2020.9.29 色・明るさと交通事故

少し前まで、診療終了直後も『まだ明るいね~』と話していたのに、すっかり日が暮れるのが早くなりました。

 

眼科の患者さんは、視力低下の方や高齢者も多いので、『気を付けて帰ってくださいね~』と願いながら、診療終了です。

 

眼科専門誌の『眼科と自動車運転』の特集から…

 

運転には、様々な要素が絡み合いますが、視力(見え方)というのは、大変重要な要素です。

運転者からは、『歩行者や自転車・標識を見落とさないこと、ナビなどの情報を素早く視認できる』ことが大事です。

歩行者や自転車運転者からは、『自動車運転者から見られるようにする工夫、事故につながりそうな予測のできる視覚情報を素早く得ること』が大事です。

 

まずは、明るさです。

どんな色でも、明るい条件下では視認しやすくなります。

昼間ははっきり見えている標識も、夕方にはかなり見にくくなるのは自明です。

ただ、物理的明るさと、心理的な明るさとは単純に比例しません。

感覚の強さは刺激強度の対数に比例して増大するという法則があります。

例えば、真っ暗な部屋で、灯りをつけたら、すごく明るいという感覚がありますが、その明るさをどんどん上げても「明るくなった!」という感じはだんだん緩やかになるということです。

 

さらに、明るさの感覚は、脳で補正されてしまうこともあります。

例えば、薄暮で周りがかなり暗くなっていても、自分が暗いと感じない(思わない)ことがあります(個人差あり)。

この場合、運転者は「はっきり見えている」と思い込み、歩行者や自転車を見落とす危険が高まります。

 

交通事故は、夕方4時から6時が多く、月別では9月から12月が多くなります。

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

 

では、工夫できることは?

実験解析結果では、早期ライト点灯・明るい服装で注意が高まることがわかっています。

また、別の画像分析結果では、早期ライト点灯や反射材が有効でした。

目立つ服の色としては、蛍光オレンジや蛍光イエローが見やすく、白と黄色のストライプ、白と赤のストライプとなりました。

洋服の色を蛍光色にするのは、なかなか難しいですが、反射板を利用したり、夕方以降外に出る場合は、白や黄色など明るめの服を着たほうがより安全です。

 

『あと1秒早く視認できれば9割の交通事故を減らすことができる』

 

色やコントラスト(対比)以外には、焦点の合いづらさも関係しています。

度の合ったメガネやコンタクトレンズ装用での運転は、もちろん必須です。

(更新のためだけに眼鏡処方希望の人が、時に来院されます!?裸眼や度の弱い眼鏡で見えていると思い込んで運転しているのは、本人だけです!)

また、白内障やドライアイがあっても、光の散乱などが強くなります。

 

誰でも、夕方~夜間視力は低下するので、出来るだけ、夕方・夜の運転は避けることが賢明です。

眼科医としては、患者さんが交通事故に巻き込んだり巻き込まれないよう啓発・注意もしていきます。

 

高齢者・ロービジョン(低視力・狭視野)患者さんの運転も、今後の大きな課題です。

 

かくいう院長も、夜ランニング中に交通事故に遭った経験あり。

信号のない横断歩道を走って横断中、対向右折車に跳ねられました(運転は高齢者)。

額に小さなLEDライト(ちょうちんアンコウみたいな)を点けていたのに~

跳ねられたのに、『搬送先の病院に知り合いがいたら恥ずかしい…』などと、どうでもいいことを考え『大丈夫です!大丈夫です!』を繰り返した院長です。

幸い下半身の打撲で済みましたが、夜ランニングは、以後きっぱりやめました。

 

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

気を付けましょう。

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2020.9.15  経年劣化

自分では、カレーをもう10年ほど作っていない院長です。

フルで働く母であっても、子供達には栄養のあるものを手作りしたい!のモットーで、あれこれ毎日料理をしていたのですが…

ある日『よく、こんなに美味しくないカレー作れるね』と長男。

材料は、一通りのものですが、野菜不足にならないようにたっぷりの野菜(時には変わり種も)、早く煮えるように薄切り肉。

すごく美味しいわけではないが、まずくもない…程度。

三男には、最後まで持て余すカレーではありましたが…

 

『超忙しい中、母さん頑張っているんだからね!そんなこと言うなら〇〇(長男)が自分で作ったらどう?』

 

『僕が作ろうか』と夫。

材料を自分で調達して、圧力鍋で作ってくれました。

『美味しい~何、これ!?』

『お店のみたい』

『どうやって作ったの?』

牛ブロック肉、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム。

圧力鍋で30分。

調味料・隠し味は秘密!?

