2022.4.12 白内障と認知症

新聞の旅行広告に加え、週刊誌などの広告も欠かさずチェックしている院長です。

週刊誌を購読する習慣もなく、喫茶店に入って読むという習慣もないので、見出しだけで勝手に想像しています。

”眼の老化「白内障」の手術で「認知症発症リスク」は30%低減”

ある日の週刊誌の広告見出しです。

いつもならサ~っと流し読みですが、職業柄、ん?

今月の眼科学会誌でこのような内容を読んだばかり。

 

眼科学会では、高齢化に伴う眼科医療について常々検討・論議されています。

週刊誌の詳しい内容はわかりませんが、出版業界としては、目を引くような見出しやワードが読者の関心を引き売り上げにつながります。

健康関連の一般向け書籍でも、タイトルはびっくりするほど気を引きますが、内容は大したことがなかったり、医学的根拠に乏しいことも多々あります。

体験談が多いのも特徴です。

院長なりの学会誌に基づく解釈をしたいと思います(→院長コメント)。

 

まず、健康寿命を脅かす3大要因は、認知症・メタボリック症候群・フレイルです。

 

#高齢者の健康状態の特徴とQOL(生活の質)を調査する疫学研究(藤原京スタデイ・奈良県65歳以上約2900人参加)において…

視力不良を0.7(運転免許必要視力)未満とした時

視力良好(0.8以上)群では認知症5.1%

視力不良(0.7未満)群では認知症13.3%

視力が悪いほど認知症が増加していた。

 

#視力不良(0.7未満)群では、認知症のリスクが2.9倍高かった。

 

→白内障は加齢に伴い必発の病気です。

矯正視力0.7が視力不良のひとつの目安です。

 

 

#白内障手術既往群(668名)と非手術群(2096名)の2群で分析を行ったところ、視力の要因と関わらずMCI(軽度認知機能障害=認知症の前段階)を2割程度防げることが分かった(藤原京スタディ)。

 

→まずはMCI の早期発見が大事だと思われます。

名古屋市では65歳以上対象に物忘れ健診を実施しています。

当院でも実施していますのでお問い合わせください。

 

#80歳以上では、白内障手術を受けていない眼は、手術を受けている眼よりも優位に視力(0.7)が悪い。

 

→80歳以上だと、白内障手術をした眼のほうが、白内障手術をしていない眼よりも有意に矯正視力がよくなっています。

白内障手術をした眼は、眼鏡で矯正すれば視力が出る。

白内障手術をしていないと、眼鏡で矯正しても思うように視力がでない。

80歳未満だと、両者に有意差は出ていません。

 

→80歳未満だと、白内障手術をしなくても、眼鏡で良好な矯正視力が出れば、白内障手術を慌ててする必要もありません。

80歳以上だと、眼鏡よりも白内障手術をしたほうが、良好な視力が出やすいということです。

 

 

今すぐにでも認知症予防に、白内障手術を受けたほうがいいの?と心配されるかもしれません。

白内障は、多くは加齢による水晶体の濁りなので、しわのように多少に関わらず出現してきます。

矯正視力や裸眼視力で運転など支障がなければ、急いで手術する必要はありません。

多くは、眼科医のほうから手術適応のタイミングで声を掛けます。

もちろん視力がよくても、見え方の質にこだわられる方は、早めに受けることも可能です。

 

テレビや週刊誌の見出しで慌てず、眼科医にご相談ください。

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2022.4.5 初めての御朱印

宗教・宗派に関係なく『め・目・眼』に関するワードには、飛びついてしまう院長です。

お寺や観音様にはそれぞれ縁日があり、年間決められています。

院長も仕事があるので、縁日と院長の休みが一致する日は、1年に1回か2回。

昨年から、行こうと温めていた眼の観音様へGO!

