5月8日 40歳過ぎても近視が進行

近視とは、眼軸長(目の奥行き)が延びてピントが合いにくくなり、遠くがぼやけて見える状態のことを言います。近視の進行、つまり眼軸長の延長は、遺伝要因とさまざまな環境要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
近視の進行は成人になると止まることが多いですが、一定以上進行した『高度近視』では、成人後も眼軸長の延長が継続しやすいことが報告されています。緑内障や網膜剥離、黄斑変性などの目の病気にかかりやすくなることも分かっています。
ここで最も重要なことは、視力低下の原因が近視の進行だけなのかどうかです。高度近視では様々な目の病気にかかりやすくなるので、病気による視力低下の可能性も考えられ、その場合は病気の治療が必要です。
近視の進行が原因であったとしても、専門医に相談することで、相談者に最も適した矯正(眼鏡やコンタクトレンズなど)の方法を選ぶことで、見え方が改善する可能性があります。いずれにしてもまずは早急に眼科を受診し、視力低下の原因を診断してもらうのがよいでしょう。

朝日新聞 2023.5/2

4月26日 iPSから目に移植

2014年にiPS細胞から作った細胞移植の世界初の症例となった、加齢黄斑変性の患者の長期経過が明らかにされた。定期的な経過観察の最新データとして移植から7年の時点で腫瘍化などはみられず、手術前の視力が維持できていたという。
神戸アイセンター病院の栗本康夫院長が発表した。
この患者の1年以上の長期間の経過が、学会などで報告されるのは初めてという。
現在神戸アイセンター病院では、網膜色素上皮(RPE)細胞をひも状にしたものを、他人のiPS細胞から作り、加齢黄斑変性の患者に移植する臨床研究を行っている。
他人のiPS細胞を使う方法では、免疫抑制剤を使う必要があるが、患者ごとに高品質のiPS細胞を作ることよりは、コストやかかる時間が少なくできる。
栗本さんは『将来的には、だれでも使える治療法を目指したい。』と話した。

朝日新聞 2023.4/26

4月25日 視覚障害者に囲碁の楽しみを

アイゴは基盤の格子状の線が立体的に作られ、裏に溝のある碁石を交点にはめ込んで固定する。表面に突起や模様がある碁石が黒で、何もないのが白。盤面を手で触って全体の状況を把握するため、碁石が動かないよう工夫されている。
1980年代、奈良県の男性が失明した親族のために考案。「目(アイ)(ゴー)」との思いから名付けられた。金型がさびて生産停止状態だったのを、普及に努める日本視覚障害者囲碁協会代表理事で全盲の棋士である柿島光晴さんらが2013年に復活させた。

日本経済新聞(夕刊)2023年4月24日(月)より

2月24日 眼鏡が合っていないと頭痛やめまい起きる

眼鏡が自分の目に合っていないと、頭痛やめまい、吐き気などを起こすことがある。

消費者庁は、まず眼科医を受診し、処方箋を基に眼鏡を作ってもらうよう呼び掛ける。

同庁によると、眼鏡による体調不良は昨年8月までの約10年8か月間に238件報告された。原因は「レンズの度数などが合っていない』が126件で最多。

子どもの場合、合わない眼鏡は目の発達にも影響する。

 

2023.2.23中日新聞

2月22日 視力弱い人も撮りやすい

ソニーは21日、視力の弱い人でも被写体を鮮明に見ながら撮影できるカメラキットを売り出すと発表した。

網膜に直接映像を投影するファインダーが特徴だ。

人間の目はカメラのレンズに当たる水晶体の厚みを変えることでピントを合わせている。

ただ、病気や加齢によって厚みが変わりづらくなるとぼやけて見える。そうした人でも、網膜に直接光を送る技術を組み込んだファインダーをカメラに就けることで、被写体を鮮明に見ることが出来る。

発売日は3月24日。

ファインダー越しの映像の見え方に個人差があるため、全国のソニー直営店で体験した人のみに販売する。

2023.2.22  朝日新聞

2月15日 花粉飛散 今年は要注意

2023年は関東や近畿など各地で過去10年で飛散量が最も多くなる恐れがある。国内の花粉症患者は約20年で2倍超に増えたと推計され、若い世代の増加が目立つ。

年代別では10代や20代の増加が著しい。

花粉症に詳しい日本医科大大学院の大久保教授は、若い世代で患者が増えている背景について「外で遊ぶことが減り細菌に触れる機会が少なくなり、免疫反応が花粉に向かいやすくなった」と分析する。

「マスクやアイガードを着用したり、服に付いた花粉を取り込まないよう着替えを頻繁にしたりして対策を取ってほしい」と話す。

2023.2.13    日本経済新聞

2月7日 近視リスク 大人も目の前

東京医科歯科大学附属病院の大野京子教授は『大人になって初めて近視になる人が増えている』と説明する。

スマホが手放せない時代になり、足元ではコロナ禍による外出自粛で遠くを見る機会が減ったことも影響している可能性があるという。

日本近視学科会によると、近視の原因は遺伝要因と環境要因の両方が関係すると考えられている。環境要因としてパソコンや読書など至近で見続ける作業が多くなると、近視の傾向が高まるという。

