2023.6.27 何しに台湾?  その2

前回からの続きです。

 

台湾では、近視矯正手術やオルソケラトロジーも盛んです。

日本では、眼科医がオルソケラトロジーの講習を受け認定を受けて始めます。

当院でもガイドラインに沿って実施しています。

さて、近視大国?の台湾ではどうなのか、眼科の窓口に行ってみることにします。

 

大きな眼科です。

扉には、医師の名前、治療項目が書いてあります。

日本と同じ表記もあれば、中国語特有の表記も。

屈折手術をした有名人の立て札があります。

オルソケラトロジーについて聞きたいと言うと、隣接の眼鏡屋さんを紹介されました。

 

日本では、現在オルソケラトロジーは、近視になり始めの早期介入が勧められ、中等度近視までが良い適応とされています。

大体小学生位から中学生までの装用が多いようです。

 

一通り聞いて、息子の年(20代)と近視度ではどうか尋ねてみました。

(日本では、適応外となる年齢、近視度)

眼鏡屋さんは慣れた様子でオルソケラトロジーのパンフレットを見せ、息子の年齢でも可能だが、片眼は近視がより強いので料金は○○台湾ドル余分にかかることを説明してくれました。

きっとオーダーコンタクトレンズのデザインが変わったり、時間をより要するからなのでしょう。

 

ミッション2

オルソケラトロジーの適応範囲は日本より広い。

オルソケラトロジーは眼鏡屋さんの担当。

 

オルソケラトロジーが眼鏡屋さん担当なら、コンタクトレンズも眼鏡屋さんの担当です。

『コンタクトレンズを買いたい』と伝えると、

1デイか2週間タイプか?

日本では、1か月タイプや通年性のSCL(ソフトコンタクトレンズ)、ハードコンタクトレンズがあります。

台湾では、1デイか2週間のSCLのみ。

以前使ったSCLがあれば、同じ商品を勧められます。

種類は日本より少ないようです。

遠近両用SCLもありません。

『眼科に行かなくてもいいのか』と聞くと、必ずしも必要でないとのこと。

コンタクト初めてまたは希望すれば屈折検査(機械でどの程度の近視か測定)をしてくれます。

その値からSCLの度数を選んでくれます。

初めて台湾製のSCLを見つけました。

値段は、他の外資系SCLに比べても、一番の高価格です。

『なぜ、これはそんなに高いのか』と聞くと、シリコン素材の高品質で、保存液にはヒアルロン酸配合とのこと。

『せっかくなのでそれが欲しい』と言うと、遠近がない(院長老眼あり)ので、両眼遠方重視で近くを見るときに眼鏡をかけるか、片眼視(片眼で遠くを見えるようにし、もう片眼で近くを見えるようにする)を提案されました。

この辺りは、しっかり説明してくれます。

『試しにはめてみて、フィッティングと視力を測ってほしい』と言うと

???

日本の眼科での処方を話します(一般患者として)。

相互理解に至る、この時間が長かったです。

中国語トライ→英語トライ→翻訳アプリ。

苦笑しながら店員さん。

『試してみるとか、はめてから視力を測るというシステムはありません!』

『買ってから付け心地や視力の出が悪かったらどうするの?』

『まずは買ったのを使ってみて、次回別のを試(購入)しましょう』

 

ミッション3

台湾ではコンタクトレンズは診察なしで買える。

ただし、かなり自己責任部分があることも忘れず。

日本の眼科医による処方は安心(眼疾患の有無も確認)!

 

ほんの少しの中国語+少しの英語+翻訳アプリで気になっていたことを解決。

行かなきゃわからなかった。

中国語玉砕のリベンジは…します!

 

こちらもご覧ください。

2023.6.13  近視進まないで~

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.6.20 何しに台湾?  その1

近視関連の学会や話題が多くなってきた近年。

オルソケラトロジーも含め近視関連の論文を読んでいると、意外に中国・台湾・シンガポールといった東アジア発が多いことに気が付きます。

論文は英語なのですが、何篇も中国・台湾・シンガポール…と出てくると、近い外国だしいつか行ってみたい…

そんなきっかけから約1年前独学で中国語を開始。

腕試しも兼ねて一番行きやすそうな台湾行きを決行!

与那国島から見えたくらいだからね~

 

中部国際空港から台湾桃園国際空港へ。

人々の顔は似ていますが、中国語が飛び交います。

来ちゃったけど、大丈夫?

