2020.10.6  大手まんぢゅうと緑内障

デパ地下には、地方の銘菓を集めたコーナーがあり、現地へ行かなくても手に入れることができます。

先日、ふらっと立ち寄ると、目につくところに『大手まんぢゅう』が。

よく行くコーナーなのに初めて。

備前岡山の老舗のお饅頭です。

懐かしい~

『大手まんぢゅう』はYさんを思い出させます。

(今でも条件反射で高校時代の remind A of B 構文が出てしまいます…)

 

Yさんは、院長(私)が研修医1年目で担当した緑内障の患者さんです。

もちろん主治医は上にいて、その下に副主治医がいて、その下が研修医という構図です。

当然、主治医がベテランで、以下…となります。

当時、所属眼科は、緑内障で全国的に知られており(今も)、各地から患者さんが診察に来られていました。

Yさんも、その一人。

緑内障を長く患い、かなり進行しており、岡山から治療法(手術)を求めて来院されました。

70代の元美術教師。

絵をたくさん描いておられ受賞歴も何度か。

 

研修医は、担当するといっても、患者さんから勉強させてもらうことがほとんどです。

既往歴や現病歴、今の診断・治療法に至るまで、話を聞きます。

先輩医師のカルテ所見を見ながら、自分でもきちんとした所見がとれるよう、患者さんの目を借りて観察させてもらいます。

ベテランが、さっと診られる所見・病気を、研修医は見つけられないことがほとんどです。

長く診察に時間をかけているから、正確な所見・診断・治療ができるかと言われれば、そうではありません。

患者さんの協力、自身の研鑽・経験があってこそ、診療能力をアップし、やがて時間も短くなります。

診療のポイントが明確にわからない研修医の身では、世間話が途方もなく広がるものの、実は肝心なところが抜けていたりします。

朝の回診前や昼休み、夜など空いた時、土日ももちろん患者さんを訪ね、話をし、診察(の練習)をする研修医です。

そういうわけで、研修医は、患者さんと長い時間を過ごすことになります。

 

『先生、お腹空いてるでしょうから、どうぞ』と病室で差し出されたのが『大手まんぢゅう』

直径3センチくらいの、薄皮に包まれた漉し餡が上品なお饅頭です。

仕事中なので、慌てて二口で食べ終えましたが、小腹が満たされ元気が出ました。

Yさんは、予定通り、手術となりました。

その後、何回か通院されましたが、視力・視野とも、非常に厳しい状態となりました。

 

開業の報告をしたところ、贈られたのが、待合室に飾ってある薔薇の絵です。

『もう自分では描けないし、見えないから、先生の元においてもらえば光栄です』

鬼籍に入られてしまいましたが、待合室の絵は、院長の緑内障の原点の一つでもあります。

 

某大学某科の教授(院長と同年代)と話していた時。

今は主治医が3人制なのだそうです。

経験年数が違っていても、全員が主治医で、連帯責任制とのこと。

昔は、担当は3人でしたが、明らかに立場が違うので、患者さんもそれを踏まえて、話す内容を変えていたのだと思います。

その分、研修医の時に、世間話から必要なことを聞き出す術や、本筋に戻す術、患者さんとの距離の取り方などを学べたのだと思います。

医師の労働時間も大事なことですが、研修医の時にしか出来ないこともたくさんあった…とオバサン院長は思います。

 

お茶を入れ、黒文字を添えて大手まんぢゅう。

上品なお菓子をゆっくり味わえるようになった院長。

研修医からのドタバタも遠い過去のことです。

 

本来なら、今頃は、緑内障学会で九州に出張中の院長。

大手まんぢゅうを傍らに、ZOOMでライブ講演視聴。

WEBだからこそ許されます。

カテゴリー:公センセの想い 眼に関すること

2020.9.29 色・明るさと交通事故

少し前まで、診療終了直後も『まだ明るいね~』と話していたのに、すっかり日が暮れるのが早くなりました。

 

眼科の患者さんは、視力低下の方や高齢者も多いので、『気を付けて帰ってくださいね~』と願いながら、診療終了です。

 

眼科専門誌の『眼科と自動車運転』の特集から…

 

運転には、様々な要素が絡み合いますが、視力(見え方)というのは、大変重要な要素です。

運転者からは、『歩行者や自転車・標識を見落とさないこと、ナビなどの情報を素早く視認できる』ことが大事です。

歩行者や自転車運転者からは、『自動車運転者から見られるようにする工夫、事故につながりそうな予測のできる視覚情報を素早く得ること』が大事です。

 