『父さんが作ったほうがいいわ~』子供たち絶賛。

 

以後、カレー担当の家人は、カレー作りに情熱を注いでいます。

家庭料理を超えた材料と時間のかけ方。

調理中は『話しかけないで~』と集中!

家族と話しながら、わいわい料理するのも好きな女性(院長)とは対照的。

 

ある時『圧力鍋欲しいな~』

『2個もあるよ』

『でも、取っ手が…。共用だし…』

長年愛用の圧力鍋は、院長のうっかりが重なり、度々コンロの真ん中に置くので、取っ手がガス火で溶けて変形しています(機能に問題なし)。

『自分用のがあるといいよね~買おう』(カレーのためだけに!?と思いつつ)

圧力鍋を色々探したようですが、結局、今ある鍋と同じメーカーのものを注文。

同じ圧力鍋が3個になりました。

 

ピカピカの鍋で、早速カレー作り。

『新品の鍋だから、スペシャルにする!』

お任せします。

お皿に盛りつけられたカレーを、一口食べると、いつも以上に美味しい!

 

『鼻紋付の牛なんだよ!名前も付いていた』

『…』(びっくり)

『隠し味に、ちょっといい赤ワイン入れてみた。深みが出てるでしょ』

『…』(再びびっくり)

食前、とっておきのワインがなくなっていたので、もしや息子が飲んだ?と疑っていたら、答えはここに。

原価どんだけ~?

『最高!』

でない、はずがない。

家人のカレー作りは、趣味。

試食はお披露目会。

そう認識した妻(院長)でした。

 

それでも、家人にお任せの仕事(専任)を作ってしまうと、働く妻は楽になります。

趣味の料理(カレー)以外にも、家にある材料での料理も任せると、一週間に何回かは食事作りから解放されます(一任がポイント)。

 

『新しい鍋で作ったら、水分が今までより減らなかったんだ』

『へー。なんで?』

『前の2つの鍋は、パッキンが緩んでいて、水蒸気が漏れているんだと思う』

院長は、毎日古い圧力鍋を使っていますが、加圧が数分なので、気になったことがありませんでした。

『鍋も人も、古くなると漏れるんだね』

加齢により、男性は前立腺肥大、女性は骨盤底筋の緩みで尿漏れが起こりやすくなります。

『男性も女性も尿漏れの認知度が高まってきたから、患者さんが相談しやすくなったね』

『いろいろケア用品が出てるしね』

そこからは、食事中ながら、夫婦でパッキンと尿漏れの話。

絶品カレーを食べながら、同業者だから許される『あるある』。

 

それ以来、圧力鍋の『しゅんしゅん』おもりの回る音を聞くと、『漏れ』が気になる院長です。

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2020.9.1 これが大根おろし!?

注文した品が3か月半してやっと届きました。

平たい箱を開けると…

『お~!』

銅製のおろし金が鎮座。

刃は規則正しく鋭く立っています。

ずっしりした重量感。

『その辺のおろし金じゃありませんよ!切れ者ですぜ!』という迫力。

 

我が家の大根おろしは、一般的な汎用品です。

プラスチック製で丸い穴が開いていて、その周りに小さなプラスチック製の刃が並んでいるもの。

受ける容器がセットとなり、底には滑り止めがついている優れもの。

このおろし器に出会うまでに、アルミやステンレス製のものを色々試しましたが、必ずやめる(処分する)きっかけとなったのが、指先のケガ。

貧乏性なのか、最後まですりおろそうとして『あ、痛っ!』

指先を刃に引っ掛けてしまい、そこから血が滲みます。

白い大根おろしに滲む赤…

サスペンスドラマの一場面のよう…

医師と言えども、自分の血には弱い院長。

ヘナヘナ…

この恐怖の体験を繰り返し、現在のプラスチック製に落ち着いたわけです。

 

ある日、テレビで、伝統工芸士の作るおろし金が放送されていました。

現在、東京で銅製おろし金を作る職人さんは唯一人とのこと。

鏨(たがね)から成型して、生地板を作り、一つ一つ目立てをしていき…

たかがおろし金と言うなかれ。

この道何十年とかかって一人前になれるのだそう。

『いいな~』

家人が『いいな~』と言う時は、よっぽど欲しい時です。

長年の付き合いで、『いいね~買ったら!?買おうよ!』と相槌を打つのが、うまくいくコツ。

少量の大根おろしは、自分でおろすのですが、量を必要とするときは、家人担当となっている我が家。

大根おろしを極めたくなった?