最近では、近視進行抑制に力を入れる医療機関が目立つ。

『低濃度アトロピン点眼薬』は、毎日の就寝前に点眼することで近視を抑える効果が見られ、医薬品医療機器法(薬機法)上の認可が下りていないものの、自由診療として扱われている。また、就寝時のみ着用して日中には装着する必要がなく、角膜の形状が修正されていく角膜矯正用コンタクトレンズ『オルソケラトロジー』についても、レンズ自体は薬機法の承認を受けているものの、医療機関で受ける診療は保険適応外(自由診療)となってる。

インターネット上には、近視の療法についてあいまいな情報もある。

健康被害につながる恐れもあるため、必ず医師の診断を受けて治療に取り組んでほしい。

日本経済新聞  2023.1.28

11月18日 子の弱視 VRけん玉で改善

子どもの約3%が罹患するという弱視。今回、視力回復を目指すのは、左右の視力に開きがある「不同弱視」などの症例です。
視力回復は、幼児、児童のうちに取り組むのが効果的とされる。
とはいえ、子どもたちはアイパッチを嫌がることがままあり、保護者にも大きな悩みや負担となっている。
ゲームを楽しみつつ治療が進められるシステムの開発に着手。まずはけん玉で遊ぶ形の原型モデルを作った。
ゴーグルにダウンロードするアプリを通じて、けん玉に取り組んだ時間などの治療の進み具合を随時把握できるようにもなる。
23年度には臨床研究に入る予定です。

「朝日新聞2022.11.16」より

11月4日 進化する緑内障治療について

緑内障とは、目と脳をつなぐ視神経が傷つき、視野が欠ける病気。近年では、視神経の状態が詳しくわかる機器が広く普及し、新しい手術法や点眼薬も続々と登場。診断や治療の精度が高まり、早期発見できれば視界を保てるようになってきている。

視野が欠ける主な原因は眼圧で、眼圧は眼球の丸い形を維持するための内圧で、眼球を満たす「房水」が、作られた量と同じだけ排出されることで一定に保たれている。何らかの原因でそのバランスが崩れると上昇し、視神経を傷つけていく。症状が進むにつれて、見えない範囲が広がる。年を取るほどなりやすく、日本人の場合、四十歳以上の二十人に一人、七十歳以上では十人に一人が発症するとされる。だが、片方の目の視野が欠けても、もう片方が補って正常に見えるため、症状に気づきにくい。一方で、診断や治療はここ十年余りで格段に進展した。中でも大きいのが、高性能な光干渉断層撮影(OCT)の普及だ。目の組織の断面を近赤外線を使って撮影する検査方法で、視神経の状態を立体的に調べられる。薬剤を使用せず、従来の眼底検査のようにまぶしくないため、患者の負担が少ない。

この検査が2008年に保険適用となって以来、機器を導入するクリニックが急増。当院でも既に導入している。最新機種は緑内障患者の95%を正しく診断でき、撮影にかかる時間も数秒にまで短縮された。

眼圧を下げる点眼薬の種類も大きく増え、各患者の症状などに合わせやすくなった。房水の排出口に金属の細い管を入れて流れを良くする手術法も開発され、16年には保険適用に。基本的に白内障の水晶体再建と同時に行い、手術時間は十分程度と体への負担が少なくて済む。点眼の手間を減らすことにもつながる。ただ、現状では欠けた視野を元に戻す方法はない。検診で早期発見し治療することが何より大切だ。国内では、眼圧がそれほど高くないのに視野に異常がでる「正常眼圧緑内障」が患者の七割を占める。そのリスク因子とみられるのは、近視、四十歳以上、家族に既往者、の三つ。特に近年はスマートフォンなどの画面を長時間、近距離で見る機会が増え、近視の人が増加傾向にある。三十代で緑内障を発症するケースも報告され、患者の低年齢化が懸念されている。年に一回は眼底検査を受け、早期発見につなげてほしい。

「中日新聞 11月1日」

7月26日 夏の日差し 目にも負担

「子どもの頃から目に紫外線のダメージを蓄積させることは、将来の目の病気につながる恐れがある。」金沢医科大眼科学講座主任教授の佐々木洋さん(59)は言う。紫外線を多く浴びることで発症するのが瞼裂斑だ。白目部分が盛り上がったり、黄色っぽく変色したりする。充血やドライアイなどの原因となり、一度できると白目のシミとして残る。瞼裂斑ができた状態でさらに紫外線を浴び続けると、白目の表面を覆う結膜が黒目にかぶさる「翼状片」という病気になる可能性もある。翼状片は進行すると瞳孔に達し、視力が低下し失明することもあるため手術が必要となる。強い紫外線を長期間浴びると、目の中のレンズである水晶体のたんぱく質が変性し、老眼や白内障になりやすいことも分かってきた。
対策は、つばの広い帽子や、紫外線カットのコンタクトレンズや眼鏡、サングラスを着用するといい。色の濃いサングラスは視界が暗くなって瞳孔が開き、レンズと顔の隙間から入る紫外線が目の奥まで届く可能性がある。佐々木さんは「外から目が見えるくらい薄い色のレンズがおすすめ」と話す。

「中日新聞 7月26日」

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