まずは、明るさです。

どんな色でも、明るい条件下では視認しやすくなります。

昼間ははっきり見えている標識も、夕方にはかなり見にくくなるのは自明です。

ただ、物理的明るさと、心理的な明るさとは単純に比例しません。

感覚の強さは刺激強度の対数に比例して増大するという法則があります。

例えば、真っ暗な部屋で、灯りをつけたら、すごく明るいという感覚がありますが、その明るさをどんどん上げても「明るくなった!」という感じはだんだん緩やかになるということです。

 

さらに、明るさの感覚は、脳で補正されてしまうこともあります。

例えば、薄暮で周りがかなり暗くなっていても、自分が暗いと感じない(思わない)ことがあります(個人差あり)。

この場合、運転者は「はっきり見えている」と思い込み、歩行者や自転車を見落とす危険が高まります。

 

交通事故は、夕方4時から6時が多く、月別では9月から12月が多くなります。

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

 

では、工夫できることは?

実験解析結果では、早期ライト点灯・明るい服装で注意が高まることがわかっています。

また、別の画像分析結果では、早期ライト点灯や反射材が有効でした。

目立つ服の色としては、蛍光オレンジや蛍光イエローが見やすく、白と黄色のストライプ、白と赤のストライプとなりました。

洋服の色を蛍光色にするのは、なかなか難しいですが、反射板を利用したり、夕方以降外に出る場合は、白や黄色など明るめの服を着たほうがより安全です。

 

『あと1秒早く視認できれば9割の交通事故を減らすことができる』

 

色やコントラスト(対比)以外には、焦点の合いづらさも関係しています。

度の合ったメガネやコンタクトレンズ装用での運転は、もちろん必須です。

(更新のためだけに眼鏡処方希望の人が、時に来院されます!?裸眼や度の弱い眼鏡で見えていると思い込んで運転しているのは、本人だけです!)

また、白内障やドライアイがあっても、光の散乱などが強くなります。

 

誰でも、夕方~夜間視力は低下するので、出来るだけ、夕方・夜の運転は避けることが賢明です。

眼科医としては、患者さんが交通事故に巻き込んだり巻き込まれないよう啓発・注意もしていきます。

 

高齢者・ロービジョン(低視力・狭視野)患者さんの運転も、今後の大きな課題です。

 

かくいう院長も、夜ランニング中に交通事故に遭った経験あり。

信号のない横断歩道を走って横断中、対向右折車に跳ねられました(運転は高齢者)。

額に小さなLEDライト(ちょうちんアンコウみたいな)を点けていたのに~

跳ねられたのに、『搬送先の病院に知り合いがいたら恥ずかしい…』などと、どうでもいいことを考え『大丈夫です!大丈夫です!』を繰り返した院長です。

幸い下半身の打撲で済みましたが、夜ランニングは、以後きっぱりやめました。

 

『人(自転車)は思ったより見えていないし、見られていない』

気を付けましょう。

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2020.9.15  経年劣化

自分では、カレーをもう10年ほど作っていない院長です。

フルで働く母であっても、子供達には栄養のあるものを手作りしたい!のモットーで、あれこれ毎日料理をしていたのですが…

ある日『よく、こんなに美味しくないカレー作れるね』と長男。

材料は、一通りのものですが、野菜不足にならないようにたっぷりの野菜(時には変わり種も)、早く煮えるように薄切り肉。

すごく美味しいわけではないが、まずくもない…程度。

三男には、最後まで持て余すカレーではありましたが…

 

『超忙しい中、母さん頑張っているんだからね!そんなこと言うなら〇〇(長男)が自分で作ったらどう?』

 

『僕が作ろうか』と夫。

材料を自分で調達して、圧力鍋で作ってくれました。

『美味しい~何、これ!?』

『お店のみたい』

『どうやって作ったの?』

牛ブロック肉、玉ねぎ、にんじん、マッシュルーム。

圧力鍋で30分。

調味料・隠し味は秘密!?

『父さんが作ったほうがいいわ~』子供たち絶賛。

 

以後、カレー担当の家人は、カレー作りに情熱を注いでいます。

家庭料理を超えた材料と時間のかけ方。

調理中は『話しかけないで~』と集中!

家族と話しながら、わいわい料理するのも好きな女性(院長)とは対照的。

 

ある時『圧力鍋欲しいな~』

『2個もあるよ』

『でも、取っ手が…。共用だし…』

長年愛用の圧力鍋は、院長のうっかりが重なり、度々コンロの真ん中に置くので、取っ手がガス火で溶けて変形しています(機能に問題なし)。

『自分用のがあるといいよね~買おう』(カレーのためだけに!?と思いつつ)

圧力鍋を色々探したようですが、結局、今ある鍋と同じメーカーのものを注文。

同じ圧力鍋が3個になりました。

 

ピカピカの鍋で、早速カレー作り。

『新品の鍋だから、スペシャルにする!』

お任せします。

お皿に盛りつけられたカレーを、一口食べると、いつも以上に美味しい!