 

新幹線に乗って京都に向かいます。

途中、米原は雪。

サンダーバードも湖西線(びわ湖の西)を通らず、東海道線と北陸本線を通って(びわ湖の東)運行とのニュースが流れます。

サンダーバードの変則運行。

いいな~、京都駅でサンダーバードに乗りたい…気持ちを抑えつつ、京都から長岡京へ、

 

今回は、長岡京市の『柳谷観音 楊谷寺』です。

駅からは遠いので、縁日以外だと約1時間のハイキング(徒歩)となります。

健脚の院長ですが、さすがに…

縁日だけはシャトルバスがあります。

 

柳谷観音の開創は806年。

811年、弘法大師空海が参詣されていた折、お堂の傍らの溜まり水で子猿のつぶれた目を洗っている親猿を発見。

空海が17日間祈祷を施したところ、満願の日に子猿の目が開いたとのこと。

空海はさらにこの水に祈祷を施し、眼病に悩む人々のために霊水『独鈷水(おごうずい)』にしたそうです。

大木の人々の眼病を治癒してきた楊谷寺は、全国から参拝が絶えないとのことです。

 

実際、白杖を持って参拝されている方も何人かいらっしゃいました。

恐らく、回復の見込みのない眼病(色々あります)でしょうが、眼科医には到底かなわない、信仰と祈りが、拝むことで心の救いになるのかもしれません。

眼科医は、失明を防ぐために、視機能を出来るだけ保つために努力しますが、その後のことに対しては微力だと思うことしきり(院長が微力なのですが)。

 

さて、ここは花手水でも有名です。

 

手水は手を清めるお水ですが、ここでは、生け花が水鉢の中に浮かべてあり、まるで絵画のようです。

お花の玉手箱のようで、インスタ映えすること間違いなし!

境内には、数か所、種類の違う花手水があり、ついつい写真を撮りたくなります。

 

正一眼力稲荷大明神では職業柄?特に、しっかりと参拝。

眼科医として精進できますように。

眼病治癒に少しでもお役に立てますように。

眼病平癒祈願というより、眼科医力?授かり祈願になってしまいました。

 

本堂では、たくさんの僧侶たちのお祈りが始まります。

ほら貝の笛の実演も初めてでした。

 

縁日の日だけは、押し花朱印がいただけるというので、院長も申し込みました。

押し花キットがあり、色々な大きさ・色の花びらが入っています。

シールの面に、専用のピンセットを使って貼り付けていきます。

美的センスには自信が無い院長ですが、我ながらまずまず…と上からもシールを貼って完成。

押し花の横に『花心 楊谷寺』

とても可愛らしい、初の御朱印です。

 

お札を買いましたので、また、院内に貼っておきます。

ご朱印も。

眼病平癒のお札やお守りが増えているので、神様同士が喧嘩するのでは?とも聞きますが、人種・民族・国家もジェンダー(性別)もボーダーレス(を目指す)な時代。

お守りの神様だって、色々あって、一緒に居たっていいじゃない?

 

美しい花手水に、目も心も洗われた一日でした。

2012.11.13 医者も祈願する!?

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2022.3.29  目がぶよぶよ

眼科春シーズン開幕中です。

 

この時期、眼がかゆい・充血・しょぼしょぼ、・めやに…などの訴えで来院される患者さんが多くなります。

毎年スギ花粉症で受診される患者さんには、『昨年もこの時期でしたね~お久しぶりです』

毎年必ず、次年度からは初期療法を…とお伝えしているのですが、忘れてしまうのね~

スギ花粉飛散のピーク、つまり自分の症状がかなり強くなってから来院されます。

『かゆくならないと、なかなか眼科来る気にならないですよね~でも、来年は早めに治療したほうが楽に済みますよ~』

もちろん、院長の草の根啓蒙活動により、初期療法から来院される患者さんも増えてきましたが…

 

アレルギー性結膜炎は、花粉が原因で起こる季節性と、季節を問わない通年性があります。

季節性は、今まさにシーズンのスギ花粉。

続いて起こるヒノキ。

5月からのイネ科のカモガヤ。

秋のキク科のブタクサがあります。

北海道では、スギ花粉がない代わりに、シラカバ花粉があります(北海道出身の患者さんからの体験談)。

通年性はダニ・ハウスダストが主な原因ですが、犬・猫・ハムスターや鳥なども。

 

いずれにしろ原因を除去するか避けることが一番ですが、点眼治療も開始します。

 

