2021.8.17  法話有り難き

田舎育ちの院長は、小学校の時は、子供会活動として、週末地元のお寺にお経を習いに行っていました。

6年間毎週お寺に通い、家でも祖母や父母がお経をあげているのを聞いていれば、自然に暗記してしまうもの。

今でも、実家の宗派のお経はすらすら読めます。

院長の住んでいた地域は、恐らく集落全てが同一宗派のため、慣習的にお経を習いに行ったのだと思います。

お稽古が終わると、お供えのお菓子が分けられ、持ち帰ると、家の仏壇に再度お供えしてからいただきます。

6年生になると、お供えのお菓子を自分たちで決めて買ってこられるのも楽しかった思い出です。

お寺さんのお話は、子ども心に信心の気持ちを芽生えさせました。

花まつりから始まり、除夜の鐘つきなど、お寺はとても身近なものでした。

 

医学を学び医師になり、結婚して都会(名古屋です)に住んでいる今、宗教心はほぼ欠落してしまった院長。

それでも、お寺で法話を聞くのは好きです。

 

一度は行ってみたかった(ミーハーです)比叡山で、法話を聴く機会を得ました。

 

比叡山は最澄が延暦寺を創建。

以来、多くの名僧が、比叡山で修行して宗祖となられています。

今回、法話をいただくのは、大阿闍梨(おおあじゃり)様。

千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)を達成された僧です。

これは、比叡山で行われる、千日間にわたる最も過酷な修行です。

比叡山の峰をめぐって、約270か所以上ある場所に礼拝を続けます。

千日で歩く距離は、地球約1周分とほぼ同じ。

700日を終えると、9日間の断食・断水・不眠・不臥の命がけの修業に臨みます。

千日回峰行を達成した僧は大行満(だいぎょうまん)と呼ばれます。

 

その大行満を終えられた大阿闍梨様の法話。

 

お坊さんと言うと、高齢(自分より年上)を想像していましたが、登壇されたのは、46歳の大阿闍梨様。

15歳で仏門に入り2009年に千日回峰行を満行、大阿闍梨になられたそう。

まず、仏門への始まりから、千日回峰行を達成するまでを話してくださいました。

空腹には、割とすぐに慣れるそうです。

断水・不眠・不臥が続き、無心になっていく、感性が鋭くなっていく、体力だけでなく精神力の行…

余計なことを考える必要はなく、念じるのみ。

 

9日間の断食では、体重が12キロ減少したそう。

断食期間の3倍をかけて元に戻すそうです。

体重は戻っても、筋力までは戻らないという言葉は印象的(仏教に関係ないですが)。

 

やり遂げたという自信も必要だが、謙虚さを忘れないようにと心がけている。

行をさせてもらったことで、いろいろ経験させてもらい、そこから課題をいただき克服していく。

行を満行したといっても、その意味では、行は一生かけて続いていくのです。

 

俗世の私たちにとっては、想像もつかない偉業です。

でも法話のお話は、日々の自身の仕事(院長なら行=医師・医学)に置き換えることもできます。

 

有難い法話を聴いて、心が浄化されました。

 

お堂では、ふすまに入る陽の加減や遠く山裾のびわ湖岸を走る特急サンダーバードの音で時刻を推定した(非常に聴覚が鋭くなるそうです)という大阿闍梨様。

サンダーバードに乗りたいな~

大好きな阿闍梨餅を食べながら、時刻表をめくる、どっぷり俗世の院長です。

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2021.7.27 朝から見とれる

休日の朝、何やら活気ある若い衆の声。

カンカン、ガチャン、金属音が聞こえます。

何事?

ベランダから身を乗り出すと、近所のマンションの足場の解体でした。

ふた月ほど、修繕工事なのか、黒い網で覆われていたマンション。

住人は、毎日さぞかし暗いだろうね~

ちっとも工事が終わらない様子に、時々我が家の食卓に上る話題でした。

 

マンションは5階建て。

上から下まで7人のとび職人が、金属の棒や板を順々に手渡しし、下げていきます。

『ハイよ!』

『オーライ!』

『ヘーイ!』

聞こえてきた声は、手渡し時の掛け言葉。

命綱なしで、軽快にテンポよく作業が進んでいきます。

一番下まで降りてきた棒や板は、数本または数枚重ねて運び出す人がいます。

機械仕掛けの人形みたい!