 

『鼻紋付の牛なんだよ!名前も付いていた』

『…』(びっくり)

『隠し味に、ちょっといい赤ワイン入れてみた。深みが出てるでしょ』

『…』(再びびっくり)

食前、とっておきのワインがなくなっていたので、もしや息子が飲んだ?と疑っていたら、答えはここに。

原価どんだけ~?

『最高!』

でない、はずがない。

家人のカレー作りは、趣味。

試食はお披露目会。

そう認識した妻(院長)でした。

 

それでも、家人にお任せの仕事(専任)を作ってしまうと、働く妻は楽になります。

趣味の料理(カレー)以外にも、家にある材料での料理も任せると、一週間に何回かは食事作りから解放されます(一任がポイント)。

 

『新しい鍋で作ったら、水分が今までより減らなかったんだ』

『へー。なんで?』

『前の2つの鍋は、パッキンが緩んでいて、水蒸気が漏れているんだと思う』

院長は、毎日古い圧力鍋を使っていますが、加圧が数分なので、気になったことがありませんでした。

『鍋も人も、古くなると漏れるんだね』

加齢により、男性は前立腺肥大、女性は骨盤底筋の緩みで尿漏れが起こりやすくなります。

『男性も女性も尿漏れの認知度が高まってきたから、患者さんが相談しやすくなったね』

『いろいろケア用品が出てるしね』

そこからは、食事中ながら、夫婦でパッキンと尿漏れの話。

絶品カレーを食べながら、同業者だから許される『あるある』。

 

それ以来、圧力鍋の『しゅんしゅん』おもりの回る音を聞くと、『漏れ』が気になる院長です。

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2020.9.7 茶目のケガ

指先を紙でスーッと切ってしまったとき。

わずかに、『痛っ!』

すぐに、血も止まり、痛みも忘れ、それでも指先の一直線の傷が治るまで何度も見てしまう小心者(院長)。

角膜に同じことが起こったら、激痛!です。

 

日々、目の痛い患者さんが来院されます。

『目』が痛い原因も、部位も様々ですが、角膜(茶目)に病変を起こし場合が『痛い』原因、第1位です。

 

その中でも、急に痛みが起こるのは、外傷(ケガ)です。

 

学校医の関係上、授業中に来院する子供に多いのは

『紙の端が目に当たった』

『友達の指が、目に入った』

『定規が当たった』

『砂が入った』

ボールや肘や足も多い(この場合、奥も検査)。

 

大人では

『子供の指が入った』

『てんぷら油がはねて入った』

『木の枝が目に入った』

『猫の爪が入った』

『漂白剤が入った』

『研磨中に鉄粉が入った』など。

 

角膜(茶目)は厚さ約0.5ミリの透明な組織です。

虹彩(こうさい)の前面にあるので、一般には茶目で通しますが、茶色いのは虹彩です。

角膜は表面から5層構造をしており、『角膜上皮』『ボーマン膜』『角膜実質』『デスメ膜』『角膜内皮』からなっています。

角膜上皮には、たくさんの知覚神経が走っており、網目状の集まり(神経叢・しんけいそう)を作っています。

角膜にある知覚神経終末(末梢神経の先っぽ)は、皮膚の約300倍密集しているので、少しの刺激でも痛みをすごく感じるのです。

元々、眼球自体が他の臓器に比べてすごく小さいのに、その傷と言ったら…顕微鏡でしか確認できない程度のことがほとんどですが。

 

 

紙の縁に相当する一直線の傷。

爪の先の形にえぐれたと思われる丸い傷。

こすったせいで起こしたひっかき傷の固まり、などなど。

 

痛みがあっても、範囲が広くても、角膜上皮だけであれば、割と早く、点眼できれいに治ります。

きちんと治癒するまで、決められた用法を守ることが重要です。

鉄粉の場合は、刺さっている鉄粉を取り除きます。

数日経っていると錆も出ているので削り取ります。

 

外傷(ケガ)以外にも、感染性(細菌・真菌(カビ)・ウイルス)、コンタクトレンズによるものもあります。

長期のコンタクトレンズユーザーは、角膜知覚が低下しています。

(初めて、コンタクトレンズを入れる患者さんは違和感・異物感を感じます(特にハードレンズ)。角膜知覚神経叢が正常なら当たり前のことです)

診察時、角膜に傷があっても、少々の場合は、痛みや違和感を感じません。

だからこそ、定期検査で眼科医のチェックを受けてほしいのです。

 

