2019.10.29 電子カルテがやってきたけど…

今月より電子カルテを導入しました。

 

初日、メーカーのSE(システムエンジニア)さんが付き添ってくれましたが、『先生、操作早いです!全然問題ないですよ!2週間後に再訪します』

『行けるわ~』と調子よく見送るも、その晩、ぐったり。

気合を入れて、1週間、電子カルテで診療をしていたのですが…

入力操作の不慣れもあるものの、未だかつてない肩凝りと眼精疲労の日々。

人並み以上に肩・首・背中の筋トレをしているのに何で~

診療の合間に、ストレッチをせざるを得ない状況。

『電子カルテ、返品したい~』

 

産業医の公センセ(院長と同一人物)の声が…

『不調を来たしている原因を考えましょう。問題点を挙げて、解決できるようにしましょう』

公センセが職場巡視をします。

 

問題点は…

①PCの傾き

眼科用の電子カルテは、スケッチもできるように、PC画面が後方に傾けてあります。

40度くらい。

図を描くにはいいのかもしれませんが、室内の蛍光灯がPC画面に反射します。

その跳ね返りの光の下での入力は、非常に疲れます。

また、PC画面に近づこうとして、かえって猫背になります。

 

②PC画面の背面と文字のコントラスト

背面は薄いグレー、カルテの文字の色は黒ですが、字体がとても細い。

コントラストが悪いので、入力や判別の確認に非常に疲れます。

 

③キーボードの色と文字。

黒い本体に灰色の文字のキーボードが届きました。

コントラストが悪く、明るいところでの作業ならまだ良いのですが、眼科のような暗室では不向き。

これらをまとめて、SEさんに連絡。

 

今までは、検査結果の提示などでPCを使用するものの、あくまで紙カルテがメインだったので、机や椅子の高さ、勾配を気にしていませんでした。

しかし、PC作業には、環境作りが大事です。

ディスプレイから40センチくらい離して。

椅子は、両足裏が床に着地するように。

机と身体は直角になるよう、目線はややPCを見下ろすように。(←眼の乾燥を防ぎ、ドライアイ・眼精疲労予防になります)

キーボードを操作する腕を置くレストを椅子かキーボード周囲に置く。

今までは、気にしていなかったことを見直してみました。

 

さて、PCの方は…

①角度を15℃くらいに立ててもらいました。

蛍光灯の反射がなく、これで一番のストレスから解放。

図は美しくは描けませんが(院長の技量?)所見は問題なしです。

②背面は、わずかにしか明るく出来ないとのこと。(画像や写真を見るときのコントラストのためらしい)

字体は、少し太く強調されました。

③本体が白、文字が黒のキーボードに。

 

今回のPCに対する不満は、加齢に伴うコントラスト感度の低下によるものです。

45歳くらいから急激に低下してきます。

水晶体の濁り(白内障までいかなくても)や硝子体の濁り、調節力(ピント合わせ)の低下が原因です。

明るいところでは見えていても、薄暗いところで小さな文字は読みにくくなったり、薄暮で運転しにくくなったり…と言った症状です。

今回の電子カルテも、もっと若い眼科医を想定していた設定?(眼科カルテ専門メーカーです)

あと10年早く導入していたら、不満の多いオバサン院長とは思われなかったかも?

でも、大事なことは、今の自分の身体状況に合わせて、環境を変えること!(45歳以降)

物に自分を合わせるのではなく、自分に物を合わせること。

 

産業医公センセとともに、50代眼科医に優しい作業環境作り。

究極のカスタマイズ目指します!

 

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2019.5.28 ひかり・光 スペシャルゲスト

日本ロービジョン学会学術総会に参加してきました。

この学会の特徴は、眼科医・眼科医療従事者のみならず、福祉・教育・就労関係、視覚障碍者補装具メーカー、そして当事者(視覚障碍者)参加型ということです。

ですので、会場には、白杖を持った人たちも見受けられます。

 

さて学会の今回のテーマは『ひかり』(毎回テーマがあります)

招待講演のテーマは『光』

まさに映画『光』の音声ガイド担当『シティ・ライツ』所属のお二人(代表&映画に出演した視覚障害者の正子さん)。

『シティ・ライツ』はバリアフリー映画推進団体として、視覚障碍者も言葉(音声ガイド)で映画を楽しめる企画をしています。

 

ちなみに、映画『光』は河瀨直美監督・永瀬正敏主演の第70回カンヌ国際映画祭にも選出された秀作です。

将来を嘱望されていた写真家の雅也(永瀬正敏)が徐々に視力を失っていく中での、恐れや苛立ち、周りとの関係が描かれていきます。

特に、新人音声ガイド制作者の美佐子との関わりが秀逸です。

院長も感動した映画でした。

 

さて、講演の始めに、音だけ(セリフと背景雑音)の一場面が流されました。

『映画の、ある場面ですよ』

院長は一度映画を見ているのですが、全く映像が浮かびません。

セリフは聞こえますが、どんな状況で、誰と???

 

次に、映像がないまま、音声ガイドが加えられた同じ場面が流れます。

セリフの合間に

『呆然としている雅也』

『心配そうにのぞき込む美佐子』

『体が震える』

『瞳から涙がこぼれる』…

などの音声ガイドが入ることによって、イメージが記憶として戻ってきます。

 

最後に、実際の映画のシーンを、映像および音声ガイド付きで劇場通りに上映されました。

『あ~あの場面だった!』と再確認。

 

音声ガイドは、背景の言葉を聞きながら、視覚障碍者が映像をイメージできるように、風景や状況・登場人物の表情などをセリフの合間に挿入します。

出しゃばり過ぎず、難しすぎずの言葉を探して制作するのがとても大変とのこと。

実際の映画の場面でも、音声ガイド作成にまつわる場面が出てきます。

視覚障碍者が、見えないスクリーンの中に入り込められるよう、『映画を言葉で楽しめる』よう、言葉を考える大変さを感じました。

 

3人の演者(もう一人は眼科医)の話が落ち着いたところで、座長から『実はスペシャルゲストをお招きしております』

『?』『?』『?』(学会の抄録にはありません)

『永瀬正敏さ~ん!どうぞ!』

永瀬正敏さん登壇。

『え~!本物?本物だわ~!』学会場なので、誰も『キャー!』なんて声を上げませんが、動揺の波は伝わってきます。

映画で見る通りの人だ~!

朴訥とした語り口で、映画『光』での役作りへの過程(監督曰く『役を積む』のだそう)をお話しされました。

役になりきる…俳優という職業も、華々しいようで大変な仕事だということが伝わってきました。

DVDでの鑑賞をお勧めします。

自分なりの『光』を見つけ、感じてください。

院長も再度。

 

夜、ホテルの庭園で、思いがけず蛍を見ました。

小さな光が数個、暗闇の中を幻想的にふわりふわりと動きます。

今日、もうひとつのスペシャルゲスト。

小さな体から放つ小さな光の舞に、酔いしれる贅沢なひと時でした。

過去の記事【映画『光』】もぜひご覧ください

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