かゆみが主ですが、強くなると充血・異物感・痛み(この場合かゆみの延長による痛み)・まぶたの腫れや荒れが起こります。

眼の裏を見れば、ひどいと、肉眼でもぶつぶつ(濾胞)があるのが分かります。

また、時に白眼がぶよぶよになることもあります。

強いアレルギー反応(多くは搔きすぎ)で、結膜(白目)が充血して水がたまり浮腫が起こった状態です。

眼が飛び出すんじゃないかと思うくらいの浮腫(白いぶよぶよの中に茶目)の場合は、びっくりされるのも無理はないと思います。

『元に戻りますか?』

『大丈夫です、一時的にアレルギー反応が強く出ただけですよ。目薬をしっかりさして、こすらないように』

抗アレルギー剤の点眼薬のほか、ひどい場合はステロイド剤の点眼薬も追加します。

ステロイドは、眼圧が上がる副作用もありますが、眼科医の管理の下で使用すれば、大変効果のある薬です。

 

加えて、外出から帰ったら、人口涙液で目の中に入った花粉を洗い流すのも有効です。

洗い流すのがポイント。

その後、処方された点眼薬を、指示通り、かゆくない時もさします。

 

目がぶよぶよ…の訴えで患者さんが一番多く来院されるのは、実は5月です。

春の遠足が、カモガヤ花粉シーズンと重なります。

カモガヤは、イネ科の雑草で、公園や道端に生えている丈の短い草です。

小学校低学年の子供の背丈位まで飛散するので、遠足から帰ってきたら目がぶよぶよ!で、びっくり!となります。

イネ科アレルギーの子供さんは要注意です。

 

院長もスギ花粉症です。

20年くらい前に初めて発症して以来、いつも鼻症状。

つらさ回避のため、初期療法開始しています。

先日、ラウンドにてマスクを外した途端、くしゃみ5連発。

マスクの効果は偉大です。

アレルギー抑制効果のあるコンタクトレンズを装用してプレイしたスギ花粉症の知人。

終了後の感想は『とても快適だった』

アレルギー症状の緩和と快適なゴルフ(その他屋外スポーツ)に、興味のある方はご相談ください。

 

 

 

カテゴリー:眼に関すること

2022.3.15  ごちそうはオムライス

毎年恒例の人間ドッグ。

毎回苦手な胃カメラです。

今年の担当医は院長と同年代。

口調も操作も非常に手慣れて滑らか。

苦手意識軽減。

特に異常もなく今年も安心です。

 

胃カメラのための12時間以上の空腹からのごちそうは何を…?

この楽しみがあるから、苦手な胃カメラも乗り切れます。

 

今年はオムライス!

胃カメラを受ける前から決めていました。

 

外で食べるオムライスの中でも、1位は某ゴルフ場のレストランのオムライス。

他のメニューには目もくれず、毎回オムライス。

ナイフでオムレツを切ると中からとろとろと流れるオムライスです。

ラウンドよりオムライスが楽しみな不届きなゴルファーです。

 

今回はレトロなタイプのオムライスを食べに。

お勧め新メニューに、初めて見るドレスドオムライスが。

卵生地がドレスの裾のようにドレープ状になっています。

初物には弱い院長ですが、ここは予定通り定番のオムライスを。

ケチャップライスを薄手の卵で巻いてあります。

 

アツアツのコロッケもセットで。

空腹が満たされます。

デザートはいちごパフェを。

隣の老婦人(恐らく80前後)も同じメニュー。

目が合い会釈を。

80になっても、一人でこのお店に来る。

自分のやりたい(やる)ことリストに追加です。

 

帰りに本屋に寄ると、オムライス(だけ)の料理本が目に留まりました。

食べたばかりなのに、家でも食べたくなり購入。

 

帰宅し本を開くと、オムライスも4種あるようです。

本日食べた、ご飯を包むスタイルの昔ながらのオムライス。

半熟卵を乗せるタイプのオムライス。

お勧め新メニューの、卵をドレープ状にして乗せるドレスドオムライス。

ゴルフ場の、中が半熟上のオムレツをご飯の上に乗せるタンポポオムライス。

 

いくつになっても『夕飯は(何)?』と聞く息子(たち)です。

家人は聞かないどころか、忙しい時は察して調理する姿勢に(共働き生活長年の賜物)。

息子たちも、母(女性)の忙しさを察して作るくらいの気概が欲しい(ジェンダー教育道半ば)。

いつもなら、息子(たち)が在宅だと張り切るのですが、その日は飯炊きオバサン辞すことに。

『この本買ってきたから、作って。ちょうど4人いるから4種類お願い!』

 