『金属製は怖いから、私は使わない。これからは、大根おろし専従でお願いします』

『オッケー』

 

価格は…

たかがおろし金、と考えればびっくり!

されど、伝統工芸士の作る一生ものと考えれば納得!

 

おろし金が届いたので、早速大根を買ってきました。

おろす方向に対して、刃が、細かく前後向かい合うように、目立てられています。

注文したおろし金は、男性に丁度良い大きさ(サイズは色々)。

下に受ける小鉢を置き、おろし開始。

シャリ、シャリ、静かな時間。

細かいみぞれのような大根おろしがどんどん出来ていきます。

『すごくスムーズ。おろし感がいいね~やってみる?』

『やらない(怖い)』

 

茹でたてのおそばに、大根おろしを添えます。

大根おろしって、こんなにふわふわ?なめらか?

そして『辛い!』

いつもと同じ部位なのに??

プラスチック製のおろし器で大根おろしを作ってみると、歴然の差。

いつものは、辛みは少ないけれど、ザラザラ感がはっきりします。

 

大根は、おろすと辛みの成分であるイソチオシアネートが出てきます。

大根の繊維がたくさん壊れるほど辛み成分は増大します。

銅製のおろし金は、細かくおろせる分、辛みが強くなるのです。

『辛い!辛い!』

 

これが本物の?大根おろしなのね~

 

郡上八幡で勤務していた時、郡上踊りのプロモーションで福井に遠征(院長、郡上踊り保存会からお免状をいただいています)。

そこで食べた越前おろしそば、大根おろしが強烈に辛かったことを思い出しました。

 

おろし金の裏面は、しょうが・山芋・にんにく用。

『大根おろしお願いしま~す』

『は~い』

『山芋お願いしま~す』

『は~い』

楽しそうにおろす家人。

高いおもちゃみたいな感じもありますが、『おろす』調理から完全に開放された妻(院長)となりました。

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2020.8.18 目にしみる夏の日

屋外なら安心と、お出かけ先はゴルフ場が多くなった院長です。

 

コロナ感染予防に、マスクにメガネ(と、ちょっぴりのお化粧)で診療していますが、ゴルフ時はコンタクトレンズにフルメイクをします。

照りつける太陽のもと、紫外線対策は万全にしないといけません。

サングラスは必須。

 

普段の化粧品の中にも、UVカット成分は入っているものの、屋外では、日焼け止めはマストです。

クリーム状のもの、スプレータイプなど形状は様々。

目に直接入らないように塗るのは当然ですが、しばらくすると目がしみてくることがあります。

 

日焼け止めの成分で目に染みる原因としては

1.紫外線吸収剤

2.アルコール成分

3.界面活性剤

が考えられます。

気になる人は、成分を確認して購入されるとよいです。

アイホールから目の際くらいはファンデーションで補ったり、サングラスでカバーするのも手です。

 

 

化粧品や日焼け止めだけでなく、汗だけでもしみることがあります。

夏になると汗が目に入り痛い、ショボショボすると訴えられる患者さんが多くなります。

 

ドライアイは原因の一つです。

夏場、エアコンなどの使用、最近は加えてパソコン・スマホの使用が多くなり、目(角膜)の表面の涙液の安定が悪くなります。

極端に言えば、目の表面が滑らかでなく、所々、涙が乗っていない部分や薄い部分が出てきます。

さらに、紫外線により、眼表面のダメージが強くなります(雪目という言葉・病気があるほどです)。

そういう部分は、知覚が敏感なので、汗(皮脂や汚れなどを含んだ)に対して『しみる』症状を起こします。

 

加えて加齢です。

若く活動的な人(特に子供)は、さらさらとした汗が多いのですが、加齢・状況とともに成分比が変わり、べたつきが多くなりPH値が変わってきます(個人差あり)。

『ショボショボする』『しみる』の訴えが、高齢者で圧倒的に多いのは、そのためだと思われます。

 

また、入っただけではなく、『こする』という動作を加えてしまっているのも原因です。

何かが目に入ると、こすりたくなるのは山々ですが、こすることで、目(角膜・結膜)に傷を作り、症状を悪化させてしまいます。

こすらず、人口涙液をさすと良いです。

 

 

