2026.9.15 健康診断のその後

クリニックは、自分に何か自覚症状があって来院される患者さんがほとんど。

当然と言えば当然ですが。

しかし、なかには自覚症状がないのに来院される患者さんも。

健康診断の結果を持って。

 

健康診断の項目にもよりますが、最近は眼底検査も含まれている健康診断(又は人間ドック)が多くなっています。

瞳孔(黒目)の奥にある網膜(眼底)をカメラで撮影し、眼底の血管・網膜・視神経などを調べる検査です。

まずチェックされる項目としては

1.高血圧や動脈硬化の程度

目の血管のみが唯一そのまま見ることが出来る血管です(他のは皮膚の下や臓器の下にあるので)。

だから血管を直に見て判定できます。

2.視神経

乳頭陥凹拡大はよく指摘される表記の仕方です。

検診結果としては、緑内障疑いとほぼ同義です。

乳頭陥凹拡大も緑内障疑いも精密検査をしなければ、緑内障と診断されたわけではありません。(だから精密検査が重要)

眼底写真で指摘されなくても、眼圧が高いと緑内障疑いで要精査と出ます。

3.網膜

出血・白斑は高血圧や糖尿病によって起こった可能性があります。

他に動脈や静脈の閉塞の可能性もあります。

ドルーゼンは、加齢変化が多いですが、黄斑(物を見る中心)の変化を伴っていると黄斑変性の可能性があります。

黄斑変性は加齢による加齢黄斑変性が多く、ゆがみや視力低下・稀に失明の恐れもあり、指摘されれば早めの受診を勧めます。

黄斑異常の中に、網膜前膜(もうまくぜんまく)もあります。

これもゆがみや軽度視力低下を起こすことがあります。

 

自覚症状がないから放置、はとてもリスキーです。

治らない病気(緑内障や黄斑の病気)と診断されたとしても、正しい治療を継続すれば、悪いようにはなりません。

 

網膜の病気で最近増えているのは、網膜前膜です。

目の奥の中心の黄斑(おうはん)の上に、セロハンのような薄い膜が出来る病気です。

原因は不明ですが、50歳以上が主です。

物が歪んで見えたり(エクセルの罫線が片目で見ると歪む)、視力がやや落ちたりします。

自覚症状がない人の方が多いので、健康診断で見つかる(指摘)こともよくあります。

精密検査の結果、視力低下や歪み、膜の引っ張り具合がひどくなければ経過観察です。

ひどい場合は、手術で膜を取る手術をします。

 

また、眼底出血から糖尿病が見つかる場合もあります。

糖尿病の合併症のひとつに網膜症があります。

高血糖が長く続くことで、網膜の細い血管が傷み、詰まり、出血したり白斑が出来ます。

自覚症状はない事がほとんどです。

さらに進行すると、脆弱な新生血管が出来て、大きな出血や網膜剥離を起こします。

黄斑にむくみを生じ、視力が低下することもあります。

続発性の緑内障を合併することもあります。

糖尿病は白内障の進行も早めるので、若くても白内障になる人もあります。

 

眼科での精密検査を通して、現状・今後の展望を説明します。

院長の願いは、患者さんと一緒により良い見え方を維持したい、ということ。

目の奥の病気は、程度の多少はあれ、一生お付き合いの病気が多いです。

不謹慎かもしれませんが、ずっとお付き合いしたい眼科医になれるよう、知識・技術共に日々ブラッシュアップを目指す院長です。

 

健康診断の結果を放置しないでください。

精密検査で異常なしならラッキー!確実に安心できます(安心させます)。

もし異常があっても早く見つかったならラッキー!対策を立てられます(立てます)。

 

解体新書から

 

こちらもご確認ください

→2022.2.15 ドーナツと緑内障

 

9月22日、29日公センセの部屋はお休みです。

 

カテゴリー:目の神様 健康 眼に関すること

2026.9.8 目元ケアしてる?

