2023.7.4 目の神様 in 仙台

先日は仙台で学会。

仙台と言えば、学会以外に気になる場所が。

目の神様ミーハー(罰当たり)の院長としては、マークしておいた目の神様にお参りに行かねば!

 

青麻(あおそ)神社と言います。

地図で調べると、『宮城県民の森』の中にあるそう。

基本、公共交通機関+自分の足で移動派の院長。

東北本線で仙台から北上し、岩切駅下車。

そこから神社までは5キロちょっと。

表参道は桜の名所だそうです(今回は時期外れ)。

歩けない距離ではありません。

 

しかし、目指すは森と言うより小山。

天候は小雨。

フォーマルではないものの、仕事で通用する格好。

 

駅前のタクシーに乗ります。

タクシーはぐんぐん坂を上がり山の上へ。

通りすがりの人影も車もなく、タクシー乗車でさえやや不安です。

徒歩決行せずに良かった!

 

言われは…

岩切村の山中に青麻権現社があった。

高さ1丈余りの岩窟があり、古来大日・不動・虚空蔵の三佛を祭ると伝えられていた。

純朴正直な青年が、長く目を患い、遂には失明に至った。

1682年4月1日に、一人の老人が、天を拝み黙禱(もくとう)するように告げた。

『吾はお前が純朴なので、目が見えなくなったのを憐れに思う。お前が吾が教えに従えば程なく病は癒えるであろう』

青年が毎日拝み続けることで、30日余りで目の病は全快した。

再び、老人が現れ、名を問うたところ、源義経公の臣下であった日立坊海尊とのことであった。

その後、海尊仙は、この岩窟に入られたとのこと。

 

現代の眼科では、失明は病気のエンドステージで、不可逆な状態です。

わずかな光でも感じられれば、失明ではないので、可逆的な(良い方向へ)期待が出来ます。

そして、その最先端は、iPS細胞を網膜に移植する研究・治験です。

 

しかし昔々であれば、目が見えなくなった=(現代の)失明ではないのでしょう。

おそらく、極端な近視や遠視もなく(もっとも、細かい文字を書いたり読んだりする機会もほとんどなく)、平均寿命も短かった(加齢に伴う現代の病気が発症する前に寿命が尽きた)ので、生活するうえで支障になる眼病はほとんどなかったのだと推察します。

感染症(結膜炎や角膜炎)は、当時のほうが、治療困難を極め(点眼薬なし)、眼病の主な原因だったかもしれません。

当時の生活での不自由さが生じた時点で、失明と定義されたのかも。

 

現在の眼科医は科学者ではありますが、心の拠り所としての寺社参拝は、日本人だからか?院長だからか?

今回も、患者さんのためにお参りします。

自身にも眼科医としての能力をもっと授けてください(願うだけでは叶いません)。

 

待たせておいたタクシーに乗って下山します。

帰りも誰ともすれ違わない不思議な道でした。

 

再び仙台駅に戻り、大好きだけどなかなか食べる機会のない『ずんだ餅』を。

一口頬張り『幸せ~』

若い子たちはずんだシェイクを頼んでいたけれど、お餅が王道でしょ~

 

今回も、迷医の院長がすがる?お守りをいただいてきました。

もちろん、院長も自己研鑽します。

 

■目の神様シリーズはこちらからご覧ください

やりなおしたい?

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カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.6.20 何しに台湾?  その1

近視関連の学会や話題が多くなってきた近年。

オルソケラトロジーも含め近視関連の論文を読んでいると、意外に中国・台湾・シンガポールといった東アジア発が多いことに気が付きます。

論文は英語なのですが、何篇も中国・台湾・シンガポール…と出てくると、近い外国だしいつか行ってみたい…

そんなきっかけから約1年前独学で中国語を開始。

腕試しも兼ねて一番行きやすそうな台湾行きを決行!

与那国島から見えたくらいだからね~

 

中部国際空港から台湾桃園国際空港へ。

人々の顔は似ていますが、中国語が飛び交います。

来ちゃったけど、大丈夫?

 

今回のミッション

1.台湾の小学校での近視進行予防の取り組みを聞いてみる

2.台湾でのオルソケラトロジーの話を聞く

3.台湾でコンタクト処方をしてもらう

 

故宮博物館を観覧していると、小学生の集団がやってきました。

小学3~4年生くらいです。

20代男性の先生が、注意を述べた後、自由観覧となりました。

チャンス!