角膜だけにとどまっているケガは、当院で対応しますが、それより奥は、手術のできる施設へ紹介します。

印象的だったのは、釘が刺さったと、来院された患者さん。

速いスピードで刺さったため、眼球形状は保たれていました(視力も出ていた)。

しかし、角膜より奥(水晶体)にも刺さっていたため、紹介。

無事、手術で回復されました。

 

小学校5年生の時に読んだ『春琴抄』(谷崎潤一郎)。

盲目のお琴に仕える丁稚の佐助。

お琴が賊から熱湯を浴びせられ、その顔を佐助に見られたくないと言ったので、お琴を愛する佐助は、両目を針で突き、失明します。

『わて、針で目を突きました』

想像するだけで、ぞっとし、怖くて怖くて仕方がありませんでした。

(今だと、眼科的考察を述べられますが)

 

今では、どんな眼外傷にも動じず、眼科医一筋の院長です。

カテゴリー:眼に関すること

2020.9.1 これが大根おろし!?

注文した品が3か月半してやっと届きました。

平たい箱を開けると…

『お~!』

銅製のおろし金が鎮座。

刃は規則正しく鋭く立っています。

ずっしりした重量感。

『その辺のおろし金じゃありませんよ!切れ者ですぜ!』という迫力。

 

我が家の大根おろしは、一般的な汎用品です。

プラスチック製で丸い穴が開いていて、その周りに小さなプラスチック製の刃が並んでいるもの。

受ける容器がセットとなり、底には滑り止めがついている優れもの。

このおろし器に出会うまでに、アルミやステンレス製のものを色々試しましたが、必ずやめる(処分する)きっかけとなったのが、指先のケガ。

貧乏性なのか、最後まですりおろそうとして『あ、痛っ!』

指先を刃に引っ掛けてしまい、そこから血が滲みます。

白い大根おろしに滲む赤…

サスペンスドラマの一場面のよう…

医師と言えども、自分の血には弱い院長。

ヘナヘナ…

この恐怖の体験を繰り返し、現在のプラスチック製に落ち着いたわけです。

 

ある日、テレビで、伝統工芸士の作るおろし金が放送されていました。

現在、東京で銅製おろし金を作る職人さんは唯一人とのこと。

鏨(たがね)から成型して、生地板を作り、一つ一つ目立てをしていき…

たかがおろし金と言うなかれ。

この道何十年とかかって一人前になれるのだそう。

『いいな~』

家人が『いいな~』と言う時は、よっぽど欲しい時です。

長年の付き合いで、『いいね~買ったら!?買おうよ!』と相槌を打つのが、うまくいくコツ。

少量の大根おろしは、自分でおろすのですが、量を必要とするときは、家人担当となっている我が家。

大根おろしを極めたくなった?

『金属製は怖いから、私は使わない。これからは、大根おろし専従でお願いします』

『オッケー』

 

価格は…

たかがおろし金、と考えればびっくり!

されど、伝統工芸士の作る一生ものと考えれば納得!

 

おろし金が届いたので、早速大根を買ってきました。

おろす方向に対して、刃が、細かく前後向かい合うように、目立てられています。

注文したおろし金は、男性に丁度良い大きさ(サイズは色々)。

下に受ける小鉢を置き、おろし開始。

シャリ、シャリ、静かな時間。

細かいみぞれのような大根おろしがどんどん出来ていきます。

『すごくスムーズ。おろし感がいいね~やってみる?』

『やらない(怖い)』

 

茹でたてのおそばに、大根おろしを添えます。

大根おろしって、こんなにふわふわ?なめらか?

そして『辛い!』

いつもと同じ部位なのに??

プラスチック製のおろし器で大根おろしを作ってみると、歴然の差。

いつものは、辛みは少ないけれど、ザラザラ感がはっきりします。

 

大根は、おろすと辛みの成分であるイソチオシアネートが出てきます。

大根の繊維がたくさん壊れるほど辛み成分は増大します。

銅製のおろし金は、細かくおろせる分、辛みが強くなるのです。

『辛い!辛い!』

 

これが本物の?大根おろしなのね~

 

郡上八幡で勤務していた時、郡上踊りのプロモーションで福井に遠征(院長、郡上踊り保存会からお免状をいただいています)。

そこで食べた越前おろしそば、大根おろしが強烈に辛かったことを思い出しました。

 

