2015.11.10 団扇で視力?

就学時健診の時期になりました。

5校のうち3校が小学校の眼科学校医としては、春の検診に次ぐ忙しい木曜日が

続きます。

 

近隣の3校は一時のピークは過ぎたものの、新興住宅地ゆえ児童は多数。

 

子どもも親も時代?によって変遷(挨拶・仕草・応答の仕方から容姿、ファッションまで)

を感じるのは、3校中2校は教師を含めて、一番の古株!になったせいかもしれません。

 

今年は眼科教室で待っているだけではなく、視力検査の教室を覗いてみました。

学校によって違いますが、共通しているのは、視力の目安となる輪っか(ランドルト環)

を見せてその切れ目が合っているかで視力の判定をしていることです。

A・1.0の指標が見える。

B・1.0の指標が見えないが0.7は見える。

C・0.7の指標は見えないが0.3は見える。

D・0.3の指標が見えない。

で、AからDまでの判定をしていきます。

 

多くは眼科で使うような黒いおたま(遮眼子)の厚紙バージョンで、

片眼を隠して検査するのですが、面白い遮蔽をしている学校が1校ありました。

 

団扇を熊の顔のお面にし、眼の部分をくりぬいて片眼遮蔽出来るように、

遮眼子の代わりに用いていました。

穴の大きさも、ちょうど良く、団扇なので目を押しすぎてしまうこともなく、

よく考えられていると感心しました。

 

この小学校からの患者さんは、「団扇で視力計った」と言うのですが、理解できず???

でしたが、ようやく謎が解けました。

 

B、C、Dの視力結果だった患者さんには、眼科での再検査をお勧めしています。

当日緊張していたのか、クリニックでは良視力が出て心配のない子もいれば、

近視や遠視、乱視、弱視で治療が必要な子もいます。

 

せっかくの健診結果。子どもさんの健やかな成長のために活用していただければと

思います。

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2015.10.13 老眼、バンザイ

中日新聞のくらしの作文に『老眼、バンザイ』と題する投稿がありました。

投稿者は61歳の女性。

要約すると…

『左右とも1.5あった私は、50歳を過ぎたころから近くの細かいものが見えなくなった。

老眼鏡をかけても針穴に糸が通らない時もあり、縫うのをやめてしまう。』

 

この方には元々軽度遠視があったと思われます。近くが見えなくなったのは老眼です。

元々視力の良い人は遠くにピントを合わせるのが得意の目なので、

加齢の伴い調節力が低下すると、老眼鏡をよほど強度にするか、

拡大鏡を使用しないと、近くにピントが合わせられません。

 

『しかし、老眼は悪いことばかりもたらしたのではなく…

皺の寄った顔がはっきり見えないから、皺のない顔に見えなくもない。

眼鏡をかけず、はっきり見えないままで”バーチャル化粧”をする遊び心も。

また、家の中の髪の毛や埃も気にならなくなって、神経質が緩和されたよう。』

 

シミ、皺の見えない顔に、一瞬自己満足度が上がりますね。

しかし、見えないままでの化粧はちょっと怖かったりもします。

たしかに、髪の毛や埃は見えなければ気になりません。

 

最後は

『「年をとったらおおらかに生きろ」と神様が与えてくれたのが老眼』

と結ばれています。

 

近視だと、老眼になっても、近くのどこかにピントは合うので、

程度によってはキスするくらい近づいてみることになっても、見えないことはありません。

眼鏡やコンタクトレンズ無しでは、周辺部より遠くはみんなぼやけていますが。

元々視力の良い人は、ぼやけて見える経験をしてこないからこそ、

近視人が老眼を自覚するよりショッキングなのでしょう。

近視の場合、部屋の埃や髪の毛くらいは、眼鏡をかければ見えるのですが、

それをまめに対処するか否かは、「おおらかに」か「ずぼらに」かです。

最近一つ年をとり、老眼自覚も十分な院長。

昨年より「よりおおらかに」生活したいと思います。

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2015.9.8  保健所検査と髪

保健所の立ち入り検査がありました。

6年に1回無床診療所に対しては実施されるので、特別なことではないのですが、

やはり『検査』とか『試験』という言葉には緊張がつきもの。

①医療従事者に関すること②医療安全に関すること③諸記録に関すること

④業務委託に関すること⑤放射線管理に関することなど、

いくつかの項目があり、さらに細分化されています。

不備がないように提示するために、書類の準備を抜かりなく。

緊張して検査員をお出迎えした割には、非常になごやかな雰囲気で進められました。

医院の清潔さ(医学的にも)も評価してもらい、スタッフ一同ホッ。

無事に検査も終了しました。

 

