2024.4.23 学会と祈願

新型コロナ以来、学会は現地参加とオンデマンド。

春の日本眼科学会総会と秋の日本臨床眼科学会では、更にライブ視聴も。

 

さて、今年の眼科学会総会。

印象的な事柄をいくつか(アウトプット)

 

以前は、近視は成人になれば進行しないと言われていました。

しかし、強度近視は生涯にわたり進行することが分かってきました。

裸眼視力回復のためにICL(眼内コンタクトレンズ)をしても進行することが報告されています。

 

近視は、眼鏡で矯正すればよいというものではなく、進行により近視性黄斑症(物を見る中心が悪くなる)、緑内障、網膜剥離そして視覚障害の要因となります。

近年、日本人は強度近視が増加しています。

 

そのために、こどもの健やかな目の成長をサポートする目的で、日本眼科医会では6月10日を『子供の目の日』と制定。

6歳までに視力1.0(矯正でもOK)を目指します。

弱視の早期発見・治療や低年齢化する近視発症の予防・啓発は、眼科医・眼科学校医(院長も地元4校担当)のミッションです。

 

若年のスマホ斜視も話題ですが、高齢者の斜視も増えています。

主なものは、サギングアイ症候群です。

コラーゲン組織で出来ている眼球を支える靱帯が、加齢により弱くなり、眼球をしっかり支えられないために眼球の位置がずれ斜視が起こります。

成人斜視の原因の1位で、年齢とともに増加します。

手術を選択したほうがよい場合もあります。

 

などなど。

後日オンデマンドでも視聴する予定です。

 

今回会場は東京。

目と鼻の先(ほどではないが)、今まで何で知らなかった?という目の神様へ。

後楽園駅で降り、少し住宅街のようなところを歩くと…

源覚寺、通称こんにゃく閻魔です。

門の石柱には、赤字で『こんにゃくゑんま』

こじんまりした境内です。

参拝客一人のみ。

 

お参りする先には、怖そうな閻魔様が。

右眼は開いておらず(盲目)、左眼をかっと見開いてこちらを見ておられます。

 

目の神様(閻魔様)の由来は…

宝暦(1751~1764)頃、眼病を患う老婆が、好物のこんにゃくを絶って一心に祈願した。

夢の中に大王が現れ『満願成就の暁には、両目のひとつを差し上げよう』と。

願掛け満願成就、老婆の目は治り、以来大王の右眼は盲目になった。

老婆は感謝のしるしとして、好物のこんにゃくを絶ち供え続けたとのこと。

 

お供えのこんにゃくが山積みされています。

こんにゃくを持ってこればよかった…(名古屋から?)

いつものように祈願。

 

敷地には普通のお墓に加えて樹木葬も。

都会らしいというか…

 

こんにゃく閻魔様は、夏目漱石の『こころ』にも登場します。

何十年ぶりかに再読。

こんにゃく閻魔は、ほんの一文の登場でしたが、再読して思うところ多し。

先生(登場人物)は、随分若かったのね~

人生序章の自分が読んだ『こころ』と人生折り返した自分が読んだ『こころ』

ストーリーにも登場人物への思いにもずいぶん変化が。

自身の人生の分、考えながら読むことが出来ました。

名作が時を経て愛読されていく理由を再確認。

再読の機会を与えてくれたこんにゃく閻魔様のお陰です。

 

いつもお守りをいただくのですが、今回はインパクト抜群の絵馬を。

『最近は、その場で書かずに持って帰る人も多いですよ』

その言葉に安心して?持ち帰ります。

 

最新の学会に参加し、古の老婆(自身もその時代なら老婆です)のように祈願する院長です。

 

*4月30日公センセの部屋はお休みです。

 

こちらもご覧ください

2024.2.27 me散歩

2023.10.17  目の神様 in平泉

2023.7.4 目の神様 in 仙台

2023.6.6 やりなおしたい?

