2021.6.29  ふか~い視力?

大型自動車免許の更新時、深視力検査に合格できなかったと患者(A)さんが来院されました。

 

深視力検査は、内側で棒が前後に動く箱を覗いてスイッチを押す検査です。

箱の中に2.5メートル離れた位置に3本の棒があり、中央の棒が前後に動き、左右の棒と横並びになった時にボタンを押します。

左右の棒との位置ずれを測定する検査です。

目的は、物体の遠近感や立体感の確認です。

大型車は、側・後方確認にミラーを多用するため、距離感や奥行き感が正確につかめないといけません。

眼科的には、両眼視機能の検査の亜型です。

 

院長は普通免許のみなので、実際に検査を受けたことはありません。

家人は、大型免許を持っている(一度も活用なしですが…)ので、更新のたびに深視力検査を受けています。

 

Aさんは45歳。

斜視はなく、眼位は正常です。

両眼視機能の立体視は異常なし。

眼自体に問題はありません。

軽い近視と老眼があります。

近視になったのは30代後半で、運転時眼鏡を使用することも時々忘れるほど。

裸眼視力は右0.3左0.4

眼鏡の視力(矯正視力)は右0.8左0.9。

普通免許の更新は、両眼で矯正視力0.7以上なのでパスはするのですが…

夜間の運転だと両眼で1.2くらいあるほうが安心です。

大型免許なら日常時でも尚更、良い視力が求められます。

 

一通りの診察が終わり、Aさんには、夜間運転にも十分な眼鏡を処方することにしました。

老眼もあるので、処方した眼鏡は運転時に。

それ以外は弱い眼鏡や、裸眼で見てもOKの話をしました。

 

Aさんは、再検査でパスできました。

めでたし、めでたし。

 

 

深視力検査の目的は、良好な矯正視力と立体視の確認なので、深視力検査機が置いていなくても(ほとんどの眼科にはありません)、眼科受診で何が問題かはわかります。

眼位に異常はないか。

斜視や斜位があると、立体視がうまくできないことがあります。

屈折異常(近視・遠視・乱視)があっても眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正されているかも大事なポイントです。

そして、何かの眼の病気があるか否か。

 

深視力検査は練習とか慣れでパスできるという話を聞いたことがありますが、矯正視力と立体視が肝(きも)です。

 

 

日々、大型免許更新のみならず、様々な用途で眼鏡やコンタクトレンズを希望され受診されます。

眼科で処方、正解です。

眼に異常がないかどうかは、とても重要なことです。

病気がなく、単純に屈折異常だけでも、患者さんのライフスタイル・用途によって処方度数が変わります。

どういう時に使いたいか。

何をすることが多いか。

仕事は何か。

性格はどうか(意外に大事!)などなど。

総合して、院長が最終度数を決定します。

病気があれば、視力や視野の程度に応じて、さらに、患者さんの要望に最大限添うよう処方します。

時には、残っている視野をうまく使って見る方法などもアドバイスします(頼りになる視能訓練士たちもお手伝いします)。

 

眼鏡・コンタクトレンズの世界も奥深いです。

今日も、患者さんに見え方の確認をしながら、眼鏡やコンタクトレンズの度数変更をする院長です。

微妙なさじ加減で、見え方の質や疲労感が変わります。

患者さんからの情報も大切。

小さな変化でも遠慮なく言ってくださいね。

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2021.3.30 桜サクラさくら

新卒採用予定のスタッフから『国試(国家試験)合格しました!』と嬉しい報告。

現代は、ネットで瞬時に確認できます。

電報なら『サクラサク』だわ~と変換してしまう昭和の院長です。

『おめでとう!』

資格を得たここからがスタートです。

 

近年は、医療系国家試験の日程・合格発表ともに年度内に終わりますが、院長の時代は4月の初めに試験、5月に発表でした。

学校総出でバスにて母校を出発。

市内のホテルに宿泊し、某大学が試験会場でした。

2日間やり切って外へ出ると、雨の中、満開の桜。

桜、咲いてたんだ…

そして1か月後、無事『サクラサク』

医師免許証を手にしました。

これはほんのスタート地点で、起伏に富んだその後の30年が待っているとも知らず…

 

院長は、医師免許を取得して丸30年になりました。

 

30年働き続ける…医師免許を取ったばかりの新米医師には想像がつかないくらい先の事でした。

大学病院で30年働いている身近?な人は教授レベル。

同じ医局員と言えども、雲の上の人でした。

 

院長が医学生・新米医師だった頃や、それ以前の女性医師の働き方は、ALL OR NONE。

フルに働くか、まったく働かないか。

多様性(ダイバーシティ)の言葉がない頃です。

決断を迫られたのは、結婚出産に伴い、医局の関連病院がない地域に転居したとき。

ALLとNONEの中間の働き方がなかった(見つからなかった)時、決断したのはALL。

それが開業に繋がります。

 

3人の息子の産休(三男の時は開業後だったので産前0日産後7日のみ)・他諸々を合わせても、1年には到底満たないので、同世代の男性とほぼ同様に30年間、医師として働き続けたことになります。

自身の能力は秀でていませんが、患者さん個々に応じた対話と、細隙灯顕微鏡や倒像鏡(いずれも眼を診察する機器)を駆使した診療を30年間続けてきたことは、今では根拠のある自信となりました。

日々の勉強、知識の習得に加え、技術は実践・鍛錬しないと上達しません。

また、仕事を続けるにあたっては、興味と関心はとても重要だと思います。

クリニック裏の扇川沿いの細い若木で植えられた桜も、今では立派な桜並木になっています。

 

新卒の2人のヒヨコ視能訓練士に贈る言葉でもあります。

 

小さなクリニックながら、新年度から視能訓練士は5名と言う贅沢な人員配置です。

診療に当たり、迅速で正確な検査を担ってくれます。

良きスタッフたちと、最新の機器に囲まれて、院長もまだまだ頑張ります。

ここからの30年後も想像はつかないですが、どんな風であれ働けていたら最高です。

 

3月後半になり、進学や就職などでコンタクトレンズデビューの患者さんも増えてきました。

ほとんどが、幼児や小学生の頃からの来院歴のある患者さんです。

『おめでとう!』

『大きくなられましたね~』お母さんと小さい頃を懐かしむことも。

患者さんの背景やエピソードも院長の脳内に記録されています。

みんなの診療が眼科医としての経験を積ませてくれたんだよ…と思う院長です。

 

さて、4月から、ユニフォームを一新。

クリニックのイメージカラーに合わせて、華やかなチェリーピンクです(今までは桜色)。

イギリスのデザイナーズブランドで、院長の白衣も同ブランドです。

ちょっとオシャレに、スタッフのユニフォームとリンクコーデ。

来院されたら、ぜひファッションチェックも楽しんでください。

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