見事な連携プレーは、一連の無駄のない美しい連続の動き。

思わず見とれてしまう院長です。

 

気が付くと20分余り。

見ると、マンション傍にも、見上げている人が。

あの人もきっと感動して、つい見てしまったのね~

 

足場の組み立ては、とび職の主要な作業内容の一つです。

足場の組み立て解体作業には、労働安全衛生法に基づいた特別教育を受けた者しか従事できません。

また、5メートル以上の足場の組み立て解体作業には、足場組み立て等作業主任者を選任しないといけません。

建設業の死亡労働災害の原因第一位は転落ですが、足場からの転落が多いのが特徴です。

 

産業医の勉強をして、かじった知識です。

建設業の産業医になったら、またまた、もっと勉強することがありそうです。

 

世の中には、たくさん仕事があって、どれも、適正と訓練を要します。

とび職の人たちの掛け声と一連の動きが美しいのも、熟練の技だからこそ。

 

 

どの仕事も、熟練されてくると、一連の動き・所作が美しくなります。

医師も、経験により、診療手順や手術手技は、無駄がなくなって洗練されていきます。

 

まだ慣れていないひよこスタッフが、眼底写真を左眼→右眼で送信してくることがあります。

電子カルテ上の並び方の違いだけですが、眼科医(院長)としては、右眼→左眼で送信、添付するよう伝えます。

カルテの画像の並びも整列されていると美しい。

病名も、屈折(目の前面)から奥に向かって付けていく。

そういうこだわりが、どの仕事も熟練していくにつれ、確立され、正確な仕事につながるのだと思います。

 

約1日かかって、マンションの全容が現れました。

住人のほとんどは、足場解体のとび職人には無関心のはず。

人生初のとび職メドレーを目の当たりにした院長。

何か得した気分。

そして、とび職人さんに改めてリスペクトした次第です。

どんな仕事も、必要とされている。

小さなことだけど、コツコツと。

院長の信条です。

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2021.7.20 仕事の帰りに

スーパーの産業医の仕事も、この時期になると、新型コロナ対策に加え、スタッフの熱中症予防、食中毒予防のための食品温度管理も話題に取り上げられます。

 

暑くなると、飲料やアイスクリームの売れ行きは良くなり、在庫補充管理で忙しくなります。

慌てて、大量の飲料を積み込んだ台車で自分の足の甲を轢いてしまった事故も他店では起きていました。

荷重量があったにもかかわらず勢いよく台車を動かしてしまったのが、原因。

力任せに台車を動かさない。

積載量を減らすか、複数人で動かすのが、再発防止対策。

ヒヤリハットの報告は、当院も朝礼時に共有していることなので、職種は違っても参考になります。

 

その日、ある冷凍室はがらんどう。

清掃の日でした。

冷凍庫ではなく冷凍室。

隣の冷蔵室も同様に広い。

ふだんの生活では見ることのない小部屋に、このスーパーの冷凍食品の在庫が保管してあります。

 

7月は切創事故防止月間(強化期間)です。

スーパーの裏側は、切れ物が多く、しかも業務用なので本格派。

かぼちゃカッターは、機械自体が重いので、清掃中にバランスを崩して切創が起きやすい。

畜産のスライサーは、刃に当たるだけで切れてしまうので耐切創手袋の着用を。

水産では、水気をふき取る際に包丁で手を切ることが多いので注意。

惣菜では、巻きずしカッターの機械を分解するときに刃に触れ切創となることが多いので注意。

巡視のたびに、本格派の刃物・スライサーを見てぶるっとする院長です。

 

巡回中、かぼちゃカッターの切れが悪いと現場より。

『事故防止のためにも新しいのに買い替えましょう』と産業医(院長)。

『いいんですか?』とスタッフ(店長さんを見る)

『いいですよね。事故が起こってもいけませんし』

『もちろんですよ、新しいのにしましょう。その代わり、新しいのは、刃がよく切れるから、そっちも気を付けてくださいね』と店長。

次回は、新しいかぼちゃカッターが見られそうです(すごく切れそうで怖いです)。

 

スーパーひとつとっても、色々な職種・部門があり、毎回新発見です。

 