コンタクトレンズをしていれば、当然、コンタクトレンズも汚れます。

日焼け止めや化粧品の多くは油分が含まれているので、通常のコンタクトレンズ洗浄剤では落ちません。

汚れたコンタクトレンズは、形状劣化や、視力不良を起こします。

ソフトレンズ(1日タイプ・2週間タイプ・1か月タイプ・通年)とハードレンズ(通年性・交換タイプあり)がありますが、夏の屋外活動では、1日タイプのソフトレンズをお勧めします。

 

お盆明けは、パンダ顔のお子さんが多くなります。

メガネ部分だけ紫外線カットされて焼けていません。

その分、メガネが目を保護しているということです。

度が軽い人は、度入りサングラスもお勧めです。

 

腕の日焼け対策として、長袖のアンダーシャツは、後半、肌が息苦しいように感じ、いつも買ってみては失敗しています(院長には合わない)。

ポロシャツ・アームカバーでプレイしたら、隙間部分に日焼けの輪が出現。

その次は、ノースリーブで日焼け止めを塗ったのに、肩後ろ部分がノースリーブ跡とわかる日焼けに。

結局、上のウエアは隠れてしまうものの、UVパーカーに落ち着きました。

筋トレ時タンクトップを着るたびに恨めしい日焼け跡となっています。

これもひと夏の経験。

トホホ…

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2020.8.4 地下鉄線上の旅

ぶらっと一人旅も皆無のまま半年。

一人で家で過ごすのも好きですが、出かけるのも好き。

 

自転車でどこか行ってみよう!

院長の自転車は、もちろんママチャリです。

8年前買い替えるとき『どうせなら、電動自転車を買うべき!』と、自転車屋さんに強く勧められ、値段は格段に違ったものの、自転車の耐久年数を考えれば安いかも!?と購入。

使い慣れると本当に楽で、学校医の仕事や近場の買い物などに重宝しています。

用事もないけれど何処かへ行ってみる。

内田百閒の『阿呆列車』に比べれば、電動自転車で何処か行ってみる…は、ずいぶんちっぽけなことですが、人間の器の差も同様なのでまあいいとして。

 

あてもなく…は格好いいですが、バッテリー切れになっては困ります。

最悪、自力で漕げばいいのですが、大変重く労力がいります。

今回は、自分の体力は電動自転車を漕ぐのみに使います。

安全で楽しそうなのは…と思案した結果『地下鉄桜通線』上の旅です。

桜通線上の道路は広く整備されているし、馴染みのある道筋です。

バッテリーをフル充電し、メモリが10から6になった時点で引き返すことに。

 

残0になる所まで行って、地下鉄に乗せて帰りたいのは山々ですが、名古屋市地下鉄は収納袋に入れた物しか不可。

そのまま乗せられるローカル鉄道も各地にありますが、地下鉄は乗客も多いからね…残念。

 

桜通線上の道路はかつてマラソンに没頭していた頃、よく走ったコースです。

診療日の昼休みは、新瑞橋でUターン。

休みの日は、名古屋駅まで走り、某焼き肉屋のランチを食べて、地下鉄で帰途へ。

久しぶりのコースに懐かしさがこみ上げます。

給水塔の坂も電動自転車だと楽々。

以前は、坂道トレーニングだと言い聞かせて、よく走っていたよね~

 

道々には、当時目についたお店がそのままあるかと思えば、閉店や別のお店になっていたり、年月の移り変わりを感じます。

 

いつもは車でしか行ったことのないレストランへ。

ここでランチタイム。

名物の桃のスープを飲んで、夏を味わいます。

何回か切り返して車を停めなくても、自転車だとお店のすぐ前に駐輪。

ここでバッテリーは7。

 

元気が出たところで、さらに北上します。

『吹上』駅を過ぎたところで残り6に。

『今池』駅まで行けそうですが、ここは無理をせず、帰路につきます。

行きに気になったお店をチェックしてあるので、ゆっくり走ります。

八百屋さんの店先で、『ブドウおいしそう…』(自転車だとつぶれるので不可)

『人参が安い』(人参なら振動に耐えられるので買おう)

ケーキ屋さんの店先で、『ケーキは無理だわ~』

パン屋さんも何件かあるので、その都度1~2個買えば、全店網羅できます。

最後は、和菓子屋さんへ。

このお店は、マラソン時代、気になっていたお店のひとつ。

気づかないくらい、とても小さな古そうなお店です。

どんなお菓子があるのか?どら焼きかお饅頭くらい?と、店のガラス越しに横目で見て走っていたあの頃でした。

今回行かずしていつ行く?