手分けしてガチャガチャやっているよう。

『出来たで~』

お店のとは違いますが、まずまずの見栄え。

そしてまずまずの美味しさ。

『美味しい!』

『だろっ』

これから何回も作って十八番にして~

 

美味しいオムライスの基本は卵3個に生クリーム10グラム。

生クリームは高価なので、専ら牛乳を使っていたのですが、この美味しさを実感すると、今後、断然生クリームと決意した院長。

生クリームがたくさん残っているので、その日以降も毎日オムレツを作って食べています。

 

さて、眼科と卵は関連があります。

『卵黄様黄斑(おうはん)ジストロフィー』

網膜(眼の奥)の中心の黄斑(おうはん)が侵されていき、小児期から徐々に視力低下やゆがみが起こる病気です。

黄斑が卵黄みたいに丸く黄色くなります。

遺伝病で、指定難病です。

日常診療ではまず遭遇しませんが、眼科専門医としては常識的な病気です。

卵を割るたびに、この病気を連想します(院長だけ?)。

 

オムライス作りの新しい楽しみが増えました。

でも、卵の消費が早いこと、早いこと。

ダチョウの卵が欲しくなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.3.8  世界緑内障週間2022

緑内障診療ガイドライン第5版が届きました。

診療ガイドラインとは、エビデンス(科学的根拠)に基づいて最適と思われる治療法を指示する文書のことです。

2003年に初版が出版されて以来、5回目の改定。

 

医学全般、日々進歩しています。

眼科学もそう。

その中の緑内障診療についてもそう。

 

院長が初めて参加した全国的な学会は、緑内障学会。

私たち研修医は、一般講演の内容もほとんど理解できず???

大御所の先生たちの特別講演の内容も???

『なんか、難しい話ばかりだったね~』

『どうやって聞いた講演をまとめよう?』などなど。

メーカーの担当者さんが『大丈夫ですって。すぐに発表する側になりますよ』と、ご飯を食べながら励ましてくれました。

あんな難しいこと、わかるようになるの?出来るようになるの?と、見えない未来の中、先輩たちの指導を仰ぎながら日々緑内障診療。

いつの間にか、学会の内容も理解できるようになっていたのでした。

 

緑内障治療の原則は眼圧下降です。

まずは点眼、そしてレーザー、手術があります。

院長が研修医の頃、教授が好んで使用されていた点眼薬も、今ではほぼ消失。

代わって、様々な機序の新薬は開発されていますし、配合剤(2種類が1ボトルに入っている)も主流になってきました。

レーザー治療も、以前からありましたが、古い術式から新しい術式に変化しています。

また、手術も、大枠は変わっていませんが、派生して色々な術式が発表されています。

 

緑内障に対する考え方も変わってきました。

院長が眼科医になる以前は、緑内障は眼圧が高いことがスタンダードでした。

しかし、研修医の頃から、眼圧が正常な(基準値より低い)緑内障もある…と言うことが分かっていました。

今では『正常眼圧緑内障』ですが、当時は『低眼圧緑内障』と呼ばれていました。

日本人の多くは正常眼圧緑内障というのも、2000~2001年の多治見市疫学調査で分かったことです。

眼圧だけで判断できない。

視神経の変化、視野の変化、正確な眼圧測定が大事。

研修医の頃に叩き込まれました。

 

元々、眼科は、検査機械の多い科ですが、診断機器も著しく進化しています。

人間の眼ではわからない、眼の奥(網膜や神経)の様子をあらゆる方向から観察することが出来ます。

視野変化が起こる前の緑内障(前視野緑内障)という新しい病名も出来ました。

 

画像を用いての診断や説明は、今では緑内障診療に欠かせません。

もちろん、機器だけに頼るのではなく、あくまで眼科医としてのスキルあってのことです(自戒)。

 

今年の世界緑内障週間・ライトアップinグリーン運動のスローガンです

 

『早期発見・治療の継続・希望

あなたの目がずっと見えていますように

40歳を過ぎたら眼の定期検診を!』

 

日本の視覚障害の原因の第1位は緑内障(28.6%)です。

しかし、自覚の少ない初期・中期に発見され、治療すれば、不自由なく一生を過ごすことが出来ます。

40歳以上の約20人に1人は緑内障になっていると報告されています。

眼科検診で異常なければ安心。

もし緑内障と診断されても、眼科医と二人三脚で進行を抑えられるよう頑張りましょう!