若い時(今はオバサンなので)は、ナチュラル(自然体)がいいと思っていた院長。

数年前、今は亡き内館牧子さんの小説(愛読)の中で、76歳の主人公がつぶやきます。

『ナチュラル(あるがまま)は、偽装することを面倒くさがるだけの無精者だ』

『真の姿がバアサンであっても、若くきれいに装い続ければ、その人はきれいで若い人ということ』

以来、まだバアサンではないもののオバサンである院長も身だしなみを整えるよう努力しています。

ナチュラル(あるがまま)は、家の中のみ。

それ以外は偽装(ではなく、それなりにきちんと整える)。

 

お化粧の仕方も、きちんと習いに行ったり、コスメのスタッフに選んでもらったり。

年を重ねた分、仕事や家事子育てに余裕が出来たのもあるかもしれません。

若い頃、全然イケてなかったのは少々悔やまれますが、きれいになりたい欲求も余裕もなかったのが事実。

 

さて、目元は専用のクレンジングで落としていますが、お化粧をしない人でも目元のクレンジング・お手入れは重要です。

眼科医からの目元のお手入れの提案です。

目元やまつ毛は、ほこりや花粉が付いたり、メイクや皮脂汚れがたまりやすい場所です。

今、眼科的に、まつ毛の根元の汚れをしっかり落とす『リッドハイパージーン』が推奨されています。

アイシャンプーとしてお勧めしています。

 

1.ドライアイ・マイボーム腺機能不全対策

まつ毛の根元の内側に、白もしくは黄色いつぶつぶが出来ている人がいます。

つぶつぶはマイボーム腺(脂腺)の出口を塞いでいます。

涙は涙腺(るいせん)から出た水成分とマイボーム腺から出た油成分が混ざって角膜を覆っています。

マイボーム腺が詰まっていると、脂が出ないので涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを悪化させます。

目元をきれいに洗い、温めることで改善します。

2.ものもらい、めんぼ対策

いわゆるめんぼ(眼科的には霰粒腫さんりゅうしゅ)は、マイボーム腺の出口が詰まってしこりが出来ます。また、ものもらい(麦粒腫ばくりゅうしゅ)は、マイボーム腺や汗腺に細菌感染、炎症が起こります。

日頃からまつ毛の根元をしっかり洗うことで、マイボーム腺の出口の汚れを取り除く効果があります。

3.まつ毛ダニ(デモデックス)対策

まつ毛ダニは、まつ毛の毛根に寄生して毛根の脂を餌にしています。

眼がごろごろする・目やにが出る・瞼が腫れる・まつ毛が抜けるなどの症状が出ます。

寄生・増殖を防ぐためにも目元の洗浄は効果があります。

4.花粉症対策

花粉は目の中の結膜(白目)角膜(茶目)に直接飛入しますが、まつ毛や目の周りの皮膚にも大量に付着します。

アレルギー性結膜炎の点眼薬は処方しますが、目の周りのケアも重要です。

特に、見落としがちなまつ毛や目元をしっかり洗うことで、より良い効果があります。

 

眼科学には色々な分野があって、マイボーム腺疾患に特化した研究会もあります。

その研究会監修のアイシャンプーは、院長も愛用中。

 

泡タイプで少量でしっかり洗えます。

Tea Treeオイルとライムエキスも配合されており、低刺激で爽やかです。

 

目元のお化粧もそれなりに気遣っている院長(誰も気づかないが)。

朝はナチュラルから公センセになる儀式として、夜は公センセからナチュラルに戻る儀式として、アイシャンプーを使う院長です。

目元トラブルは皆無、瞼の縁はきれいな院長です。

 

気になる方は、院長が1プッシュしますので試してみてください。


エジプト:パピルスに描かれたホルスの目

こちらもご覧ください

→2019.3.19 リッドハイジーン

→2023.11.7 マイボーム腺問題

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2026.9.1 AIからの紹介

久しぶりの休日救急診療所への出務。

名古屋市の場合、内科一般の休日診療所は各区にあります。

眼科は専門科なので、中区の休日診療所でのみ。

今回は夜間(18時から21時が診療時間)。

 

院長は、休日診療所への出務もいつもと違う環境なので少しわくわく(イレギュラーを楽しむ)。

今回はどんな患者さんが来るのかな~

 

洗剤が目には入ったかも?!の幼児。

聞くと、入ったかどうかは定かではないが、流水で洗ったとのこと。

正解です!