すすすーと近づき

『初めまして。私は日本から来た眼科医です。2時間以上の屋外活動で近視を抑制したという台湾の論文を読みましたが、現場ではどうでしょうか?』

初対面なのに、かなり図図しい日本人オバサン(院長)。

若い先生は、警戒することなく(いい人だった~)対応してくれました。

ちなみに、最初の2文(中国語)は練習してきたからスムーズ。以後、文にならず…途切れ途切れ…だんだん英語に…

先生も、最初は中国語でゆっくり話してくれましたが、院長に合わせて英語で。

しかし、双方とも医学用語や教育用語など微妙なニュアンスが伝わらず、後半は日本語・中国語翻訳アプリの登場となりました。

アプリ恐るべし。

子どもたちが珍し気にどんどん集まってきました。

『何してるの?』『この人だれ?』って感じで。

どの国の子供も同じ。

 

まとめると…

小学生の近視の増加は、学校も気づいているし、気にしている。

厳密に何時間屋外活動とカリキュラムに取り入れられてはいないが、担任ごとに努力はしている。

例えば、昼休み90分の間はPCやテレビを見ないように指導。

月に一度は野外活動を計画。

先生は、『名古屋』や『三重』の地名や日本語も少し知っていて、大学で学んだとのこと。

 

別日に出かけた台湾民主記念館でも、同様の答えが。

この時は、小学1年生だったせいか、屋外でもさらに賑やか。

また、あちこち行かないように複数の先生が号令を。

天気の良い日だったので、バイオレット光も良く浴びました。

 

屋外活動が良いということはわかっているが、厳密に管理されているのではない。

(論文は、方法をきちんと設定したうえでのデータ)

しかし、教育の現場は何処も学童近視が少しでも進行しないように、努力している。

 

博物館からの帰り、タクシーに乗ってホテルを告げると、運転手さん『?』

地図は日本語と英語表記。

大きなホテルです。

しかし、ホテルも中国名で言わないとわからない運転手さんでした。

メーターは上がる、ちっともホテルに着かない…

どうしよう…焦っていると、交番の前で停車。

『場所を聞いてくる』(速い中国語で聞き取れず)と言ったよう。

戻ってくると、中国でホテル名を言いグ~の合図を。

ホテルはすぐそこでした。

メーターより安くしてくれて、謝ってくれました(ここは聞き取れた)。

『謝謝』

 

ミッション1終了。

続きます。

 

近視関連についてはこちらもご覧ください

2023.4.11 2023日本眼科学会総会

2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

2018.3.6 子供の近視

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2023.6.13  近視進まないで~

オルソケラトロジーの近視抑制効果が証明されてきた近年。

医学は進歩し、医師の頭も上書き保存の連続。

親が近視なら、子も近視になるのは仕方がない。

親と同程度の近視になるのは仕方がない。

眼科医(院長)でもそう思っていました。

成人になった息子たちには申し訳ないが、当時はわかってなかったんだもん!

 

当院もオルソケラトロジーを導入しました。

今回は、よく尋ねられるQ&Aを。

 

Q1:近視抑制治療は何歳から始めて何歳までくらい続けますか?

A1:近視になった時が一番のタイミングと考えられます(学校検診で初めて用紙をもらった時など)。

ただし、自覚がないことが多いので、ためらうことも多いと思います。

次は、視力が低下(近視進行)して、眼鏡を処方しようかどうかの段階。

眼鏡をかけて経過を見たいか、オルソケラトロジーを始めるかを考えましょう。

治療を早く始めるほど、最終的な近視度数を抑えられると考えられています。

眼軸長(眼の奥行)の伸びと身長の伸びはある程度相関すると言われています。

一般には、眼軸長の伸びが落ち着く15歳(中学卒業)くらいが目安です。

もちろん、高校生以降も続けることに問題はありません。

 

Q2:30センチ以上離して、正しい姿勢で読んだり見たりすると目に良いのは本当ですか?

A2: 文部科学省の『児童生徒の環境に留意してICTを活用するためのガイドブック』から。

視距離は30センチ以上

背中を伸ばす

目線は画面に直行する角度に近づける  など。

シドニーの研究では、30センチより短い距離で読書すると、近視化を促進すると報告されています。

また、スマホなどの20センチの近業は、両眼で融像(左右の目でひとつに見る)できるギリギリの距離なので、視覚負荷が大きいことが分かっています。

ですので、近用時最低30センチは必要な距離です。

 

Q3:明るい部屋で読書をすると目に良いのは本当ですか?

