2017.12.12 メガネ願望
学校での視力検査の結果、来院される患者さん。
眼科では、まず裸眼視力と矯正視力を測定します。
それから、視力低下を引き起こす病気がないかを診察します。
裸眼視力低下の場合、多いのは近視ですが、一過性に調節力が上手く働かないために起こる調節けいれんや、遠視・乱視の場合もあります。
検査薬でピント合わせの緊張を取って、本来の屈折力(近視・遠視・乱視)を確認することもあります。
裸眼視力は、あくまで自分の見え方です。
眼科では、屈折力を検査しているので、患者さんが、ありのままか、頑張って見ているのかどうかを、眼科医は推測することが出来ます。
ですので、仮に裸眼視力がよくても、メガネ装用した方がよい屈折力の場合は、眼鏡をお勧めします
さて、来院される患者さんの中には、色々な検査で異常がないのに、視力が出ない子がいます。
本当なら1.0は見えるはず。
なのに0.1の指標ですら『見えない』と言います。
近くの教科書の文字も『見にくい』『見えない』と。
多くは小学生にみられ、ほとんどが女子です。
『一体どうして?』
『心因性視力障害』という病気があります。
『心』の原因で見えなくなるということ。
少し歩み寄ると、学校生活とか、習い事、受験、家族との関係、兄弟姉妹(一番上か、真ん中の子に多い)の関係などをぼつぼつと話してくれます。
もちろん保護者からもお話を聞きます。
原因のひとつに『メガネ願望』があります。
よくよく聞くと、『クラスメイトがメガネをかけて可愛い、羨ましい』『自分もメガネをかけてみたい』などメガネへの憧れをポロリ。
『試しに合わせてみようか』と、度の入っていない、もしくは度の弱い眼鏡をかけさせると、何と!1.0まで視力が出ます。
『どう?』
『良く見える!』
『メガネはめてみる?』
『うん!』
保護者には『ホントは見えるはずなんだから、メガネなんてかけなくていい』なんて言わないよう話します。
メガネをかけることで、見えなかったものが見えるようになった喜びと、自分への自信がつけば解決。
今年も3人該当する子がありました。
その他の原因の場合は、改善できることは前向きに対処。
あとは、経過を見ていきます。
女子ってデリケートで複雑。
だからこそ『心因性視力障害』になりやすいのかも。
保護者の皆様、ご理解よろしくお願いいたします。