清潔不潔の概念は一般的なものと、医学的なものでは違います。

例えば、髪の毛は不潔であることと学びます。

時に、雑誌などで白衣に髪の毛を垂らした美人女医の写真を見ることがありますが、

撮影用なのか、日常診療でもそうなのか、理解に苦しみます。

うちのスタッフには、そのあたりは徹底。

ショートか束ねて肩にかからないようにしています。

 

夏の間、髪を束ねていた院長も秋の気配に、髪をバッサリ。

帰宅した家人はいつも通り。

あまりに身辺をうろつくので、しばらくしてやっと「髪切った?」(遅ーい)

息子たちはさらに気づかず。

「髪切ったの気づいてよ~」

「最初から切ったって言えばいいじゃん」(そうじゃなくって…)

結局、「新しい髪形、似合いますよ~」と気づいてくれたのは、スタッフのみ。

お世辞でも嬉しい。

そこなのよね~欲しい言葉は…

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの家族・恩師・友人など

2015.7.28 馬の目その2

愛読の『優駿』今月号をぱらぱらめくっていると、『馬の視覚について②』の講座が。

先週色覚異常についてのコラムを書いたばかり。

 

タイムリーに馬についても色覚の話。

哺乳類で豊かな色覚を持っているのは霊長類だけで、多くの哺乳動物は色弱なのだそう。

網膜には『杆体』と『錐体』というセンサーがあります。

明るさに非常に鋭敏に反応するのが『杆体細胞』で、色覚には関与していません。

色覚や細かいものを見たりする時に反応するのが『錐体細胞』です。

恐竜の時代より、哺乳類は夜行性になったのですが、その進化の過程で色覚は必要性の低いものとして退化されていったそう。

つまり、錐体細胞は貧弱になってしまったということ。

襲い、襲われる動物たちにとって、物の形をしっかり認識するために明暗を感じる能力が必要になりますが、色を感じる必要はさほど重要ではないということです。

その後の進化で霊長類は、新たな『錐体細胞』を獲得して精密な色覚を獲得したそうですが。

 

さて、『馬』も夜目がよく利くそう。

薄明薄暮では行動が活発になり、夜も平気で放牧地を走り回るそうです。

馬は『杆体細胞』が発達していることに加えて、人間の目にはないタペタム(輝板)という器官が存在するため。

タペタムは、網膜を透過してしまった光を反射し、光の増幅する働きが。

夜中に競馬をすれば、タペタムが反射して光る馬の目を見ることもできるし、馬も元気に走るのに…って、野生動物を題材にしたドキュメンタリーなら良いのですが…

競馬では、騎手が先行き見えず、レースになりませんね。

もちろん、観衆も楽しめません…

やはり競馬観戦は昼間じゃなくっちゃね。

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2015.7.21 色覚検査見直し

院長は5小中学校の校医(神の倉小・熊の前小・徳重小・神の倉中・扇台中)です。

学校保健委員会には毎回出席して、保護者の疑問質問に答える他、眼科関連のお話をします。

 

今回は色覚検査の改正のお話。

 

色覚検査といえば「迷路みたいな色をなぞったり、数字を答えるやつね」と、すぐに思い出せるのは、ちょっと古い人(院長も含めて)。

 

「差別化につながる」「色覚異常(色に対する感覚が正常とは違う)を知らない権利もある」などと議論され、平成15年度からは、学校での色覚検査は任意となりました。

 

色覚検査が任意になって以降、「子供がタオルの色の微妙な色分けが出来ないみたい」「クレヨンの色を良く間違える」などと、当院に相談に来られる保護者。

眼科では、色覚検査をし、結果を報告します。

さらに精密検査の必要な子には紹介を。

その場で生活指導ができる子には、自身の注意すべき点や代替の方法、学校生活を始め日常での対応策を話します。

 

色覚検査が必須項目から外された約10年の間に、色覚検査を受けなかったがゆえ、色覚異常と知らないまま、進学や就職で色覚の壁にぶつかる児童(家族も)が多くいることが明らかになりました。

色覚による進学・就職制限はかなり緩和されたものの、まだ一部残っています。

 

自身の異常(それは個性でもありますが)を早く知ることで、現実に進路選択に迫られることもありますが、代償能力を発達させ、無用のトラブルを避けることもできます。

 