おろし金の裏面は、しょうが・山芋・にんにく用。

『大根おろしお願いしま~す』

『は~い』

『山芋お願いしま~す』

『は~い』

楽しそうにおろす家人。

高いおもちゃみたいな感じもありますが、『おろす』調理から完全に開放された妻(院長)となりました。

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 公センセの日常の出来事

2020.8.25 休校と子供

学会も勉強会もWEB。

出かけることは格段に少なくなった分、眼科以外の講演も気軽にWEBで視聴できます。

緑区医師会の病診連携勉強会もその一つ。

今回は、小児科のお話。

 

コロナの休校措置化で子供(小・中・高校生1417人対象)の生活で一番変わったのは、就寝・起床が遅くなったこと。

ついで、友達と会えなくなった。

外遊びができなくなった。

結果、家ですることが増えた時間は、睡眠(寝る)とゲーム。

 

当然生活リズムが乱れます。

睡眠が増えたというものの、睡眠・覚醒リズムの乱れが生じます。

そして学校が始まっても…

朝、起きられないし、起きれば(起こされると)機嫌が悪い。

朝食が食べられない(食欲なし)。

昼間の居眠り。

ドカ食いで肥満、もしくは不規則な食事で痩せてしまう。

ということが起こっています。

睡眠・覚醒リズムは『光刺激』(太陽の光を浴びる)や『行動刺激』(食事・運動・学校)で調節されています。

学校に行く生活って、子供にとって重要です。

 

パソコン・スマホ・タブレットなどから発せられるブルーライトが、睡眠・覚醒リズムを乱れさせるとして、以前から眼科でも話題になっています。

また、休校下で、スマホやゲームなど近距離で物を見ることが増えたため、近視の増悪も見られています。

 

休校下の生活は、多くの子供たちにとっては、あまり健全ではなかったかも!?

 

加えて、小児科で問題になっているのは、肥満による子供の生活習慣病です。

肥満度(%)は (実測体重(㎏)-標準体重(㎏)) /標準体重(㎏)×100

肥満度20%以上で体脂肪の増加があり、診断基準を満たした場合は、小児肥満症として加療の対象となります。

また、小児でもメタボリック症候群があり、腹囲は小学生で75センチ、中学生で80センチを超えると該当します。

その他、血液検査や血圧が判定項目に入ります。

 

染色体異常や内分泌異常・遺伝など防ぎようのない原因もありますが、生活習慣と食事習慣はとても大切です。

外遊びを1時間以上するかどうか、テレビを2時間以上見るかどうかで、肥満の増減に影響があるそうです。

 

1週間に20時間の外遊びは、近視の抑制効果があることは報告されていますが、外遊びは、目にとっても肥満にとっても推奨されることです。

 

肥満児の健康被害として、

血液検査が正常でも動脈硬化は始まっていること。

また、2型(ふつうは成人してからが多い糖尿病タイプ)糖尿病にも小児時から、なりやすくなります。

肥満児の気管支喘息は難治性ともいわれています。

 

さらに、肥満児は、運動能力も学力も低い傾向があるとのことです。

運動能力は何となく想像がつきますが、学力まで…(ごろごろすることが好きなので、何かに取り組む意欲が減退しているようです)。

 

子供の逆まつげは時々ありますが、多くは、年齢が上がり、顔がシュッとしてくると治ってきます。

しかし、肥満のお子さんだと、瞼や頬の肉付きがよくて、一向に改善しません。

 

地域の眼科である当クリニックでは、多くの小児の患者さんを診ます。

今週は、夏休み最終週。

『あ~夏休み終わってほしくない!』例年の子供たちの声。

今年は、短い夏休みに名残惜しそうな声を聞きませんでした。

 

6月1日から7月31日までに感染が報告された242名のうち、家庭内感染が57%、学校内感染は5%でした。

正しく感染対策をして、『学校生活』が再開・確立されることを願います。

 

こちらもご覧ください。

2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

2019.7.2 スマホ内斜視

カテゴリー:眼に関すること

2020.8.18 目にしみる夏の日

屋外なら安心と、お出かけ先はゴルフ場が多くなった院長です。

 

コロナ感染予防に、マスクにメガネ(と、ちょっぴりのお化粧)で診療していますが、ゴルフ時はコンタクトレンズにフルメイクをします。

照りつける太陽のもと、紫外線対策は万全にしないといけません。

サングラスは必須。

 

普段の化粧品の中にも、UVカット成分は入っているものの、屋外では、日焼け止めはマストです。

クリーム状のもの、スプレータイプなど形状は様々。

目に直接入らないように塗るのは当然ですが、しばらくすると目がしみてくることがあります。

 

日焼け止めの成分で目に染みる原因としては

1.紫外線吸収剤

2.アルコール成分

3.界面活性剤

が考えられます。

気になる人は、成分を確認して購入されるとよいです。

アイホールから目の際くらいはファンデーションで補ったり、サングラスでカバーするのも手です。

 

