5月6日 死亡事故も…視覚障害者が交通事故被害に

昨年1年間に全国で44人の視覚障害者が道路や駐車場を歩行中に交通事故の被害に遭ったことが21日、警察庁のまとめでわかった。3人が死亡、41人が重軽傷を負った。盲導犬を連れていた人も7人いた。

徳島市で昨年10月、マッサージ師の男性(当時50)がダンプカーにはねられ、一緒にいた盲導犬と共に死亡した。男性は市道から近くの資材置き場にバックで入ろうとしていたダンプに衝突されたとされる。ダンプはバック時に音声で注意喚起する装置が作動しない状態だった。警察庁はこの事故を受けて、初めて年間の状況をまとめた。対象は失明かそれに近い人だ。

事故があったのは群馬、東京、新潟、長野、大阪、兵庫、広島など27都道府県。3人が死亡し、12人が重傷、29人が軽傷を負った。事故の相手方は29人が乗用車、12人がトラックだった。自転車に衝突された人も3人おり、うち1人は重傷を負った。

事故の形態では、視覚障害者が道路脇や駐車場を歩いていたか、道路を横断していたケースが9割強に上った。また、車庫などからバックで道路に出てきた車両にはねられた例が3割を占めた。視覚障害者の大半は交通ルールを守っており、事故につながる過失がほとんどなかったという。

一方、事故に遭った人のうち32人は杖を使い、7人は盲導犬を連れていた。道路交通法は、視覚障害者が白か黄色の杖を持つか、盲導犬を連れて通行していた場合、運転者は一時停止か徐行をしなければならないと定めている。

警察庁の担当者は「運転者は杖か盲導犬の姿で視覚障害者の方だと瞬時に気づき、道路を安全に使えるよう十分に配慮してほしい」と話している。

(4月22日 朝日新聞)

 

5月6日 緑内障、治療法に新たな光

視野が狭くなったり欠けたりし、悪化すると失明する場合もある、緑内障。

目が受け取った光の信号を脳に伝える網膜の神経節細胞が、保持するエネルギーを失って死滅し、進行していく病気です。

 

そんな緑内障の治療を研究する京都大のチームが、19日付の海外科学誌電子版に、開発した神経保護作用のある化合物「KUS剤」に、緑内障の進行を抑える働きがあることがマウス実験で分かったと発表しました。

眼圧(目の中の圧力)を下げることが主な治療法ですが、池田華子准教授は「神経保護という新しい観点から、治療薬を開発できる可能性がある」と説明しています。

チームはKUS剤がエネルギーの消費を抑制することに着目し、緑内障を発症させたマウスに投与したところ、神経節細胞の減少が抑えられたとのこと。

年内にKUS剤を急性眼疾患の患者の眼内に注射し、安全性や効き目を確かめる治験を医師主導で実施できるよう準備を進めています。

さらに緑内障の治療法として5年程度での実用化を目指すそうです。

緑内障は、国内で視覚障害の原因となる病気の1位。新型治療薬の今後に注目です。

 

(4月20日 日経新聞)

5月6日 色の見え方、正しく理解していますか?

色を認識する感覚「色覚」。色の見え方は、みな違います。中には、見え方の違いが大きく、問題を生じることがあります。

▼なぜ違って見える?

色は光の波長の違いを脳が感じることで見えています。人間の目に入った光は、目の奥の網膜に届きます。網膜には、わずかな光も感じる「桿体(かんたい)」というセンサーと、色の見分けに関わる「錐体(すいたい)」というセンサーがあります。

この錐体は3つに分かれます。短い波長の光を吸収する「S錐体」、中間の波長を吸収する「M錐体」、長い波長の光を吸収する「L錐体」です。それぞれの錐体は、受け取った光に応じて電気の信号を出し、それが脳に届きます。「S錐体」の信号が多ければ、脳が「青」と感じます。「M錐体」の信号が少なく「L錐体」の信号が多ければ「赤」と感じます。信号を手掛かりに、脳は色を感じます。

遺伝によって、一部の錐体の働きが欠けたり、弱かったりする人がいます。すると、他の人と同じ光を見ても、脳の感じる色が他の人と少し異なることになります。違いが一定以上の人を、日本眼科医会は色覚の「異常」としています。男の人では20人に1人、女の人では500人に1人の割合です。しかし、「異常という言葉は差別的」として、「色覚に特性がある」などと言うこともあります。

 

▼本当に「異常」なの?

検査で『異常』とされても程度の軽く、実際には薄暗いと間違えやすい色がある程度で、生活に困らない人が大半だと言われています。色を感じられない、すべての錐体が働かない人は10万人に1人もいません。

多くは、M錐体かL錐体の働きがないか、弱いタイプ。一部の色の組み合わせを除き、大半の色を見分けられます。M錐体の働きが弱いと、黄緑とオレンジ、ピンクと水色などを見間違えやすく、L錐体が弱いと、それに加(くわ)えて、赤い光が薄暗く見えやすいといいます。

色覚のタイプと程度で、見え方は大きく違うのです。

色覚の特徴を知ることで、『赤い光を暗く感じやすいから注意しないと』という対応もできるので、色覚の状態を知るために、眼科専門医のもとで詳しく検査をするは大変重要となります。

 

▼多様な色覚

研究では、2種類の錐体(2色型)しか持たないサルは、3種類のサルより、周りの樹木などに似た色の虫を多く捕まえられることが分かりました。その理由として「2色型の色覚は、明るさなど色以外の違いに敏感だから」と説明されています。

NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO(クドー))副理事長の伊賀公一さんは「人類の進化の中で、多様な色覚が受け継がれてきたことには意味がある。異常とされるが、多数派でないだけ」と話します。

1990年代までは、色覚に異常があるとして多くの大学や職場に入れない差別がありましたが、今では仕事に差し支えるごく一部の職種を除き、原則、色覚は問われません。

さらに、いろいろな色覚の人を前提に、誰もが見分けやすい色使い「カラーユニバーサルデザイン」が提唱され、そうした色使いの出版物や看板が増えています。

伊賀さんは「『その赤い本を取って』でなく『右から3番目の本を取って』など、色の名に頼らないコミュニケーションをみながするといい」と話しています。

 

文部科学省は小中学校に4月から、色覚の正しい知識を子どもたちや保護者に伝えるよう求めています。 色覚を正しく理解することで未来への可能性を広げていきましょう。

 

(4月17日 中日新聞)

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