 

今回のミッション

1.台湾の小学校での近視進行予防の取り組みを聞いてみる

2.台湾でのオルソケラトロジーの話を聞く

3.台湾でコンタクト処方をしてもらう

 

故宮博物館を観覧していると、小学生の集団がやってきました。

小学3~4年生くらいです。

20代男性の先生が、注意を述べた後、自由観覧となりました。

チャンス!

すすすーと近づき

『初めまして。私は日本から来た眼科医です。2時間以上の屋外活動で近視を抑制したという台湾の論文を読みましたが、現場ではどうでしょうか?』

初対面なのに、かなり図図しい日本人オバサン(院長)。

若い先生は、警戒することなく(いい人だった~)対応してくれました。

ちなみに、最初の2文(中国語)は練習してきたからスムーズ。以後、文にならず…途切れ途切れ…だんだん英語に…

先生も、最初は中国語でゆっくり話してくれましたが、院長に合わせて英語で。

しかし、双方とも医学用語や教育用語など微妙なニュアンスが伝わらず、後半は日本語・中国語翻訳アプリの登場となりました。

アプリ恐るべし。

子どもたちが珍し気にどんどん集まってきました。

『何してるの?』『この人だれ?』って感じで。

どの国の子供も同じ。

 

まとめると…

小学生の近視の増加は、学校も気づいているし、気にしている。

厳密に何時間屋外活動とカリキュラムに取り入れられてはいないが、担任ごとに努力はしている。

例えば、昼休み90分の間はPCやテレビを見ないように指導。

月に一度は野外活動を計画。

先生は、『名古屋』や『三重』の地名や日本語も少し知っていて、大学で学んだとのこと。

 

別日に出かけた台湾民主記念館でも、同様の答えが。

この時は、小学1年生だったせいか、屋外でもさらに賑やか。

また、あちこち行かないように複数の先生が号令を。

天気の良い日だったので、バイオレット光も良く浴びました。

 

屋外活動が良いということはわかっているが、厳密に管理されているのではない。

(論文は、方法をきちんと設定したうえでのデータ)

しかし、教育の現場は何処も学童近視が少しでも進行しないように、努力している。

 

博物館からの帰り、タクシーに乗ってホテルを告げると、運転手さん『?』

地図は日本語と英語表記。

大きなホテルです。

しかし、ホテルも中国名で言わないとわからない運転手さんでした。

メーターは上がる、ちっともホテルに着かない…

どうしよう…焦っていると、交番の前で停車。

『場所を聞いてくる』(速い中国語で聞き取れず)と言ったよう。

戻ってくると、中国でホテル名を言いグ~の合図を。

ホテルはすぐそこでした。

メーターより安くしてくれて、謝ってくれました(ここは聞き取れた)。

『謝謝』

 

ミッション1終了。

続きます。

 

近視関連についてはこちらもご覧ください

2023.4.11 2023日本眼科学会総会

2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

2018.3.6 子供の近視

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.6.13  近視進まないで~

オルソケラトロジーの近視抑制効果が証明されてきた近年。

医学は進歩し、医師の頭も上書き保存の連続。

親が近視なら、子も近視になるのは仕方がない。

親と同程度の近視になるのは仕方がない。

眼科医(院長)でもそう思っていました。

成人になった息子たちには申し訳ないが、当時はわかってなかったんだもん!

 

当院もオルソケラトロジーを導入しました。

今回は、よく尋ねられるQ&Aを。

 

Q1:近視抑制治療は何歳から始めて何歳までくらい続けますか?

A1:近視になった時が一番のタイミングと考えられます(学校検診で初めて用紙をもらった時など)。

ただし、自覚がないことが多いので、ためらうことも多いと思います。

次は、視力が低下(近視進行)して、眼鏡を処方しようかどうかの段階。

眼鏡をかけて経過を見たいか、オルソケラトロジーを始めるかを考えましょう。

治療を早く始めるほど、最終的な近視度数を抑えられると考えられています。

眼軸長(眼の奥行)の伸びと身長の伸びはある程度相関すると言われています。

一般には、眼軸長の伸びが落ち着く15歳(中学卒業)くらいが目安です。

もちろん、高校生以降も続けることに問題はありません。

 

Q2:30センチ以上離して、正しい姿勢で読んだり見たりすると目に良いのは本当ですか?

A2: 文部科学省の『児童生徒の環境に留意してICTを活用するためのガイドブック』から。

視距離は30センチ以上

背中を伸ばす

目線は画面に直行する角度に近づける  など。

シドニーの研究では、30センチより短い距離で読書すると、近視化を促進すると報告されています。

また、スマホなどの20センチの近業は、両眼で融像(左右の目でひとつに見る)できるギリギリの距離なので、視覚負荷が大きいことが分かっています。

ですので、近用時最低30センチは必要な距離です。

 

Q3:明るい部屋で読書をすると目に良いのは本当ですか?

