7月12日 全盲プロレスラー 28日誕生

全盲のプロレスラーが今月デビューする。10代で両目の視力を失った大舘(おおや)裕太さん(39)は、幼少期からの夢をかなえるために、昨年石川から移住し、名古屋市内のプロレス団体の練習生として技を磨いてきた。今月28日、今池ガスホール(名古屋市千種区)である興行「愛プロレス博2024」で初めて公式戦に臨む。

広島県福山市出身で、生後間もなく「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」という目の癌が見つかり、右目は義眼となり、左目もほとんど見えない状態で成長した。それでもテレビでかすかに見たプロレスに憧れ、柔道を習い、高校生で地元のリングに上がった。だが同時期に左も視力を失い、「自分で夢にふたをしてしまった」と振り返る。

成人後はマッサージ師として生計を立て、32歳で結婚・一児の父になった。子どもの教育のために石川県加賀市で暮らしていたが、「好きなことに挑戦する姿を息子に見せたい」と、プロレス再挑戦を考えるようになった。初めての公式戦では、「あきらめなければ夢はかなうと観客に伝えたい」と意気込んでいる。

(中日新聞 2024年7月11日)

6月7日 高齢者の運転とリスクと健康の続き

高齢者の運転能力や技術は、安全運転支援装置付きのサポートカーや適切なトレーニングを受けることで向上することが明らかになっている。

特に実車によるトレーニングは効果が高い。

国立長寿医療研究センターが軽度認知障害の高齢ドライバーを対象とした「運転寿命延伸プロジェクト」の実証実験を行った。

講習を含めた運転技能向上プログラムを3ヶ月受けた人と、受けない人に分けて比較した。

受けなかったグループは実験前とほぼ変わらず、実験後の1年後に追跡調査したところ、受講者は点数が下がったものの、以前のレベルに戻ることはなく、トレーニング効果が持続することも明らかになった。

運転方を指導する中、高齢者の運転ミスの特徴が見えてきた。

  • ペダルの踏み間違い

体の柔軟性の低下で自然にできた姿勢が難しくなることが一因。

対策としてはブレーキペダルを意識し、足を乗せておく。

  • 無理な右折

判断能力の低下が原因。

対策としては右折に必要な時間や対向車の速度・距離を認識する。

  • 左折時の大回りによる巻き込み事故

視野の狭さや体の硬さから安全確認時の首振りも不十分で気が付きにくいのが一因。

対策としては必要な首振りの角度を理解すること。

中日新聞2024/6/6

6月7日 高齢者の運転リスクと健康

高齢者の運転では、加齢による心身の衰えで、技術や能力が低下する危険性が指摘されている。

70歳以上のドライバーが免許を更新する際には、教習車による実車指導や運転適性検査を含む「高齢者講習」を義務付けている。

また、75歳以上には認知機能検査が課され記憶力や判断力を問う。

認知症と診断をされた人は免許取り消しとなる。

認知症の恐れがないと判断された人や一定の違反歴がある場合は、運転技能検査が課され、合格しないと更新できない。

慶応大名誉教授の三村将さんは、「そもそも認知症かどうかの判定と運転していいのかの判

「認知機能の低下が運転の大きな問題であることは確かだが、それだけでは運転の安全性は評価できない。警察庁の認知機能検査だけではなく、注意力や視野などを調べる各種の検査でふるいにかけ、問題のありそうな人には、可能な限り実車やシミュレーターで評価するのが望ましい」と言う。

「警察庁はどちらかというと免許をどうやって返納させるかに力を入れているが、安全に運転できる期間をなるべく延ばすことも社会的に求められている。

それは高齢者の意思決定を可能な限り保証し、生活や尊厳を守ることにつながる」と話す。

中日新聞2024/6/5

5月21日 近視予防へ国語や算数も屋外で  台湾の小学校「1日120分」で成果

台湾の小学校で、屋外に出て子どもの近視の発症を予防する取り組みが成果を出している。

近視は将来の目の病気のリスクを上げる。

日本の文部科学省にあたる台湾の教育部は、1999年に「学童視力保健計画」を策定。

児童の視力悪化を防ぐため、毎日120分間を屋外活動に充てる取り組みを続けてきた。

これまでの研究で1日2時間、光を浴びると近視の発症を抑えられることが分かっている。

近視の多くは、眼軸長(目の長さ)が伸びることが原因だ。

太陽光には眼球の伸びを抑える効果があるとされている。

台北市近郊の興穀小学校は台湾の中でも積極的に近視の抑制に取り組む。

以前は5階建てだった校舎を3階建てに建て替え校庭に出やすくした。

また教室横の外廊下は幅3メートル以上あり外壁がない。気軽に屋外授業ができるように設計した。

休み時間には教室の照明を消し、児童が外に出るよう促し、読書やゲームなどを30分行ったら10分間は目を休ませる『3010運動』を保護者向けの説明会を開くなどして家庭での協力を得ている。PTA会長は「ゲームやスマホなど『目の敵』があふれているが、きちんとやれば効果は確実」と話す。

