3月31日 音を聞いて、「見える」ようになる!?

特殊な装置で音を聞いて視覚を補う「感覚代行」の研究が進んでいる。

この装置はサングラスに小型カメラをつけた機器で、画像の絵柄を基に音を発する。モノクロ部分の白い部分を検知し、その上下位置を音の高低で、コントラストを音の大小で表している。
このような音に対して、初めは脳の聴覚皮質が反応するだけだが、やがて視覚皮質への脳神経回路が柔軟に変化し活性化することで、盲目の人でも「見える」と感じる人もいるそうだ。

このように一見便利な感覚代行装置だが、音への変換原理を頭で理解していても、
使いこなすのはかなり難しく、普及していない。

しかし、装置の研究をしている脳科学者の下條信輔・米カリフォルニア工科大学教授は、装置を自分で試し、訓練をしていなくても物の表面がツルツルかザラザラか把握できることに気づいた。
また、同じように表面のきめの細かさ・粗さを判別してもらう実験をしたところ、装置の音が何を意味するかを知らずに答えた人でも、訓練をした人と同等の正解率が得られたという。
下條教授はこうした現象などを手がかりに「簡単に使える装置と使用法を実現したい」と応用研究を進める考えで、さらに「見える」とは科学的にどういうことなのかも解き明かそうとしている。

 (日本経済新聞 3月31日)

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