A3:紙媒体の本を読むときは、室内光が明るい方が、読書速度の低下や眼精疲労の惹起を軽減します。

また、スマホやパソコンの場合、外の輝度と画面の輝度に違いがありすぎると、視線を移動したときに、順応の切り替えが必要になり、眼精疲労を起こしやすくなります。

ですので、室内照度は画面の輝度と同程度にすると疲れにくいと考えられます。

 

Q4:30分ごとに休憩すると目に良いのは本当ですか?

A4:労働衛生学的には、デジタルデバイスを用いた近業時に、眼精疲労を軽減するために、20-20-20ルール(20分近業作業→20秒作業中断→20フィート(6M)より遠方視)が推奨されています。

さらに、子供は1日2時間の屋外活動も推奨されています。

オーストラリアの研究では、30分程度の近業後休息を入れることで、近視抑制効果があることが示唆されています。

 

Q5:スマホ、テレビ、ゲームは目に悪いのは本当ですか?

A5:最近では、単なる近業時間の長さではなく、一定以下の視距離で行われる近業時間の長さが、近視発症の原因として重要視されています。

スマホや携帯型ゲーム機では十分な視距離を取ることが難しいのです。

中国のスタディでは、両親の近視の有無に関連なく、すべての生後1歳以内の乳児はスクリーンタイムを避ける必要があると結論づけられています(遺伝だけでなく環境も重要)。

生後8か月までは眼軸長は劇的に伸長するため、3歳まで屈折値の変動が非常に大きいので、視機能に大きな影響を与えます。

 

これから成長する小さな患者さんのために近視進行抑制のお手伝いします。

学校健診の紙をもらったら早めの受診を。

 

過去の記事もぜひご覧ください

寝押しのイメージ

2023日本眼科学会総会

 

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2023.6.6 やりなおしたい?

眼科医なのに?眼科医だから?目の神様にお参りするのが好きな院長。

偶然『やりなおし神社』を知りました(神様繋がり)。

名前からして気になります。

 

新大阪からJRで淀川を渡り、梅田から阪神でもう一度淀川を渡ります。

名古屋からの道中、やり直すなら…?いつ?何を?と、仮定法の妄想を膨らまそうとする院長。

そもそも、やり直したいか?

50年以上生きていると、仮定法の世界では生きていけません。

『たら、れば』然り。

結果として今の自分がある、良くても悪くても向き合うしかありません。

人間生きていると、強くなる(鈍感化?)と感じます。

 

さて、神社のある最寄り駅に到着。

やや下町の住宅街といった印象。

 

グーグルマップで神社を目的地に。

少し歩いて行くと、順路からずれています。

立ち位置から向きが分かりづらいのは院長だけ?

建物や交差点名などが記載されている地図があったらいいのに…と痛感するアナログ派。

 

少し先のスーパーの店先で、大阪のおばちゃん(といっても院長世代)が二人立ち話。

名古屋のおばちゃん(院長)、早速駆け寄り、目的地を尋ねます。

『ここ真っ直ぐ行ってな、信号渡らんと手前の道を右に行って~そしたら神社が見えてくるで~』

お礼を言って言われたように歩いて行くと目的地。

尋ねて正解!

グーグルより親切確実!

 

『やりなおし神社』は、正式には『姫嶋神社』と言います。

阿迦留姫命が新羅の王子の妻となるが、夫に耐えかね祖国に逃避行。

摂津の姫島で再出発し、女性たちに機織りや裁縫を教えたそうです。

そのため『決断と行動の神様』と信仰されてきました。

また、大阪大空襲により社殿などが焼失。

戦後の再起を図る人々と信仰も重なり『やりなおし神社』とも言われるようになったそう。

 

『たら、れば』ではなく、『一からやり直し』の現実派の神様でした。

 

かなりこじんまりした神社です。

参拝者は、3組(自分含む)。

 

授与所で、ホタテの貝殻、ペン、直径15センチ位の赤い布玉をもらい、説明を受けます。

 

1.ご本尊参拝

2.帆立絵馬(縁起の良い帆立の貝殻が絵馬)に目標や夢を書く。

(必ず期限も一緒に書くこと)

3.目標や夢を叶えるために断ち切らなければいけない事を赤玉(断ち玉)に念じる。

4.はじまりの碑の穴を通り抜けるまで、赤玉を投げる。

(碑に穴が抜けてあります。ボール投げの苦手な院長は5回目でやっと通過)

5.帆立絵馬を碑にかける。

(ホタテのツリーみたいになっています)

 

目標や夢に対して、期限を設定、目標達成のための断つべき事柄・邪心を挙げること。

自己実現のための手引き書のような手法。

斬新な願掛けです。

 

戦後の再起復興と比べれば、とても小さな自分の目標を書いて、教えられたように祈願。

他の絵馬にも、具体的な目標が多く書かれていました。

 

一組の中年カップルは、何をやり直し?