2022.4.5 初めての御朱印

2021.11.2 身代わりどじょう

2018.6.26 目の霊山

2017.11.21 余呉へGO,GO

2015.10.6 鎌倉好き

2012.11.13 医者も祈願する!?

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2024.4.16 見つけてくれて

お花見日和。

自家産生乳を使用したアイスは農業センター名物ですが、リニューアルと行楽日が重なり長蛇の列。

せっかく久しぶりに来たのだからと並びます。

親子連れ、三代ファミリー、カップルなどなど。

 

子供たちが小さい時はよく来たものです。

お弁当やおやつをもってピクニック気分で。

歩いて遠足気分で。

 

大きなガラス瓶の大好きな蜂蜜を手に持って帰ると言った次男。

園外に出た途端落下。

当然、瓶は割れ、蜂蜜は地面に溢出。

あの時、かなり叱った母(院長)の胸は痛い…(本人は忘れていた)

 

ツバメの雛が落下し、センターの獣医さんのところに連れて行ってと懇願。

雛は助からず大泣きした長男は、昨年(とっくに成人になっている)も落下雛を介抱し成鳥にさせました。

 

大きくなっても『アイス食べに行かない?』と言うと付き合ってくれた三男。

お気に入りの三男&アイスの写真が何枚か(親バカ)。

色々農業センターとの関わりが思い出されます。

 

回想だけでは、アイス売り場まで時間が持ちません。

約40分待ってやっとゲット。

ミルク味は毎度、苺をプラス。

 

牛を見ながら食べようか…鶏舎に行こうか…

どこかから『こうちゃん!こうちゃん!』

ん?現在『こうちゃん』と呼ぶ人はそんなに居ません。

誰?きょろきょろ。

『は~い!こうちゃん!』

『Cさん!?』

『さっきからずっと呼んでたんだけど…』

『わ~!すごくお久しぶり!お元気でした?』

Cさんは大学の先輩。

『ゆっくり話したいね~』

『そうですね~(早速スマホを確認)、〇月〇日いかがですか?』

『待って(確認)。OK。いいよ~』

『では〇日〇時に○○で。詳細はまた連絡します』

お互い連れがあったので、再会を約束してお別れ。

こんな偶然、ある?

 

 

〇月〇日Cさんと再会。

大学生の頃は密度の高い付き合いでも、就職や結婚・子育てに入りだんだん疎遠に。

最後に会って話したのは、英語論文の誤字脱字を確認してもらった日、お昼のテレビで大惨事が流れたので日付まで鮮明です。

思い出話から始まり近況までをダイジェストに。

 

下宿でハーシーのkissチョコ(田舎者には珍しかった)にびっくりした話。

『そうだったかな~』Cさん。

『アパートにケーキ持ってきてその場で生クリーム泡立てて飾ってくれたの、覚えてる。嬉しかった』

『そうでした~?』私。

確かに、若い頃はお菓子作りにはまっていました。

自身の結婚式も手製のウエディングケーキを持ち込んだし(今なら絶対しないけど)。

そんなお互いの記憶違い、もしくはどちらかが忘れているエピソードがいくつか。

自分は記憶力が良い方だと思っていましたが、結構、記憶とは曖昧なもの。

でも相手の良い記憶としてのエピソードを聞くことは、とても幸福感に満たされ、さらに自分の記憶に上書きされます。

 

成人した子供たち・老親の現況にくると、随分月日が経ったことに気づかされます。

少し落ち着いた今だからこそ、見つけて声を掛けてくれたのかな~

そしてすぐランチ成立したのかな~

 

随分な大人(院長)になって、若い時のように、何でも誰かに話す・話したいということはなくなりました。

話す内容。誰に話すか。何のために話すか。そして話すタイミングや間隔。

 

あの頃は、何も考えずに、相談したり聞き役になったり。

Cさんとの縁が切れずに繋がってはいたものの、再会するきっかけは、Cさんが『見つけて声かけてくれてありがとう』です。

Cさん元々視力良いしね~

 

こちらもご覧ください

2023.8.1 おかげさまで26周年

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2024.4.9   目を見て頭が分かる?