 

化粧品や日焼け止めだけでなく、汗だけでもしみることがあります。

夏になると汗が目に入り痛い、ショボショボすると訴えられる患者さんが多くなります。

 

ドライアイは原因の一つです。

夏場、エアコンなどの使用、最近は加えてパソコン・スマホの使用が多くなり、目(角膜)の表面の涙液の安定が悪くなります。

極端に言えば、目の表面が滑らかでなく、所々、涙が乗っていない部分や薄い部分が出てきます。

さらに、紫外線により、眼表面のダメージが強くなります(雪目という言葉・病気があるほどです)。

そういう部分は、知覚が敏感なので、汗(皮脂や汚れなどを含んだ)に対して『しみる』症状を起こします。

 

加えて加齢です。

若く活動的な人(特に子供)は、さらさらとした汗が多いのですが、加齢・状況とともに成分比が変わり、べたつきが多くなりPH値が変わってきます(個人差あり)。

『ショボショボする』『しみる』の訴えが、高齢者で圧倒的に多いのは、そのためだと思われます。

 

また、入っただけではなく、『こする』という動作を加えてしまっているのも原因です。

何かが目に入ると、こすりたくなるのは山々ですが、こすることで、目(角膜・結膜)に傷を作り、症状を悪化させてしまいます。

こすらず、人口涙液をさすと良いです。

 

 

コンタクトレンズをしていれば、当然、コンタクトレンズも汚れます。

日焼け止めや化粧品の多くは油分が含まれているので、通常のコンタクトレンズ洗浄剤では落ちません。

汚れたコンタクトレンズは、形状劣化や、視力不良を起こします。

ソフトレンズ(1日タイプ・2週間タイプ・1か月タイプ・通年)とハードレンズ(通年性・交換タイプあり)がありますが、夏の屋外活動では、1日タイプのソフトレンズをお勧めします。

 

お盆明けは、パンダ顔のお子さんが多くなります。

メガネ部分だけ紫外線カットされて焼けていません。

その分、メガネが目を保護しているということです。

度が軽い人は、度入りサングラスもお勧めです。

 

腕の日焼け対策として、長袖のアンダーシャツは、後半、肌が息苦しいように感じ、いつも買ってみては失敗しています(院長には合わない)。

ポロシャツ・アームカバーでプレイしたら、隙間部分に日焼けの輪が出現。

その次は、ノースリーブで日焼け止めを塗ったのに、肩後ろ部分がノースリーブ跡とわかる日焼けに。

結局、上のウエアは隠れてしまうものの、UVパーカーに落ち着きました。

筋トレ時タンクトップを着るたびに恨めしい日焼け跡となっています。

これもひと夏の経験。

トホホ…

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2020.8.4 地下鉄線上の旅

ぶらっと一人旅も皆無のまま半年。

一人で家で過ごすのも好きですが、出かけるのも好き。

 

自転車でどこか行ってみよう!

院長の自転車は、もちろんママチャリです。

8年前買い替えるとき『どうせなら、電動自転車を買うべき!』と、自転車屋さんに強く勧められ、値段は格段に違ったものの、自転車の耐久年数を考えれば安いかも!?と購入。

使い慣れると本当に楽で、学校医の仕事や近場の買い物などに重宝しています。

用事もないけれど何処かへ行ってみる。

内田百閒の『阿呆列車』に比べれば、電動自転車で何処か行ってみる…は、ずいぶんちっぽけなことですが、人間の器の差も同様なのでまあいいとして。

 

あてもなく…は格好いいですが、バッテリー切れになっては困ります。

最悪、自力で漕げばいいのですが、大変重く労力がいります。

今回は、自分の体力は電動自転車を漕ぐのみに使います。

安全で楽しそうなのは…と思案した結果『地下鉄桜通線』上の旅です。

桜通線上の道路は広く整備されているし、馴染みのある道筋です。

バッテリーをフル充電し、メモリが10から6になった時点で引き返すことに。

 

残0になる所まで行って、地下鉄に乗せて帰りたいのは山々ですが、名古屋市地下鉄は収納袋に入れた物しか不可。

そのまま乗せられるローカル鉄道も各地にありますが、地下鉄は乗客も多いからね…残念。

 

桜通線上の道路はかつてマラソンに没頭していた頃、よく走ったコースです。

診療日の昼休みは、新瑞橋でUターン。

休みの日は、名古屋駅まで走り、某焼き肉屋のランチを食べて、地下鉄で帰途へ。

久しぶりのコースに懐かしさがこみ上げます。

給水塔の坂も電動自転車だと楽々。

以前は、坂道トレーニングだと言い聞かせて、よく走っていたよね~

 

