2025.6.17 運転外来体験する
視野画像学会でのもう一つの体験。
東京に続いて、神戸・新潟・名古屋でも眼科における『運転外来』が開設されています。
名古屋では、名古屋市立大学医学部付属東部医療センターで開設(紹介状予約必須)。
この『運転外来』は、緑内障や網膜色素変性症、脳血管障害により視野異常のある人の運転リスクを適切に評価し、自身の運転リスクを把握してもらうことが目的。
市街地や住宅地の運転を疑似体験できるドライビングシュミレーター(DS)という装置を使います。
運転外来で使用するDSには、視線計測機能がついており運転中の目線を追跡・解析できます。
数年前もDSを体験した院長。
運転外来が名古屋に開設されたこともあり、患者さんを紹介する前に再度体験することに。
前回は、健常者としてのDSの体験。
今回は…
『どんな視野・病気の体験をしましょうか?』と担当の人(学会なのでDSの会社の人が対応)。
1.上方視野障害」(緑内障後期)
2.下方視野障害(緑内障初期だが実際に事故を起こした事例)
3.軽度の上方障害(緑内障初期)
4.左半盲(脳梗塞)
5.高度の求心性視野狭窄(中心だけがみえている・網膜色素変性症の進行例)
院長は2を選択。
視野を見て、眼科医としての闘志が。
『絶対に事故らない!』
DSの運転は直進のみ。
アクセルとブレーキのみの操作です。
歩行者やバイク・自動車などが飛び出してきたり、思わぬ方向から接近してきたり。
状況に注意して運転しないと。
スタート!
最初から覚悟はしていましたが、下方のもやもやが気になります。
黒っぽい、薄く透けたような雲。
これが視野障害です。
下方が見えにくいので、つい下方に注意が集中。
とはいえ、上方の信号も見落とせません。
慎重になりすぎて、飛び出してくるかも?と思うと、早めにブレーキを踏み、ずいぶん手前で停止することも度々。
バイクがスッと通り抜けるときもヒヤリ。
片道1車線の狭い道路では、対向車の左折も突然のように感じられ怖い思いも。
終了!
緊張続きで汗びっしょり。
疲れた~。
幸い事故は起きませんでしたが、終了後に視線の追跡結果を見てびっくり。
下方が見えにくいため視線が下前方にばかり集中しており、左右への目線の動きが非常に少なくなっていました。
安全な運転には、目線を上下左右(特に左右)動かすことがとても大切です。
警察官の視線追跡をすると、目の動き(視線の広がり)が大きいことが分かっています。
高齢になると、視野の中心にしか目線が行かなくなり、目の動きが小さくなる傾向があります。
院長も体験して、意識してもっと目線を動かすようにすれば、安全に運転できるのだとわかりました。
視野障害があっても運転したい患者さんには、日頃当院でもお話をしています。
運転外来でDSを体験することも運転リスクを正しく知ることも安全に運転するために意義のあることです。
さて、今回の学会は大宮で開催。
せっかくなので、新幹線でひと駅先の小山(栃木県)で下車。
目の神様『妙建寺』へ。
目的地が近づいてきた頃、『眼科』と書かれた看板が目に飛び込んできました。
え~?目の神様の隣に眼科?
『なかなか治らないから、隣でも願掛けしてください』って患者さんに言われたりして…
と妄想しながら近づいてみると…
『○○』…全然違う!
目の錯覚にしても脳の誤認識ひどすぎ~!
勘違いも甚だしい…
しっかりお参り。
いつもながらの願掛け。
帰りは両毛線で大宮へ。
時には遠回りも大切。
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