 

当院も運動に参加しています。

3月6日から12日まで、花壇にグリーンライトが点灯します。

世界緑内障週間

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.2.22 めんぼ・ものもらい・何?

目が腫れた、痛い…で来院される患者さんが多いのも、地域かかりつけ医の特徴。

 

まぶたの縁にある脂腺や汗腺に細菌感染が起こり、炎症を起こす病気を『麦粒腫(ばくりゅうしゅ)』と言います。

一般には『めんぼ』または『ものもらい』と言われます。

まだ顕微鏡で診察しても、発赤もはっきりしない程度から、まぶた全体が赤く腫れて触るだけで痛いという患者さんまで程度は様々です。

抗生物質の点眼薬をしっかり点せば多くは治ります。

ただし、化膿している場合は、切開して排膿します。

目(正確にはまぶたやまぶたの裏側)を切る!となると、子供の患者さんは大騒ぎとなりますので、何するんだろう?くらいの一連の流れでベッドの上に(もちろん保護者には説明)。

『ちょっとチクッとするからね~少し我慢してね~』と言いながら切開排膿、軟膏を入れて眼帯を。

『頑張ったね~』と褒めながら、保護者の元へ戻ってもらいます。

眼帯は頑張った証でもあり、付き添いの兄弟姉妹は、少し羨ましそうに(痛いのは嫌だけど)見ています。

 

まぶたの腫れは同じですが、しこりを伴うものは霰粒腫(さんりゅうしゅ)と言います。

まぶたの縁にあるマイボーム腺という脂腺に脂分がつまり、しこり(肉芽腫・にくげしゅ)が出来たものです。

しかし、細菌感染を起こすと、急性霰粒腫になり、麦粒腫と同様、腫れや赤み・痛みを生じるようになります。

しこりだけで来院される患者さんはほとんどありません。

痛みや赤みなどの自覚症状が出て来院されることが多いので、点眼治療をします。

小さいしこりは、時間の経過とともに吸収され目立たなくなってきます。

しこりだけが大きく残って、長期間引かない場合は、しこりを摘出する手術をすることもあります。

 

ところで『めんぼ』は、どうやら東海地方で多く使われているようです。

『めんぼ』表現使用率(全年齢層)は

1位 岐阜県51%

2位 愛知県48%

3位 三重県31%

院長は岐阜県出身で愛知県在住なので、普通に使っていましたが、全国区の言葉ではないようです。

 

『ものもらい』の語源は、物をもらうと治るという江戸時代の民間療法から。

目が腫れたとき、祖母(明治生まれ)と隣家に行って10円をもらった幼少時の記憶が。

今思えば、麦粒腫だったのでしょう。

民間療法とはいえ、点眼もせず治った記憶があるので、民間療法恐るべし。

もちろん、お勧めはしません。

 

以前、関西出身の患者さんから『めばちこ』と言われ、初耳。

方言色々です。

 

研修医の頃、めんぼ・ものもらいの外国人患者さんに、覚えた英単語『hordeolum(麦粒腫)』と説明したら『??』

『chalazion(霰粒腫)』ならわかるかと説明したらもっと『??』

どちらも医学用語。

一般的な styeと言えばよかったようです。

英語と言えども、医学用語まで知っているはずはないことに気づかなかった院長。

日本語だって、専門用語と一般表現とは違いますから。

そして、言葉も進化?しますし。

 

若い患者さんが、自分の眼の画像を見て

『まじ、キモイっすね』

『うあ~えぐいわ~』

自分では使わない若者言葉に苦笑しながら説明するオバサン院長です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.2.15 ドーナツと緑内障

先日、ショッピングセンターで小腹が空いた院長。

Mドーナツ店の前を通ると…

某ショコラティエとのコラボドーナツが。

 

せっかくだからドーナツで一休みすることにします。

何年ぶり?

