10月8日 眼病予防 小児期カギ

文部科学省の学校保健統計調査(2022年度)によると、裸眼視力1.0未満の小学生は37.88%、中学生は61.23%と、過去最多になった。

大府市では22年度から「子どもの近視予防プロジェクト」に取り組んでいる。「小児の近視予防は、将来の重い目の病気を防ぐことになる」と、その意義を強調する。

近視は光が網膜の前で焦点を結び、遠くのものにピントが合わない状態。目の奥行き「眼軸」が長くなることが主な原因だ。眼球が前後に伸びると、網膜の組織が薄く、もろくなり、網膜が破れてはがれる網膜剥離になりやすくなる。剥離が周辺部で起きれば視野欠損、網膜の中心で物を見るのに重要な部分「黄斑」で起きると大幅な視力の低下をきたす。視野が欠ける緑内障は、光を網膜から脳に伝える神経節細胞が痩せていく病気。眼球内を満たす液体の圧力「眼圧」の高まりが原因として知られているが、近視が進んで網膜が引き伸ばされることも症状が進む要因に。黄斑にもろい血管が新たにでき、そこから水漏れが起きてむくみ、視細胞が働かなくなるなどの「近視性黄斑症」にもなりやすくなる。

近視の度合いを示すマイナスの値(D=ディオプトリ)が「1」大きくなるごとに、網膜剥離が30%、緑内障が21%、近視性黄斑症が58%と、それぞれなる確率が上がる。マイナス6D以上の強度近視では近視でない人に比べ、網膜剥離に22倍、緑内障に14倍、近視性黄斑症に41倍なりやすくなる。早くに近視になった人ほど、強度近視になりやすいといい、まさに子どもの頃の近視予防が、目の健康を守る。

近視は、一般的に近くを見る作業を続けることがよくないとされ、屋外で1日2時間以上活動すればリスクが減ると報告されている。ただ、進行するメカニズムは分からないことが多い。

2024.10/8 中日新聞

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