キャリーケースの若い女性は、何やら訳あり気。

 

いただいたお守りには『順風満帆』の文字が。

 

順風満帆の人を見て羨ましいと思った若い頃。

順風満帆に見えても、見えないところで苦労はある(あったはず)し、努力もしているはず。

人生後半戦になると、よくわかります。

 

駅に戻る途中、先ほどのおばちゃんたちはまだ立ち話中。

大阪弁が心地よい。

 

阪急電車の旅も良かったのですが、阪神電車の旅も面白そうです。

新大阪に戻ると、車体にパンダの特急くろしおが。

強行軍のJR旅も良かったな~

 

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阪急電車 続き

 

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2023.5.30 脳と緑内障

名古屋で視野画像学会。

岐阜県多治見市で第一回が開催。

中央線に揺られて行ったのは、もう11年も前のこと。

 

眼科と言っても、大きな日本眼科学会総会や臨床眼科学会のみならず、部位や病気や検査など細分化されて、規模の小さい学会が多数あります。

例えば、角膜・水晶体・神経・網膜硝子体とかの部位。

近視・アレルギー・白内障・緑内障・糖尿病などの病気別。

視野画像・眼光学・眼薬理・眼循環など検査や基礎的な仕組み別。

総論と各論みたいな。

切り口色々。

そして、それぞれが繋がっています。

物事全てそう。

 

さて、今回の学会。

緑内障は、視野検査はもちろん画像検査も欠かせません。

患者さんの多くが、乗り気ではない視野検査は、病気・進行判定にとても大事間検査で、定期的に施行することでデータの信頼性も増します。

世界標準の自動視野計(当院も設置)は、発売当初(30年以上前)より非常に時短になり、進行予測も計算してくれます。

それでも更に短時間で正確な視野計を目指して、各社がしのぎを削っています。

 

眼圧は、緑内障診療では、アプラネーショントノメーター(点眼麻酔をして眼科医が測定)が世界水準ですが、自己測定用の自動眼圧計もいつも話題に上がります。

実用化され廉価になれば、家庭血圧計のように普及するかもしれません。

 

OCT(光干渉断層撮影)により、緑内障早期発見率がぐっと高まりました。

神経線維の厚みも、神経を栄養する毛細血管の様子もわかるようになりました。

診断機器の能力や可能性は日々進歩しています。

使いこなして、患者さんに還元しないと、宝の持ち腐れになってしまいます。

 

視野と画像…深い深い、もっともっとマニアックな話題が多々。

 

今回の学会で一番驚いたのは、『MRIによる緑内障患者の脳構造と機能』という題目の放射線科医からの発表。

眼科医は、眼科機器の進歩には敏感ですが、MRIの進歩までは…。

MRIの進歩も相当なもの。

緑内障は、視神経の変性ですが、視神経で起こっている変化は、脳に行く途中や脳内でも変化を起こしているようなのです。

実際、緑内障早期患者の脳では、局所的な脳の一部の機能低下や体積の減少が起こっていることが報告されました。

特に、中心視野の欠損症例に起こり易いそうです。

 

緑内障早期の変化を、脳構造の変化としてとらえることが出来る日が来るかも。

そうなると緑内障は眼科だけの病気でなく、脳関連の病気となる日が来るかも!?

 

緑内障疫学調査『多治見スタディ』では緑内障有病率は約5%でした。

その後の2017~2018の『久山町スタディ』では有病率は7.6%とアップ。

緑内障もありふれた病気になってきています。

だからこそ早期発見・早期治療が重要。

院長が眼科医になった時よりは、視野検査も画像検査も格段に改良・発展。

それらを駆使しても眼科医自身のスキルアップは必須です(ずっと勉強しないといけない)。

 

基本から最前線の事項まで。

専門過ぎて、ついていくのに必死な講演もありましたが、いつもより脳は活性化した自覚。

そのせいか、リフレッシュコーナーで供された赤福餅がとても美味しい。

物心ついた頃からある赤福(1771年創業)。

変わらない味のようで、実は時代に合わせて変化しているのか?