中へ入ると、飛び込んできたのは、数々の生菓子。

花火や金魚など夏の風物詩が、それぞれ違う材料で作られていました。

『何年かの謎が解けた!』だけでなく、『想定外のお店』を発見した嬉しさ。

自転車旅こその収穫でした。

 

今回往復26キロ。

院長の電動自転車のバッテリーを調べたところ、約30キロ走行可能でした。

 

いつか欲しいのは、名古屋駅まで往復できるバッテリー容量の自転車。

名駅や栄を自転車で…なんて、都心の住人みたい。

 

電動自転車で楽しめることを発見。

用事だけに使うなんてもったいない!

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2020.7.28 世界が窮屈って?

「朝、目覚めると、世界が窮屈になっていた。」

 

休日の朝、スマホで朗読小説。

出だしのフレーズです。

え?どういうこと?

BGMくらいのつもりで聴き始めたのに、急に頭がしゃきっとしてしまった院長です。

 

 

主人公の女性は、朝目覚めて、部屋を見渡すと、「テレビ画面がやけに小さい」

「テレビを含む視界全体がぎゅっと圧縮されてしまったような感じだ」

何の病気?

小説のストーリーもですが、主人公の病気の描写が気になり、朗読の声を聞き逃さないように集中します。

 

 

「階段を降りようとした。その瞬間。がくっと音がして、あっというまに踊り場まで背中でずり落ちてしまった」

下方視野が相当欠損しているのね。

 

主人公は、NYのメトロポリタン美術館の学芸員です。

「なんだろう。朝からもう何度も壁にぶつかりそうになっている。階段を踏み外したり、壁にぶつかりそうになったり」

階段踏み外しは、下方視野欠損(しかも両眼、重度の)だけど、壁にぶつかるというのは、急激な両眼の視力低下も起こったのだろうか?

 

「自分の周囲のものが、いっせいにじぶんにむかって縮こまってくるような」

これは、求心性視野狭窄(わずか中心だけが見えている)のこと?

 

「視野が欠けている、っていうか。ちゃんと見えていない感じで」

「今朝起きたときから、なんだかおかしくて」

急性発症と考えていいよね。

 

急性発症・視野狭窄(特に下方視野欠損と求心性視野狭窄)

何?朝のくつろぎの時間のはずが、眼科医モードに切り替わっています。

 

診断名は「glaucoma」(グラウコーマ)

 

えー!?グラ(眼科医は略して呼びます)だったの?

緑内障のことです。

約30年眼科医として、特に緑内障には力を入れて診療していますが、小説のような症状が一度に急に出ることはありません。

世界(視野)が窮屈になったという表現も初耳。

 

現代では、緑内障は早期に発見(人間ドッグや他のことで眼科受診の際)されることが多くなり、多くは初期の段階です。

慢性で徐々に進行していく病気ですが、主人公のようにある日まで自覚症状がなく、末期になるまで受診しないことは、まずあり得ません。

初期はもちろん、それ以降のステージでも点眼治療をすれば、進行を抑えることはできます。

点眼治療がうまくいかない場合は、手術をすることもありますが、術式も色々開発され、その成績もかなり良くなっています。

 

 

「ほとんど手がつけられないほど進行してしまっていること。進行を遅らせるための緊急手術を受け、うまくいけばしばらくはしのげる。けれど、完治することはない。いずれにしても、近い将来、視力を失うだろう」と、主人公は眼科医から告げられます。

これも、小説ならではの、眼科医の説明だろうと思います。

 

主人公は、眼科で知り合った弱視の少女を抱き上げて、「ギャラリーの中央へ歩んでいった」

これほど、末期で、階段も転げるような主人公が、子供を抱っこして歩けるのか?

今までの主人公の病状からは考えにくい行動です。

 

揚げ足を取るわけではないけれども、眼科医からすると、「緑内障」に関しては少々残念な描写でした。

 

 

でも、ひとつ新しい絵に出会えました。

『盲人の食事』

ピカソの青の時代。

1903年、22歳の作品です。

目の不自由な一人の男の横顔。

右手で水差しを探り当てた様子。

「どんな障害があろうと、かすかな光を求めて生きようとする、人間の力」

 

その日のうちに、本で購入し読み直しました。

群青 原田マハ

「」は小説より抜粋です。

 

 

 

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2020.7.21 カップル禁制?