生物では、遺伝のところで色覚異常の家系が出てきます。

しかし、色覚異常だけが遺伝疾患ではなく、現代の医学では、多種多様な遺伝性の病気が発見されています。

そして、誰でも多少の遺伝子異常を持っています。

 

もし、自分は?家族は?と思い当たる場合は、眼科を受診ください。

 

知らないために偏見を持ってしまうということ、医師になって実感しています。

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2015.7.7 夕方老眼

『夕方老眼』(造語)急増中!だそうです。

夕方になると手元の視力が低下し、老眼のような症状(ピントが合わない、かすむ、疲れるなど)を言うそう。

「老眼のような」と言うだけあって、若い人の現象。

原因は目のピント調節の低下です。

通常、遠くを見ているときは、水晶体(前から見ると瞳)につながっている毛様体筋(もうようたいきん)が緩んで、水晶体は薄くなり、リラックスしています。

近くを見ているときは、毛様体筋は緊張して、水晶体は厚くなりピントを合わせます。

緊張状態が続くと、毛様体筋が疲れピント合わせに支障が出てきます。

 

パソコンや携帯電話の画面の見過ぎが、第1の要因。

近くを見る時間が長くなると、目の緊張状態が続き、眼精疲労の一症状として『夕方老眼』を引き起こします。

揺れる電車やバスの中、暗いところでは、より疲れが増加します。

近くの作業に加え、ドライアイやブルーライトの過剰な暴露も眼精疲労の一因。

 

コンタクトレンズでの作業は極力控え、強すぎない眼鏡にするのも対策の一つ。

時々、遠くを眺めて目の緊張を緩和することも一つ。

ドライアイの目薬や温パックで目の周りを温めるのも効果があります。

でも、ひとりで勝手に診断せずに、眼科医に相談すれば、よりよいアドバイスが得られます。

 

この言葉を聞いた時、当初は『黄昏老眼』では?と思いました。

『老眼=人生の黄昏時にそろそろ…』

『夕方老眼』の意味を知った時、おばさん院長(私)は「『夕方老眼』っていいな~(本人はつらいけど)」。

だって、一過性、可逆的なのですから。

こちらは本物の『終日老眼』(造語)

 

一般的に言われる『老眼』の原因は、水晶体の弾力がなくなり、水晶体を支える毛様体筋の力も衰えることによる調節力の低下です。

ストレートに言えば『老化』
「近くが見にくくなった、ピントが合わない、かすむ」などの訴えの患者さんに、明るく「私も同じ老眼ですよ~」と言えるようになった40代後半。

年齢に抗わず受け入れることが肝要。

 

診療後、すばやく遠近コンタクトレンズを外す院長。

ストッキングを脱いだ足のように目も解放。

無理をさせないことが大事。

というか、もうコンタクトレンズを長時間付けていられない現実。

 

夕方老眼かも?の方も、本当の老眼かも?の方もご相談を。まずは、他の病気がないかチェックですよ。

 

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事 眼に関すること

2015.6.24 裸のつきあい

梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばそうと温泉へ。

『こうクリニック』一行(私・院長とスタッフ)が向かったのは、浜名湖舘山寺。

名古屋を出たときから気分は高揚。

 

ホテルに到着するやいなや温泉に直行。

真っ白なシルク風呂(超音波入り)から始まり、源泉の鉄っぽい色のお風呂や露天風呂etc 。

お風呂は2か所で11種類。

こちらのお風呂に入ってはガールズトーク(おしゃべり)に花を咲かせ、あちらのお風呂に移動してはまた話の続きを。

仕事の話はさておき、思いつくまま、話題は出てくる出てくる!

裸のつきあいに親密度も高まります。

浸かって熱くなれば、露天で半身浴。

 
気がつくと1時間近く経過。

そろそろランチの時間です。

浴衣に着替え館内を移動。

ふだん、これほど長い時間を入浴に費やしたことのない院長は湯あたり気味。

慌ててウーロン茶を飲み干し、生還。

ランチはブッフェ式なので、これまた気合が入ります。

一巡してワイワイ話し、第2陣へ。

さらにデザートブッフェへと続きます。

ガールズトークも続く続く…

気がつくと2時間超。

お腹一杯になりすぎ、最後のもうひと風呂は中止に。

 

代わりに気になっていたスキンフィッシュを体験することにしました。

足を水に浸けると、ひとの角質を好んで食べる小さい魚が寄ってきます。

スタッフ全員で入ったら迫力に驚いたのか、近寄るどころか逃げて行ってしまいました。

少人数に分かれて体験。

超音波のような、くすぐったい快感。

 