先日の新型ワクチン接種当番日。

大型ショッピングセンターの接種会場へは従業員出入り口から。

バックヤードを通るときは、つい産業医の癖で見ている自分に気が付きました。

 

さて、産業医の職場に行くことも、小さな旅なのですが、今回オプションを。

職場と同じ町に温泉があるのを発見しました。

バスもない2キロの道を、職場のスーパーで買ったペットボトル(自販機より断然安い!)を携え、グーグルマップを頼りにてくてく。

夏日に、時速6キロ(院長通常時速)で歩くと、汗が吹き出します。

やはりパンツとスニーカー・リュックで正解でした(いつもは仕事用鞄・パンプスです)。

広いお風呂に、地元のおばあ様2人連れ2組、祖母と孫1組。

露天風呂と大浴場に浸かって『はあ~極楽~』

神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩などの効用が。

よく浸かったと思って、出るとわずか20分弱。

それでも、日頃の筋肉痛(ほぼ年中筋肉痛)が取れたような…

着替えてさっぱりした後は、再び歩いて駅へ。

小さなオプションでも、ちょっとしたミッションを果たしたようで、一人ほくそ笑む院長でした。

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2021.6.22 食べながら偲ぶ

所用で豊橋へ。

豊橋市は東三河の中心都市ですが、名古屋市民にはあまり縁のないところ。

名古屋・豊橋間は、新幹線・JR在来線・名鉄が走っています。

今回はあの名物メロディー?の特急に乗りたくなり名鉄一択。

特急は、ビュンビュン速いし、座席もまずまず。

新幹線にはずっと負けますが、ここのところ急行以下の在来線乗車が多いので、特急でもとても新鮮です。

 

さて、豊橋行きが決まった時に、真っ先に浮かんだのはYさん。

Yさんは、当院開院間もない時期からの患者さんでした。

ホテルマンで、オフはバイクで旅するのが趣味の、院長と同年代の男性。

各地へ転勤後も、毎年花粉症の時期になると、名古屋に寄ったついで…(実際にはついでではなく、診療のために)と、顔を見せてくださいました。

 

ある日、新しい名刺を。

○○ホテル…

知らないな…

『豊橋に出来る新しいホテルの立ち上げに関わっているんです。完成したら、ぜひ!』

名刺は引き出しにしまいました。

 

翌年、花粉症の時期にYさんは来院されず。

忙しいのかな?今年は花粉症、他で治療してもらっているのかな?

まぁ、ここまでわざわざ来ることもないしね…

 

ある冬の日。

カルテの患者さんの名前を見てびっくり。

Yさんです。

『お久しぶりです』

『お元気でしたか?ごめんなさい、まだ豊橋に行く機会がなくて…』

一回り小さくなったYさん。

あれ?

『僕、仕事辞めたんです。実は、癌で…実家に帰って療養しています。

今、ちょっと元気になっているんで…でも、もうあまり持たないらしいんです。

今日は、知り合いとかに会うついでに、先生にも…って』

カルテの住所は関東に。

余命少しでも長く…と無言で願うばかりでした。

その時が最後のYさんの受診となりました。

 

そういう理由で、この機会を逃すべきではありません。

豊橋駅前のウエディングも出来る洒落たホテルです。

最上階のレストランでは、窓際の席を案内してもらいました。

遠くに海や山が見えます。

豊橋の街並みも。

眼下の路面電車が、豊橋を象徴しています。

高層の名古屋駅ビルからの光景とは違う、アーバン(urban)とルーラル(rural)が混じっているような温かさ、緩さ。

美味しい料理と景色を楽しみながら、Yさんを偲びました。

ホテルは2008年オープンとのこと。

そんなに歳月が経っていたのです。

 

過去に亡くなられた患者さんたちが、ふとしたことで浮かぶことがあります。

亡くなられたことを家族や施設からの連絡で知るので、まだ(そこそこ)お元気な姿しか思い浮かびません。

故人患者さんのご家族も、当院の患者さんであることが多いので、その背後(背後霊ではなく)に故人患者さんが浮かぶことはよくあります。

息子さん、○○さん(故人)にそっくりになってこられましたよ!

ご主人、奥さんの○○さん(故人)なしでも、元気になられてますよ!

