業医活動にも活かすチャンス!

足を鍛えるトレーニングのひとつに、大きく踏み出す練習→ランジ(大股でまっすぐ歩く)練習があります。

 

『センセイ、脚広げるのすごく痛いです~』

千里の道も一歩から。

院長も当初ランジから始め、今では左右各12キロダンベル持ちのブルガリアンスクワットがルーティンです。

『大丈夫、少しずつできるようになりますよ。まずはチェック!』

 

『先生に言われて、この2か月腹筋を毎日継続しました!』あるスタッフ。

『すごいです!花丸です!その調子!』

『褒めてもらえたから、また頑張ります』

 

スタッフみんなの健康を願う産業医です。

 

どんな事(仕事)も何かに繋がるはず。

意味がない事(仕事)はない。

昭和のオバサン医師から新社会人へのエールです。

 

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2021.9.28 契約更新

2022.3.22 春色の~

2023.5.23 労災発生

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

 

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