A3:紙媒体の本を読むときは、室内光が明るい方が、読書速度の低下や眼精疲労の惹起を軽減します。

また、スマホやパソコンの場合、外の輝度と画面の輝度に違いがありすぎると、視線を移動したときに、順応の切り替えが必要になり、眼精疲労を起こしやすくなります。

ですので、室内照度は画面の輝度と同程度にすると疲れにくいと考えられます。

 

Q4:30分ごとに休憩すると目に良いのは本当ですか?

A4:労働衛生学的には、デジタルデバイスを用いた近業時に、眼精疲労を軽減するために、20-20-20ルール(20分近業作業→20秒作業中断→20フィート(6M)より遠方視)が推奨されています。

さらに、子供は1日2時間の屋外活動も推奨されています。

オーストラリアの研究では、30分程度の近業後休息を入れることで、近視抑制効果があることが示唆されています。

 

Q5:スマホ、テレビ、ゲームは目に悪いのは本当ですか?

A5:最近では、単なる近業時間の長さではなく、一定以下の視距離で行われる近業時間の長さが、近視発症の原因として重要視されています。

スマホや携帯型ゲーム機では十分な視距離を取ることが難しいのです。

中国のスタディでは、両親の近視の有無に関連なく、すべての生後1歳以内の乳児はスクリーンタイムを避ける必要があると結論づけられています(遺伝だけでなく環境も重要)。

生後8か月までは眼軸長は劇的に伸長するため、3歳まで屈折値の変動が非常に大きいので、視機能に大きな影響を与えます。

 

これから成長する小さな患者さんのために近視進行抑制のお手伝いします。

学校健診の紙をもらったら早めの受診を。

 

過去の記事もぜひご覧ください

寝押しのイメージ

2023日本眼科学会総会

 

カテゴリー:健康 公センセの家族・恩師・友人など 眼に関すること

2023.5.30 脳と緑内障

名古屋で視野画像学会。

岐阜県多治見市で第一回が開催。

中央線に揺られて行ったのは、もう11年も前のこと。

 

眼科と言っても、大きな日本眼科学会総会や臨床眼科学会のみならず、部位や病気や検査など細分化されて、規模の小さい学会が多数あります。

例えば、角膜・水晶体・神経・網膜硝子体とかの部位。

近視・アレルギー・白内障・緑内障・糖尿病などの病気別。

視野画像・眼光学・眼薬理・眼循環など検査や基礎的な仕組み別。

総論と各論みたいな。

切り口色々。

そして、それぞれが繋がっています。

物事全てそう。

 

さて、今回の学会。

緑内障は、視野検査はもちろん画像検査も欠かせません。

患者さんの多くが、乗り気ではない視野検査は、病気・進行判定にとても大事間検査で、定期的に施行することでデータの信頼性も増します。

世界標準の自動視野計(当院も設置)は、発売当初(30年以上前)より非常に時短になり、進行予測も計算してくれます。

それでも更に短時間で正確な視野計を目指して、各社がしのぎを削っています。

 

眼圧は、緑内障診療では、アプラネーショントノメーター(点眼麻酔をして眼科医が測定)が世界水準ですが、自己測定用の自動眼圧計もいつも話題に上がります。

実用化され廉価になれば、家庭血圧計のように普及するかもしれません。

 

OCT(光干渉断層撮影)により、緑内障早期発見率がぐっと高まりました。

神経線維の厚みも、神経を栄養する毛細血管の様子もわかるようになりました。

診断機器の能力や可能性は日々進歩しています。

使いこなして、患者さんに還元しないと、宝の持ち腐れになってしまいます。

 

視野と画像…深い深い、もっともっとマニアックな話題が多々。

 

今回の学会で一番驚いたのは、『MRIによる緑内障患者の脳構造と機能』という題目の放射線科医からの発表。

眼科医は、眼科機器の進歩には敏感ですが、MRIの進歩までは…。

MRIの進歩も相当なもの。

緑内障は、視神経の変性ですが、視神経で起こっている変化は、脳に行く途中や脳内でも変化を起こしているようなのです。

実際、緑内障早期患者の脳では、局所的な脳の一部の機能低下や体積の減少が起こっていることが報告されました。

特に、中心視野の欠損症例に起こり易いそうです。

 

緑内障早期の変化を、脳構造の変化としてとらえることが出来る日が来るかも。

そうなると緑内障は眼科だけの病気でなく、脳関連の病気となる日が来るかも!?