生前、院長との診察室での小さなエピソードも思い出します。

院長の心の中だけで、ひっそりと偲んでいます。

 

駅で、名産のちくわ(CMでお馴染み…と思うのは院長世代)をお土産に。

 

ちょうど急行が来ました。

ホームはまばら。

先頭車両に乗ると…誰もいません。

シートの一番前を陣取り、前方の広い窓から眺めます。

運転士に近い視界で、特等席でした。

名古屋までずっと視線が外せないくらいのワクワク。

 

Yさんを偲ぶ特別な豊橋行きになりました。

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2021.6.15 間違えても…

『リビングの電球が切れたから買っといて』と家人。

即日欲しいので、近くの家電店へ。

1キロ強なら歩いていこう。

 

お店に着いて、手が空いていそうな店員さんの一人に『これと同じ電球ください』

電球コーナーへ案内され、持参した電球と同型を探してくれます。

『う~ん、これと同じ型はもう作っていないです。こっちのか、LEDにするかですね』

LEDは価格倍以上、高い…

『電球の持ちはかなりいいですか?』

『従来の4倍強ですかね~』

『では、LED買います。ちゃんと入りますか?』

『大丈夫です!』

 

レジで精算をしようとすると、ポイントカードをアプリ対応に切り替えるよう勧められました。

『この画面を出して…etc』と店員さんが指示。

『う~ん、上手くいかない…やってください』とスマホを差し出す院長。

『Wi-Fi接続切りますね』 さくさく…『出来ました、今日1割引きになります』

『やったー』

 

帰路も徒歩です。

 

電球交換は身長上男性陣の係となっている我が家。

家人は留守なので、テーブルの上に置いておきました。

 

帰宅した息子からLINE『電球間違えて買ってきたやろ、入らんぞ』

そんな!?息子が取り付け方を間違えているのでは?

 

家人帰宅後『やっぱり、入っていかないよ。サイズ合ってない』

『そんな~』

再び、家電店へ。

 

あのお兄さんらしき人は…探すものの、みんなお客さん相手で忙しそうです。

やっと見つけたのは、40代と思われる貫禄のある女性。

電球とレシートを見せ、かくかくしかじか…

『申し訳ありませんでした。対応した者は、どんな感じでしたか?』

『若いお兄さんで…』

『背は?顔は色白でした?色黒でした?話し方は?etc』

背が高いのは覚えていましたが、顔の色までは…

しかし、彼女には該当者が浮かんだようでした。

 

もう一度電球コーナーで説明してもらい、別のLED電球を選んでもらいました。

『恐らく、今度のは大丈夫だと思います。しかし、万一不具合があれば、遠慮なくおっしゃてください。きちんと対応させていただきます。遅れましたが、私、こういうものです』

名刺をくれました。

 

帰宅後、無事交換完了。

ネット通販が多くなっていますが、こうしたトラブルが生じたときは、対面でのやり取りのほうが早い解決につながります。

該当の若いお兄さんは、上司であろう女性に叱られるかもしれませんが、それは彼が成長するうえで大事なこと。

また、女性の上手な対応で、正しい商品が買えただけでなく、今度もあの人に聞こう(お店に行こう)という気になりました。

 

その夜、自宅Wi-Fi環境下でスマホを見ているのに、4G表示に気が付いた院長。

なんで!?

ん?そういえば…

朝の家電店でWi-Fiオフにしたまま…

気づかず、映画やらYou tubeやら見ていました。

せっかくお得なプランに切り替えたとこなのに…

1割引きになったことで喜んで、Wi-Fi切り替えを忘れる…困ったオバサン(院長)です。

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2021.6.8 こんな所で…

新型コロナワクチン集団接種の初当番日。

医師会から日時・会場・役割(予診か接種)が指定されています。

 

時間より少し前に到着すると、既に接種希望者と思われる人たち。

場外案内・場内案内などなど色々な色のビブスを付けた人たちが対応に当たっていました。

『医師』と記してある青いビブスを着ます。

 

既に一日当番に当たった家人が『仕切りは段ボールでできていた』と言っていたので、さすが名古屋市!?と納得。

いわゆる茶色の段ボールを想像していたのですが、見当たりません。

予診のパーテーションや、接種ブースはきれいな白い壁。

あれ?でも、触ってみると確かに段ボール。

見た目は、普通の家の壁と遜色ないくらいです。

 