 

朝日新聞 令和6年5月20日

5月21日 デジタル画面凝視 近視リスク

スマートフォンやタブレットなどデジタル機器が身近になる中、子どもの視力の低下傾向が続いている。

文部科学省の2022年度学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の小学生は37.88%、中学生は61.23%で、いずれも過去最多。

国立成育医療研究センター眼科医員によると、スマホ画面など近くの物ばかり凝視する生活が続くと、眼軸(眼球の奥行き)が過度に伸びて遠くの物にピントが合わなくなる。この状態を「近視」と言い、体の成長に伴って眼軸が伸びている学齢期に進行しやすい。大半は眼鏡やコンタクトレンズで矯正できるが、強度近視と呼ばれる状態になると網膜剥離などのリスクが高まる。近視が進むと基本的に元には戻らないため、普段から近くを見すぎないようにすることが大切である。

子どもがスマホやタブレットを利用する際は、目と画面の間を30センチ以上離し、30分に1回は6メートル先を20秒以上見るように心掛けるとよい。

また、デジタル機器の画面から出るブルーライトをカットする眼鏡の着用を子どもに勧める動きもあるが、日本眼科学会などは推奨する根拠はないとしている。

 

朝日新聞 令和6年5月18日

5月1日 繰り出すパンチ 心の目で

名古屋発祥の障害者スポーツがある。視覚障害者が、鈴の音だけを頼りに相手の位置を確かめ、「心の目」でパンチを繰り出す「ブラインドボクシング」だ。誕生して10年余り、競技は普及の途上だが、視覚障害のある人たちの「希望」に育ちつつある。

通常のボクシングと違い、両者は打ち合わない。視覚障害者はアイマスクをして、鈴付きのひもを首にかけたトレーナーにパンチを打ち込んだり、あらかじめ決められた形でパンチを防御したりする。

1ラウンドは2分。相手を倒すことが目的ではない。フットワーク、パンチの有効性、パンチのコンビネーション、防御姿勢、ファイティングスピリッツの五つの採点基準により優劣をつけ、勝敗を競う。

昨年5月から練習会に参加している東郷町の織田永嗣さんは、元プロボクサーで、22年暮れに緑内障で失明の恐れがあると診断された。両眼を手術し、左眼は8%、右眼は24%しか見えなくなった。車の運転もできなくなり、ジムにも通えなくなった。「もう何もできない」失意のどん底にあった織田さんを救ったのがブラインドボクシングだった。歩行訓練先で知り、練習会に参加した。

いまは白い杖をつかないと歩けないが、約2時間の練習中はアイマスクをつけ、音だけを頼りにパンチを繰り出し続ける。

織田さんは、「ブラインドボクシングが希望の光となった。すべてが新鮮。思い切り体を動かし、汗をかけるのはうれしい」と声を弾ませる。

競技は2011年に生まれた。名古屋市出身で、一般社団法人ブラインドボクシング協会名誉会長の佐野雅人さんが「すべての人にボクシングを楽しむ機会を」と考案した。

佐野さんは、「人間の体のすばらしさは、五感のひとつが損なわれても他の感覚によってその障害をカバーできる点だ。ブラインドボクシングを通じて、新たな可能性に気づき、自立と社会参加を促進してもらいたい」と語る。

織田さんは「日本一という新たな目標ができた。将来はパラリンピックの競技になればうれしい」と話す。

中日新聞2024.4.30

4月23日 目光らせます 自動車盗!

昭和署は、防犯効果があるとされる「目」のイラストを使った防犯プレートを、昭和区内の高校生や大学生のデザインで作った。

公共施設や公園の駐輪場に提示し、増加傾向にある自転車盗などの抑制を図る。デザインは、こちらを見つめる二つ目のイラストに「警戒区域」の文字を添えてプレートに仕上げた。

区内での自転車盗は今年1~2月、前年同期比14件増の31件を認知。侵入盗の認知も7件で、前年同期の倍以上となっている。署では、見られているという意識から犯罪抑制効果が実証されている目のイラストを使ったプレートの制作を企画し、管内の学生にデザインを依頼した。

署ではお披露目式があり、実際にイラストを描いた桜花学園高校3年生のイラスト部の八木さんは「監視している目を意識して、威圧的な目になるようにした」と説明し、南山大人文学部3年で美術部の松尾さんは「自分の目を鏡で見ながら描いた。犯罪の抑止になれば」と期待した。柴田学署長は「犯罪に対して地域の目がしっかり監視していることを訴えたい」と話した。2種類計200枚を鶴舞公園や区役所の駐輪場、区内のコミュニティーセンターに順次掲示する。