 

緑内障疫学調査『多治見スタディ』では緑内障有病率は約5%でした。

その後の2017~2018の『久山町スタディ』では有病率は7.6%とアップ。

緑内障もありふれた病気になってきています。

だからこそ早期発見・早期治療が重要。

院長が眼科医になった時よりは、視野検査も画像検査も格段に改良・発展。

それらを駆使しても眼科医自身のスキルアップは必須です(ずっと勉強しないといけない)。

 

基本から最前線の事項まで。

専門過ぎて、ついていくのに必死な講演もありましたが、いつもより脳は活性化した自覚。

そのせいか、リフレッシュコーナーで供された赤福餅がとても美味しい。

物心ついた頃からある赤福(1771年創業)。

変わらない味のようで、実は時代に合わせて変化しているのか?

その疑問に、原料製法変化なしとの回答。

改良・進歩して良くなっていくもの、変化しないのが良いもの。

世の中、一通りではありません。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.4.18 毎晩飲んでるの

午後のホテルのラウンジにて。

頼んだケーキが来てほっと一息。

『最近目が…』

このワードが聞こえて院長の耳はダンボに。

その元は、と見ると…距離が離れた隣席から。

 

『最近目が見にくくなったわ、よく見えてたのに』

『私も。

それで白内障手術したんよ。

よく見えとったけど、何やら痛うなってこの前眼科に行ったら花粉症と言われたわ。

何や目薬ぎょうさんもらってさしとるわ』

『そんなになるなら、手術せんでもいいね~』

はんなり京都弁のご婦人2人。

ここは京都。

 

Aさん(仮)は白内障で視力低下。

恐らく、近視はなかったよう(もしくは遠視)。

Bさん(仮)は白内障手術をした。

よう見えていたけど…に続くのは視力に関することだと思うけれど、痛みを感じた。

痛みはかゆみと同義語(特に子供)なので、痛いのはアレルギー症状の痒いに類似した表現だったかも。

ぎょうさんもらった、ということはアレルギー点眼意外にステロイド?ドライアイ?眼精疲労?の点眼か?

手術せんでもいいね~は短絡過ぎです。

全員がBさんになるわけでなく、個人差あり。

と、脳内で眼科医解説。

念力がないので、AさんBさんには届きません。

 

A『うちな、毎晩飲んでんねん。もう10年も20年も生きへんから我慢することないわ~って』

えっ!?ビール?ワイン?さすが、ホテルでお茶するご婦人たち!

ということは80歳超?

B『そや、私なんて4種類も飲んでるで。飲まんと寝られんの』

多くない?ビールから始まって4種類?日本酒4銘柄?ワイン4銘柄?

A『あんた、そんなに飲んでるの?私は2錠と言われてるけど1錠毎日やわ』

B『私は、精神科でも内科でももらってるの』

何?睡眠薬の事!?

A『まあ、寝られへんの我慢するより、飲んだ方がいいもんな~』

そっちの話でした。

 

それから夫の介護の話に移ります。

Aさん夫は介護施設に入院。

毎週手料理を持っていくそうです。

良い牛肉を炒めたり煮て、付け合わせにマッシュポテトや青野菜。

A『夫は耳が遠くて聞こえへんけど、いやや~と思わず、会えると思っていくんよ』

B『えらいわ~』

A『いい人やったから。まだ死んどらへんけどな。できるだけやれることはね~』

 

Bさん夫も入院中。

医師だったようです(患者さんのためによう尽くされはったね~のAさんの言葉より)。

A『私も最初は一人で寂しかったけど最近は慣れたわ。時々淋しくなるけどな』

B『私も慣れんとな。今夜は、息子が来てくれる』

Bさん夫入院は最近のよう。

 

A『人によって幸せは違う。

ひとのこと羨ましがってもきりがないなぁ。

いろんな人に左右されんよう生きたいと思ってんねん。

もう遅いけど』

B『そんなことないわ~』

 

帰り際

B『あんた明るいわ~』

A『アホやで~。あんたも明るいわ』

B『うちに帰ったら暗いわ』

B『楽しかったわ~もっと早くに会えばよかった』

A『また会お。夏過ぎたら』

B『それまで頑張るわ。ほんま、ありがと』

A『こちらこそ、ありがと』

 

とっさに取り出したメモに書きなぐった文字。

巷の人生訓。

所用と同じくらいの収穫でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.4.11 2023日本眼科学会総会

春は日本眼科学会総会(日眼)の季節。

昨年は、恐る恐る現地に出向いたのですが、今年は解禁!?