さて、当日接種可能か否か、接種後の待機時間をどうするかを決めるのが予診の担当です。

問診票に記入漏れや不備がないか確認、血が固まりにくい薬の内服やアレルギー反応(発作)を過去に起こした人は要注意です。

一通り話をして、最後に医師のサインをします。

 

今回は、地元の小学校が会場なので、地元住民が多くなります。

緑区在住がほとんどですが、区外、しかも市の中心部からも。

ワクチンへの関心が高いことを感じました。

 

当院の患者さんの問診をする機会も多々。

院長が目の前にいるとは想像もしていないので、多くの人は、サインも見ずに接種場所へ導かれていきます。

しかし、たまに問診時、目が合って『あっ!?』と驚かれる方や、問診票のサインを見て話しかけてこられる方もありました。

 

『あれ~!こう先生、こんな所で!先生たちは、もう打ったんだよね。どうだった?痛かった?大丈夫だった?』Aさん(女性)。

『打ったところが少し痛む程度で大丈夫でしたよ』

『明後日、テニスできるかしら?』

『たぶん2日後なら問題ないと思います。でも無理しないでくださいね』

『それ聞いて安心したわ。こんな所で、先生に会えるなんてよかったわ~』

 

『はせこうさん、こんな所でも働いてるの?』Bさん男性。

『医師会からの仕事なのです』

『大変だね~。あ~、最近眼科さぼっているから、また行くわ~』

『お待ちしてま~す』(と言うのも変ですが…)

 

『あっ!長谷川先生。その節は、家内がお世話になりまして…』Cさん男性。

『○○さん、その後いかがですか?』

『あれから転んで骨折して入院したら、認知症がどんどん進んでしまったんです。

もう私一人では見られないので、施設に入りました』

『そうですか…大変でしたね…お大事になさってください』

と、意外な近況報告を聞いたり…

 

65歳以上になると、集団接種会場でも、何の疾患もない人は一握り。

多くの方が、生活習慣病を始め種々の病気の治療をされています。

おくすり手帳は、薬を提示するには便利だと再認識。

病気や年齢によりますが、すたすた歩く人、杖や介助、車いすなど移動の仕方は色々。

ラフな服装が多いのですが、お洒落をしてくる人も。

65歳以上で一括りとはいえ、100歳までの範囲でも35歳の幅があります。

予診の合間に、アクリル板越しに会場を見ながら人間観察をしていた院長でした。

 

接種後の皆さんは何もなく無事に帰路へ。

私たちも無事本日の任務を終えました。

会場スタッフ全員が、持ち場をきちんと遂行してくれたおかげです。

お疲れさまでした!

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2021.4.13 知らんがな

次男が長男に帽子(キャップ)を買ってきました。

親からより弟からもらうほうが断然喜ぶ長男。

次男は、キャップ好きで、いくつか持っているようです。

スポーツ以外の日常用のキャップは、若い人にはオシャレなアイテム?

なぜか、別ブランドのキャップを母(院長)にもくれたことがあります。

ゴルフ用ではなさそう…

ジムでキャップを被って筋トレしている若い子たちを真似してみました。

若い世代に人気のブランドと言うこともあって、若いスタッフたちからは『かっこいいですね!』(お世辞でも嬉しい)

しかし、室内での帽子着用にはいまだ抵抗感ありのオバサン(院長)に継続は無理でした。

 

喜んで弟からもらったキャップなのに、何日も下駄箱の上に置いたままです。

ある日の可燃ごみ収集の朝。

ごみ袋に家中のごみを集めます。

どんなに小さくても、ひとつでも多くのごみを入れたいのが主婦の心情。

長男の新品キャップのシール(牛乳パックに付いているアルミの宣伝シールみたいな)が目に留まりました。

『ものぐさな〇(長男)は、こんなシールを取るのも面倒で被らないのか!?』と思い、ごみ集めの一環としてシールを剥がしてごみ袋へ。

 

数日後。

『帽子のシール剥がしたの、母さんやろ?』

『そうよ、剥がすのも面倒で被らないかと思って』

『違うって!あのブランドは、シールつけたまま被るのがオシャレなんだぞ!』

『え~!!!知らなかった。ごめん。シール剥がしたら被れないの?』

『シールなしだと価値が半減する!せっかく〇(弟)が買ってくれたのに!勝手に人のもの触るな!』

そんな大事なシールだったの~

タグと同等だと思って剥がしたのに…

 

