2021.6.1 子ども・子ども・子ども

この時期、受診のお勧め用紙を持って受診される子供さんが増えています。

午前中は成人の方がほとんどですが、午後の待合室は子ども・子ども・子ども。

にぎやかな声が響きます。

 

学校の視力検査は、年に1~2回行われます。

眼科の視力検査ほど細かくはなく、指標をいくつか見せて判読できるかどうか。

Aは1.0以上・Bは1.0未満・Cは0.7未満・Dは0.4未満というおおまかな指標です。

多くの学校では、片眼でもB以下だと用紙を渡します。

 

眼科では、視力だけでなく、屈折(近視・遠視・乱視)検査もします。

小さいお子さん(低学年以下)は、調節力が強いため、屈折値と裸眼視力の相関がない場合もあります。

そういう場合は、近視などと一度で決めつけず、点眼による検査をして、正しい屈折値を確認します。

A相当でも、強い遠視があり、眼鏡装用になる場合もあります。

C相当でも、近視ではなくて、一時的な調節痙攣の場合もあるので、そうした場合は指導をしながら視力回復を待ちます。

今年初めて視力低下の紙をもらった子どもさんでも、検査をすると、おそらく1~2年前から近視になっていたけれど、視力検診で頑張って見ていたのでは…と言う結果になる場合もあります。

個々人によって結果は違いますが、問題なければそれでOK ですし、問題あれば対処します。

用紙をもらったら受診する!その行為がとても大切です。

 

時々、『こんなに近視が強いのに生活に支障なかったの?』と聞くことがあります。

多くは、男子中・高校生。

近視は、急に見にくくなるわけではないので、相当困らないと親に訴えなくなります。

保護者に視力や近視の程度をお話しするとびっくり!

『そんなに見えてなかったの!?』

『まぁ…』

診察室でのやり取り。

このくらいの年齢になると、親に話すのも聞かれるのも嫌なので、子どもの眼の状態も親は意外に知りません。

定期的に眼科を受診する(もしくは連れてくる)ように、保護者にお話しておきます。

自身の経験上、思春期の息子は秘密主義になってきます(残念ながら娘については未知です)。

でも、成人までは、保護者の管理下で健康な視力生活を送れるようフォローしてください。

 

まだほとんど意思疎通の出来ない子どもも多い当院です。

赤ちゃんの多くはめやにで受診されます。

小児の場合、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌による細菌性結膜炎が多いのですが、治りも早いです。

子どもはよく結膜炎になります。

『そんなに何回も結膜炎になって大丈夫ですか?』と聞かれますが、何回も細菌感染をして、人間の身体は抵抗力をつけていきます。

 

3歳児健診で視力検査がうまくできなくて…と来院される小さな患者さん。

その子の性格や発育状況もあります。

1回でできなくても、焦る必要のない場合もあれば、急いで精密検査をしたほうが良い場合もあります。

概して未就学児は、飽き性です。

特に疲れているとき、お腹が空いているときには視力検査に協力してくれません。

お昼寝中の小さな患者さんは、手持ち細隙灯で診察しても寝たままで気が付かないこともあります。

 

開業時は、息子たちも小さくて、小学生でも大きな患者さんに見えましたが、今では10代までの患者さんはみんな小さな可愛い(失礼ながら)患者さんです。

小学生から中学生、中学生から高校生、高校生から大学生(この時期みんなすごく格好良く、綺麗になります)への成長を見られるのは楽しみです。

子ども・子ども・子ども…この時期の当院の光景です。

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2019.9.17 うつすと治る?

『人にうつすと治るっていうじゃないですか』

風邪を引いた牧(林遣都)が春田(田中圭)に突然キスをした後のセリフです(おっさんずラブ第6話)。

OL民(おっさんずラブを愛する人)の一人(院長)としては胸キュン!の場面です。

ただし、医師(院長)の立場からは、ウイルスは『うつしても治らない』のが常識。

 

さて、眼科で一番感染力の強いのは、アデノウイルスによる結膜炎です。

 

結膜炎は、結膜の炎症全般を言いますが、原因としては、ウイルスのほか、細菌やアレルギーがあります。

ウイルスも色々種類がありますが、アデノウイルスは最強の感染力があり、『はやり目』とか『プール熱』と言われています。

1週間から10日の潜伏期(感染しても症状が出ない時期)を経て、充血やめやに、ゴロゴロなどが起こります。

炎症が強いと、耳の前や顎のリンパ節が腫れることもあります。

 

『はやり目』は、『流行性角結膜炎』が正式病名で、アデノウイルス8型・19型・37型・54型などによって起こります(同じウイルスでも型が色々あります)。

『プール熱』は、『咽頭結膜熱』が正式病名で、アデノウイルス3型・4型・7型などによって起こります。

夏風邪として、流行することがあり、子供たちの間でプールを介して流行することが多いことが『プール熱』と呼ばれる所以です。

のどの痛みや発熱など風邪様の症状を伴うことが多いです。

 

一定期間(1週間から10日)すれば、症状は落ち着いてきますが、他の結膜炎(細菌による)を防ぐために抗生物質の点眼と、炎症を抑えるステロイドの点眼を処方します。

必ず眼科医のOKが出るまで、点眼を続けてください。

感染力が強いアデノウイルスですので、学校伝染病に指定されています。

学生さんは医師の許可が出るまでは、登校禁止です。

成人の方は、職種や仕事内容によるので、勤務先に問い合わせてください(休んだ方が望ましいですが)。

 

子供ひとり発症すると、その兄弟姉妹、父母、祖父母などと一家全員感染することもよくあります。

4人家族だとして、子1→子2→母→父という順で感染した場合、再び父→子1になるかと聞かれますが、それはありません。

アデノウイルスのその型の抗体は出来ているので。

 

目を触った手で何かに触れない、手洗い励行、タオル別々、お風呂最後などなど患者さんには指導をします。

 

アデノウイルスの後遺症にも注意です。

 

炎症が強い場合は、アデノウイルスの結膜炎が治っても、黒目(角膜)の表面に白い濁りを残すことがあります。

視力低下にもつながるので、治癒後、2~3週間したら、もう一度診察を受けることをお勧めします。

 

ウイルスの病気で人に『うつすと治る』というのは間違い。

ウイルスによって治癒する時期は大体決まっています。

患者さんの免疫力によって多少変動はありますが。

 

遅まきながら、この夏、ネット配信で『おっさんずラブ』第1話を見たのが、OL民の始まり。

どっぷりハマってリピート・リピート…(現在進行中)です。

上映中の映画『おっさんずラブLOVE  or  DEAD』へもGO。

胸キュン!以外にも、性別を問わず人を好きになることとは?を問う、深く深く考えさせられるドラマ&映画です。

 

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