やはり会期中1日でも現地に足を運びたい院長です。

今回も現地聴講・ライブ視聴・オンデマンドと3体制。

院長は平日ライブで視聴し、週末東京へ。

 

土曜日は新幹線移動中にスマホでライブ視聴。

ライブ講演時間に合わせて新幹線を選びました。

途中、恒例の?アイスクリームを注文時、イヤホンを落としエライ(大変な)ことに。

 

まんべんなく聞くのは後日オンデマンドで。

 

『近視』は最近とてもホットな話題です。

当院でもオルソケラトロジーを開始したので、特に気にして学術的な情報を集めるようにしています。

眼軸長(眼の奥行)の伸長が近視進行の要因です。

眼軸長が伸び、近視が進行すると、緑内障を始め様々な目の病気の罹患率が上がります。

中高年以降に目の病気になりやすいということです。

緑内障は慢性的かつ進行性なので、今の緑内障治療をもっても回復・改善はしません(院長も緑内障を専門としていますので、悩みどころです)。

近視進行させないためには、眼軸長を伸ばさなければいいのだ!

というのが、今の近視予防の主流的な考え方です。

 

オルソケラトロジー

低濃度アトロピン点眼

二重焦点レンズ

以上が最近効果があると報告されている方法です。

 

オルソケラトロジーを施行した眼とそうでない眼では、明らかに眼軸長の伸びに差が出ています。

目はとても小さな臓器なので、1mm伸びると約3D(ジオプター)近視が進行したことになります。

発表では、弱度近視から始める方が、効果が大きいとのこと。

 

低濃度アトロピンも、近視になる以前の0度数やわずかな遠視の状態から開始すると、近視の発症を抑制したという報告がありました。

 

いずれも保険外診療ですが、試してみては、と思います。

そして、息子たちも院長似の強度近視にさせてしまったことを母としては少々悔やみます。

もっとも当時は、眼軸長と近視の相関関係がはっきり解明されていませんでしたが。

もう成人しているので、スマホやタブレットの視聴時間や距離を言っても聞く耳を持ちません。

せめて、毎年、母(院長)の定期検査を受けて~

 

その他、最大限聴いて終了。

 

今回のお楽しみはM先生とのランチです。

ある分野ではとてもエライ(偉い)先生。

お姉さんのような素敵な先生です。

3年前の学会で一緒のホテルに泊まる予定でした。

予約の件でラインしたら『HP読んだ?新型コロナで現地開催なしになったって』

 

3年分の話が弾みます。

3年間色々あった過去から現在、そして今後の展望まで。

『オルソケラトロジー始めたんです』

『うちは、もうとっくに始めてるよ』

あれま!?毎度、眼科の知識・情報をもらいます。

 

食後『江戸城付き合って~』

皇居ってこと!?

おもむろに取り出したのは、日本100名城スタンプ帳。

かなりの数のスタンプが。

『そうなのよ、はまってるの』

皇居=皇居ラン(以前マラソンにはまっていた時は上京したら走っていた)のイメージの院長。

ゆっくり歩くのも良い気分です。

城石を見て『切込接やわ~』とはしゃぐM先生。

城石の解説をしてもらいます。

スタンプを押して、江戸城制覇!?

 

犬山城と名古屋城は既に印が。

岡崎城・長篠城・岐阜城・岩村城・松阪城はまだとのこと(←100名城と知らない無知な院長)。

学会以外にも会える機会が増えそうです。

 

今回も、現地参加だからこそのお楽しみありの学会でした。

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 眼に関すること

2023.3.30 みんなが、周りが

『ICL(アイシーエル)ってどうなんですか?』

長年当院でHCL(ハードコンタクトレンズ)を処方している30代後半の患者さん。

HCL処方だけでなく、角膜炎や何やらで時々治療もしています。

『ICL考えているのですか?』

『ん~、周りがどんどんICLやり始めたので、私もやったほうがいいかな?って』

 

ICLとは…

ICLは有水晶体眼内レンズの略です。

 

一般の白内障手術は、濁った水晶体を除いて代わりに眼内レンズを挿入します。

ICLは、水晶体はそのままに(有水晶体)、自分の水晶体の前に(虹彩と水晶体の間)に眼内レンズを埋め込みます。

白内障手術後では、どのくらい見えるようにするか・したいかにより、眼内レンズのパワーを決定します。

一般的には、高齢になると近くのもの(新聞とか、食卓のものとか)がはっきり見えたほうが便利なので、近視に設定することが多いです。

 