期間限定の…チョコレートをまとったハート形やガナッシュをサンドしてあるドーナツ数種。

キュートだわ~♡

どれにしようか…

しかし、結局選んだのは、定番のドーナツ2種。

斬新さより懐かしさが優先しました。

 

ドーナツにはコーヒーが一番合うとは思いますが、筋トレを始めてから常に頭の片隅に『タンパク質摂取』という言葉が。

炭水化物と油脂が主だから、ホットミルクをオーダーします。

 

丸いドーナツにクリームが入っているもの。

ドーナツは穴が開いているものと信じていた昔、初めて見て食べたときはびっくりしました。

軽い触感でチョコがかかっているドーナツも。

 

小学生のころ、街に勤めている母が買ってきてくれたのが、これらMドーナツとの初めての出会い。

田舎では、まだ誰(同級生)もそんなドーナツを食べたことがありませんでした。

 

母はフルタイムで働いていたので、よく街のドーナツを買ってきてくれました。

それはそれで嬉しかったのですが、母の手作りドーナツにも憧れていました。

それを察してか、ある日、父がドーナツを作ってくれました。

膨らし粉でつくった穴の開いたドーナツ。

白砂糖がまぶしてあります。

嬉しくて切ない、小さい頃の思い出です。

 

その後、自分で街へ行くようになり、ドーナツも自分で買えるようになりました。

高校のクラスメイトのお姉さんのバイト先はMドーナツ。

残ったドーナツをおすそ分けされ、お昼休みに何個も頬張ったことも。

若さゆえ、一度に3個食べるのは当たり前。

体重も人生最大値を示した頃です。

 

そんなに大好きだったドーナツ。

今、久しぶりに、ドーナツを目にすると、走馬灯のようにドーナツをめぐる物語がよみがえります。

一口食べてみると、懐かしい。

そうだ、そうだ、こんな味・触感だった。

若いころのように、バクバクあっと言う間に平らげることもありません。

一口食べてホットミルクを一口。

ドーナツひとつで十分でした。

 

さて、院長は、1日1回は『ドーナツ』という単語を口にします。

日々、健康診断で『視神経乳頭陥凹(かんおう)拡大』を指摘され、精査目的で来院されます。

目の奥の網膜(もうまく)には、光を感じる細胞(視細胞)があります。

視細胞で感知した情報は視神経線維を通って、脳へ送られます。

視神経線維は、眼球の奥(視神経乳頭)でまとまって束となり、眼球の外(脳)へ向かって出ていきます。

 

この視神経乳頭の陥凹は誰にでも認められます。

しかし、その陥凹(=へこみ)が標準より大きい場合、健康診断で『視神経乳頭陥凹拡大』と指摘されます。

 

乳頭陥凹拡大を指摘されたということは、緑内障の検査をしてね、ということです。

緑内障で、視神経の数が少なくなると、視神経線維層の厚みが薄くなり、視神経乳頭陥凹拡大が大きくなります。

院長は、ドーナツの話をします。

穴が小さく食べるところが多いドーナツ(正常陥凹)と穴が大きくなって食べるところが少ないドーナツ(視神経乳頭陥凹拡大)。

ドーナツのように、視神経陥凹は穴ではないのですが、イメージです。

視神経乳頭陥凹拡大だからすべて緑内障というわけではありません。

緑内障の早期発見・早期治療のためにも、指摘されたら眼科を受診してくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.2.8 sagging eye 症候群

毎晩午後7時のNHK ニュースはチェックする院長です。

朝の新聞と夜のニュース。

ニュースの情報源は、ほぼこの2つなので、ごくたまに、その間のニュースを知らずにいることも…

 

いつもはニュースが終わったらをテレビを切るのですが、その日はたまたま『ためしてガッテン』の番組が始まり『目』という言葉が。

慌てて、リビングのテレビの前に陣取り『何々?』

 

その日の番組は『目のぼやけ』にまつわる新しい?病気。

令和2年から眼科研修医ガイドラインにも登場したという病気だそうです。

(研修医ガイドラインもない時代に研修した院長です)

 

目がぼやける。

二重に見える。

でも、眼球には異常がない。

両眼で見るとぼやけるけれど、片眼ずつだとはっきり見える。

なかなか診断がつかなかった。

何?

