12月4日 光をもたらす人工視覚

視力をほとんど失った人に「光」を届ける。

そんな医療機器の開発が本格化している。

すでに米国では承認されたものがあり、日本のチームも新たな製品の開発を目指す。

 

人工的に得られる「視覚」とはどんなものか。

臨床研究にて「人工網膜」を取り付け、耳の後ろに無線通信できるコイルを埋め込んだ。コイルから小型のチップも眼球の「強膜」と呼ばれる膜につける。

眼鏡のフレームに取り付けた小型カメラが目の前の光景を撮影。その映像が電気信号としてケーブルに送られる。電気信号は強膜の内側にある網膜の細胞を刺激し、神経を通じて脳に伝わるしくみとなっている。

実験では白線を歩くテストのほか卓上の茶碗と箸を見分けられるなど全てではないが、指標が改善した。

 

診療研究をした大阪大の不二門尚教授は「このシステムで活字を読むのは難しいかもしれないが、駅のホームから転落を防いだり、洗濯物の片付けで見落としをなくしたりするなど、自立した生活を助けることができるかもしれない」と話す。

開発当初から加わっていた眼科医療機器メーカーのニデックも「10年以内には人の顔が分かるくらいの視機能をめざして研究をしたい」と。

岡山大では全く違うタイプの人工網膜の研究を進めている。光を吸収して電位差を生む特殊なフィルム網膜に入れる。今後研究が進められ各段に解像度が上がるであろうと期待を込める。

 

 

 (11月26日 朝日新聞)

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