一方、ICLは裸眼視力アップを目的とするので、裸眼で遠くがはっきり見えるように眼内レンズの度数を決定します。

白内障手術と類似の方法です。

レーシックと違い、角膜を削らない分、見え方の質が良いと言われています。

また、強度近視にも適応があります。

万一、何か起こっても眼内レンズを取り出せますが、内眼手術(眼の中の手術)であることは、それほど手軽ではないということです。

 

かたやレーシックとは…

角膜にエキシマレーザーを照射して角膜のカーブを変えることで、近視を減らし視力を回復させる手術です。

角膜をレーザーで削るので、強度近視(たくさん削らないといけない)や角膜の薄い人には不適です。

手術時間もリカバリー時間も短く、20年くらい前には大ブームになりました。

経時的に近視の戻りが出たり(視力低下)、グレアやハロー(かすみやぼやけ)、ドライアイが生じてきた患者さんも多く見ています。

角膜が薄い分、眼圧が見かけ上低く出るのも、眼科医としては留意しないといけません。

 

どちらの方法も近年では、老眼対応もあり、どんどん進化してきています。

 

『今コンタクトで困っていますか?』

『う~ん、すごく困ってはいないんですけど、みんながどんどんICLを受けてるから…

裸眼ですっきり見えたらいいな~っと思って』

院長も強度近視なので、その気持ちよくわかります。

特に、若い時は何度そう思ったか。

 

中等度以上の近視だと、生涯近くのものは裸眼で見ることが可能です(距離は様々です)。

50代(院長)だと、日常は弱めの眼鏡(診察用)を使用しています。

運転や学会などでしっかり見たいときは、遠方重視の眼鏡やコンタクトレンズを使用します。

いつも遠くはっきり見える生活では、中年以降は眼精疲労が起こり易くなるからです。

 

以上の話をざーっとした後…

『そういえば、眼科の先生って(近視矯正手術受けず)眼鏡が多いですよね~』

確かに。

院長、近視矯正についてはニュートラルな立場です。

 

ほとんどの眼科医が近視矯正手術を受けないのは、リスクとベネフィットを天秤に掛けた結果。

物事は、どんなことでもそう。

『よく考えて、自分にとって最良の選択を自分自身で決定してくださいね』で〆。

 

みんなが○○、周りが○○…言わなくなって久しいオバサン(院長)です。

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2023.3.14   今日にかぎって~

気分転換にデパ地下巡りをするのが好きな院長です。

デパ地下と言えども、街に行くには違い無し(緑区も名古屋市ですが)。

気合が入ります。

THE お出かけ、です。

 

さて、職業柄指輪をする習慣がありません。

微生物学の授業や、オペ室での手洗い指導で、いかに指輪(と指の間)に雑菌が多いかを繰り返し叩き込まれた医学生は、仕事中は決して指輪をしません。

結婚指輪でさえ。

指輪の習慣がないので、せっかくのお出かけでも指輪無しで行くことがほとんど。

若い時は、人並みに、指輪を買うのももらうのも嬉しかったし、もちろん婚約指輪と結婚指輪は特別です。

しかし、結婚生活30年弱でそれらは何回日の目を見たのやら…

ということで、最近になって物は使ってこそ!(先を考えるとジュエリーに申し訳ない)と思うようになりました。

 

ある日のデパ地下巡りに。

少し前に買ったワンピースにイヤリングとネックレス、指輪も。

ふだん選ばない指輪を今日は選んでみました。

誰かと会うわけではないのですが、街に行く気合です。

 

その日のデパ地下の催しコーナーは大人気のお菓子。

通常並ぶことは極力避けるタイプですが、長蛇の列の最後尾に並びます。

始めは商品さえ見ることが出来ないのですが、少しずつですが前進。

ショーケースが見え始め、具体的に何を買うかを決定。

あと4~5人先が自分の番です。

何気なく指輪の石を触りながら、じっと待ちます。

少し前に進んだ時、左手の薬指を見ると、空洞の指輪が!

一体何が!?

ついさっきまでは、緑のオパールが埋め込んでありました。

この指輪は、新婚旅行先のオーストラリアで家人が買ってくれたもの。

誕生石の可愛いファッションリングでした。

すぐ下の床を見てみるも、それらしきものは見つからず。

その場でしゃがんで探してみる…

とか

『すみませーん!指輪落としたので、ちょっと動かないでください!』(昔、ハードコンタクトレンズを落とした人は、このように叫んでいました)

とかは、もうオバサン(院長)勇気がありません。

上の空で品物を買った後も、しばらく下ばかり注視。

おむすびころりんみたいにどこへ行ったの?