次男に話すと、そのブランドは設立は古いものの、若い世代に最近人気で、ブランドのシールを貼ったまま被るのがオシャレらしい。

知らんがな。

長男の怒りは収まらないけれど、次男は、母の行為に『まあ、仕方がない。今度から子供のものは触らないように』と忠告。

『剥がして被っている人もいるし…まあ、放っておけばいいんじゃない』

 

長男がそのキャップを被ったところは見たことはありませんが、車に置いてあるので、気に入っているよう。

 

一連のエピソードをポロリと話すと、『ごみの日の話、あるあるですよ~』と慰めてくれる主婦層スタッフです。

 

それでも気になっていたので、そのブランドのお店へ行ってきました。

長男と同じキャップも売っていました。

若い男性スタッフにシール有無での着用を聞くと、やはりシールを付けたまま被るのがブランドの証明みたいなキャップだそうです。

なるほど~

でも、知らんがな。

自分のキャップを買ってシールだけ長男に渡そうか…

適当に選べばいいと思っていましたが、いざ、自分が被るとなると、悩みます。

これだ!と思えるものがなかなか見つからないのです。

鏡に映るキャップを被るオバサン(院長)はどれもイマイチ…

さんざん悩んで、イニシャルのにすることに。

レジに持っていき、シールを息子にあげる旨を言うと…

『このキャップのシールは、息子さんの帽子のとは違いますよ』

そうなの?

『じゃあ、同じシールのついているキャップの中で、20代の子が好きそうなのを選んでください』

『あっちのシールのキャップは、デザインにこだわる人が多いので、お母さんが勝手に選んで渡したら、また怒られますよ。今度、息子さんと一緒に来られて、気に入ったのを買ってあげたほうがいいですよ~』

力が抜けてしまいました。

長男への和解の方法を水面下で探っている母。

息子は母の心『知らんがな』でしょうけど。

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2021.4.6  頭を打ったら?

久しぶりに、映画を見てきました。

『ミナリ』

2021年アカデミー賞6部門にノミネートされた映画です。

1980年代、移民韓国人一家が、職と住居を転々としながら、定住地を求めてアメリカ南部にやってきます。

広大な土地で農業をして成功したいという夢に対し、現実は大変厳しく、様々な困難が襲いかかります。

絶望するも這い上がり…を繰り返し、一生懸命生きる移民一家。

派手さはないものの、余韻が残る映画でした。

 

その後、もう少し韓国人主役で見たいと思い検索。

最初にヒットしたのは『冬のソナタ』

2002年に韓国で、2003年に日本で放映されたテレビドラマです。

主人公のペ・ヨンジュン(ヨン様)に日本女性も熱中し、韓流ブームの走りと言われています。

が、ヨン様の顔は知っていても、当時は全く興味がなく、ドラマも見たことがありませんでした。

試しに…と、ネット配信で視聴してみると…

ハマりました。

ヨン様に。

ヨン様の笑顔に。

ストーリーは恋愛もので、あり得ない設定の連続です(院長、やや冷めた目で見ています)。

しかし、集中して全20話を見ようとするので、常にヨン様が脳裏に浮かび、ことあるごとにドラマの切ないバックミュージックが流れる日々。

 

セリフが割とゆっくりなのと、会話に同じ単語が出てくるので、字幕と合わせて、なるほど~

名前の後に付けるナとかヤとかは、親しい間柄で呼ぶ。

アラッソ=わかった

キオク=記憶(日本と同じ音) などなど。

小学生の時に、英語の単語(机とか鉛筆とか)を少しだけ覚えたときの嬉しさに似ています。

 

さて、クライマックス。

ジュンサン(ヨン様)は、ある日、室内で倒れて病院に運ばれます。

検査の結果、医師から、慢性硬膜下血腫で、血液が眼球を圧迫している危険な状態だと告げられます。

以前の事故で頭を打ったことが原因で。

このあたりから、ストーリーから外れて眼科医として突っ込みたくなった院長です。

 

『時々目がかすむのも…?』ジュンサン

『おそらく、眼球を圧迫しているのでしょう』医師

『手術すれば治るのですか?』ジュンサン

『手術したとしても、失明などの後遺症が出るでしょう』医師

そして、予断を許さない状態にも関わらず、アメリカへ渡航し手術を受けます。

数年後、帰国したジュンサンは、失明していました。

 

『慢性硬膜下血腫』は、高齢者に多く、覚えていないような軽度の打撲を数か月前に起こし、脳の外側に血がたまる病気です。

頭が痛いとか、ぼんやりする、手足がしびれる、物忘れをするなどの症状がゆっくりと現れ、進行します。

手術は血種(血のたまり)を除去すればよく、術後成績も良好です。

失明って…あり得ない!