某ショッピングモールで、女性下着専門店を見つけふらふらと。

誰もが知っているブランドです。

いつもは、決まったお店で買うので、同ブランドとはいえ、初めての入店。

 

ブラジャーの場合は、採寸・試着がいるので、通りすがりの今回はショーツでも…とコーナーへ。

と、2メートル近くまで行って…

『ひゃあ!』(声には出しませんが)

20代とおぼしきカップルが、並んでいるショーツをパラパラと…

そして、選んだ何枚かを、一緒に見比べています。

 

『回れ右!』踵を返したものの、こんなこと?で見るのをあきらめるのも…と思う院長。

店員さんを見つけ『あの~、ショーツ見たいんですけど、カップルの男性が気になって近づけないんです…』

店員さん、該当コーナーを見つけ、『そうですね。ところで、お客様、サイズはおいくつで、どんなものをお探しですか?』

院長『サイズは〇で、素材は○○、色は○○で○○なのを探しています』

店員さんが注意してくれるのかと思いきや、カップルに声はかけずに、数枚のショーツを手に戻ってきました。

『お客様、このようなのはいかがでしょう?』

そうじゃないんだけどな~

しばらくして、カップルがいなくなったので、走り寄り、ハンガーにかかっているショーツをパラパラ見定め、1枚購入。

 

カップルで下着売り場って今や普通?

女性下着売り場(ランジェリーショップといわれるお店)は、女性の聖域と思うのは私だけ?

あまりにびっくりしたので、後日、知人(20~50代)に尋ねてみると…

『嫌!男性がいたら、速攻帰る』大多数。

『別に気にしません。そういうカップルは自分たちしか見えてないんですよ』斬新な回答は20代前半。

そうか~二人だけの世界ね~

だとすると、隣のオバサン(院長です)が、どんなのを選ぼうと関係ないものね~

あ~自意識過剰だわ。

とはいうものの、やはり男性の存在があると気になる人が多いのではないでしょうか?

『下着は見えない(見せない)こその自分のためのおしゃれ』だと思う女性は多いはず。

スーパーの牛乳とは違うわ~

実際、この年になるまで、ランジェリー売り場で男性と遭遇したことはありませんでした。

 

家人は絶対近寄らないエリアだし、息子たちに尋ねたところ『絶対行かない』。

答えを聞いて安心した母(院長)。

 

女性は、母として妻として男性の下着を買うことは多いと思いますが、大きな違和感はありません。

おそらく、男性下着を買うときは、母性本能主体で買うからだと思います。

ですので、父子家庭で父が娘の下着を買うとき、介護で夫が妻の下着を買うときは『あり』だと思います。

その場合は店員さんに事情を話し、選んでもらうほうが早いと思いますが。

 

彼に選んでもらいたければ、もしくは一緒に選びたければ、今の時代、ネットで楽しんだらいいのに…

彼女は同伴入店を誘わない、彼は同伴を断る。

 

オープンな時代とは言うものの、ランジェリーショップは、いまだに男性が長居をする場所ではないと思います(少なくとも日本では)。

職業柄、ジェンダーフリーの世界でやってきた院長でも、オープンになれないことはあります。

オバサン(院長)だって、恥じらいます。

 

『当店は、デリケートな商品を扱う空間です。皆様に気持ちよくお買い物していただくために、男性同伴でのご入店はご遠慮いただきますようお願いいたします。

また、男性おひとりのお客様は、入店時、スタッフがご用件を承りアドバイスさせていただきます。

ご理解の程よろしくお願いいたします。なお、通販でも当店の商品をお求めになれます。以下URL』

こんな貼り紙あれば、オバサン安心です。

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2020.6.23 ケーキの列に並びながら

デパ地下好きな院長。

名古屋(都会)に住むようになって、デパ地下は、わくさせてくれるお出かけ場所の一つです。

コロナ自粛が緩み、久々にデパートへ。

 

今日はケーキの気分。

最近は、食べたいケーキの種類は絞られていて、その中でお店をセレクト。

A店のBケーキをゲットすべく向かいます。

なんと、長蛇の列。

これだけA店のケーキを待ちわびていたということ?