おい、お~い。

 

終了後の清掃できっと見つかるはず、と信じて、デパートの遺失物係へ。

今も連絡がないということは、もう拾われたか捨てられたかは不明です。

小さいので、ごみの中で見分けがつかなかったのでしょうか?

 

多くのものの中からひとつを見つけるのが困難なことは、大人でもあります。

 

子どもの場合には顕著で、視力検査時の『読み分け困難』と言います。

通常、視力検査は、視力表を用い『どちらの方向に開いていますか?』と、どんどん尋ねていき視力を決定します。

しかし、視力が未発達な子供は、多くのものの中から一つのもの(指標)を選び出すことが困難なので、通常の視力検査がうまく出来ません。

そのため、ひとつだけCの指標(ランドルト環指標)を見せていくと、すらすらと答えてくれます。

 

オパールの石を落とした瞬間から

『どうしてなの~今日にかぎって~♫』(DESTINY 松任谷由実)のフレーズがリフレイン。

 

思い出の中には存在する!(と、前向きに)

空洞の指輪の先に未来を見ましょう(と、前向きに)

それでもまだまだ『どうしてなの~今日にかぎって~♪』と流れています。

 

*来週21日(祝)はお休みします

 

 

 

 

 

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2023.3.7 残りを活かす

ロービジョンケアの講演会を聴講しました。

フロアーバレーボールチームの見学をし、(一応)チームドクターになって以来、ロービジョンへの興味は、より実体験を伴うものになりつつあります。

視覚障がいで多いのは、全く見えない(全盲)よりも、ロービジョン(弱視)の人たちです。

生まれつき全盲でも、途中で失明もしくは弱視になっても、生活するための手段や技術を取得しないと生活できません。

特に中途失明・弱視者のために、視覚リハビリテーションがあります。

名古屋市では、地下鉄駅名でもある『総合リハビリセンター』が、主に担っています。

 

生活するのに重要な事項は

1.移動

2.読み書き

3.家事・日常動作

4.社会行動

 

1.移動にしても、初めての所に行きたい・階段を利用したい・交通機関を利用したい・夜間の移動したいなど人によって様々

2.読み書きも、新聞・雑誌?WEB?通帳?テレビ?などなど。

3.家事・日常動作も、料理・掃除?化粧?薬の管理?などなど。

4.社会行動では、お金の管理?時間の把握?買い物?趣味?スポーツ?就労?などなど。

 

近年は、緑内障の失明率が高くなってきました(だから、早期発見・早期治療が大切!)。

また、糖尿病網膜症による失明率も高いです(だから、まず内科治療を!)。

必然的に、中高年になってからの中途失明・弱視が多くなっています。

良く見えていた頃の記憶があるので、上記4項目の色々が出来なくなってくると、非常に落ち込んでつらくなります。

 

しかし、残された機能でいかに生活できるようにするかが、その後の生活の質に関わってきます。

 

眼科医としての治療の限界はありますが、リハビリでは自分の限界を越えて生活の質を上げることを目的としています。

上記1~4が健常者と同様に…は不可としても、日常生活が普通にできるようにはなります。

 

歩行訓練士による歩行訓練があります。

 

また、PCやスマホ、拡大読書器による読み書き(入力)や、点字訓練(まず読めること、書くことは後とのこと)、日常動作の訓練もできます。

 

フロアーバレーボールのメンバーたちは、何処にでも自分で行くし、スマホも駆使しています。

白杖を持ちながらスマホを触って…『本当に見えないのか?』と思われる(言われる)ことも度々あると聞きます。

今や、スマホは、ロービジョンのツール(関連リンクは最下部からご覧ください)としてとても優れています。

遠くの写真を撮って画面で拡大したり、音声ツールを使用しているかもしれません。

 

人や障害物にぶつかる、階段で落ちそうになる、信号が見にくいなどを感じたら、白杖を考えてよい時期です。

そして、使用には、訓練が必要です(リハビリセンターなどを紹介します)。

もちろん、持っているだけでも、人に注意を喚起するのには有効です。

 

眼科医として、医療で終わらず福祉につなげること。

そのためには、福祉の知識ももっと必要と感じました。

 

『人間は不幸には敏感で、どんな些細なことでも見逃すことはない。

だが、不幸にばかりに目が行けば、生きることはいつしか苦しみに満ちていく。

日々の生活の中に、幸せはいくらでも見つかる。

それを忘れてはいけない』

 

某新聞で見つけた翻訳家の言葉。

心に残る言葉との出会いも小さな幸せです。

 