患者Aさんが夕方来院。

めまいのお話から始まりました。

めまいから眼科?

よくよく聞くと、数か月前からめまいがあり耳鼻科に受診。

めまいのお薬をもらっているとのこと。

めまいは相変わらずだけれど、本日PC使用中一瞬見えなくなった。

これは眼科も関係しているかも?と受診。

よくよく話を聞き、まとめると…

耳鼻科受診の前に頭痛が発症。

内科受診。

鎮痛剤を処方してもらい、少し良くなったり、再発したり。

そのうち、めまいや吐き気も起こるようになり耳鼻科に。

お薬を処方してもらい、少し良くなったり再発したり…

様子を見ていたところ、本日目の症状が出現。

 

視力は両眼ともよく出ています。

眼圧も異常なし。

診察に入ります。

瞳孔異常や眼球運動異常はありません。

顕微鏡検査をします。

眼球の前方は全然問題ありません。

眼球の奥を見ます。

『あれ!?』(ここで診断はほぼ確定です)

 

視野検査と眼底写真撮影をします。

 

診断は

『うっ血乳頭(にゅうとう)』です。

脳から眼球に入る視神経の一番太いところ(乳頭)に、頭蓋内圧(脳の圧)がかかって、浮腫(腫れ)を起こしている状態です。

視神経は通常境界がはっきりしていて、ややオレンジ色をしています。

緑内障などで視神経が悪くなると、色も黄色~白っぽくなります。

逆に、うっ血乳頭の場合は、境界がなく赤っぽくなります。

 

うっ血乳頭の症状は、頭痛・吐き気・めまい・一過性の視力低下など。

脳圧が上がることで、症状を起こします。

 

検査結果が揃ったところで、Aさんに説明します。

原因は脳にあること。

脳の圧が高くなっている原因としては、脳腫瘍が最も多く、ほかに脳出血や水頭症が考えられること。

だから、脳外科に紹介状を書くので今すぐ行ってください。

 

夕方でしたが、緊急で脳外科受診をしてもらいました。

 

翌日返信が来ました。

悪性脳腫瘍を疑い、手術前提で緊急入院となったとのこと。

 

やはり…

たぶん…とは思っていたものの…

Aさん頑張って!

あとは脳外科の先生にお任せするしかありません!

 

眼球は脳から繋がっているにも関わらず、普段は命に関係ない目の病気がほとんどです。

見える・見えないは眼科医にとっても患者さんにとっても大きなことです。

しかし、それ以上に生きる・死ぬは、医師・患者さんともに大きなことです。

眼科医だから目しか見ない(通常は目だけで完結しますが)のではなく、眼科以外の勉強が今も役に立つときがあります。

科によっては古い知識しかありませんが、機会を見つけて上書き保存です。

うっ血乳頭から脳腫瘍がわかったAさんの例も、開業してからは初です。

滅多にない病気も、自分の引き出しに知識や記憶があってこそ患者さんに還元できます。

 

開業して、脳外科につなげた患者さんは、『脳動脈瘤』『脳梗塞』そして今回の『脳腫瘍』

いずれも、脳の病気と思わずに眼科受診され、診察検査結果から脳外科に紹介、緊急入院となった例。

眼科医も命を救うことがあるのです。

 

 

数か月後、ひょっこりAさん来院。

『帽子被ったままですみません』と前置き。

結果はやはり悪性だったとのこと。

取り切れるだけの腫瘍切除をし、放射線・化学治療をし、入院生活は数か月に及んだとのこと。

 

『ありがとうございます。助かって良かったです』

 

『頑張られましたね』

 

こうして色々な症例を経験し、患者さんから勉強させてもらっている院長です。

まだまだ精進中。

目の神様も背中を押してくださいます。

 