道々には、当時目についたお店がそのままあるかと思えば、閉店や別のお店になっていたり、年月の移り変わりを感じます。

 

いつもは車でしか行ったことのないレストランへ。

ここでランチタイム。

名物の桃のスープを飲んで、夏を味わいます。

何回か切り返して車を停めなくても、自転車だとお店のすぐ前に駐輪。

ここでバッテリーは7。

 

元気が出たところで、さらに北上します。

『吹上』駅を過ぎたところで残り6に。

『今池』駅まで行けそうですが、ここは無理をせず、帰路につきます。

行きに気になったお店をチェックしてあるので、ゆっくり走ります。

八百屋さんの店先で、『ブドウおいしそう…』(自転車だとつぶれるので不可)

『人参が安い』(人参なら振動に耐えられるので買おう)

ケーキ屋さんの店先で、『ケーキは無理だわ~』

パン屋さんも何件かあるので、その都度1~2個買えば、全店網羅できます。

最後は、和菓子屋さんへ。

このお店は、マラソン時代、気になっていたお店のひとつ。

気づかないくらい、とても小さな古そうなお店です。

どんなお菓子があるのか?どら焼きかお饅頭くらい?と、店のガラス越しに横目で見て走っていたあの頃でした。

今回行かずしていつ行く?

中へ入ると、飛び込んできたのは、数々の生菓子。

花火や金魚など夏の風物詩が、それぞれ違う材料で作られていました。

『何年かの謎が解けた!』だけでなく、『想定外のお店』を発見した嬉しさ。

自転車旅こその収穫でした。

 

今回往復26キロ。

院長の電動自転車のバッテリーを調べたところ、約30キロ走行可能でした。

 

いつか欲しいのは、名古屋駅まで往復できるバッテリー容量の自転車。

名駅や栄を自転車で…なんて、都心の住人みたい。

 

電動自転車で楽しめることを発見。

用事だけに使うなんてもったいない!

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2020.7.28 世界が窮屈って?

「朝、目覚めると、世界が窮屈になっていた。」

 

休日の朝、スマホで朗読小説。

出だしのフレーズです。

え?どういうこと?

BGMくらいのつもりで聴き始めたのに、急に頭がしゃきっとしてしまった院長です。

 

 

主人公の女性は、朝目覚めて、部屋を見渡すと、「テレビ画面がやけに小さい」

「テレビを含む視界全体がぎゅっと圧縮されてしまったような感じだ」

何の病気?

小説のストーリーもですが、主人公の病気の描写が気になり、朗読の声を聞き逃さないように集中します。

 

 

「階段を降りようとした。その瞬間。がくっと音がして、あっというまに踊り場まで背中でずり落ちてしまった」

下方視野が相当欠損しているのね。

 

主人公は、NYのメトロポリタン美術館の学芸員です。

「なんだろう。朝からもう何度も壁にぶつかりそうになっている。階段を踏み外したり、壁にぶつかりそうになったり」

階段踏み外しは、下方視野欠損(しかも両眼、重度の)だけど、壁にぶつかるというのは、急激な両眼の視力低下も起こったのだろうか?

 

「自分の周囲のものが、いっせいにじぶんにむかって縮こまってくるような」

これは、求心性視野狭窄(わずか中心だけが見えている)のこと?

 

「視野が欠けている、っていうか。ちゃんと見えていない感じで」

「今朝起きたときから、なんだかおかしくて」

急性発症と考えていいよね。

 

急性発症・視野狭窄(特に下方視野欠損と求心性視野狭窄)

何?朝のくつろぎの時間のはずが、眼科医モードに切り替わっています。

 

診断名は「glaucoma」(グラウコーマ)

 

えー!?グラ(眼科医は略して呼びます)だったの?

緑内障のことです。

約30年眼科医として、特に緑内障には力を入れて診療していますが、小説のような症状が一度に急に出ることはありません。

世界(視野)が窮屈になったという表現も初耳。

 

現代では、緑内障は早期に発見(人間ドッグや他のことで眼科受診の際)されることが多くなり、多くは初期の段階です。

慢性で徐々に進行していく病気ですが、主人公のようにある日まで自覚症状がなく、末期になるまで受診しないことは、まずあり得ません。

初期はもちろん、それ以降のステージでも点眼治療をすれば、進行を抑えることはできます。

点眼治療がうまくいかない場合は、手術をすることもありますが、術式も色々開発され、その成績もかなり良くなっています。

 

 

「ほとんど手がつけられないほど進行してしまっていること。進行を遅らせるための緊急手術を受け、うまくいけばしばらくはしのげる。けれど、完治することはない。いずれにしても、近い将来、視力を失うだろう」と、主人公は眼科医から告げられます。

これも、小説ならではの、眼科医の説明だろうと思います。

 

主人公は、眼科で知り合った弱視の少女を抱き上げて、「ギャラリーの中央へ歩んでいった」

これほど、末期で、階段も転げるような主人公が、子供を抱っこして歩けるのか?

