1月19日 個人間は対象外…問われる意識

行政機関や民間事業者による障害者への差別を禁止する「障害者差別解消法」。今年4月に施行されるが、歩道上での衝突など個人同士の関係は対象外となっており、課題が残されている。

名古屋盲人情報文化センター職員の森幸久さん(40)はほぼ全盲で、通勤時は白杖と点字ブロックが頼りだ。昨年八月、点字ブロック上に立っていた高齢女性と衝突し、女性は救急車で運ばれた。十月には、森さんを追い越そうとした足の不自由な高齢男性が、白杖に接触し転倒。どちらも事件にはならず、相手側も事情を把握してくれたが、後味の悪い思いをしたと森さんは語る。

知人の中には、接触で破損した白杖の修理費を請求したくても、相手の言い分を受け入れるしかなく歯がゆい経験をした人もいた。白杖はその機能上、丈夫な通常の杖では代用できず、スペアがないと生活に支障をきたす。

「白杖は体の一部。私たちの特徴をもう少し理解してもらえると防げたトラブルは多い」と森さん。最近は歩きながらスマホを操作する人の増加も実感し、不安を募らせている。

 

新たな法律でもカバーできない課題。一人一人が障害者の立場をどこまで意識できるかが、すき間を埋める鍵となりそうだ。

(中日新聞 1月12日)

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