こちらもご覧ください。

2018.1.23 右目が見えない

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2024.4.2 転ばぬ先の…

コスパ・タイパの時代。

最近は医師でもコスパ・タイパを重視する時代だとか…

うん十年以上前に医学部を卒業した昭和生まれのオバサン医師としては、若い時からそんなんじゃダメだよ…と独り言。

もちろん働き方改革は率先されるべきですが、最初からコスパ・タイパで仕事を選ぶべきではないと思います。

研修医を含め若い頃の、苦労したこと・大変なこと・こんなこと関係ある?・こんなことする?などと思いながらした仕事・雑用全て、後々の人生・仕事に役立ちます(自覚なくとも)。

 

さて、本日は産業医の日。

専従産業医はともかく、嘱託産業医は副業です。

院長にとっては、眼科専門医(医学博士)でありクリニック院長が主軸。

その他の資格は、眼科専門医があってこその、さらなる興味と好奇心で取得した資格です。

産業医然り。

そのため、院長にとっての産業医活動(勤務以外に講習会など)は、眼科医(をベースに)以外の医師としての体験・勉強をさせてもらえる場です。

これも、ある程度(まだ途中です)眼科医を続けてきたからこその余裕かもしれませんが。

ということで、往復の時間も含めれば(半日)コスパは良くないのですが、電車も乗れるし、勉強にもなるしで結構この職場は気に入っています。

 

巡視をしながら、売り場の主力商品の陳列から季節の変化を感じます。

行楽用品目白押し。

お花見、お祝いその他のレジャーに合わせて商品がラインナップ。

すでに母の日の案内もあります。

小売業は先取りです。

 

バックヤードの白線ラインを越えての台車には、すぐに気づくようになりました。

一時置きにせず、必ず元の設置場所に戻すことを全員が周知しないといけません。

安全衛生委員会では、上る話題も、全員で共有することが大事です。

スーパーはパートさんがほとんどなので、もっと積極的な共有方法を考えないといけません。

 

本社からのニュースレターにも目を通します。

流通・小売業界での休業4日以上の死傷病の労災件数は年々増加傾向となっているとのこと。

特に店頭は多く作業行動による災害が半数とのこと。

 

該当店舗でも、お客さんが入店の際、後退りして譲ったスタッフが尻もちをつき臀部打撲の報告が。

 

本部からの毎月のニュースに『STOP転倒災害 歩行筋力・下肢筋力チェック』がありました。

反動をつけず大股で2歩歩き、開始地点から2歩目のつま先までの距離を測定。

身長と測定距離を換算して、転倒リスクを出します。

つまり、大きな歩幅(身長に対して)があるほど、筋力・関節の柔軟性・可動域が大きいので転倒しにくいということです。

『転ばぬ先の脚』

健康スポーツ医としての知識・トレーニー(筋トレ愛好者)としての体験を、産業医活動にも活かすチャンス!

足を鍛えるトレーニングのひとつに、大きく踏み出す練習→ランジ(大股でまっすぐ歩く)練習があります。

 

『センセイ、脚広げるのすごく痛いです~』

千里の道も一歩から。

院長も当初ランジから始め、今では左右各12キロダンベル持ちのブルガリアンスクワットがルーティンです。

『大丈夫、少しずつできるようになりますよ。まずはチェック!』

 

『先生に言われて、この2か月腹筋を毎日継続しました!』あるスタッフ。

『すごいです!花丸です!その調子!』

『褒めてもらえたから、また頑張ります』

 

スタッフみんなの健康を願う産業医です。

 

どんな事(仕事)も何かに繋がるはず。

意味がない事(仕事)はない。

昭和のオバサン医師から新社会人へのエールです。

 

こちらもご覧ください

2021.9.28 契約更新

2022.3.22 春色の~

2023.5.23 労災発生

2023.8.8 冷凍庫を変えただけで

 

カテゴリー:健康 産業医
  • カテゴリー

  • 最近のエントリー

  • カレンダー

    2024年4月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
  • アーカイブ

  • タグ

先頭に戻る