実はsagging eye 症候群だった。

そして、プリズム眼鏡を処方してもらい、改善したという筋立て。

 

sagging eye 症候群とは…

眼窩(眼球が入っている奥)壁の周囲になるプーリー(コラーゲンやエラスチン・平滑筋からなる結合組織)が、加齢により薄くなって外眼筋(目を外に向ける筋肉)を支えきれなくなり、斜視を引き起こす病気のことです。

sag(たるんだ)eye(目)の通り、加齢によりたるんだ目ということになります。

主に、遠くを見たときに内斜視がはっきりするため、遠くを見るとぼやける・二つに重なる(複視)が起こります。

近くを見るときは、両眼とも内寄りになるので気付きませんが、遠くを見るときは、両眼をやや広げてみる必要があるので、片眼が内向きになっていると外側に向きにくくなります。

眼窩周囲の筋肉やプーリーにターゲットを絞ったMRIで確定診断されます。

番組では、眼位(目の位置)を正面にするプリズム眼鏡で治療されていました。

プリズム眼鏡で改善が難しい場合は、手術になります。

 

テレビ番組の反響は大きいです。

sagging eye 症候群ではないかと、心配されて患者さんが来院されました。

眼位は問題なし。

眼球も問題なし。

ただし、片方の眼鏡度数が合っていませんでした。

 

眼位・眼球運動は良いか。

両眼でぼやけるのか、片目だけでぼやけるのか。

縦横どちら方向に。

矯正視力は出るか(ぼやける患者さんの多くは、きちんと矯正すればぼやけは解消します)。

眼鏡やコンタクトレンズは合っているか。

眼以外の病気はないか(糖尿病でも複視が起こります)。

もちろん眼球全体の診察も。

 

『加齢性斜視』とも言われるsagging eye 症候群。

長生きになった分、色々な病気がメジャーになってきます。

院長の研修医時代にはなかった加齢性○○の病気は、まだまだ増えそうです。

しかし、早期発見・治療も進歩しているのも事実。

加齢でも華麗に生きたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

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2022.1.18   コンタクト内部に薬効成分

名古屋も先日雪が降り、寒い1月です。

とはいえ、2月上旬にはスギ花粉の飛散が始まります。

 

2022年春の花粉飛散予測第2報では…

スギ花粉の飛び始めは全国的に例年並み

飛散量は九州から関東甲信で例年並みに少ないが、東北と北海道は例年より多い

東海から北海道は前シーズン(2021年春)と比べると飛散量が多い

とのこと。

 

東海では、例年比では少ない(70%)が、前シーズン比ではやや多い(130%)という予想です。

ちなみに例年とは過去10年の平均値です。

 

一般的には、一番近い過去の花粉症の症状を記憶しているので、昨年よりは早めに治療開始をしたほうが良いです。

飛散開始の2週間くらい前から、アレルギーに対して点眼薬や内服を使い始めることを勧めています。

これを初期療法と言います。

早めに使うことで、花粉が飛び始めてもアレルギー反応が出なかったり、軽症で済みます。

毎年繰り返して初期療法についてお話しするので、心得た患者さんは、そろそろ点眼薬や内服薬を開始するために来院されます。

他のことで受診している患者さんも、スギ花粉アレルギーがあれば、初期療法を開始します。

 

さて、コンタクトレンズ装用患者さんでアレルギーのある場合。

コンタクトレンズの上から点眼可能な薬液にしたり、一日使い捨てタイプにしたり。

ただ、アレルギー結膜炎の所見がひどければ、コンタクトレンズは中止することになります。

昨年末、抗アレルギー剤を配合した一日使い捨てコンタクトレンズが発売されました。

 

アレルギー症状を緩和する点眼剤と同じ成分が、コンタクトレンズ内に取り込まれています。

コンタクトレンズを装用すると、抗アレルギー成分が涙液層に拡散し、効果が発現します。

治療ではなく、アレルギーの症状緩和なので、眼科医による適応基準があります。

気になる方は、院長にお尋ねください。

詳細はこちらをご覧ください

 

コンタクトレンズと治療を結びつける試みは今後も研究されていくと思います。

装用することで一日の眼圧測定(関連値)ができる検査用ハードコンタクトレンズはすでに発売されています。

今回は、アレルギー症状緩和のソフトコンタクトレンズ。

 

新型コロナウイルス流行以来、マスク着用が習慣になり、意外と鼻炎症状は起こしにくくなっているようです。

しかし、眼は覆うことが出来ないので、直接花粉が飛入します。

かなりかゆくなり、眼もひどい状態になってから来院する患者さん。

飛散が始まる前から毎年来院され初期療法を開始する患者さん。

日頃の診療でもそうですが、こと、花粉症の時期には、患者さん個々の性格を再確認してしまう院長です。

 

初期療法はとても有効ですよ!