温泉・食事・浴衣に「帰りたくなーい。泊まっていきたーい」

つるつる美人に変身して、身も心もリフレッシュした『こうクリニック』のメンバー。

明日からの診療に気合が入ります。

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの日常の出来事

2015.5.19  日々色々勉強

土曜は「医療者のプロフェッショナリズム」と題する講演会を聞いてきました。

プロフェッショナル=プロ意識とは何か。

利他主義(患者さんの福利優先)、患者さんの自律性の尊重、公平性(人種、性別、経済状態、宗教など不問)などが挙げられました。

自分としては、個々の医師としての知識・技術を最大限駆使し、患者さんに還元し、患者さんが病気を治す手助けをする事だと思っています。そのためには、生涯学習も欠かせません。

 

日曜は指定都市学校保健協議会。

学校医と養護教諭を中心とした学校保健に関わる人たちの集会でした。

「トップアスリートから学ぶ子どもの健康づくり」「発達段階と色覚特性の告知」「心の健康づくりをめざすための支援のあり方」を聴講してきました。

生徒のために学校関係者(特に教育者)がいかに熱心に取り組んでいるかがよくわかりました。学校医としては、非常に参考に、また勉強になりました。

現在、学校健診の真っ最中ですが、今まで以上に生徒の健康状態に目を配り、学校医としての職務を全うしようと決意しました。

 

スタッフも勉強しています。

盲人訓練センターの講習に行ってきてくれました。

待合室に「さわる迷路」という絵本を置きました。目をつむって触ってたどってみてください。

カテゴリー:クリニックに関すること 眼に関すること

2015.3.10 ママがいいー!

陽気も良くなりスギの飛散もピークに。

サングラス・マスク姿のランニングも様になってきたこの頃です。

そのいでたちで平針の農業センターへアイスクリームを食べに……ではなく、梅を観賞に行ってきました。

しだれ梅は満開、まさに見頃。大勢の人で溢れかえっていました。

長蛇の列に並んで食べた久しぶりのアイスは美味。子供がアイスクリームを受け取った途端落として大泣きしたことを思い出し胸がキュン。

 

花粉の季節。アレルギーの原因を調べるために採血する患者さんも多くなっています。

ほとんどが小児なので「やめて、やめてー」「ママがいい、ママがいい―!」と泣き叫ぶ子もいれば、「うん、わかった」とか「あのねー私ねー…」と世間話をするつわものも。

原因が特定できれば早期対策も出来るので、気になる方はお申し出ください。

さて「ママがいいー!」という子供の甘えたセリフ。

息子たちから毎日浴びるように発せられた嬉しい言葉も遠い過去に。

現在聞くのは、お金がいる時だけの「ママ(母さん)がいいー!」

カテゴリー:クリニックに関すること 公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2015.2.17 学校保健委員会

2月に入ると5校(神の倉小・熊の前小・徳重小・神の倉中・扇台中)の学校眼科医である院長は、学校保健委員会で大忙し。

校医は春の検診・秋の就学時健診に加えて年2回の保健委員会に出席。その他に就学時委員会や視覚障害の会など生徒に関わる仕事が発生します。

保健委員会は学校医・眼科校医・耳鼻科校医(中学のみ)・学校歯科医・学校薬剤師・PTA・学校職員で構成。検診や体力運動能力調査、環境衛生検査の結果、保健室利用状況などを報告、生徒のより健康安全な生活を求めて討議する場です。

眼科医としては、検診の結果の総括や最近の話題を提供。

スポーツ医としてはスポーツテストの結果を含めた短い考察を。

この地域の生徒たちはボール投げ記録が名古屋市平均より下回っていたのですが、今年になり若干上回るように。職員は転任があるので、この推移を実感しているのは校医歴15年の恐らく自分だけだと思いますが、嬉しい結果でした。毎年指摘や提案をして、学校側の工夫によるドッジボールなどを使用した遊びや運動が功を奏してきたようです。

終盤は保護者からの質問タイム。どうしても自分の子供に関した質問になってしまうのはやむを得ないのですが、逆にこのチャンス(保健委員会)を上手く活用してお悩み相談ならぬ、健康相談をするチャンスかも。保護者の方の多数の参加をお待ちしています。

もう来年度の検診・保健委員会の予定が組まれました。
学校はもう新年度に向けて始動中。学校医は大変ですが、楽しみでもあります。

カテゴリー:クリニックに関すること
  • カテゴリー

  • 最近のエントリー

  • カレンダー

    2024年4月
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    2930  
  • アーカイブ

  • タグ

先頭に戻る