2025.11.11 目、大丈夫?
今年も小学校の就学時健診シリーズ開幕。
当たり前ですが、子供たちと院長との年の差は広がるばかり。
実際、同年齢での患者さんが6歳の孫(新患)を連れてくることも。。
小学校は違っても担当校で流れはほぼ同じ。
視力測定の後、眼科健診があります。
視力A(1.0指標)より下のB~Dの場合は、程度に応じて視力の再測定を勧めます。
健診は眼位・前眼部の異常の有無を診ます。
ある児童の外斜視(目が外向き)を指摘したのですが、母親は今まで気づいていませんでした。
一緒に生活していても元々そうだと思い気づかないこともあります。
その意味で、健診の意義はあります。
視力再検査のお勧めをした後、親子の会話はほぼ同じ。
『ほんとに見えなかったの?』と詰問する保護者。
『…』答えようのない児童。
事実に対して子供に詰問したとしても何の解決にもならないし、むしろ子供も責められているだけで、返答に困るのでは…
子育てを終えたからこそ、その会話に痛々しさを感じます。
親は、自分の不満・不安(予想外のこと)を子供にぶつけているのではと…
自戒を含めて。
子供が自分の予想・期待と外れるほど詰問口調になっていました。
兄弟でも色々なタイプがあり、性格に合わせてのり方褒め方育て方望ましいことも、巣立ってからやっとわかった、という始末。
今後は、悩めるお母さんたちに自分の体験から少し楽になってもらえたら、と思っています。
不安といえば、眼科に来られる患者さんで多いのは『目が赤い』
自分で気になることもありますが、人に言われて来院ということも多いです。
『大丈夫?目赤いよ』
他人の一言は親切そうで、結構相手を不安に陥れるような気がします(診療の場で)。
自身が気になっての来院でさえ、赤い(充血)は眼科的に病気であるのは半数くらいです。
結膜の下の毛細血管が太いだけでも充血しているように見えます。
また毛細血管が集まっていると充血しているように見えます。
市販では毛細血管を収縮させて白く見せる点眼薬もありますが、眼科医はお勧めしません。
毛細血管の太さや密度は当然個性があります。
『悪くないですよ。心配ないですよ』と安心してもらうのも眼科医の仕事。
治療しなければならないのは、結膜炎・アレルギー・さらに強膜炎やブドウ膜炎など。
この場合は赤いだけでなく、他の症状も出ます。
そのほか、緑内障治療の点眼薬でも目が赤くなることがあります。
目が赤くなる(薬によるが最大2時間程度)ことを処方前にお話しします。
本人はその副作用も承知で点眼しているのですが、周囲から『大丈夫?目赤いよ』の声に続けるのが不安になる場合もあります。
軽はずみに相手の体の変化について尋ねることは避けたいものです。
時々『出来物が気になる』『目が赤い』『目が白い』『目が黄色い』の訴えも。
『いつからですか?』
鏡を見て気づいた、気になった。
一通り診察をしても特別病的な所見は?
『正常ですよ。病気でないですよ』と患者さんの目を強拡大で映します。
『これです』示されるのは、涙点や涙丘といった元々あるもの。
赤い場合は、毛細血管が集まっていたり太かったり。
白い場合は、角膜の老人環(ろうじんかん)だったり。
黄色い場合は、瞼裂斑(けんれつはん)だったり。
責任をもって診断治療するのが医師ですが、安心を還元するのも医師の務めだと思っています。
ネットや非医師は責任がありません。
校医当初の就学時だった子が、今は就学時の子供を連れて来ます。
地域にかかわり続けていられることに感謝です。
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