何かが目に入ったらまず流水で洗うのは基本です。

診察をしてみれば幸い異常なし。

子供の場合、機嫌がどうか?ずっと(一時的でなく)痛がっているかもポイントです。

 

普段と違って静かな診察室。

休日診療所は、救急患者さんのためにあり、通常の眼科にある視野や画像機器はありません。

 

『目が痛いんです、緑内障だと思います』

 

Aさんは、前日から片目の奥が痛くなった。

気持ち悪くなったが吐かなかった。

痛み止めを飲んで横になったら楽になったが、本日、また片目の奥が痛くなって気分も悪い。

頭痛もしてきた。

AIに尋ねたら、緑内障だから眼科受診をと。

 

Bさんは皮膚科で処方された薬を飲んだら、片目が痛くなった。

視力も落ちた気がする(検査の結果問題なし)。

片頭痛のような痛みがある(片頭痛と診断されたことはない)

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

Cさんは、昨日片眼がかすんだような気がした。

様子を見ていたが、またかすんだ気がした。

時々眼科に行っているが、こんなことは初めて。

AIに尋ねたら、緑内障疑いで受診勧告。

 

おそらくAIが念頭に置いたのは、急性緑内障発作。

閉塞隅角緑内障の人に起こりやすく、房水(ぼうすい)の出口の隅角が塞がることで、水の房水の流れが悪くなり眼圧が急に上昇します。

かなり眼圧が上昇(基準値10~20mmHgに対し40mmHg以上もざら)するのに伴い、眼痛(激痛)や目のかすみ、頭痛やはきけ、嘔吐が生じます。

ひどい頭痛のため、まずは脳外科を受診されることも少なくありません。

また、ひどい充血や瞳孔が中等度に開いた所見も見られます(特徴的)。

 

治療は、まず点眼や点滴で眼圧を少し下げた後に、レーザー治療や白内障手術(隅角を開きやすくする)を行います。

 

隅角が狭い人で中高年女性がハイリスクです。

 

さて、Aさん、視力も眼圧も全く以上ありません。

視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)を認めたので、緑内障発作ではないが、緑内障の検査(緊急性なし)を勧めました。

 

Bさんには、緑内障発作ではないことをお伝え(他異常なし)。

皮膚科の薬を飲んで起こった症状については、処方した医師に尋ねるように。

片頭痛も診断基準がある(自己診断で片頭痛ありと言う人が多い)ので、心配なら脳神経内科もしくは神経内科を受診するように。

 

Cさんも、緑内障発作でないことをお伝え。

少なくとも、眼科を受診していれば、眼科医には緑内障発作誘発されやすい患者かどうかはわかります。

心配なら、隅角を診てもらうといいでしょう。

 

症状を入力すれば、AIは受診を勧めるとは思いますが、まさかAIから3例も緑内障疑いで送られてくるとは?!

 

人はそれぞれ違う、同じ症状であっても。

だから、医師は診察も治療も目の前の患者さんに応じて。

AIから見れば、みんな同じ人、同じ症状、同じ治療。

 

『普段からかかりつけの生身の医師にもっと相談して~』と思った院長でした。

公センセも責任をもって質問にお答えします、ご相談を。

空港の救急診療所

こちらもご覧ください

→2025.8.20 日本語で話して

→2023.7.25 白目が真っ赤

→2022.4.26 腫れた!も色々

→2022.5.10 歩いてベトナム

→2017.9.12 休日診療所

→2016.6.28 イレギュラーな日曜の夜

→2015.3.24 休日診療所

→2013.12.10 鉄錆ですよ

→2012.10.2 日曜日の出勤

→2011.7.25 休日診療所にて

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること
  • カテゴリー

  • 最近のエントリー

  • カレンダー

    2026年9月
    月 火 水 木 金 土 日
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930  
  • アーカイブ

  • タグ

先頭に戻る