中日新聞2024.4.21

 

3月22日 視覚障害者とマイナ保険証-リスクばかりで利便性ゼロー

愛知障害者協議会(略称:愛視協)は、結成以来五十五年間、視覚障害者の生活と権利を守り高めるために活動を続けてきました。

愛知障害者協議会会長の大塚強氏はマイナンバーカードのリスクがいかに重大かをお話ししています。まず、障害のない方であっても、マイナンバーカードの紐づけに失敗したら、あるいは盗まれたら、たくさんの個人情報がのぞき見られ、奪われてしまいます。その上障害者の場合、障害の種類・程度・交付年月日・利用している福祉制度など、高度な個人情報が記録されています。福祉用具の売り込みにもってこいの情報が満載です。また女性の場合は性犯罪のターゲットにされますし、男性であっても空き巣、強盗のターゲットにされるでしょう。また以下のようなリスクも障害者にはと大塚氏は語っています。

<マイナカードのリスク>

  • 覚障害者にはカードリーダーが使えず、マイナ保険証をかざす場所が分からない
  • タッチパネルで暗証番号か顔認証かを選ぶボタンが見えない
  • 暗証番号が押せない
  • 「開示に同意する」「同意しない」のボタンが押せない

上記だけでなく、障害者医療費助成や後期高齢者医療費・難病指定医療費助成など、自治体独自で行っている制度の情報は組み込まれていないので、これまで通り人のいる窓口を利用するしかない状態です。

また、視覚障害者は運転免許証が取れないため、本人確認の際は、身障者手帳と健康保険証を合わせて提示してきました。政府は当面、マイナ保険証を作らない人には資格確認書を発行すると説明していますが、資格確認証が本人確認書類として認められるのか、とても不安です。

マイナンバーカード以外にも、障害者にとっては医療機関の受診でも困ることがあります。例えば、同行者がいるとき、私にではなく同行者に説明されるのも不本意です。障害者ひとり一人、求める合理的配慮は違いますから、マニュアル化するのではなく、その都度本人の思いを聞いてください。と大塚氏は語っています。

我々医療機関も「心と心が通い合う医療現場」を目指していけたらと思っています。

第2285号 愛知保険医新聞

2月27日 小学生のほぼ半数が花粉症

花粉症シーズンの本格到来を前に、ロート製薬が7千人超の親を対象とするアンケート結果を公表した。0~16才の子どもの42.6%、小学生ではほぼ半数が花粉症を実感しており、勉強集中できないなど日常生活への影響もみられた。
専門家は生活環境の変化に加え、親の花粉症発症率の高さも要因としている。
現在小学生の子どもの花粉症の平均発症年齢は5.8歳で、症状は鼻水、目のかゆみ、くしゃみの順に多かった。24.9%が「授業など勉強に集中できない」と答え「夜眠れない」
「外で遊びを楽しめない」も目立った。
日本医大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は、子どもが外で遊ぶ頻度が低くなって細菌に触れる機会が減り、花粉に免疫反応を起こしていると分析している。

中日新聞2024.2.24

2月26日 花粉症対策 今年も万全に

飛び始めは2月初めと早かったが、大量飛散だった昨年より量が少ないとみられる地域が多いという。ただ、昨年並みか多いと予想される地域もあるので地元の情報をチェックしてほしい。
花粉を防ぐ方法として、マスク・眼鏡の効果が高い。しかし、意外と実行されていないのが実情だ。特にコンタクトレンズを使う人が眼鏡に切り替えられていないことが多い。ゴーグルではない普通の眼鏡で十分なので着けてほしい。
最も効果的なのは毎日飲み薬と点鼻薬を併用すること。しかし、点鼻薬は症状がひどいときだけなど誤った使い方をする人が後を絶たない。
正しく使っても1、2割の人は症状が改善しない。そうした重症患者にとって頼れる味方となるのが、19年にスギ花粉症にも保険適用となった抗体治療薬「オマリズマブ(商品名・ゾレア)」だ。現在文案がネットで公開中のガイドライン改訂版も重症者への使用を強く推奨する。ただし処方できる患者には厳しい要件があり、実施する医療機関も限られてくる。

<スギ花粉を防ぐ方法>
・花粉情報に注意する
・飛散量が多い時は外出を控える。外出時はマスク、眼鏡を着用
・表面が、けば立った毛織物などのコートは避ける
・帰宅時、衣服や髪をよく払う。洗顔、うがいをし、鼻をかむ
・飛散量が多い時は窓や戸を閉める。換気時の窓は小さく開け、短時間で
・飛散量が多い時の布団や洗濯物の外干しは避ける
・シーツ、布団カバーは週1回以上洗濯する

中日新聞2024.2.20

 

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