 

一方、脳腫瘍では、原発性・転移性とも視神経を圧迫し、残念ながら失明に至ることもあります。

また、眼単独の腫瘍もあります。

視力という機能を残すことは大前提ですが、生命に関わる場合、眼球・視神経などの部分的なものより、生命を優先させることもあります。

病院勤務時代は、両眼とも眼腫瘍で摘出した患者さんや、乳がんの脳転移で失明した患者さんなどなど、悲しい思い出もたくさんあります。

 

最後のシーンで、失明したジュンサンを演じるヨン様。

家の中は、壁をたどり歩数を数えて進む…歩き方をしています。

外出時は白杖なしでいいの?

視覚障害者用補装具適合判定医師である院長としては、気になる点色々…

 

約20年遅れての冬ソナ。

若かりしヨン様をたっぷり堪能しました。

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2021.3.16 デパ地下フルコース

最近は、めったに揃わない家族ゆえ、ゴルフは4バッグ1組で予約する我が家。

珍しく息子たち全員フリー。

母(院長)が、母の愛で譲ります。

 

ひとりの休日。

あちらがラウンドなら、こちらは少し贅沢なひとりランチもいいよね。

どこ行こうか?と思案しながら、今までやったことのないことをしたくなりました。

 

デパ地下大好きの院長ですが、主に(必ず)覗くのは、和洋菓子コーナー。

デパートの最後は、お土産に何か甘味を買って帰ります。

お惣菜やお弁当は、出張や学会など外の仕事日の夕食に買いますが、日々の食事は内容・レベルはどうであれ手作り派の院長です。

惣菜・弁当コーナーは、意外にも素通りしているお店の多いことに気づきました。

ふだん、何気なく通り過ぎていますが、惣菜・弁当コーナーだけで約40店舗あります。

 

『デパ地下でランチフルコース!』と題し、ひとりゲームを思いつきました。

マイルールを決めます。

前菜からメイン、デザートまでで10品とする。

一品あたり、最小単位で買う。

一つのお店で一品とする。

全品完食できる量とする。

 

我ながら、期待でわくわく。

開店早々、デパ地下へまっしぐらです。

 

デザートに2品は確保したいので、惣菜関係は8品。

まずは、サラダを選びます。

マグロとアボガドとか、ベトナム風サラダとか、普段なら選ばないようなものに目が行きます。

『〇〇100グラムください』

少量でも気持ちよく対応してくれるデパートの店員さんに嬉しくなります。

1日30品目の野菜入りとか、鉄分入りとかの身体に良さそうなキャッチワードにも反応する院長。

サラダ関係だけで3種類。

色々なお店を行ったり来たり。

やっと3品購入。

 

次は、メイン。

肉食系としては、ここで、ちょっと奮発したいところ。

ビーフシチューのポットパイ、ローストビーフなど洋のメイン。

でも、中華も美味しそう。

今回、トータルの量・カロリーとも多くなりそうなので、揚げ物はパス。

たんぱく質がある程度多そうなお惣菜を3品。

 

主食も、大いに迷います。

米で行くか、パンで行くか。

お寿司関係も捨てがたいし、点心もいいよね。

サンドイッチも捨てがたい。

残り2品、これまた行ったり来たり。

 

デパ地下の半フロアと言えども、こんなに熱心に見たことはありません。

今回は、買わなかったけれど、次回は!と候補にしたお惣菜も多々。

 

最後は、和洋菓子コーナーへ。

以前から気になっていたチョコレートケーキは必須。

最後の一品は、和菓子か口どけの良い冷菓か迷った挙句、冷菓を選択。

ゲーム終了!

