2016.3.22 学校健診の変更

来年度(4月)から学校保健安全法の一部改正が施行されるので、学校医は講習会へ。

内科検診では座高・寄生虫卵有無の検査は削除され、新たに四肢の状態が追加されることに。

また、身長曲線(身長の伸びのグラフ)・体重曲線を積極的に活用して、

発育の評価をすることになりました。

 

さて、眼科では…

『色覚検査』が復活です。

名古屋市では平成14年度から施行されていません。

大方の人が、小学校で表を見せられ、数字を答えたり線をなぞったりしたことが

あると思いますが、それが色覚検査です。

男性では20人に1人、女性では500人に1人の確率で発現します。

色覚異常に対するバリアフリー化(黒板での赤チョークの使用をやめる・

色間違いを起こしやすい配色は避ける)が教育の場で行われてきたことは喜ばしいことですが、

問題も起こりました。

きっかけは、色覚異常と自覚しないまま社会に出た若者が、就職時の健診で初めて知り、

希望の職をあきらめたという経験が報告されたことです。

 

そのため、今回の色覚検査の目的は…

自らの特性をあらかじめ知って将来に備えることの有用性を大事にする。

学校での色覚検査の意義を見直し、希望者には学校保健の中で検査する。

例えば色覚異常とわかったら、航空機のパイロットはあきらめないといけないけれど、

それ以外で自分に適した職業を目標に頑張れます。

背が高い・低い、体重が重い・軽いなどの身体的特性と同じように考えましょう、

ということ。

 

名古屋市では、小学1年生の「保健調査」で、保護者から「色間違いをすることがある」

と連絡があった児童に対してのみ色覚検査の希望を尋ねるとのこと。

しかし、保健だより等で、児童誰でも検査を受けることが出来る機会があることは、

情報提供されるようです。

 

短所であれ長所であれ『特性』と受け止め、プラスに考える。

児童にそれを自分だけで受け止めるのは、ちょっと難しいかもしれません。

もちろん保護者だけでも…

そんな時には、学校医に相談してください。

学校保健委員会にも、ぜひ参加してみてください。

 

さあ、あと1ヶ月もしたら、健診シリーズ始まりです。

健診時、大きくなった子供たちに会えるのが楽しみでもあります。

 

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2016.2.9 視線が怖い

『視線の恐怖』の『視線』と言う言葉が気になってEテレ(教育テレビ)を見ました。

 

視線が怖い…?

真っ先に浮かぶのは『ガンつけ』

経験したことはありませんが、そんなことがないように、

その手の人とは関わらないようにしている人が一般的でしょう。

次に浮かぶのは『サスペンス』ドラマや映画での登場人物の視線。

好んで見る人もいるでしょうが、自分はこの手のドラマは避けるか、

仮に遭遇しても下を向くか目を閉じます。

 

しかし、この番組で取り上げられていたのは、そうした誰もが想像する視線ではなく、

普通なのに普通ではない視線に対してでした。

『視線恐怖症』というそうです。

 

『視線恐怖症』はさらに、

他人の視線が気になってしまう『他者視線恐怖症 』

相手に不快感を与えてしまうのではないかと、自分の視線の置き場に困る『自己視線恐怖症』

自分の視線が相手を不愉快にさせてしまうのではないかと思い、

相手を正視できなくなる『正視恐怖症』

視線を向けてはいけないと意識するほど、そちらにちらちらと視線がいってしまう『脇見恐怖症』

に分けられるそうです。

何気ない一言や体験がきっかけになることもあり、

周りの目が気になり始める中高生の約30%が該当するというデータも。

『視線』につられて見た番組でしたが、『こころ』の話題でした。

専門外の勉強になりました。

 

『目は口ほどにものを言う』

鼻や耳ではそうはいきません。

仕事柄、視線が怖い?ほど、毎日人の目をじっと見つめ、観察しています。

でも、鋭い目つきの中に、温かさも持っています。

 

人を見つめることは、相手に興味・関心を抱く自然で大切なサイン。

返ってくる温かいまなざしは、うれしいサイン。

そう思って、いつでもどこでも、きょろきょろして、

気になれば興味の視線を向けるおばさん(私)です。

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2015.9.15 日本緑内障学会

日本緑内障学会が開催されました。

どんな分野もそうですが、医学は日々進歩していて、眼科の病気のひとつである緑内障も、

病態や薬物治療、手術など、どんどん新しいことが解明されたり導入されたりしています。

 

今回は名古屋での開催のため、スタッフも市民公開講座に参加しました。

講師は、師匠の岐阜大学・山本教授。

日本屈指の緑内障専門家です。

参加者の質問を基に構成されたQ&A式の進行。

スタッフからは、大いに勉強になったとの感想が。

院長も患者さんの質問に同じように答えているんだ、と確認する場にも(末席ながら弟子ですから)。

レポートも書いてくれたので、当院のHPの『緑内障』コーナーに、要約を添付します。

→詳しくはこちら

緑内障点眼瓶のマスコット『めぐりん」が登場。

今後、キャラクターによる啓蒙活動もされるかもしれません。

 

多治見スタディ(岐阜県多治見市での疫学調査)では、40歳以上の17人に1人が緑内障であることがわかりました。

当院でも、他のことで来院されて診察すると、緑内障が見つかることがあります。

発症率からみると、それほど珍しいことではないのです.