その疑問に、原料製法変化なしとの回答。

改良・進歩して良くなっていくもの、変化しないのが良いもの。

世の中、一通りではありません。

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2023.5.23   労災発生

水田地帯を電車は走っていきます。

田植えの時期。

子どもの頃は身近だった風景なのですが。

名古屋に暮らし、地下鉄ではわからない景色・変化。

 

今日もローカル電車に乗って職場(産業医)のスーパーへ。

 

事務所に入って早々、先月からの報告をもらいます。

『とうとう労災が起こりまして…』

ついに…

他店の労災ニュース報告書を見るたびに、店長の『当店では今月もゼロでした』に安心していたのに…

 

70代女性。

場所は、魚売り場(のバックヤード)

清掃時、ホースで水を流し、その後魚油などのグリストラップ(排出溝)の掃除をしようとしたところ、滑って転倒。

瞼を切って縫合することに。

けが自体は大したことにならず幸いでした。

グリストラップ清掃中のため、長靴の底に若干ぬめりがあり、通常より滑りやすくなっていたのでは、と推測されます。

今後、水を撒く前に、グリストラップの清掃作業をするよう、順序を変えました。

 

労災報告には、原因・発生状況と原因分析(管理上の要因・物的要因・人的要因)・再発防止対策を記すようになっています。

書式を見て、ヒヤリハット報告書にも使えると思いました(真似しよ~)。

 

気温も上がり、温度管理の徹底も喚起。

冷蔵ケースは、上からエアカーテン(冷気)が下に向かって流れ、手前の吸入口に吸い込まれていきます。

この繰り返しで、商品の冷却が保たれます。

また、平置きの冷凍ケースでは、ロードラインのメモリがあり、これを越えて商品を積み上げてはいけません。

ロードラインオーバーは、ずっと品温が高い危険な状態ということです。

ケースと品物の高さによって、何段までなら積み上げOKか決まります。

吸入口を塞ぐような商品の陳列もいけません。

 

商品の温度管理が不完全になるほか、電気代の上昇や冷ケースの故障にも直結します。

 

安全衛生委員会が終わると、巡視です。

今日の議題を念頭に入れて、冷ケースを見ます。

ロードラインOKか?吸入口OKか?

『こういうのは、いけません』と店長。

袋うどんが、前面の吸入口を塞いでいます。

お客さんが、商品をかき回した形跡。

きれいに並べ直します。

 

乳製品の袋詰めも、前面の吸入口を塞ぐように置いてありました。

 

冷凍ケースでは、おそらく下の商品を取ったため、隣の冷凍商品が高く積まれていてロードライン超え。

 

巡回中だけでも、そこそこ見つかります。

商品を整列するも、お客さんが手に取れば乱れ、再び直す。

この繰り返し。

商品をきれいに陳列された状態に保つことは、スタッフのまめなチェックが必要です。

院長も、地元のスーパーに行ったら、吸入口も商品が置かれていないか、ロードラインが守られているかの視点で見てみます。

手に取った商品を戻すときには、きちんと元の場所へ。

お客心得です。

お客さんが気を付けてくれれば、スタッフの手間も少なくなります。

スタッフの手間や品質管理のため、縦型の冷凍ケースも搬入予定です。

 

冷蔵・冷凍ケースに重点を置いた今回の巡視。

職場のチェックをしながら、目に入って来る商品の数々もチェック(心の中で)。

鉄板焼きハンバーグ(パッケージからして美味しそう…)

今川焼カスタード(チョコもいいな~)

現場用語も、新商品も目新しいことだらけで、毎回、社会見学の小学生みたいな院長(一応産業医)です。

新しい知識と、気になった商品をお持ち帰りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:産業医

2023.5.16  チームドクターは広報でもある

チームドクターを務めるフロアーバレーチームは、先日の大会で善戦。

関東から九州まで参加チームは多岐にわたり参加。

年齢も10代から50代まで様々。

中には、ほぼ晴眼者で構成されている盲学校教員チームも。

 

フロアーバレーは、前衛3人はアイシェードで真っ暗になるので、視覚障がい者も晴眼者も同等の条件になります。

後衛の3人は、視覚障がい者でも晴眼者でもOKです。

転がってきたボール(フロアーバレーでは、ボールを下投げで転がすように打ちます)をレシーブ・トス・アタックします。

また、ボールの方向を見て、前衛に指示を出します。

『○○さん、正面』

『○○さん、左1歩』

『○○さん、2時方向にアタック』などなど。

そのため、後衛は、晴眼者のほうが有利です。

 