 

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カテゴリー:眼に関すること

2021.12.21 目薬コロコロ

『キャー!何やってるの!?』

オバサンの大きな声。

院長は、とある地方都市のホームに停車中の本駅発列車の横シート座席に座って本を広げたところ。

昼下がりの午後の車内は乗客もまばらです。

 

『何やってるの!』

みんなが一斉に向けた視線の先には…

オジサンのが太ももがホームと列車の隙間にスッポリ。

目が点…あっけにとられている間もなく、すぐに、男性数人がオジサンを引っ張り上げ始めました。

発車まで数分。

事なきを得、救助した男性たちも、取り囲む人たちもサーっとそれぞれの方向へ。

 

70代前後のオバサンは、大声で『この人(同年代オジサン)、バスで疲れちゃったんですよ~。どこか、席座らせてもらわないと』と、アピール。

乗降口付近の乗客は、さっと別の席へ。

オバサンが先に座り、オジサンが後に続きます。

二人は、それぞれ4泊5日分くらいのキャリーケースを持っていました。

どこかの旅行の帰り?

飛行機+バス旅行?

だとしたら、あの空港から?

オジサンは、左太ももをさすっています。

『何やってるの?』(と言われても…)大声で繰り返すオバサン。

()は院長のつぶやき

『痛いの?』(そりゃ、痛いでしょ)

『骨折したの?』(まさか、それはない。おそらく挫創)

無言で太ももをさするオジサン。

対面の席で、大きな声で詰問するオバサンに、院長も怒られている気分に。

 

恐らく、加齢により、足を上げる力、踏み込む力が弱くなり、歩幅が狭くなってはまってしまったのでは。

大事に至らなくて本当に良かったです。

 

オジサン普段から、つまづき易かったり、転びやすかったりするのかな…

 

点眼薬も転がります。

先日、ある患者さんから『出してもらった目薬が、すぐ転がってしまう』との声。

後発品(ジェネリック)の場合は、医師がメーカーを選択することは出来ないので、薬局に在庫がある薬を受け取ります。

見せてもらったのは、ジェネリック品。

確かに、円柱形なので、キャップもボトルも、転がりやすそうです。

 

先発品新製品が出るたび、院長はあらかじめ点眼してみます。

 

・透明か濁りか

・しみるか否か

・さらりかどろり(粘度)か

・点した後の充血ありか

・点した後のかすみありか

など、特徴ある点眼薬を処方する場合は、予め、伝えるようにしています。

自分の体験談も。

 

先発品が優れていると一概には言えませんが、各社、点眼薬のボトルにも患者さん目線で考えています。

 

キャップの形で採用されているのは、10角形のねじれ。

12角形だと円柱型と同じように転がってしまうそうです。

8角形以下のねじれだとバランスが悪くなるそうです。

 

また、点眼瓶の先に穴が開いているだけのように見えますが、メーカーによっては、開栓しやすい様に、らせんのねじれになっています。

 

ボトルの形も様々です。

市販の点眼薬は、おしゃれなデザインで、医師が処方する点眼薬に比べて固いものが多いです。

処方点眼薬は、患者さんが使用するという前提で設計されています。

3本の指で、持ちやすいよう、指との接着面が広く安定するようになっています。

扁平型だったり、胴体がくぼんだ型だったり。

そして、少ない力で正確に1滴点眼できるよう設計されています。

 

容器も機能と見た目を兼ね備えているデザインになっています。

 

人は老化し、機能も見た目も低下してきます。

自身で努力できることはし、デザインの低下を少しでも抑えていきたいと思うある日の出来事でした。

オジサンの挟まった太ももを案じつつ…

 

 

来週12/28は『公センセの部屋』はお休みします。

今年もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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