しかし診断されると、淡々と受け止める方もいれば、ショックを隠しきれない方も。

失明の原因第1位の緑内障ですが、怖がる必要はありません。

定期的に検査を受け、点眼をし、自己都合で止めないこと。

生活に支障ない目で一生を送れるお手伝いをするのが眼科医です。

小さなクリニックだからこそ、直接患者さんのQに答え、視生活に応えていきたいと思います。

 

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2015.6.2 目の見えない人は…

「目の見えない人は世界をどう見ているか」(伊藤亜紗著)を読みました。

「全盲の僕が弁護士になった理由」のように著者自身が視覚障害者である本ではなく、晴眼者の著者が、視覚障害者4人を通して、視覚障害者のもののとらえ方を考察していくというもの。

見える人が目をつぶることと、そもそも見えないこととはどう違うのか。

4本脚の椅子から1本引くと椅子は傾いてしまうけれども、脚の配置を換えれば3本脚で立っている椅子もある例えを出し、脚が1本ないという「欠如」ではなく、3本が作る「全体」を感じることだと述べています。

「障害者とは、健常者の使っているものを使わず、健常者が使っていない者を使っている人」だと。

さらに興味深い例が挙げられています。

空間認識についてです。

「富士山」と聞いたら、どんな富士山が浮かび上がるか?

きっと、ほとんどの人が新幹線から見るような、銭湯で見るような「末広がりの八の字」をイメージするでしょうが、視覚障害者の話によれば、飛行機から眺めるような「上が欠けた三角形」としてイメージしているそうです。

見える人にとって平面的にとらえているものが、視覚障害者にとっては立体的にとらえられているのです。

他に、月のイメージ。大阪万博会場の太陽の塔の顔の数など。

 

空間認識だけでなく、感覚・運動・言葉についても、健常者との違いが述べてあります。

 

見える人と見えない人のあいだに差異はあっても優劣はないはずですが、現実には見えない人はどうやって見える人と同じように生活していくことが出来るかということが福祉的な関心です。

見えないから困っていることばかりではなく、見えないからこその認識、感覚があることを知ると「そっちの見える世界も面白いねぇ!」ということになるのでしょう。

 

晴眼者の常識(しかも、それは偏見かもしれない)とは違う「見えない人の世界」を少しは知り、考えることのできるお勧めの本です。

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2015.4.7 雨の桜

今年も扇川沿いの桜を堪能しました。

つぼみの三分咲きの頃から五分咲き、七分咲き、満開。

晴天の桜、曇天の桜。

歩いて、走って、自転車で。

その移ろいを時間と速さで感じることが出来ました。

ですが、雨降りの桜だけは、切ないものです。

 

 

もう20年以上前。医師国家試験を終え、会場玄関から門まで続く満開の桜並木に初めて気がついたのでした。

前日会場入りした時には、桜など目もくれず、試験のことで頭がいっぱいでした。

友人と傘をさしての帰り道。

終了直後の他大学の受験生の解答を確めあう会話を耳に挟み、二人とも少々落ち込み中。

事態は悪い方向へ…と仮定しての話へ。

「私、不合格だったら専業主婦になる。そして落ち着いたらまた勉強するかなー」彼女は翌週先輩と挙式。

クリスマスケーキにならないように(25歳を過ぎたら売れ残り)と結婚願望は強いものの、決まった相手もなく、「本当に落ちたらどうしよう。逃げ場があってうらやましいな」と雨に濡れ散り始めた桜の下を歩きながら、どうしようもなく切なくなりました。

 

あんなに心配していたのに、結果は二人とも余裕で合格。

彼女も私も専業主婦になることなく、今日まで、それなりに仕事と家庭の両立をしています。

家族の存在は有難いですが、結婚が逃げ場ではないことを、あの時の私に教えてやりたいものです。

未来に大きな希望と不安を抱いていたあの時の私に。

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2015.3.3 自閉症の僕が…

ある患者さんが5年ぶりに検診に来院されました。聞くところによると、お子さんが自閉症でこの5年間忙殺されていたとのこと。

そういえば、まだ小さい赤ちゃんを斜視ではないかと連れて来られたことがありましたが、その時はまだ小さすぎて経過を見るしかありませんでした。その後、斜視ではなく、視線を合わせないことが分かったそうです。