GWの合間に、当院スタッフとフロアーバレーの練習に参加しました。

キャプテンAさんとマネージャーBさんが出迎えてくれます。

AさんとBさん、ともに20代。

中学の途中までは、普通学校に通学していましたが、それぞれ別の病気で視力が低下・視野が狭窄し、盲学校に転校しました。

ふだんは、白杖使用の視覚障害者です。

しかし、体育館の中では、白杖なしです。

 

本日参加のスタッフは、20~40代、3人。

少し緊張気味です。

コートを一緒に組み立て、境界線にテープを貼ります。

新しいテープを貼ることで、凹凸ができ、触って目印となります。

 

ボールの受け渡しから。

相手に向けて投げます(下手投げ)。

逸れた場合は、相手に方向を言うこと(見えないから)。

声をかけながらボールをまわすことで、相手の名前も覚えます。

 

晴眼者のCさんも来たので、前衛と後衛をそれぞれやってみます。

まずはアイシェードをつけて前衛の練習。

そろって、驚きの声。

『え~!?真っ暗~』

『見えない~』

恐る恐るのぎこちない動きになります。

Bさん含む前衛3人で手をつないだり、コートのネットに触ったり。

『○○さん、ボール!』と言われても、わずか30センチ脇のボールには気づかず触れられずでボールをキャッチ出来ません。

院長もそうでしたが、初めてアイシェード体験(ゴールボールやフロアーバレー)や暗闇体験をすると、強い不安感と恐怖感を感じます。

見えない時間が限られている(わかっている)ゆえ、我慢できますが。

スタッフたちにとっては、初体験なので、当然の感想だと思います。

 

アイシェードの必要がない後衛は、前衛より動く範囲が広いのと、前衛への指示で、体と頭を使います。

こちらは、しばらくすると『足痛いです~』『走るのに疲れました~』(みんな、ふだん運動不足とのこと)

 

帰りにお疲れ様のお茶会。

『初体験でいろいろ勉強になりました!』

『みんな明るいですね』←障害=暗いのイメージがあったようです

『見えない人に言葉で説明することの大切さがわかりました』←当事者に、ここ・そこ・あそこではわからないと言われ。

 

障害の有無、人種や民族・性別に関わらず多様性の時代。

少しでも多くの人に、フロアーバレーボールを広める役目(広報)も、眼科医であるチームドクターの務めかなと思います。

 

生涯スポーツとして、誰でも参加できます。

特に晴眼者の参加は歓迎です(後衛を強化できる)。

運動不足解消したい!

パラスポーツ気になる!

新しい人との出会いが楽しみ!

などなど、きっかけは何でも。

只今、新メンバー募集中です。

少しでも興味がある人は、ぜひ院長にご連絡ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 健康 公センセの日常の出来事

2023.5.9 春らんまん

今季NHKの朝ドラは『らんまん』

院長、NHK朝ドラを最初から最後までしっかり見たのは『わろてんか』と『スカーレット』

 

『わろてんか』はお笑いのよしもと創立物語。

吉本新喜劇にはまり始めの頃で、ドラマも関連本も花月劇場へも…との入れっぷり。

『スカーレット』は信楽焼を極める陶芸家の話。

信楽鉄道に乗って、狸の置物しか知らなかった信楽焼を見に行きました。(←朝ドラは経済効果あり)

 

昨年、所用で高知に泊まった時、勧められたのが『牧野先生のところ』(地元ではそう言うらしい)

高知県立牧野植物園です。

その時は、時間がなかったので断念しましたが、『来年、朝ドラにもなるし、ぜひ!』の声。

 

予告通り『らんまん』が始まりました。

映画やドラマを先に見るか、原作もしくは関連本を先に読むか。

何も知らずにドラマや映画を見ると感動します。

先に本を読むと、自分の中で登場人物像がイメージされ動いているので、実写との落差にがっかりしてしまうことが多々あります。

今回も、牧野博士関連本を何冊か読んだので、朝ドラのきれいな人物たち(俳優陣)を見て本からのイメージと違う…と見るのをやめてしまいました。

 

牧野富太郎博士は、1862年高知県佐川町生まれ。

独学で植物知識を身につけ22歳で上京、東京大学理学部に出入りを許されます。

生涯で1500種類以上の植物を発表し、収集した標本は40万枚以上、蔵書は45000冊超。

日本の植物分類学の父と言われ、94歳で永眠。

 