ロービジョンに関する過去の記事もぜひご覧ください

2021.12.14  転ばぬ先の…

2020.9.29 色・明るさと交通事故

2019.5.28 ひかり・光 スペシャルゲスト

2015.10.27 日本臨床眼科学会

2013.10.15 待合室の薔薇

2013.04.20 スタッフもまだまだ学ぶ

2013.3.27 ちょっと仙台まで

2012.10.17 目を動かそう

2012.10.09 より良き明日に向けて

2012.7.3 スタッフも学ぶ、学ぶ

2012.6.11 始めなければ始まらない

2012.1.10 小豆で沈静

カテゴリー:健康 眼に関すること

2023.2.21  今年もスギ花粉症

新聞やテレビ、ネットで花粉飛散情報が流れるようになってきたこの頃。

毎年の院長のアドバイスを守って初期療法(花粉飛散前から、症状が出る前から点眼や内服)を始めている模範患者さんも多数。

きっと一年の自分のスケジュールに、「花粉症治療を開始する・こうクリニック受診」などと覚え書きされているのだと思います。

点眼開始第1、第2クールが終わる頃ですが、未だ自覚症状はなし。

それでもきちんと点眼を続行。

素晴らしい!

 

院長が眼科医になった頃は、高齢者は花粉症になりにくい…と言われていました。

実際、60歳以上のスギ花粉症推定有病率は1987年では5%弱、1996年では10%です。

しかし、H28年度東京福祉保健局の調査では、都内のスギ花粉症指定有病率(全体)は増加傾向がみられ、60歳以上でも同様の傾向(35%弱)が見られたと報告されています。

院長研修医の頃から比較すると、子供だけでなく成人・高齢者とも花粉症患者さんが増加している印象を受けます。

院長も40代にスギ花粉症を発症しました

また、今では、どちらかというと高齢者(60歳以上)に近い年代になっています(とほほ)。

 

現在2月半ばを過ぎましたが、ちらほらアレルギー性結膜炎の患者さんが。

「かゆい」はもちろんですが、「ショボショボ」「涙っぽい」「白っぽい目やに」などの訴えもあります。

そのうち、花粉飛散量がmaxになると「白目(しろめ)がぶよぶよ」も。

 

少しでも早く来院されることをお勧めします。

そして、プロアクティブ点眼を勧めます。

プロアクティブ点眼とは…

発症期間中は症状の有無に関わらず、抗アレルギー点眼薬を用法通りに使用する点眼治療のことを言います。

プロアクティブ点眼により、結膜中の薬物濃度を維持し、目のかゆみの発生を持続的に抑制できます。

 

「かゆい時だけ点せばいいですか?』

「かゆくなったら、2~3滴さしていいですか?』

の質問をよく聞きます。

「いけません!処方通りの回数でさしましょう。片眼1滴で十分です」

 

一般に、自覚症状があると点眼したくなり、症状がないと点眼忘れ…は、よくあるパターンです。

アレルギー性結膜炎の場合は、目の中のかゆみを抑える薬物濃度をいつも一定にしておくことで、急に花粉が大量に入っても、一気にかゆくなるのを抑えてくれます。

かゆい時に何回かさしても、目の中の薬物濃度がさした分だけ上がるわけではないので、あまり効果がありません。

 

これは、結膜炎やものもらい、白内障、緑内障などどんな病気にも当てはまることで、処方通りに点眼することで、目の中の薬物濃度が保たれ、治療効果を最大に発揮します。

 

コンタクトレンズ装用者は、花粉症の時期は、1day使い捨てSCL(ソフトコンタクトレンズ)や眼鏡をお勧めします。

SCLの材質分類で、グループⅣ(高含水率・イオン性)のものは、汚れや防腐剤を吸着しやすいので2weekタイプなどでは要注意です。

また、抗アレルギー剤を含んだ1day使い捨てSCLもお勧めです。

 

これからますます花粉飛散が多くなります。

新型コロナ禍でのマスク生活は、花粉症対策にも有効ですが、目のケアも!

 

「スギ花粉症のない北海道(シラカバ花粉症はあり)に、花粉症の時期だけ住みたいね~』と知人。

高齢者の仲間入りしたら、その時期だけ北海道に出稼ぎに行くのもいいかも!?

今度は、北の果ての医療が気になります…

 

こちらもご覧ください

めんぼ・ものもらい・何?

花粉症ゴホゴホ

そろそろ花粉症

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スギ飛んでる、飛んでる

今年の花粉症(自身編)

ヨーグルトと花粉症

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マラソン再び  そして花粉症

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うれしかった患者さんの来院

食べながら偲ぶ

 

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