ふだん、長い行列に加わらない院長ですが、久々の外出ゆえ、どうしても買って帰りたい気持ちが強く、並ぶことに。

遠目でショーケースを見ると、次々にSOLD OUT(売り切れ)の札が。

自分の欲しいのはBのみ2切れ(この日は家人の分も)。

Bだけは売り切れないで~

 

さて、行列中に、暇なので『どうしたらもう少し混雑緩和できるか?』

よそのお店なのに、どうでもいいことを考えます。

 

並んでいる人を見ると、ひとりだけのお客さんが圧倒的に少ない。

カップルだったり、家族だったり。

注文一口に対し複数人。

これで、行列が膨れ上がります。

もちろん、各自選ぶ楽しみを尊重すると、食べる人全員が選びたい気持ちもわかります。

そして、選ぶ(迷う)時間が長いお客さんと付き合う?店員さん。

年配の女性が娘夫婦に『好きなの選びなさい』と言いつつ、お婿さんが選んだ2種を『それ食べたことあるから他のにしたら』とダメ出し。

さんざん迷って選んだケーキに『洋酒が入っていますがよろしいですか?』と店員さんに聞かれ『どうしよう?もう一度選び直そうか~』というカップル。

などなど。

聞き耳を立て観察していると、それぞれ長くなる理由があるようです。

 

では、お店としては???

このお店の特徴は、ホールケーキをその場で切り分けてくれることです。

ふつうは、等分してあるカットケーキが、ショーケースに陳列してあります。

大きなホールケーキが幾種類も鎮座している様子は、美しくゴージャスです。

店員さんの、10分の1にきれいにカットできる技にはいつも感心してしまいます。

これを先にカットして陳列したら、効率は良いと思いますが…

店頭でフレッシュなケーキを切るというプレミア感が、効率より重視されているのでしょう。

 

『洋酒』問題?についても、毎回、店員さんがするより、予めショーケースにわかりやすく明記してはどうか?と一客としては思ったりもします。

しかし、口頭で繰り返すことで、確認の徹底かもしれません。

一客としては、この確認で、選んだ後に変更する人がそこそこいるのは気になります。

 

店員さんは、ほぼ3人体制(注文・カット・会計)ですが、時に2人の時もあり、その場合は捗りが悪くなります。

人員は最低3人は常に必要だわ~

 

そんなことを考えていると、やっと自分の番に。

店員さんの多忙さも観察していた院長。

『ケーキBを2個ください』

『保冷材は1時間半ですがよろしいですか?』(これも毎度)

『はい』

素早くカードで支払い。

 

並んで買った達成感もプレミアのうち?

そう思う人も多いから、長蛇の列も良しなのかな(店・客双方)?

院長は今回限り。

次回からは、もう少し空いている時に買おうっと。

 

 

長蛇の列でも、観察したり、考えたりしていると、意外に退屈しませんでした。

自院の診療にも生かすことはありそうです。

 

美味しくケーキを食べるために筋トレしている院長。

かなりボリュームのあるAのケーキですが、時には許されるご褒美ケーキです。

ご馳走様。

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2020.6.16 学校健診始まる

学校保健安全法では、例年6月30日までに健康診断を実施することになっています。

しかし、今年は特別。

新型コロナ特例で、年度内の実施でよいことになりました。

院長が担当する小中学校は、6~7月に実施することに。

 

さて、今年初の健診。

習慣になっている検温をして、平熱(院長は大体35.5~36度)であることを確認。

(診療日には、スタッフ全員検温・記録をしています)

マスクをして学校へ向かいます。

保健室では、さらに、フェイスシールドを。

ビニール手袋をはめ、一人健診するごとに、アルコール消毒です。

 

レイアウトも例年と違います。

まず、健診する位置(机と椅子)が、廊下寄りになりました。

医師の前に健診を受ける生徒の立ち位置をマーク。

2メートル程離れた位置に、足形のマークがあり、次の生徒はそこに立ちます。

そこから2メートルほど離れると、保健室の入り口になり、3番目の生徒はそこで待つことになります。

健診が終わると一方通行で、もう一つの出口から出ます。

低学年でもわかりやすいよう工夫されていました(行動経済学のナッジ効果です)。

 

1年生は眼位(目の向き)も確認するので、目の高さが同じになるように頭をまっすぐにする必要があります。

首をまっすぐにしたまま気を付けの姿勢で立たない(立てない?)生徒も多いので、頭を固定してもらうよう助手をお願いしました。

 

かくして、今までにないほど、健診の順調なこと!