博士の本を読むと、それはそれはドラマチックな生涯で、植物に対する尋常でない情熱が伝わってきます。

 

というわけで?牧野植物園へ是非とも!の院長です。

空路約1時間。

日帰り旅です。

 

高知市郊外の小高い丘の上にある植物園。

約8ヘクタールの広い園内の見どころを教えてもらいます。

『キエビナ』が見頃と言われ、回廊に黄色い花の群が。

これが『えびな』、黄色だから『黄えびな』(やっと変換)

 

花ばかりでなく、植物のスケッチ図も展示。

精巧な図の数々は、肉眼だけでなく、拡大鏡や顕微鏡での観察図も。

白黒のもカラーのも精巧な図譜であり、芸術作品のようです。

 

牧野博士のスケッチ図を見ながら、学生時代の解剖図譜を思い出しました。。

青グレーの表紙で、中を開くと、皮膚側から解剖していく順通りに筋肉や血管・骨などの組織図が、白黒のタッチで精巧に描かれていました。

解剖のための実習書として使っただけですが、手書きなのにとても精巧だった記憶しています。

植物画然り、解剖図然り。

鋭敏な観察力により、極めて精巧な描写がされます。

医師でも、手術図は技術に相関しているように思います。

 

植物に詳しいと、植物園はもっと楽しいだろうな~

きれいだな~の感想しか出ない院長。

植物を調べるアプリもあるから、入れておくと楽しみが増えるかもしれません。

 

牧野富太郎博士の晩年の、両頬に手を添えた笑顔の写真はとても素敵。

モノクロで笑顔の好好爺(好好婆)の写真を撮ってもらえるよう、院長もより良い生き方をしなければ。

 

昨年気になっていた酒屋へ。

夜は少し怪しげで、最終日の朝思い切って入ってみたら普通だった、というお店。

そのエピソードを話しつつ、お勧めのお酒を並べてもらいます。

一番のお勧めは、酒店オリジナルの純米吟醸『LOVE&PEACE』。

高知のお酒を色々試飲しながら、お喋り。

帰りたくないな~と思っても明日は診療日。

帰路につかねばならぬ院長でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2023.4.25  八重山にとって…

先月陸上自衛隊が石垣島に駐屯地を開設、その後安全保障についての報道が目に留まるこの頃。

 

石垣島は、昨年島医療・へき地医療への好奇心で訪れた島のひとつ(もう一つは与那国島)です。

石垣島にある八重山病院は、八重山諸島の中核を担う病院。

 

これから就職活動をする医師(老若男女問わず)ではないので、何で?と思われるも、院長(私)熱意により見学許可。

事務方のYさん(THE沖縄姓)に丁寧に案内していただけました。

 

宿泊したホテルの創業記念誌があり、それを暇に任せて読んだのですが、八重山の医療・八重山病院についても書かれており、病院見学前に予備知識が付きました。

 

抜粋すると

2011年に内科医9名中8人退職を受けて地域で『八重山の医療を守る郡民の会』が発足。

八重山病院から移動退職医師たちに感謝状を贈り、新赴任医師たちに歓迎行事を行った。

県や議会に老朽化した八重山病院の新築やドクターヘリの導入などを要請。

島の3高校対象に、医療・介護人材啓発事業(医療職を自前(自島)で育成)。

 

八重山病院は2018年に新築移転。

旧石垣空港跡地に建設。

とてもきれいな病院です。

各専門科がありますが(眼科は休診中)、総合診療医(いわゆる島医者)の育成に力を入れています。

地域医療の研修病院として、全国から研修医が来ていました。

分娩は、島内でここだけなので、大忙し。

未熟児のためのNICUもあります。

小児科も大忙し。

外科・脳外科も大忙し。

特に一人科長では24時間オンコールです。

時間外窓口に救急?患者も多く待っていて驚きました。

 

移住者が多い島ゆえ、都会と同様のニーズが求められるようになっているとのこと。

限りある医療資源(島という特性)を患者側からも考えないと、医療が疲弊してしまいます。

 

海が好きな医師が多いそうですが、島で働くモチベーションとしてはありだと思います。

ON/OFFは大事。

 

潜水病のための高気圧酸素治療室は、島ならでは。

精神科は、こころ科と称され、病棟の入院患者さんも少ないそう。

地域で見守ることが根ざしているのか…?