東田直樹さん著「自閉症の僕が跳びはねる理由」によると、相手が何を言っているか聞きとろうと真剣に耳をそばだてていると、何も見えなくなるのだそうです。

自閉症の患者さんは当院にもたまに来院されるのですが、一度は上手くコミュニケーションが取れず、眼科の器械を投げつけられてしまったことがありました。これも気持ちの折り合いがつかなかったり、衝動が抑えられなくなるからだそうです。

東田さんは著書の中で「自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちだと思う」と書いています。

私たちも当事者や当事者の家族以上の現実はわかりませんが、少しでも理解し寄り添えたらと勉強していくつもりです。

自閉症の患者さん、遠慮しないで受診してくださいね。

東田さんの「自閉症の僕が跳びはねる理由」「跳びはねる思考」は待合室の本棚にあります。

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2014.11.18 臨床眼科学会 神戸

毎月講演会や勉強会はどこかでありますが、今回は眼科では一番大きな規模の学会に参加してきました。臨床眼科学会はその名の通り、診療に生かせる講演、研究発表、講習会が山盛りです。全国から集まる眼科医の姿に刺激を受け、基本から最新の話題まで一所懸命聴講してきました。学会に行くと、自分がやること・やれること、やらないこと・やれないこと(他施設に紹介)がはっきりしてきます。新しい知識はしっかり患者さんに還元し、守備範囲を全うしようと改めて思いました。今回は診療の都合上、名古屋と神戸を2往復。学会場以外に外出無し。遠くに出かけても毎回観光にも食にも縁がない学会出張ですが、新幹線の中で食べるタマゴロウ(味付けゆで卵)が旅の気分を盛り上げてくれました。旅のお供にお勧めです。

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2014.5.20          泣いていますか?

就活、婚活、終活…は一般的になりましたが、「涙活」なる活動があることを知りました。涙活とは、1カ月に2,3分だけでも能動的に涙を流す活動で、これによって心のデトックスを図るのだそうです。例えば、泣ける映画や小説を読んで涙を流す。集中できるよう部屋を薄暗く、お香やアロマを用意し、涙は拭わず出しっぱなしにするのがお勧めだそうです。悲しい時や感動した時に流す涙が、ストレスを洗い流してくれるのであって、目にゴミが入った時に出る反射性の涙では効果がないそうです。日常、ドライアイの治療をしている院長としては、ドライアイ自体も患者さんにとってはストレスであり、いかにふだんの涙量(反射性涙や感情的涙ではなく)を増やし不快感を押さえるかがポイントです。今回、感情的涙を出す「涙活」という言葉には新鮮でした。どちらかと言うと涙もろい院長ですが、最近涙を流したのはいつ?先日の母の日、早朝出掛ける際に玄関に一輪のカーネーションが置いてありました。昨夜までなかったのに。じーん、眼が潤んだ院長。言われてみればこれも涙活の一環ですね。

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2014.2.18      スギ,日本の財産

先週、先々週と大雪が降り寒い日でしたが、確実に春の陽気に近づいています。そろそろスギ花粉のシーズンです。昨年は当たり年(大量飛散)でいたが、今年は例年より少なくなりそうとの予報です。院長も昨年のように早々と予防には至らず、最近になってようやく抗アレルギー剤を開始した次第(油断していてはいけませんが)。今年はアレルギー性結膜炎に効く目薬だけでなく漢方薬も始めました。巷では花粉症グッズもあれこれ。マスクや花粉よけの眼鏡、食べ物(青魚、お茶、かんきつ類、乳飲料)など。花粉症患者としてはあれこれ試したくなるというもの。こんなにスギ花粉症患者から嫌われているスギですが、スギの学名クリプトメリア・ジャポニカは「隠された日本の財産」を意味するそうです。確かに杉林に囲まれた神社など荘厳の感じがしますが、日本の財産とは…花粉だけが患者にとっては害なので、日本の宝を守るべく無花粉スギが代替となってくれる時代が来ることを期待したいと思います。

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2014.1.14 隠し味

スキーのお土産に息子がリンゴバターを買ってきてくれました。一見リンゴジャムのようですが、食べてみると、リンゴジャムにバターの塩気が癖になりそうです。この商品は原材料がリンゴ、砂糖、バター、塩…と続くのでバターの塩気を計算して作られているようです。最近は、塩キャラメル、塩ジェラートなど甘いものにわざとアクセントで塩を入れる食べ物が多くなってきました。先日作ったぜんざいもそう。塩ぜんざいとまでは言いませんが塩を少し足すことで甘味が引き締まり、引き立ちます。日々の診療も、塩味を少し効かせることで、当院ならでの良さを出したいと思います。さて、塩なるものは?

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