列をはみ出すこともなく、団子状になることもなく、ソーシャルディスタンスを遵守。

全員がマスク着用(鼻が出ている生徒もいましたが)。

 

院長は、変哲もない医療用の不織布マスクです。

今回の健診で、800人近い生徒のマスクのバリエーションも発見。

木綿、ガーゼの素材に、刺繍やアップリケなどのお手製(と思われる)のマスク。

市販の洗える黒やピンクのマスク。

不織布ですが、子供向けにキャラクター柄。

普通の白い不織布のマスク。

昔だったら(院長子育て時代)、手作り当然の流れで、母親(院長)も四苦八苦して作らざるを得なかったかも!?

今は、作る・買う・色柄自由と、マスクであれば何でもOKと寛容になりました。

10年近く前、初夏のランニングに、サングラスと顔下半分が隠れる黒いカバー(市販品)をして走っていたら、下校中の生徒(院長校医担当校の!)に『タリバン』と言われたことをふと思い出しました。

あの頃は、黒マスクなんて考えられませんでした。

今は、何色でも驚かず。

 

手洗いやマスクの徹底。

学校では『手洗い指導』も実施されたそうです。

これは学校生活だけでなく、今後の日常生活にも、感染を予防する衛生概念を定するためには、とても良いことだと思います。

 

担当する生徒たちの元気な声に、学校再開、健診開始をうれしく思います。

 

■こちらもご覧ください

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「宿題と肥満者率」

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2020.6.9  思い出タピオカ

久しぶりにタピオカを食べました。

外出の自粛の昨今、院長の行動範囲はほぼ徒歩圏内。

その中で、楽しいこと、面白いことを探しています。

ある日、某コンビニに『タピオカプリン』の幟が。

タピオカとプリン。

どういう組み合わせ?気になるわ~

『どんな感じだと思う?』散歩の道すがら家人に尋ねると

『さあ?買ってみれば』はなから想像する気なし。

一人で、味は?構成は?と想像すること数日。

変わった新製品は、ハズレもあるし…

またまた迷うこと数日。

スタッフに同様に尋ねると、真剣に想像してくれます。

さすが女子!?

そして空腹のある日、とうとうゲット。

家に持ち帰り、飲んでみました。

想像よりずっと美味しい。

早速、スタッフに報告。

この程度のお楽しみの院長です。

 

 

院長世代のタピオカは、ココナッツミルクに浮かんだ小さな粒のタピオカ。

一度、自家製なら思う存分食べられると、乾燥タピオカとココナツミルクを用意したところ、相当量の出来上がり。

もう少し食べたいくらいが丁度いい。

すっかり飽きてしまいました。

 

 

さて近年のタピオカブーム(もう今年は下降かも?)。

気になるものの、若者の飲み物のイメージがあり、オバサン世代の院長としてはハードル高しでした。

『でも気になる~』

学会で上京する際、次男を誘うと『了解』。

タピオカとは言わず『何か欲しいもの見に行かない?』

ネットで調べたお店に行くと、長蛇の若者の列。

現役若者(息子)と並んでいるから心強いわ~。

バリエーションやオプションが色々あったものの、結局王道のタピオカミルクティーを。

息子はタピオカほうじ茶。

大粒の弾力あるタピオカと濃い甘めのミルクティーがベストマッチ。

並んだ甲斐ありの初タピオカは、『東京・人気の店・息子』のキーワードで忘れられない味となりました。

 

 

その後、一人でも臆することなく、タピオカを楽しんでいた院長。

 

 

昨年の北九州の講習会先でも、気になるタピオカ屋さんを見つけました。

東京や名古屋より価格も少し安く得した気分。

知る人がいない解放感と、昼休みを急いで会場に戻らなければ…と言う時間の節約?で、タピオカを手に持ち、歩き飲み。

陸橋を歩きながら『美味しい~』

向こうから年配のご婦人が歩いてきます。

すれ違った途端、『お行儀が悪いわね』

えっ!?私のこと!?

ゆでだこのように顔が赤くなるのがわかりました。

陸橋の手すりにもたれて、残りを一気に飲み干しました。

たった1回のことですが、図星過ぎて言い訳できません。

 

院長世代もそうですが、飲食物を歩きながら食べた飲んだりするものではないと教わっています。

今まで自分は、物を口にするときは、どこかに立ち止まるか座っていました。

オバサンとしては、若者がストローを刺した飲み物を持って、歩いたりショッピングしている姿に、今でも違和感を覚えます。

それなのに…

 

もう二度としないと誓いました。

『北九州・お行儀悪い・老婦人』、日本人の所作を再確認させてくれる戒めのキーワードです。

 

 

タピオカを飲むたびに思い出す2つの出来事です。

 

 

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