 

最後にヘリポートへ案内されます。

石垣島も離島ですが、周囲のもっと小さな島々からの急患を受けたり、薬品など物資の空輸にもヘリコプターは必須です。

海上保安庁と自衛隊のお陰で島の医療が成り立っている。

島人にとって、(医療においては)身近な自衛隊のようです。

与那国島も石垣島も周囲の離島も行き来は、空路か海路しかないのですから。

 

色々な人がいて色々な仕事があって…まだまだ知らないことばかり。

かりゆし姿でビールを飲みながら、もの思う院長でした。

生ビールの泡にラテアートみたいに『ハイビスカス』の絵が。

他の2種も描いてもらいたくて追加2杯。

『沖縄来たらORIONでしょ』(の文字)

『シーサー』(の絵)

明らかに飲みすぎた夜でした。

 

『自衛隊』は与那国や石垣の医療をめぐる小さな旅を思い出させます。

与那国島ではレンガ色の駐屯地を横目に海沿いを自転車で走りました。

 

LOVE&PIECEを願います。

 

*5月2日公センセの部屋はお休みです。

 

 

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2023.4.18 毎晩飲んでるの

午後のホテルのラウンジにて。

頼んだケーキが来てほっと一息。

『最近目が…』

このワードが聞こえて院長の耳はダンボに。

その元は、と見ると…距離が離れた隣席から。

 

『最近目が見にくくなったわ、よく見えてたのに』

『私も。

それで白内障手術したんよ。

よく見えとったけど、何やら痛うなってこの前眼科に行ったら花粉症と言われたわ。

何や目薬ぎょうさんもらってさしとるわ』

『そんなになるなら、手術せんでもいいね~』

はんなり京都弁のご婦人2人。

ここは京都。

 

Aさん(仮)は白内障で視力低下。

恐らく、近視はなかったよう(もしくは遠視)。

Bさん(仮)は白内障手術をした。

よう見えていたけど…に続くのは視力に関することだと思うけれど、痛みを感じた。

痛みはかゆみと同義語(特に子供)なので、痛いのはアレルギー症状の痒いに類似した表現だったかも。

ぎょうさんもらった、ということはアレルギー点眼意外にステロイド?ドライアイ?眼精疲労?の点眼か?

手術せんでもいいね~は短絡過ぎです。

全員がBさんになるわけでなく、個人差あり。

と、脳内で眼科医解説。

念力がないので、AさんBさんには届きません。

 

A『うちな、毎晩飲んでんねん。もう10年も20年も生きへんから我慢することないわ~って』

えっ!?ビール?ワイン?さすが、ホテルでお茶するご婦人たち!

ということは80歳超?

B『そや、私なんて4種類も飲んでるで。飲まんと寝られんの』

多くない?ビールから始まって4種類?日本酒4銘柄?ワイン4銘柄?

A『あんた、そんなに飲んでるの?私は2錠と言われてるけど1錠毎日やわ』

B『私は、精神科でも内科でももらってるの』

何?睡眠薬の事!?

A『まあ、寝られへんの我慢するより、飲んだ方がいいもんな~』

そっちの話でした。

 

それから夫の介護の話に移ります。

Aさん夫は介護施設に入院。

毎週手料理を持っていくそうです。

良い牛肉を炒めたり煮て、付け合わせにマッシュポテトや青野菜。

A『夫は耳が遠くて聞こえへんけど、いやや~と思わず、会えると思っていくんよ』

B『えらいわ~』

A『いい人やったから。まだ死んどらへんけどな。できるだけやれることはね~』

 

Bさん夫も入院中。

医師だったようです(患者さんのためによう尽くされはったね~のAさんの言葉より)。

A『私も最初は一人で寂しかったけど最近は慣れたわ。時々淋しくなるけどな』

B『私も慣れんとな。今夜は、息子が来てくれる』

Bさん夫入院は最近のよう。

 

A『人によって幸せは違う。

ひとのこと羨ましがってもきりがないなぁ。

いろんな人に左右されんよう生きたいと思ってんねん。

もう遅いけど』

B『そんなことないわ~』

 

帰り際

B『あんた明るいわ~』

A『アホやで~。あんたも明るいわ』

B『うちに帰ったら暗いわ』

B『楽しかったわ~もっと早くに会えばよかった』

A『また会お。夏過ぎたら』

B『それまで頑張るわ。ほんま、ありがと』

A『こちらこそ、ありがと』

 

とっさに取り出したメモに書きなぐった文字。

巷の人生訓。

所用と同じくらいの収穫でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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