 

10品、そこそこ重いお買い物バッグを手に帰路へ。

 

パックのお惣菜を、それぞれ器に盛り、テーブルに並べます。

なかなかのお料理が勢ぞろいです。

いつもは夕食時の1日1杯(マイルール)のグラスワインを今日はお昼に(その代わり夜はなしです)。

『お~こういう味だったんだ!』

『大正解だわ~』

『美味し~』

フルコースと言えども、すべて食卓に並んでいるので、こっちを食べたり、あっちを食べたり。

周りを気にしなくてよい、ひとりだけの贅沢ランチです。

最後は、コーヒーを淹れ、デザートで締めくくります。

 

ちょっとした好奇心から、ひとりの休日を大いに楽しんだ院長でした。

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2021.2.9  人間ドック

毎年秋に受ける人間ドック(ドック)をキャンセルしていた院長。

『がん検診を受ける人が前年比3割減に伴い、受診者の減少で1万人以上のがんが未発見』という調査結果を知り、すぐに再予約。

 

ドックの前日もしくは数日前から節制をする人も多いと思いますが、普段の自分の身体の調子を確認するのがドックです。

普段の診療でも、受診数日前だけ内服や点眼をしっかりするとか、節制をして、診察や血液検査に臨む患者さんがいますが『ありのまま』が大事。

院長も、その辺りは心得ているので、前日は普段通りの夕食、アルコールもいつも通り。

 

ドックの朝の絶食は、朝食ガッツリ派としてはつらいところですが、その分昼食が楽しみです。

検査着に着替えると、『全部お任せします~』の受け身に転身。

いつもは診療する能動的な立場なので、逆な立場は新鮮でちょっと楽しい体験です。

もちろん、病気の検査ではなく、健康人の人間ドックだからこそですが。

 

眼底検査では、昔は、高血圧や動脈硬化の程度を主に判定していましたが、近年は、緑内障の早期発見に力を入れて判読されています。

眼科検査項目は、自院(自分)でもできますが、被検者の立場を年に一回体験するのも勉強になります。

 

いつものように、緊張感高まる胃カメラ。

経鼻胃カメラは、経口よりは楽になったものの、ドック項目の中では唯一苦手。

毎年、自分より年上と思しき男性医師が担当。

なのに、現れたのは、30代小柄で可愛い女性医師。

専門医取って間もないくらい?

看護師さんに背中をさすってもらうくらい、毎度の苦行ですが、いつもより気分的に楽だったような…

説明もわかりやすく丁寧でした。

まだ若いけれど(経験浅そうだけど…)…と同性、同業でも少々先入観があった院長です。

きっと、自分もその年代の頃、患者さんに思われていたことでしょう。

どんどん経験を積んで、エキスパートの道を進んでください!応援しています!と、先輩オバサン医師からのエールです。

 

さて、お楽しみのお昼。

ランチタイムまで時間があったので立ち寄ったスーパーで目に留まったのはいちご。

ふんだんにいちごを使って、フルーツサンドを作ろう!

いちご・キウイ・サンドイッチ用食パン・生クリーム(もちろん動物性)購入。

生クリームを砂糖と泡立て軽いホイップクリームを作ります。

薄いサンドイッチパンに、クリームをたっぷり塗布。

丸ごといちごをカットしたときに美しくなるよう並べます。

間にキウイも。

 

銀座Sのフルーツサンドが浮かびます。

初めて食べたのは、ちょうど胃カメラの女医さんくらいの若き日。

眼科専門医として少し自信がついてきた頃。

きれいに並んでいる一口サイズのサンドイッチ。

上品に散りばめられた果物とクリームのコントラストにうっとり。

S(もどき)バージョンも作成。

 

さて、包丁で切り、お皿に並べてみると…

『映え』って、こういうことね~

三角に切って果物を前面に押し出す今風の映えバージョンと、果物が控えめに顔を出す老舗バージョン。

おやつとスイーツ、同じようだけどニュアンスの違いみたいな。

 

絶食明けなのと、具が軽いだけあって、どんどん行けます。

こんなに思う存分フルーツサンドを食べたのは初めて。

しかし…

食べた気がしない。

肉が食べたい!

結局、肉を焼くことに…

甘いものだけで満足出来たあの頃の私は何処に?

そして、ドックの結果は如何に?

 

 

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