3月11日 「色のバリアフリー」 実現にむけて

先天的な色の感じ方の違いから、遺伝で色を感じる細胞が一部欠けたり、一部の働きが弱かったりする、いわゆる色弱は男性で20人に1人、女性で500人に1人とされる。多くは検査で指摘されない限り気付かない人もいるが、配色によって色の見分けに不便を感じる人がいる。そこで今、誰もが見分けやすい色使いを普及させる取り組みが広がっている。

名古屋市教育委員会は「色のバリアフリー」というパンフレットを教員に配布。掲示物に混同しやすい色の矢印を記す場合、一方に斜線を入れると見分けやすくなるなどの工夫を例示し、配慮を求めている。実際に現場でも、教師が黒板に書く文字は白と黄色が多く、赤のチョークはほとんど使わないそうだ。
また、色の判別で苦労した人らが2004年に設立した、NPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」は、企業などの依頼で、商品などの配色を見分けやすくする助言をしている。この10年で見分けやすい色使いの印刷物や案内表示などが増えたという。ただ、見分けにくい配色の程度を数値化したものはないため、色弱の人の感じ方は一般に実感しにくい。

そこで、独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、2年後をめどに色弱の人も見分けやすい配色の規格作りに乗り出す。色の見え方や傾向の分析のため、200種類の色のカードを見比べる実験を予定しており、協力者を募っている。
「これまで、高齢者が見分けやすい色の研究はあったが、先天的に色が見分けにくい人のデータはなかった。規格化で配慮がさらに広がれば、不便さが解消され、色弱の概念もなくなるかもしれない」と期待の声も聞こえている。

(中日新聞 2月27日)

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