今までの主人公の病状からは考えにくい行動です。

 

揚げ足を取るわけではないけれども、眼科医からすると、「緑内障」に関しては少々残念な描写でした。

 

 

でも、ひとつ新しい絵に出会えました。

『盲人の食事』

ピカソの青の時代。

1903年、22歳の作品です。

目の不自由な一人の男の横顔。

右手で水差しを探り当てた様子。

「どんな障害があろうと、かすかな光を求めて生きようとする、人間の力」

 

その日のうちに、本で購入し読み直しました。

群青 原田マハ

「」は小説より抜粋です。

 

 

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事 眼に関すること

2020.7.21 カップル禁制?

某ショッピングモールで、女性下着専門店を見つけふらふらと。

誰もが知っているブランドです。

いつもは、決まったお店で買うので、同ブランドとはいえ、初めての入店。

 

ブラジャーの場合は、採寸・試着がいるので、通りすがりの今回はショーツでも…とコーナーへ。

と、2メートル近くまで行って…

『ひゃあ!』(声には出しませんが)

20代とおぼしきカップルが、並んでいるショーツをパラパラと…

そして、選んだ何枚かを、一緒に見比べています。

 

『回れ右!』踵を返したものの、こんなこと?で見るのをあきらめるのも…と思う院長。

店員さんを見つけ『あの~、ショーツ見たいんですけど、カップルの男性が気になって近づけないんです…』

店員さん、該当コーナーを見つけ、『そうですね。ところで、お客様、サイズはおいくつで、どんなものをお探しですか?』

院長『サイズは〇で、素材は○○、色は○○で○○なのを探しています』

店員さんが注意してくれるのかと思いきや、カップルに声はかけずに、数枚のショーツを手に戻ってきました。

『お客様、このようなのはいかがでしょう?』

そうじゃないんだけどな~

しばらくして、カップルがいなくなったので、走り寄り、ハンガーにかかっているショーツをパラパラ見定め、1枚購入。

 

カップルで下着売り場って今や普通?

女性下着売り場(ランジェリーショップといわれるお店)は、女性の聖域と思うのは私だけ?

あまりにびっくりしたので、後日、知人(20~50代)に尋ねてみると…

『嫌!男性がいたら、速攻帰る』大多数。

『別に気にしません。そういうカップルは自分たちしか見えてないんですよ』斬新な回答は20代前半。

そうか~二人だけの世界ね~

だとすると、隣のオバサン(院長です)が、どんなのを選ぼうと関係ないものね~

あ~自意識過剰だわ。

とはいうものの、やはり男性の存在があると気になる人が多いのではないでしょうか?

『下着は見えない(見せない)こその自分のためのおしゃれ』だと思う女性は多いはず。

スーパーの牛乳とは違うわ~

実際、この年になるまで、ランジェリー売り場で男性と遭遇したことはありませんでした。

 

家人は絶対近寄らないエリアだし、息子たちに尋ねたところ『絶対行かない』。

答えを聞いて安心した母(院長)。

 

女性は、母として妻として男性の下着を買うことは多いと思いますが、大きな違和感はありません。

おそらく、男性下着を買うときは、母性本能主体で買うからだと思います。

ですので、父子家庭で父が娘の下着を買うとき、介護で夫が妻の下着を買うときは『あり』だと思います。

その場合は店員さんに事情を話し、選んでもらうほうが早いと思いますが。

 

彼に選んでもらいたければ、もしくは一緒に選びたければ、今の時代、ネットで楽しんだらいいのに…

彼女は同伴入店を誘わない、彼は同伴を断る。

 

オープンな時代とは言うものの、ランジェリーショップは、いまだに男性が長居をする場所ではないと思います(少なくとも日本では)。

職業柄、ジェンダーフリーの世界でやってきた院長でも、オープンになれないことはあります。

オバサン(院長)だって、恥じらいます。

 

『当店は、デリケートな商品を扱う空間です。皆様に気持ちよくお買い物していただくために、男性同伴でのご入店はご遠慮いただきますようお願いいたします。

また、男性おひとりのお客様は、入店時、スタッフがご用件を承りアドバイスさせていただきます。

ご理解の程よろしくお願いいたします。なお、通販でも当店の商品をお求めになれます。以下URL』

こんな貼り紙あれば、オバサン安心です。

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